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小林愛香 惑星直列を意味する“syzygy”を冠したライブツアー&1st EPに込めた「みんな」へのまっすぐな想い

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SPICE

小林愛香

小林愛香

2020年2月ぶりに、声優・小林愛香がSPiCEにインタビューで登場! 10月から12月まで全国12箇所を回るライブツアー『“syzygy”』を開催、そして2023年4月にはZeppツアーが決定している彼女に、ライブへの臨み方やファンとの向き合い方について、そして12月にリリースする1st EP『syzygy』についても、「惑星直列」を意味するタイトルがついたいきさつや楽曲制作の裏話、歌に込めた思いなどじっくり語ってもらった。

※このインタビューは11月15日に収録しました。


■「みんなのことを考えてくれる方々に応援されてすごく嬉しい」

――ただいま全国ツアー“syzygy”真っ只中。12公演中7公演が終わり(現在は全公演終了)、全公演ソールドアウトという大盛況ですが、手応えはいかがですか?

本当に、自分ひとりだけでステージに立って多くの曲数を歌わせていただくということが今までなかなかなかったので、自分の中では不安に思うこともあったんですけど、ステージに立ったら「楽しい」しか出てこなくって。とにかく皆さんと同じ空間で同じ音楽で一緒に同じ気持ちになれたり、同じタイミングでジャンプしたり。すごく音楽の中で遊んでいる感じが本当に楽しくって。毎回、公演を重ねていくごとに皆さんとの距離もどんどん縮まっていく感じもあって。(ライブハウスツアーということで)距離はもちろん近いし、いつも遠い感じがしているわけでもないんですけど、心の距離もすごく縮まったような気がしていて、これからももっともっと近づいていくのかなと思っていますし、ワクワクしています。

――豊洲Pitとか、かなり大きな会場で歌われることも多いですよね。

でも、すごくライブハウスっていう場所自体も新鮮だったし、そこで皆さんと踊ったりとか、皆さんがクラップしてくれたりとか、一体感をより強く感じることができて、私も一緒になってずっとピョンピョン飛んじゃってます。

――12会場ってけっこういろいろなところを回られますよね。これまでの7箇所で印象に残っているところはありますか?

そうですね……どこもすごく印象には残っているんですけど、いちばん最初の大阪公演は、大阪の皆さんの温かさも感じましたし、盛り上がりがとくに大きいイメージがあって。皆さん本当に、会場によってだんだん盛り上がってくるとか、MCのときに拍手してくれたりとか、いろいろな土地によって違って。その地域の方が遊びに来てくれているのを感じるような。皆さんの盛り上がり方が場所によってぜんぜん違くて。大阪が最初ということもあったと思うんですけど、皆さんが盛り上がってくださっていてすごく嬉しかったです。

――いいツアーのスタートが切れたんですね。

あとは、宮城公演では私の誕生日当日にライブをさせていただいたんですけど、ケーキが出てきた時に最前列の方がしゃがんでくれて。だんだん前の方からしゃがんでいって、後ろの方にもケーキが見えるようにしようっていう温かいムーブが起こったんです。なんだこれ!? と思って、その温かい気持ちに泣きそうになってしまって。一人一人が、隣の方や後ろの方っていうみんなのことを考えてくれる方々に応援されてすごく嬉しいなという気持ちがありました。

――これまでライブのMCとかでお客さんが座るようなことはなかったんですか?

今回、(東京公演以外は)座席がないオールスタンディングだったので。立っているだけでもギュウギュウなところで、椅子がないのに座るっていう発想がなくて。少しでも後ろの方が見えるようにとしゃがんでいるのを見て、すごく温かくて。皆さんが「自分が楽しい」よりも「みんなと楽しみたい」っていうことをすごく考えてくれているんだなと思って嬉しい気持ちになりましたし、私もそういう心を大事にしたいなと思いました。

――そういう優しさもありつつ、ライブ慣れもしていそうな方たちですね(笑)。

私もそう思います(笑)。

■「無重力タイム」で感じた“命の息吹”“生命の神秘”

――12月までツアーは続きますが、この後の公演で楽しみにしていることはありますか?

今回、クラップであったり少し踊ったりしながら見てもらうことはできるんですけど、ツアーで12箇所も回らせていただくということで、その場所ならではの思い出ができたら良いなと思っていて。(ツアー2公演目の)埼玉からスタートしたんですけど、ライブ中にご当地のポーズをする「無重力タイム」というのをやっています。大阪ではみんなで自由に動いてもらうという形だったんですけど、埼玉では「ねぎねぎの惑星」と呼んでネギっぽいポーズをしてもらって縦にゆらゆらしてもらったのが始まりで(笑)。

――発想が独特でいいですね。ステージから見える景色も面白そうで。

すごく面白くて、一体感も生まれたんです(笑)。「いいじゃんこれ!」と思って、そこから無重力タイムのポーズを会場ごとに変えるようになりました。ついこの間の神戸公演では「うしうしの惑星」と呼んでいたので、牛のポーズをしてもらって上下に揺れてもらいました。ムービーで撮ってもらっているんですけど、前から見ると迫り来る牛みたいな感じで夢に出てきそうなくらい面白くて(笑)。

撮影:キシノユイ

撮影:キシノユイ

――ネギや牛で一体感を得るって新鮮だし、すごく楽しそうです。

みんなもノリノリでやってくれるのが、温かい雰囲気ですごく嬉しいなと思っています。一つひとつ、私の思いつきもあるんですけど、みんなで作り上げる楽しみというか。その場所でしか経験できないことがこれからもあるのかなと思って、すごくワクワクしています。

――前のツアーでは会場ごとに違ったウェーブをやっていたそうですが、そういうのを考えるのも楽しみながら。

はい。「こういうことをやろうかな」というのは考えているんですけど、その場所で変化をつけるのはステージに立ってから思いついたりするので、皆さんからの温かいパワーをもらって、すぐにひらいめいて。「一緒にやってみよう」と言ったらすぐにやってくれるみんながいるからできていることだなと思うのですごくありがたいです。これからも、みんなと一緒にいろんなことができるのかなと思って考えておきたいなと思っています。

――そういうアイデアがパッと浮かぶのはすごいですね。

愛知公演の“しゃちほこ”もすごく面白くて。両腕を上げてエビみたいな形を作って。命の息吹を感じたんですよ。生命の神秘みたいなものを感じてすごかったです。そうやって、おもしろポイントがひとつひとつあるんですけど、そのポーズはファンの方の発案で、ライブ中に見せてくれたのがきっかけで決まったので。皆さんからのアイデアも随時募集しています(笑)。

■「『みんなの中のあなたに歌っているんだよ』ということが届いてほしい」

――そんな「無重力タイム」のあるライブツアーですが、公演名の「syzygy」が惑星直列という意味だったり「宇宙にも届くようなまっすぐな想いで届けたいという気持ち」がこめられているという、すごくスケールの大きさを感じますよね。

今回、「MI-RA-I miracle circle」がTVアニメ『宇宙なんちゃら こてつくん』の主題歌ということもあって、それで宇宙関係の素敵なワードがあればつけたいなという考えがあって。いろいろ調べていった結果、「syzygy」って文字の並び的にもすごくかわいくて。これ、なんて読むんだ? って1回引っかかるような感じなんですけど、意味合い的にも「惑星直列」で、歌詞にも「一直線」というワードが出てきて。こてつくんも真っ直ぐなところがあるので、私のなかでも一直線につながる部分があって(笑)。もう、これしかないでしょ? と思って提案しました。そう考えると、いろいろな曲があるなかで、それがすべて小林愛香の歌としてまっすぐにつながっていることによって、まっすぐ皆さんにも届くんじゃないかなと思ったので。

――ものすごくうまくピースがハマった感じですね。

『Gradation Collection』というアルバムでも、自分の中のワードを思い返してタイトルを付けさせていただいたんですけど。文字的にかわいいからそれに決めたり、そういうひらめきみたいなものは“あいきゃんチーム”の皆さんにすぐ共有して、受け入れてくれて。いつも取り入れてくれてありがたいなと思っていますし、一緒に作っているので、そういうところも皆さんに届けられたら嬉しいなと思っています。

撮影:キシノユイ

撮影:キシノユイ

――そんな「syzygy」というタイトルを冠した1st EPがリリースされます。「Gimme the mic, gimme the light」のような重めの曲で振り幅を出されていたり、クリスマスソングのなかでもライブを意識したようなフレーズがあったり、全体的におしゃれでポップな感じのなかでライブで歌うことを念頭に作られているのかなと感じました。この5曲はどういう作り方をされていたんですか?

最初から、どういう曲にしようかを打ち合わせで大まかに決めていました。クールめな曲がほしいということは思っていたのでお伝えして、それが「Gimme the mic, gimme the light」になりました。本当は、みんなを応援するような曲ができたら良いよねっていう話から「Holiday!!」ができあがっていて、あとは、「いつかクリスマスソングもほしいよね」という話をしていたので「HO! HO! HO!」、いつかほしい曲ということで「Happy ∞ Birthday」にもつながっていきました。

――そういう流れで、このバラエティに富んだラインナップになったんですね。季節的にもちょうどいいですよね。

クリスマスソングは、最初はバラードを予定していたんですけど、作っていただいた曲のなかでバラードでどういう気持ちを届けようかなというところで。私にとっては、冬って楽しい季節で。パーティーとかサンタさんとか、ウキウキするようなイメージが強くて。だから、切ない思いを届けるというよりは、今回は楽しい方向にしたいなと思って、サンタさんの笑い声をイメージして「HO! HO! HO!」という明るく楽しい曲ができあがりました。あと、私はよく「皆さんと一緒に」とか「みんな」という言葉をよく使うんですよ。

――今回お話を聞いていて、たしかにそういう意識をすごく感じます。

その「みんな」のなかの一人ひとりにスポットライトを当てるような曲にしたい、ライブで「みんなで盛り上がりたい」というのは本当に思っているんですけど、その「みんなの中のあなたに歌っているんだよ」ということが届いてほしいなと思いながら、制作していきました。

――一人ひとりの「あなた」が集まっての「みんな」というか。

「みんな」を具現化したいというか。

――「HO! HO! HO!」を初めて聴いたとき、シチューのCMが合いそうな曲だなという印象があったんですね。

ああー、たしかに。チキンのCMとかじゃなくて(笑)。全部、ライブは意識をしているので、この曲に関してもみんなで手振りなどができるようにとか。「Happy ∞ Birthday」も掛け声みたいなところがあって。そこは“いつか”のために作ってもらったような部分もあるので。声が出せなくてもみんなで盛り上がれるような仕上がりにはなっていると思うので、今後が楽しみになる曲たちになっています。

■声が出せても出せなくても「皆さんとの楽しい時間に変わりはない」

――その“いつか”……声を出して盛り上がれるようなときが近づいてきていそうな感触はあったりしますか?

そうですね……先日、声出しOKのフェスに出させてもらったときに、「近づいているな」というのは。着々とみんなで前に進めているのかなということは感じています。ただ、私的にはツアーを回らせていただいているなかで、声が出せなくてもこんなに楽しめているんだから今は今でぜんぜんアリなんじゃないかという気持ちもあって。でも、そのフェスでみんなの声を聴いてしまうと、すごく素敵なことだよな、一人ひとりの声が恋しいなと思いながらステージに立つ部分もあります。ステージに立ち続けていれば、いつかはみんなが声を出したりすることもできると思うので、私はそれを信じるしかないなと思っています。

撮影:キシノユイ

撮影:キシノユイ

――デビューの時期とコロナ禍が重なってしまっていることもあって、いろいろな制限があるなかで活動されていますよね。

「NO LIFE CODE」でデビューしたとき、リリースイベントの日に新型コロナウイルス感染症対策本部が開かれて、1日でも遅れていたら皆さんとのイベントができていなかったんです。ただ、そのときに想像していたコロナ禍とはちょっとまた違うというか。制限はいろいろされているけれども、ライブができたりとか1個ずつどんどん進んで来ている感覚はあって。止まってはいないんだなというのは毎回感じています。

――力強いですね。歌いたいという気持ちも萎えることなく。

なく。皆さんとの楽しい時間に変わりはないんだなと思いました。

――「HO! HO! HO!」のタイトルは小林さんの発案ということですが、ほかの曲でも小林さん発のアイデアが採用されたものだと、どういったところがありますか?

そうですね、誕生日ってお祝いされて「ありがとう、私が主役」の日ではないと思っていて。“あいきゃんチーム”に、私はお母さんや周りの人にありがとうを伝える日だと思っているという話をしていて。「Happy ∞ Birthday」はそこから生まれた曲でもあります。一人が特別ではあるけど、特別な日だからこそみんなに感謝を伝えたりとか、みんながハッピーになれる日になればいいなという思いが込められているので。自分の誕生日じゃなくても、温かい嬉しい気持ちになれるということに気づける曲になればいいなということはすごく意識して作っていただきました。プレゼントを選ぶ時間が素敵だなと思っていて、誰かのことを考えながら選ぶ、その行為自体がすごく幸せな時間で、かけがえのないプレゼントだなと思うので。喜んでほしいという気持ちはもちろんあるんですけど、喜んでもらうことがすべてじゃなくて。喜んでもらえなかったらダメなのかとか、そういうことも考えながら言い回しはすごく気をつけて意見を出させていただきました。

――もちろん小林さんの誕生日があるから、このタイミングでできた歌だとは思うんですけど、祝われるだけじゃなくて祝う側になったときのことも盛り込んでいたり。

曲のなかで、自分がこう考えたことはないなという言葉は歌っていないので。そういうことは一つひとつ確認させていただきながら。全部納得いく形で作っています。

■「MI-RA-I miracle circle」で生きた保育の学校での経験

――「MI-RA-I miracle circle」についてもお聞かせください。プロデューサーの田代智一さんも所属しているQ-MHzからの楽曲提供、これまでにもいくつかされていますが、ほかのメンバーの方とはどのようなやり取りがありましたか?

そうですね、『宇宙なんちゃら こてつくん』の主題歌はオシャレに、子ども番組っぽくないほうがいいということだったので、聴いてわかるようなオシャレ感というか。これまでもお世話になっている佐伯YouthKさんが編曲を担当してくださったからこその、いつものQ-MHzさんとは違うようなスパイスが入っていて。そこで化学反応みたいなものが起きて、すごく馴染みました。オシャレなんだけど揺らいだオシャレ感じゃなくてまっすぐなオシャレ感というか。歌い方もまっすぐを意識して、無感情ではないんですけど声に色をあまりつけすぎないようにして、そこから想像が膨らんでいくような形にしたいなと思ってレコーディングしました。

――「惑星直列」につながる「まっすぐ」という言葉は、そういうところにも関わっていたんですね。

はい。私は、保育士の免許も持っていて、読み聞かせもあまり声に色をつけすぎると子どもたちの想像力が育たないと言われたりするんですけど。そういうイメージで歌っていましたね。

――ここで保育士の資格の話が出てくるとは思いませんでした(笑)。

保育の学校に通っていたときにその話を聞いたんです。声に表情を出して抑揚をつけたり、キャラに合わせて声を変えたりしすぎると、そのイメージにとらわれちゃって想像力が育たないと教えてもらって。たしかに、固定観念みたいなものが生まれてしまうんだなと思って、そういうことも取り入れつつ。今回は、小さい子どもも、そのご家族も観てくださる機会をいただけたなと思って、すごく嬉しかったですし。保育士学校に通っていたときの友だちからいきなり連絡が来たりとか(笑)。「これ歌ってるの!?」って。すごくいろいろな方が観て、聴いていただけているんだなとすごく嬉しいですね。

――作品を通じて、いろいろなところに届いているんですね。

土曜日の朝に再放送されていたりするんですけど、「あいきゃんEテレのアニメの曲歌ってるんだ」ってビックリツイートが毎週のように流れてくるんですけど(笑)。知らなかった人が見てくれるのも土曜日の朝で、これまでと違った皆さんに観ていただける時間帯でもあるんだなと思っています。

■ファンとの関係は「引っ張っていくというよりは、横一線で歩いていこうという感覚」

――SPiCEには、2020.2.25掲載のインタビュー以来2度目の登場ということで、約2年9カ月のお話もお聞きしていきたいなと。先程も少しお話が出たように、デビューと新型コロナウイルスの感染拡大が重なり有観客のライブができない期間もあったりと、スタートはなかなかもどかしいものがあったのではないかなと思うのですが、いかがでしたか?

そうですね。自分が歌う意味とか、いろいろ考えちゃったりもしたんですけど、こういうときだからこそ寄り添える音楽を届けるのはすごく今の活動をしているなかでも大事なことだなと思ったので。前を向いて頑張り続ければいつか皆さんと一緒に届けられる機会はいっぱいあるんじゃないかなということで、あまり考えすぎないように心がけながら過ごしているところです。

――2021年は6月に1stアルバム発売とライブツアーもあり、この頃から活動も本格化したのかなと。

やっぱりコロナ禍入りたての頃は、皆さんとつながる場所を持つことがなかなかできなかったんですよね。わからないことっていうのがいちばん怖いじゃないですか? ウィルスに対してどういう接し方をすればいいのか皆がわかっていなくて、みんなが大変な時期で。そういう時期もあるけど、そこばっかりを見るのではなくて、いまこうしてライブという繋がる場所が作れることが嬉しいし、未来に向かっての一つひとつの歩みみたいなものになっていくんじゃないかなと思っていて。だから、これからのライブを大事にしていきたいなと思っているし、それは声が出せるとか出せないとかは関係なしに、みんなも私も前に進んでいける場所がほしいなと感じています。

――広い視点で見て、前に進んでいることを確認しながらと。

そうですね。みんながみんな同じ状況なので。考えすぎて「ああ……」となってしまうのはやっぱり……。みんなと一緒に居られることが何よりうれしいし、生きてるだけでみんな偉いなと(笑)。元気にいてくれさえすれば未来はあるし、急がないようにしたいですね。

――「みんなが大変」というなかでも、小林さんは多くのファンを励ます、励ませる立場にいらっしゃるじゃないですか。そういう立場のプレッシャーに疲れてしまうようなことはありましたか?

疲れそうになったらみんなが支えてくれるような気がしていて。だから、そんなにありませんでした。私も悩むことはあるんですけど、そこまで深く捉えすぎずに、今を思い切り楽しむようにできたら嬉しいなと。自分の性格的にそう思ってしまうので(笑)。だから、元気づけたい、背中を押したいという気持ちもあるんですけど、基本的にみんなと一緒に、隣にいたいと思っているんです。だから、引っ張っていくというよりは、横一線で歩いていこうという感覚です。

――支えるというより、支え合うと。

そうですね。そのほうが私に合っているのかなと。

撮影:キシノユイ

撮影:キシノユイ

――なるほど、ありがとうございます。1stシングル以降、アルバムやシングルなど多くの曲をリリースされてきて、お気に入りの楽曲や印象に印象に残っているフレーズなどはありますか?

『Gradation Collection』に収録されている曲なんですけど、「Night Camp」という曲があって。ツアーで歌うと心が揺さぶられるというか。みんなで盛り上がるだけじゃなくて、静かに火を見つめているというか。キャンプファイアーの曲なので、みんなでひとつの火を囲んで、隣にみんながいて。間奏ではみんなで拳を上げたりするところがあるんですけど、なんでか分からないんですけど未来を感じる、未来が楽しみになるようなところがあって。すごく気持ちを揺さぶられる曲なんだなと、今回のツアー中に感じました。ライブを重ねるごとに意味が生まれてくる楽曲だなと思いました。私の曲は全部ライブを意識して作られているので、一つひとつの楽曲で「ここはこうやりたい!」ということがライブをしていると生まれてきて。逆に、歌うだけで勇気づけられている自分がいます。

――イメージが具現化した喜びや感動もあるし、自分のイメージを超えてくるものもあると。

はい。超えてきたし、それはみんなとだから作れたものだと思っていますね。全部そうなんですけど、未来でみんなと声を出して盛り上がれたらいいなという部分はあるんです。「Please! Please! Please!」という楽曲も、今ツアー中では「声を上げろ」という歌詞を「拳上げろ」と言い換えて歌っているので、いつかは「声を上げろ」でみんなでワーッ! とできたら嬉しいなと思って。この曲は、簡単なことだけ示し合わせてみんなと一緒に旅を続けよう、一緒に旅を続ける仲間としてこれからも楽しんでいこうよという曲なので。未来を感じるというか、ライブで歌っているときだけじゃなくて、家に帰ってから聴いてもすごくワクワクする気持ちになれます。

■今後の活動は「肩書にとらわれずにいろいろなことをやりたい」

――未来という言葉がでましたが、来年4月から『Zepp TOUR 2023 “syzygy”』の開催が発表されています。こちらに向けて

今はライブハウスを回らせていただいて、規模的には大きくなるツアーだと思うので、Zeppで作り上げるみんなとの雰囲気だったりとか、コミュニケーションだったりとか。また違う景色や世界が待っていると思うので、そこに向けて。私はこの2022年の“syzygy”ツアーを経て、一回り、二回りでも成長した自分でZeppのツアーに臨みたいですし、まだ声は出せないかもしれないですけど、そこをマイナスに感じさせない楽しいステージにできたらいいなとは思っています。皆さんもこのツアーを通して、クラップだったりとか、いろいろな楽しみ方を知ったんじゃないかなと思うので、それをみんなでぶつける、そんなツアーにしたいですね。

――声優アーティストとしての展望だったりは。

肩書きにとらわれずにいろいろなことをやりたいなと思っていて。歌手だからこれをやりたいとか、声優だからこれをやりたいというだけじゃなくて、興味を持ったことに関してみんなで楽しめる。私の軸はみんなであって、みんなが喜ぶ姿を想像しながら動いているというのが軸にあるので、みんなが楽しいと思ってもらえることが貪欲にできたらいいなと思っています。

――今回のツアータイトル『“syzygy”』が『こてつくん』、前回のツアータイトル『“KICK OFF!”』もTVアニメ『さよなら私のクラマー』とのつながりを感じさせるように、関係した作品からのフィードバックもいい形で反映させながら活動されているように見えます。

そうですね。そうできたらいいなと思っています。「syzygy」もそうですけど、自分にはなかったワードだったり世界が作品によっても広がっていくのが楽しくて。今まで知らなかったこと、見たことのない言葉や世界に触れられるのはすごく楽しいことだと思うので、これからもそれは一つひとつ知っていくことが楽しいし、みんなに共有できることもすごく楽しいので、これからも届けていけたらいいなと思っています。

インタビュー・文=藤村秀二 撮影=キシノユイ

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