泣き虫☔︎、フォトグラファー増田彩来と共に3都市を回ったアコースティックライブツアー「日々爛々」ツアーファイナル公演のライブレポート到着
ソロアーティスト泣き虫☔︎が、フォトグラファー増田彩来と共に3都市を回ったアコースティックライブツアー「日々爛々」。そのファイナル公演を2022年11月27日に東京・表参道WALL&WALLで開催した。
増田の写真展と泣き虫☔︎のアコースティックライブが融合した本ツアーは、増田が泣き虫☔︎の「おやすみヘブン。」のアートワークとミュージックビデオを担当した縁から実現。国の登録有形文化財に指定されている京都の紫明会館、古い空き家をリノベーションした広島の尾道・光明寺會舘、洗練された空間のWALL&WALLと、3箇所それぞれ異なる趣を持ったアート性の高い会場が開催場所に選ばれた。
ファイナルの東京公演のみ、2公演を実施。通路の壁やフロアに設置された木箱には増田撮影の海や光をモチーフにした写真が多数展示され、ロビーの壁には海辺で佇む泣き虫☔︎のムービーが映し出される。ステージの床には砂が敷き詰められ、その上には流木や落ち葉が広がり、上手(かみて)には街頭と木の枝で作られたオブジェが。一帯が深い青いライトで包まれ波の音が流れているため、特にステージ上は清らかで寂寥感漂う海底のようだ。
序盤は「大迷惑星。」や「くしゃくしゃ。」といった、主にミドルテンポの楽曲をじっくりとギター弾き語りで演奏。「君の泡になる。」や「レモネード。」など音源リリースしていない楽曲も交え、観客をロマンチックかつセンチメンタルな楽曲の世界へと引き込んでいく。繊細さと鋭利さを併せ持つ、あたたかくも陰のある歌とギターは、観客の涙腺を刺激した。
中盤より増田の手掛けたムービーが、ステージ背景の巨大プロジェクターに映し出される。すると彼は先ほどから一転、「9」や「トーキョーワンダー。」「君以外害。」など、ロック色の強い楽曲を畳み掛けた。荒々しいストロークと語感の小気味よいボーカルが躍動感を作り出し、観客は思い思いに身体を揺らすなどして音に興じた。MAISONdesでyamaが歌唱した「Hello/Hello」のセルフカバーの後は、「カエル。」でコール&レスポンスならぬ“ハンドクラップ&レスポンス”で観客とアットホームな空間を展開。さらに「寝れない電話のうた。」と「おやすみヘブン。」で眠りへといざなうような没入感で満たし本編を締めくくった。
アンコールではyamaへの提供曲「Oz.」のセルフカバー、今月リリースされたばかりのキタニタツヤとの共作曲「どーだって。」を披露した後に、増田をステージへと招き入れる。増田はライブタイトルの「日々爛々」に触れ、「ライブは日常にある爛々とした光のひとつで、それは明日頑張ろうと思える理由になると思うんです。今日が皆さんにとってそういう光になっていたらうれしいです」と真摯に思いを伝え、泣き虫☔︎も「3箇所ともその瞬間にしか生まれないものがあって、それぞれ全然違う良さがあるライブになりました。今日もめちゃくちゃ楽しいしうれしいです」と感謝を述べた。
彼が「このツアーまであたためていた曲がある」と語り、最後に届けたのは新曲「日々爛々」。タイトルに相応しく輝かしい力強さが宿った楽曲で、泣き虫☔︎の新しい可能性を感じさせる楽曲だった。今年はリリースや楽曲提供だけでなく、東阪ワンマンツアーや黒子首とのツーマンライブ、サーキットイベントの出演など、精力的にライブ活動を送ってきた泣き虫☔︎。そんな2022年のライブ納めに相応しい、アート性に富んだプレミアムな1日となった。
現在、各音楽配信サイトにて本ツアーファイナル公演のセットリストプレイリストを公開中。さらに泣き虫☔︎は、最新曲のシンガーソングライター・キタニタツヤとのコラボ楽曲「どーだって。(feat. キタニタツヤ)」を配信中。配信リリースを記念して、各音楽配信サイトにてキャンペーンを開催中。
文:沖さよこ