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田原俊彦、WOWOW「TOSHIHIKO TAHARA DOUBLE ‘T’ TOUR 2022 Romanticist」放送・配信に先立ちライブレポート到着

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田原俊彦「TOSHIHIKO TAHARA DOUBLE 'T’ TOUR 2022 Romanticist」東京・中野サンプラザホール公演

デビュー43年目を迎えた2022年、78作目となるシングル「ロマンティストでいいじゃない」を6月にリリースした田原俊彦。昨年は還暦を迎え、記念公演も開催。長年応援し続けているファンに加え、SNSなどを通じて若年層からダンスパフォーマンス等で注目を集め、さらにスケールアップしたエンターテインメントショーを繰り広げている。WOWOWではそんな彼を2カ月にわたり特集。12月18日17:00からは、最新全国ツアー「TOSHIHIKO TAHARA DOUBLE ‘T’ TOUR 2022 Romanticist」から10月20日開催の東京・中野サンプラザホール公演を独占放送・配信する。これに先立ち、ライブレポートが到着した。

 幕開けは1stアルバムの冒頭曲「スーパー・コミュニケーション」。実力者揃いのバンドメンバーが各自の技を発揮するソロ回しの後、全員揃ってのセッションが最高潮を迎えた瞬間、ステージ上の階段最上段に姿を現わした田原。全身黄色の衣装に身を包み、キレのある動きを見せながら歌い踊っていく。階段を下りながらダイナミックなパフォーマンスを見せる「原宿キッス」を1曲目とする「22夏シングルメドレー」は、あまりに豪華な選曲。2曲目「グッドラックLOVE」では哀切を湛えたメロディーを歌い上げ、3曲目「チャールストンにはまだ早い」からは男女2名ずつのダンサーが加わって華やかに群舞。10代当時を彷彿とさせる歌声で驚かせた4曲目「ハッとして!Good」、勢いのあるハイキック健在の5曲目、デビュー曲の「哀愁でいと」。コロナ禍による規制で歓声・シンガロングは禁止されている中、田原がマイクを客席に捧げると「トシちゃ~ん!」という、予め録音済みのファンの声が鳴り響く。デビュー以来毎年欠かすことなくライブ活動を行ない続けてきた、生粋のエンターテイナーらしい演出だった。

 ファンが振るオフィシャルグッズのペンライトは、会場内のみ電飾としてスタッフサイドで色が自在に変化するようにできるシステムを採用。歓声の失われた客席を、鮮やかに彩っていた。MCで田原は「皆、元気ですか?」と呼び掛け、「去年は還暦で皆に盛り上げてもらって。コロナ禍の影響はありながらですけど、マスクして、最後まで気持ち良く突っ走りたいなと思っているので」と挨拶。「マスクをしていても皆かわいいので、迷うな。困っちゃうよ」などとユーモラスに語りながら、「美しい人よ」の曲の世界へとなだらかに移っていく。2人の女性ダンサーと共に、艶めかしいダンスを繰り広げながらグルーヴィ ーに、ファンキーな歌唱を披露すると、最後のポーズに会場からは大拍手が起きた。再び一人になり、後ろ姿からスタートした「どうする?」は、微かな手の動きや足捌きの美しさで魅了。「シンデレラ」は、サックスソロに乗せた激しいダンスが圧巻。シンセサイザーの特徴的なイントロで「悲しみ2ヤング」が始まると、左右から強い光に照らされて歌唱をスタート。ステージの端から端まで、ターンを繰り返しながら移動していく様はダイナミックで美しく、詞曲ダンス全ての表現が融合した忘れられない場面となった。割れんばかりの大拍手の中、田原はひと時ステージから姿を消した。

 神秘的なSEに続き、黒い衣装に着替えて再登場すると、「22夏アルバムメドレー」に突入。「ザ・青春セイリング」が始まるとファンは手拍子でリズムを刻み、田原は大きく両手を広げ、たっぷりとしたマントのようなシルエットの衣装を翻し、力強いヴォーカルを響かせる。

 「Love Storyを抱きしめて」「ミルキーウェイ」「ムーンライト・センセイション」「二ペイジだけのラブ・ストーリー」とテンポよく畳み掛けた5曲は、いわゆるレア曲。MCでは、この5曲がファンクラブのリクエストで選ばれた上位5曲であること、「美しい人よ」は6位だったと解説。還暦ライブも含め、近年のライブではシングル曲の披露が多かったため、趣向を変えて懐かしいアルバムからのメドレーを設けたという。こんなところにも、ライブを常に進化させていこうとする、田原のチャレンジ精神が伺える。

 ダンサーを含めたメンバー紹介では、人柄の伝わるエピソードを田原が言い添えていたのが印象的。高いプロ意識を共有するメンバーたちと、濃密なコミュニケーションを重ねながらステージをつくりあげていく姿勢が垣間見えた。細かいステップを踏みながら華麗に舞い踊った「ごめんよ涙」では、<胸の夕陽が赤いから>という歌詞に合わせて照明が一瞬深紅に。「ジャングルJungle」では、エクトロニックなダンスビートで空気をガラリと変えた。「顔に書いた恋愛小説(ロマンス)」では、バンドメンバーと随所で絡みながらステージを縦横無尽に動き回り、ファンを大いに沸かせる。その後の「愛しすぎて」は、センターに立ち歌唱をしっかりと届けた。かと思えば「Bonita」では黒いハットをかぶり、揺らめく炎を背に、闘牛士のような身のこなしを織り交ぜてパフォーマンス。1曲1曲に物語があり、セットリストの構成も起伏に富んでいて、その音楽性の幅広さに驚かされた。 

 ダンサーのソロコーナーを経て、白いスーツに着替えて登場した田原。「雨が叫んでいる」を切々と物悲しく歌い届けると、代表曲の一つ「抱きしめてTONIGHT」を披露。重力の存在を感じさせない軽やかなムーンウォーク、なめらかなステップ。当時の勢いはそのままに、表現はより深く豊かに変化しており、ベテランエンターテイナーの凄みを感じさせた。曲が終わると、ライトが消えた暗闇の中、微動だにせず最後のポーズをキープ。直後に「Dynamite Survival」を畳み掛け、ジャケットをはだけたり髪を撫でつけたりするアクション、ボクサーのような動きを交えたキレ味鋭いダンスを披露した。

 「今年2022年、「哀愁でいと」でデビューして以来43年目を迎えて、「ロマンティストでいいじゃない」で78作目なんですけど」と語り始めた田原。これまでの歩みを振り返り、「人の言うことを聞く僕ではないので、いろいろここまでの人生、ありましたけど。こうして自分の決めた道で歩んで来られているというのは、ま、僕の才能……(笑)」と笑わせながら、「これからも、田原俊彦らしく。どこまで行けるかも分からないですけど、僕には歌って踊ることしかできないので」と今後に思いを馳せ、ファンに対しては「健康でいてください。僕よりどう見ても健康そうですけど(笑)」と愛あるコメント。WOWOWでの放送・配信が控えていることにハタと気付き、「しゃべりはカットされるかも(笑)」と笑わせた。「これから一年一年、自分自身は若返るつもりで歌って踊って暴れまくりたいと思っている」と決意表明。TikTokやYouTubeのチャンネル開設などSNSでの発信にも積極的で、この日も“拡散祭り”を実施。「ヒマワリ」1曲分を動画撮影OKとし、スマートフォンを一斉に構えるファンに見守られながら優しい声色で歌唱した。とびきりの明るく華やかに「HA-HA-HAPPY」を歌い踊ると、一旦ステージから姿を消して、最後は最新曲の「ロマンティストでいいじゃない」を放った。ハットとステッキを小道具に、タップダンスなども織り交ぜながら、ミラーボールが輝く星空のようなセットでパフォーマンス。下りた幕越しに透けて見える、田原のシルエット。最後の一瞬まで観客を楽しませる、完璧にショーアップされた濃密な本編は瞬く間に終わった。ファンの大きな手拍子に求められ、アンコールではスモークが噴出する中「MOONRISE」を思い切り激しく歌い踊った田原。ジャケットを脱ぎ捨て、やがてステージから降りて客席へ突進、通路を花道のように使ってパフォーマンスで驚かせた。

 1980年代の代表曲から最新曲に至るまで、歌も踊りも演出も、すべてにおいて徹底的に練り上げられた華麗なるエンターテインメントショー。歌手デビューから43年、ライブ活動を毎年積み重ねてきたトップアイドルの凄みをまざまざと見せつけられる、驚異の公演だった。

(取材・文/大前多恵)

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