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Hilcrhyme、ツアーファイナル東京公演で自身初の2マンツアー開催を発表

アーティスト

撮影:高宮紀徹

Hilcrhymeが11月27日、東京・LINE CUBE SHIBUYAで「Hilcrhyme TOUR 2022「SELFISH」」のファイナル公演を開催した。

Hilcrhymeとソロ名義のTOCは、9月28日にニューアルバムを2枚同時リリース。Hilcrhymeが「SELFISH」、TOCが「FOOLISH」と対になる新作を掲げ、10月8日より各6公演のツアーを並行して開催するという前代未聞の試みに。この日のライブは冒頭の「Introduction -Morning Routine-」からアルバムのテーマカラーであるグリーンのリリックがスクリーンを飛び交うクールな演出で、「Welcome Party, Tokyo!」とTOCが投げ掛け、MBSドラマシャワー「先輩、断じて恋では!」エンディング主題歌「あと数センチ」など、最新アルバム「SELFISH」からのナンバーを連発。その後もシームレスに人気曲「Jealous」へとつなげるなど、オーディエンスの熱気を巧みにナビゲートし、漆黒にあしらわれた極彩色が映えるセットアップを身にまとったTOCが、ハンズアップが舞う絶景を早々に作り上げる。

「『SELFISH』=わがままであれ、われがままであれ。自分は自分のままで、あなたはあなたのままで。そういうアルバムになってます。俺はマイクを握って23年。キラキラした目で夢を追いかけていた。変わったのはチャリからランボルギーニになったぐらい(笑)。いまだ少年は夢を見る!」

相川七瀬の大ヒット曲「夢見る少女じゃいられない」を新解釈でカバー&アレンジし話題となった「夢見る少女じゃいられない〜夢見ル少年〜」に続いては、「今でも夢見てるよ、遊ぼうぜ渋谷!」と「チャイルドプレイ」「射程圏内」と、2010年リリースの1stアルバムにして大ヒット作「リサイタル」からの楽曲も披露。序盤から興奮冷めやらぬ観客を一気にブチ上げていく。

MCでは、「泣いても笑っても今日が最後なわけで、HilcrhymeとTOC、ダブルリリースからのダブルツアー、今日が集大成です。俺は俺を突破したから、今度は君が君の限界を突破していけ!」と呼び掛け、今作の制作中に陥ったスランプを脱する突破口となったという「限界突破」や、これまたキャリア初期曲の「デタミネーション」、高速ラップパートでも圧倒する「LOOP」など、TOCの確かなスキルと変わらぬスピリットを宿したセットリストで畳み掛ける!

「「SELFISH」は、自分の半生を書いてみようと思ったアルバムなんです。全て点でつながってる。そして、それを今、線にしている作業です。ファイナルならではだぜ!エクスクルーシブ・シット、フロム新潟!!」とのコールに応え、TOCがデビュー以前に参加していた新潟を代表するHIPHOPグループ、NITE FULL MAKERSが登場! TOCを含む総勢5MCで届けた「Be one feat. NITE FULL MAKERS」は、高低差のあるフロウを次々とマイクリレーしていく圧巻のパフォーマンスに。あっという間に場の空気を掌握した、まさに嵐のようなひとときだった。

「それでは、俺のとびっきり大きい点を。人生で最も忘れられなかった一日」と始まった、5年前のある一日をつづった迫真のドキュメンタリー「十二月一日」は、みぞおちにズシリとくるリアリティで聴き応え十分。Hilcrhymeの転機をタブーなしで落とし込む覚悟には、シーンをサヴァイブしてきたすごみと表現者としての生きざまを感じずにはいられない。

インタールードを挟んだ後半戦は、TVアニメ「ピーター・グリルと賢者の時間 Super Extra」エンディングテーマ「コイゴコロ」や、「言えない 言えない」「内容の無い手紙」で、Hilcrhymeのメロウサイドに心地良く落ちていく。前半戦のストイックなラップ曲との振り幅も、Hilcrhymeの魅力で醍醐味だと思い知るゾーンだ。文字にして残す大事さを年々痛感すると語るTOCが、「父の心得」を情感たっぷりに歌い上げる姿は、否が応にも胸に迫りくる。荘厳なピアノとゴスペルのトラックをバックに、椅子に腰かけ切々と言葉をつむいだ「鼓動」や大切な人を思う「想送歌」も同様で、抑えきれない大きな感動が去来する。

「『SELFISH』は自分を大事に思うこと、自分を愛することを訴えているアルバムなんです。なぜかと言うと最近、自分がそれをできていなかったと気付いて。ラップというフィールドで何十万文字と作品に残してきて、それでも俺はまだまだだと思っていたし、どうすれば上にいけるのか、こんなんじゃダメだという思いが強かったんだけど、『SELFISH』と『FOOLISH』を作ってようやく、自分で自分が頑張っていると認めてあげることって、超絶大事だなと思ったんですよ。自分を愛せなければ、周りだって愛せない。『SELFISH』は究極の自己愛ですけど、そこにエゴもナルシスもない。それを作品にして、こういう自分の愛し方があるんだなと見せたかった。皆さんの心に何か響いていれば幸いです」

クライマックスは自分が自分であることを肯定してくれるポップチューン「アクセサリ」「皆さんも自分の人生をわがままに、いや、われがままにいてください!」と、エキゾチックなサウンドメイクも印象的なタイトル曲「SELFISH」でフィナーレへ。「このアルバムに関わった全てのトラックメーカー、スタッフに、このツアーに来てくれた全てのお客さんに感謝を!」と、ステージを去るTOC。

そして、アンコールで再び現れたTOCが、拍手を一身に浴び高々と手を掲げれば、それは名曲「大丈夫」の合図。2時間をかけて積み上げた感情のピークをまたも軽々と超えていく。ここで、2023年の東名阪Zeppツアー「Hilcrhyme TOUR 2023『Two Man』」の開催を発表。「Two Man」ということで、全公演でゲストを迎えるキャリア初のツーマンツアーとなる。ラストは、「こんなにいいツアーはなかったとハッキリと言えます。最後は何がふさわしいかなと思ったんだけど、アルバムのタイトル通りの曲があった。いつまでも自分の人生は自由に書いていいぜ!」と、代表曲「ルーズリーフ」で大盛り上がりのエンディング。TOCが「ツアー「SELFISH」、最高だったぜ!」と充実の表情で告げ、ファイナルを見事に締めくくった。

なお、本公演のアーカイブ映像は、LINE LIVE-VIEWINGで12月4日23:59まで、ローチケ LIVE STREAMING(ZAIKO)で11月30日23:59まで配信。「Hilcrhyme TOUR 2023『Two Man』」は、4月2日愛知・Zepp Nagoya、4月9日大阪・Zepp Osaka Bayside、4月23日東京・Zepp DiverCity TOKYOで開催される。

取材・文:奥“ボウイ”昌史
撮影:高宮紀徹

 

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