広告・取材掲載

[Alexandros]「But wait. Arena? Supported by Panasonic」最終公演オフィシャルライブレポート、代々木に歓声とシンガロングが帰ってきた圧巻の一夜

アーティスト

12月7日初日 撮影:河本悠貴

アルバム「But wait. Cats?」を引っ提げて7月から続いてきたツアー。その締めくくりとなるアリーナ編「But wait. Arena? Supported by Panasonic」は愛知・ポートメッセなごや、大阪・大阪城ホールと巡り、ついに東京に辿り着いた。ファイナルは国立代々木競技場第一体育館での2デイズだ。11月4日に音楽コンサートにおける新型コロナウイルス感染予防対策のガイドラインが改定されたことを受け、東京の2日間は観客の声出しが条件付きでOKに。ようやくロックバンドのライブに歓声とシンガロングが帰ってきたのだ。そんな「追い風」を受け、[Alexandros]の本領が思い切り発揮されたツアーファイナル、ここでは2日目、つまり正真正銘の最終公演の模様をレポートする。最高で最強のロックショー、そして[Alexandros]にはやっぱりみんなの「声」が必要だということを実感する、圧巻の一夜だった。

各地の映像をつなぎ合わせツアーを振り返るオープニングムービーに続き、カウントダウンとともにおなじみ“Burger Queen”が流れ出す。その音が突如乱れたかと思うと、「But wait. Cats?」の幕開けを飾る“Aleatoric”が鳴り響く。川上洋平が叫ぶ。「トーキョー!」――強烈なインパクトとともにスタートしたライブは、いきなり“Adventure”で最初のハイライトを迎えた。何も言わずとも、この曲をここに持ってくるということは「歌え」ということだ。客席に向けてマイクを掲げる川上。久しぶりに感じる[Alexandros]のライブの一体感。その空気に背中を押されるように、バンドの演奏もどんどん熱を高めていく。リアド偉武がイントロのビートを叩き出した瞬間から歓声が上がり、川上に加えて磯部寛之と白井眞輝もさらに客席を煽って熱い一体感を生み出した“Waitress, Waitress!”、そして「(サッカー)日本代表に捧げます!」という川上の叫びとともに始まったサッカーアニメ「アオアシ」の主題歌“無心拍数”……縦横無尽に繰り出される楽曲が、高揚感をどこまでも突き上げる。「最高の夜になってます!」と川上。リアドの叩くドラムにのせて「我々の先輩の曲をやってもいいですか?」とおもむろにセッションを始める。AC/DC“Back in Black”、レニー・クラヴィッツ“Rock’n’Roll Is Dead”、そしてガンズ・アンド・ローゼズ“Paradise City”。彼らのルーツを辿るような貴重なセッション。アンガス・ヤングからレニー、そしてスラッシュと、次々と名ギタリストを憑依させながら弾き倒す白井はどこまでも楽しそうだ。

「あまりにも素敵な夜だから」では曲の途中で「もっと近づいてもいいですか?」という川上の言葉を合図にリアドも含めた4人全員がオーディエンスの手拍子に合わせて演奏しながら花道の先のセンターステージに移動。曲を終えると川上は「東京、ただいま! 声を出せるようになったみなさん、おかえり!」と挨拶し、大きな拍手を受けた。かと思いきや帰す刀で「サボってるんじゃねえぞ! 我々にラクさせてください」と言ってのけるところが彼らしい。磯部も「めっちゃ気持ちいいわ!」と嬉しそうだ。その後この季節にふさわしく“SNOW SOUND”を披露すると、「バラードやっていいですか?」と言いつつ“Kick&Spin”に突入。白井のフライングVが火を噴き、当然のように客席からも大合唱が巻き起こった。

その後も息をもつかせぬ勢いでライブは展開していく。巨大な猫が光線を吐いて街を破壊する映像とともに繰り出された“kaiju”、磯部とリアドの濃密なセッションから始まった“Wanna Get Out”。まるで燃え盛る炎にガソリンを注ぐように、強烈なパフォーマンスが繰り広げられ、“Claw”でも大きなシンガロングが客席から鳴り響く。一転して “Waterdrop”で空気を変えると、レコードがぐるぐると回転する映像とともに“日々、織々”へ。レコードだと思っていたらじつはドラム式の洗濯機(いうまでもなくこの曲はパナソニック、花王アタックとのコラボレーションによる「#センタク」プロジェクトのテーマソングだ)になっているというユーモアには思わずニヤリとしてしまった。そして「出だしから歌ってほしい」と川上がギターを弾き出す。“Rock The World”だ。もちろんオーディエンスはこの曲もマスター済み。のっけから大きな歌声が巻き起こり、川上も「愛してるぜ、東京!」と笑顔を見せた。

そこからライブは一気にクライマックスへと舵を切っていく。川上がドラム台に上がってリアドと呼吸を合わせながらスタートした“ムーンソング”を皮切りに、“明日、また”、そして「暴れるお時間です!」という川上の言葉とともに“Girl A”へ。ノンストップで畳み掛けるなか、川上を先頭に磯部、白井、そしてドラムセットにどっしりと構えたリアドと、花道を貫いて4人が一直線に並ぶロックバンドではあまり見ないフォーメーションに変化すると、そのまま“we are still kids & stray cats”に突入。川上は床に這いつくばるようにして全力で歌っている。ステージから放射されたレーザー光線が上下に揺れるのに合わせてオーディエンスがジャンプ。その光景を見届けた川上が胸を張った。「俺たちが世界最高のロックバンド、[Alexandros]です!」。その「俺たち」にはきっと、この会場に集まった大勢のファンも含まれているのかもしれない。そうした思いがあるからこそ、続けて川上の弾くアコースティックギターから始まり、スクリーンに歌詞を映し出しながら演奏された“Your Song”が一層エモーショナルに響いたのだろう。

ツアーの軌跡を辿るように写真が次々と映し出された“awkward”を経て、いよいよ本編最後の曲。「みんなと一緒に歌うために作った」という、現体制最初の曲“閃光”だ。鋭いロックサウンドとビッグなメロディ。まるでこの日のためにあったような曲だ。川上がスタンドマイクを高く掲げて「歌え」と客席にメッセージを送ると、「オーオーオー」と最高のコーラスが会場中から生まれ、鮮やかなフィナーレを彩った。その後アンコールでセンターステージに登場した4人は客席中でスマホライトが煌めく中“空と青”を披露。磯部、白井、リアドの3人がメインステージに戻る中、川上ひとり残ってアコースティックギターを爪弾き出す。この第一体育館のある代々木公園で路上ライブを行なっていた時代を振り返り、今こうして満員の観客の前でライブができている喜びを口にする。そして“Philosophy”を演奏してメインステージに戻ると、ここで投下されたのが“ワタリドリ”だ。待ってましたとばかりに会場中から声が上がる。演奏している4人も充実した表情だ。磯部は「帰れないでしょ、まだ。全員終電無くなっても知らねえからな!」と笑顔。その勢いのまま繰り出された“Starrrrrrr”は間違いなくこの日の最高潮だった。ここまで20曲以上プレイしてきてこのパワー。やはりとんでもないバンドである。そしてこの日は舞台袖で一緒に演奏していたサポートメンバーのROSÉとMULLONを紹介すると、本当に最後の曲“untitled”を名残惜しげに披露。最高の一体感でライブの幕を閉じた。

また、この模様はWOWOWオンデマンドにて12月12日までアーカイブ配信される。

文:小川智宏

「But wait. Arena? 2022 supported by Panasonic」12月8日 セットリスト

01Aleatoric
02Adventure
03 Baby’s Alright
04Waitress, Waitress!
05無心拍数
06クラッシュ
07あまりにも素敵な夜だから
08SNOW SOUND
09Kick&Spin
10どーでもいいから
11kaiju
12Wanna Get Out
13Claw
14Waterdrop
15日々、織々
16Rock The World
17ムーンソング
18明日、また
19Girl A
20we are still kids & stray cats
21Your Song
22awkward
23閃光
En1空と青
En2Philosophy
En3ワタリドリ
En4Starrrrrrr
En5untitled

関連タグ