センラ
SENRA LIVE TOUR 2022 -VERITE-
2022.11.23 Zepp Haneda
ボーカルユニット・浦島坂田船のセンラが、2022年11月に全国7都市を巡る4thソロワンマンツアー『SENRA LIVE TOUR 2022 -VERITE-』を開催。フランス語で“真実”を意味する言葉をタイトルに冠した最新ミニアルバム『VERITE』の曲たちはじめ、活動やリスナーに対してのセンラの真っ直ぐな想いに、胸が高鳴ったり涙腺が緩くなったり。ここでは、11月23日の東京・Zepp Hanedaで行われた昼夜2公演のうち、昼公演の模様をお伝えする。
ツアータイトルが大きく映し出された紗幕の向こうにセンラが現れ、スポットライトを浴び歌い出しのファルセットから心をがっちり掴んだのは、『VERITE』の1曲目でもある「透明」。作詞・作曲をセンラが手がけたドラマティックなナンバーだ。バンドサウンドが入り紗幕が落とされると、そこにはゆったりシルエットの白ジャケット&白パンツという爽やかコーデに身を包み、客席に向かって手を振るセンラの姿が。心の琴線に触れるメロディと言葉選び、儚げで優しい歌声を浴びて、あっという間に魂が満たされていく。
ダンサー2人が加わった「コールボーイ」では、赤のライトに照らされながらガナったり巻き舌気味になったり一気にやさぐれモードに。それでいて、<ノーベル筋肉賞>や<背中広すぎてパンこねれるわい>、後ろ向きでお尻をアピールする<グレートプリケツ>など、謎のコールに合わせたコミカルな動きをするその振り幅に、脳内の情報処理が追いつかない。
センラ
浦島坂田船のアルバム『L∞VE』に収録のソロ曲、高揚感たっぷりな「Sugary」では、ダンサーと共にがっつりダンスも。1年ぶりのソロツアー、人がぎっしり詰まった1階のスタンディングフロア、2階席でもセンラのイメージカラーであるイエローのペンライトがたくさん瞬いて、センラー(センラファンの呼称)の愛と興奮がひしひし伝わってくる。
スタンディングの観客を気遣いつつ、「500万点の笑顔に、ライブにしましょう!」と呼びかけたセンラ。タイトルコールしたのは「ROUTE23」だ。忘れられない<君>への記憶を胸に抱いて車を走らせる夜。センラの歌声があまりにも切ない。
低音から高音まで美声が映える「リップサービス」。センラ作詞・作曲、<あなたしかいない>……“切実”がメロディ、歌詞、歌声、ダンスににじむ「vain」の<今を淀みに浮かべて>という詩的なフレーズがライブでよりいっそう胸に響く。「vain」は実写MV制作も手がけたとのことで、多才ぶりにますます拍車がかかるセンラである。
「君たち、こなれているというか……雰囲気がぬくい!」と笑顔を見せたセンラ。アコースティックの穏やかな音色が繊細なビブラートを引き立たせた「Intention」といい、艶っぽい歌声に躍動感あるウッドベースの奏でがベストマッチな「Fake my dreams」といい、どんどん沼に引き込まれてしまう。
センラ
キャラ濃すぎな“真実男(しんじつお)”に扮した幕間映像では、胡散臭さを払拭するため自らジョークグッズの嘘発見器にかかりにいくことに。「真実しか言わない」はずの真実男が電流ビリビリで悶絶する姿に、何度お腹がよじれそうになったことか。『実っちゃんねる』、本当に作ってほしいと思ったのは筆者だけではないはず。
タイトなシルエットの黒ジャケット&黒パンツというスタイリッシュコーデに着替えて、「シックスセンス-6th SENSE-」へ。黒衣装のダンサーと踊る「Pudding」は指先までセクシーだし、「Freja」の挑発的なパフォーマンスにしてもドキドキが止まらない。
職業経験をいかして仕上げたパワーポイント資料を用いてのロングMCでは、“住んでる人に聞いてみた 東京のここがいいよね”を紹介。ツアーで訪れる各地でご当地ネタを組み込んでくれる思慮と、流暢なプレゼンテーション。やっぱりセンラはできる人だ。
幕間映像に登場した“真実男”も映像で登場して盛り上げたのは、<パン!パン!パン!>という歌詞に合わせてセンラも観客も大きくクラップした「パンペルデュ」。バンドメンバーの背中をポンポンしたり、向き合ってジャンプしたり、客席の後方まで見渡して手を振ったり。センラらしさ全開で思わず元気になれる「ネバースリープ」、<生きてやるさ 俺のままで><かかって来いよ 時代>という意志の強いフレーズを凜と歌う「NIGHT SCREAMER」、『VERITE』に収録の2曲では、ダンスダンスダンス。目にも耳にもなんと鮮やか!
センラ
フランス語で“大好き”を意味するタイトルの「J'adore」の<永遠を信じてた>という独唱も。「色恋」の和情緒に美しく哀しく混ざり合うやるせなさも。「ファーストレディー」の<あたしだけを見て>も。センラの感情表現は実に豊かだとあらためて思う。
「アルバム『VERITE』を持って、今回のツアーをまわらせてもらっています。『VERITE』は、自作曲3曲を入れるという挑戦もした作品。最後に自分の想いを詰め込んだ曲を歌わせてもらいます」
そう告げて、自ら作詞・作曲した「cute you」へ。『VERITE』のラストを飾るナンバーだ。<よそ見なんてさせないから>という決意、<君が頭から離れない>自分は<世界一の幸せ者>であること。センラーを心から想う言葉と歌声は、本当に本当に愛情深い。
センラ
疲れ知らずの歌声に心地よく溺れた「スパイラル」で始まったアンコール。そして、賑やかな記念撮影からのハイテンションカンパイソング「脳内シェイカー」、おまけに最後はお見送り会まで。夜公演も同じボリュームで行われたのだろうと思うと、ただただ驚かされる。大切なセンラーを全力で愛し抜くセンラ、とにもかくにも男前だ。
文=杉江優花 撮影=小松陽祐(ODD JOB)