(左から)五関晃一、戸塚祥太、橋本良亮、河合郁人、塚田僚一(A.B.C-Z)、佐藤アツヒロ
A.B.C-Zがデビューと同時に立ち上げ、今年10周年を迎えた演劇ユニット「ABC座」。ジャニー喜多川氏によって語り継がれた初代ジャニーズの実話をもとに生み出されたミュージカル『ジャニーズ伝説』を、2021年にA.B.C-Zが新演出で描き出した。今年も彼らが、初代ジャニーズや光GENJIといった先輩たちを筆頭とするジャニーズへの愛が溢れる作品を作り上げる。さらに、7 MEN 侍、SpeciaL、少年忍者といったジャニーズJr.たち、レジェンド・佐藤アツヒロも昨年に引き続き出演。
今回は二幕構成が復活し、第一幕では光GENJIの伝説的エピソードや新曲を含めた新たな物語が紡がれる。第二幕のスペシャルメドレーでは、初代ジャニーズからA.B.C-Z、世界デビューを果たしたTravis JapanやジャニーズJr.のナンバーまで、多彩なグループのナンバー36曲をノンストップで披露! さらに、光GENJIコーナーの構成も一新される。
12月5日にスタートするABC座10th Anniversary『ジャニーズ伝説2022 at Imperial Theatre』に先駆け、ゲネプロとA.B.C-Z&佐藤アツヒロによる会見が行われた。
※会見、ゲネプロレポートともにセットリストのネタバレを含みます。
ーー10周年となる本作ですか、今年はどんなステージにしようと思っているか教えてください。
河合郁人:僕らはABC座と共にデビューしたのでもちろん思い入れもありますが、基本は今までと同じく、ジャニーズの素晴らしさを伝えていく感じです。新演出の目玉はやっぱり光GENJIじゃないでしょうか。
佐藤アツヒロ:1週間前に(コロナによる療養から)復帰し、しっかり準備して今日を迎えられました。稽古中はみんなから一日一通のお手紙もいただいてね。
河合:え?
塚田僚一:気持ちのお手紙ってことですよね。
佐藤:そう! もらった気持ちで(笑)。
河合:伝わってる人いた(笑)。アツヒロさんもJr.のメンバーも2年連続で出てくれて、まるっと同じメンツでできるのは中々ないと思うので本当に幸せですね。
ーー今回、二幕で披露するジャニーズメドレーは全36曲とのことですが。
塚田:選曲は河合が。
河合:僕の趣味で選んでいるので、大丈夫か毎回不安です。でも、ここでしか見られないジャニーズメドレーが完成していると思います。SnowManやKing & Princeの曲は「踊りがかっこいい楽曲をA.B.C-Zがやったらどうなるだろう」と選びましたが、難しくてまだものにできていないですね。
ーーちなみに、ものにできていないメンバーとは。
塚田:多分、河合が(笑)。
河合:どうしてもうまくいかなくて。
橋本良亮:いやいや、かっこよかったですよ。むちゃくちゃかっこいいです。リハーサルとかもその時だけ普段被らないフードを被ってスイッチ入れてて(笑)。
ーージャニーズの歴史ある曲36ものメドレーですが、改めて曲についてどう感じますか?
五関晃一:毎年違う曲をやっても、知らない曲がないのがすごいですよね。僕らが世代的に先輩のバックについていたから知っている曲だけでなく、その後の曲も知っているのは改めてすごいことだと思います。
戸塚祥太:同じことを言いますが、ヒット曲しかない。どの世代にも、誰もが口ずさめる曲がありますよね。ジャニーさんと、一緒に作り上げたメンバーやアーティストの方々へのリスペクトを込めてパフォーマンスしたいです。
橋本:1曲1曲、耳に残るし自然とノれるし、素晴らしい曲ばかりですよね。でも実は、二幕で披露する「忍者」の曲は知りませんでした。
河合:実は僕らはもちろんアツヒロさんも知らなかった。でもパフォーマンスがかっこよかったので今回入れたくて。
佐藤:僕もタイトルは知らなかった。でも聞いたら分かったよ!
河合:改めて、かっこいい曲がたくさんありますし、ジャニーズの中でもグループごとにいろんなカテゴリがある。それを存分に活かしてメドレーを作りました。
塚田:その中でもやっぱり印象的なのは光GENJIメドレーですね。あとはバンドをやるグループのパフォーマンスを7 MEN 侍が演奏してくれたり。ロックな感じは今回の新要素かなと思います。
ーー光GENJIメドレーについて話が出ましたが、アツヒロさん的には選曲・演出いかがでしょう。
佐藤:いいと思います! 選曲はみんなで意見を出し合いながら決めました。「勇気100%」ではなく、あえてカップリングに収録されている歌詞違いの「微笑みをあずけて」にしてほしいと言われて。また、「STAR LIGHT」と「ガラスの十代」は振り起こしをしてオリジナルのダンスでやっています。「ガラスの十代」の間奏とサビではA.B.C-Zも一緒にやってくれます。
ーーJr.のみんなについてはどうですか?
河合:みんなのポテンシャルは知っていますが、1年ですごく成長しますし、技術力も上がっていくので頼もしいです。彼らがこれからどう進化し、デビューしていくのか楽しみですね。
ーー最後に、意気込みをお願いします。
橋本:ABC座もA.B.C-Zも10周年です。天国のジャニーさんが「10周年おめでとう」と言ってくれるような舞台にしたいと思います。最後まで気を抜かず頑張るので、皆さん応援のほどよろしくお願いします!
野球チームの監督だったジャニー喜多川と出会い、彼の勧めで観た『ウエストサイド・ストーリー』に魅了されてエンターテインメントの世界を志した少年たち。若者の夢に寄り添い、アイデアと人脈を活かして多くのチャンスを用意するジャニー氏のもと、彼らは知名度と人気を不動のものにしていく。
順調に日本の芸能界の頂点へと上り詰めた初代ジャニーズは、さらなる成長を求めてアメリカへと渡る。多くのアーティストと出会い、伝説的なエンターテイナーからも実力を認められて、ついに全米デビューの夢を掴もうとしていた。
そんな中、日本のテレビ局から帰国を要請される。
全米デビューのチャンスを逃したくない初代ジャニーズと、万が一全米デビューが失敗した際、日本にもアメリカにも居場所がなくなるかもしれないと危惧するジャニー氏。悩んだ末、またアメリカに戻ることを決めて一時帰国するが――。
ゲネプロレポート
物語は、7 MEN 侍のメンバーたちが「社長」に出会い、「ジャニーズ」の誕生秘話や彼らの挑戦の物語を聞き、社長の想いを受け継ぐというスタイルで進んでいく。二幕だけでなく一幕でもローラースケートによるパフォーマンスが盛り込まれるなど、初代ジャニーズが切り拓いた道に加えて光GENJIが作った伝説も紹介。長年に渡ってさまざまな挑戦をし、驚きや新たなスタンダードを次々に生み出してきたジャニーズの底力を感じさせる物語に変化した。
ABC座10th Anniversary『ジャニーズ伝説2022 at Imperial Theatre』舞台写真
キャストが昨年から続投ということもあり、カンパニーに余裕が生まれ、洗練されたように感じる今作。初代ジャニーズを演じる橋本・河合・五関・塚田が彼らの情熱、それぞれの個性を分かりやすく見せ、物語の本筋をきちんと形作る。そこにジャニー氏を演じる戸塚と佐藤が彼らを見守る大人としての落ち着きとコミカルな要素をプラス。戸塚の芝居を受け、キャスト陣が「ジャニーさんそういうとこあるからな」と呆れつつ納得するシーンなど、あたたかい絆を感じさせるやりとりも。
現代と当時を行き来し、ジャニー氏の想いやメッセージを伝える7 MEN 侍の芝居にもいい意味で遊びが増えていると感じた。また、SpeciaLや少年忍者もキレのあるダンスや様々なキャラクターで物語を彩っている。全力のパフォーマンスだけでなく、ふっと力を抜く部分もあることで緩急がしっかりついている。
ABC座10th Anniversary『ジャニーズ伝説2022 at Imperial Theatre』舞台写真
また、ジャニーズが誕生するきっかけとなった『ウエストサイド物語』の映画のシーンには、全員参加の新ナンバー「Make my destiny」が加わった。A.B.C-Zと佐藤がJr.のメンバーと共にそれぞれの強みや個性を活かしたパフォーマンスを競うように繰り広げる様子が、『ウエストサイド物語』で対立する2つのチームにオーバーラップするドラマチックなナンバーに仕上がっている。
ABC座10th Anniversary『ジャニーズ伝説2022 at Imperial Theatre』舞台写真
第二幕は28組のナンバー36曲がノンストップで披露される。
まずはA.B.C-Zの「Za ABC〜5Stars〜」で幕をあけ、ABC座とも縁の深い「夢のHollywood(TravisJapan)」、会見で隠れた名曲として話題に登った「秘・美・子(忍者)」など、新旧様々なナンバーを次々に披露。しっとり聴かせたり、かと思うとユーモラスな演出がついたり、バチッと決まったダンスで魅せたりと、曲ごとに色を変えるパフォーマンスに魅了された。アクロバットや7 MEN 侍による生演奏もあり、あっという間に時間が過ぎていく。
光GENJIコーナーは「STAR LIGHT」、「微笑みをあずけて」「ガラスの十代」の3曲をメドレーに。ローラースケートによるステージを広く使ったパフォーマンス、佐藤の歌声を堪能できる胸に沁みるバラード、全員での華やかなショーなど、第一幕で語られた光GENJIの伝説を思い起こさせるステージが繰り広げられる。
ジャニーズJr.メドレーでは少年忍者、SpeciaL、7 MEN 侍がそれぞれのナンバーで魅力を発揮。会見で河合が話していた通り、頼もしさを感じさせるパフォーマンスを見せてくれた。
続くA.B.C-Zメドレーでは舞台機構「5STAR」を使用したアクロバットもたっぷり魅せ、彼らの強みと積み重ねてきた歴史に想いを馳せたところで、ラストは堂本剛による作詞・作曲の「You…」によって締め括られた。
新演出や新ナンバー、2019年ぶりとなる二部構成により、これまでに本作を観たことがある方も新鮮に楽しめるのではないだろうかと思われる『ジャニーズ伝説』。本作は12月5日(月)より22日(木)まで、帝国劇場にて上演される。
取材・文・撮影=吉田沙奈
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