(左から)渋谷天笑、惣田紗莉渚、舞羽美海、錦織一清
2022年全国6 カ所で好評上演された舞台『サラリーマンナイトフィーバー』は、5年ぶりに出演した錦織一清が作・演出作品だが、待望の東京公演を錦織一清の自主公演として日本橋・三越劇場で2023年2月に行われることが決定し、12月13 日に取材会が行われた。
錦織をはじめ、出演の渋谷天笑、舞羽美海、惣田紗莉渚の4人が出席し、それぞれ東京公演に懸ける意気込みを語った。
錦織は、「10月の末まで、大阪松竹座でやってきました『サラリーマンナイトフィーバー』ですが、実は2年ほど前から小劇場の方でやっていた作品です。今回ご要望などもあり東京公演に至ったわけですけれども、小劇場バージョンから大阪松竹座公演とだんだん進化を遂げて、東京の由緒ある三越劇場の方で、さらなる進化系を皆さんにお見せできるんじゃないか、頭の中の構想では、さらに新しいものを生み出していきたいと思っておりますので、よろしくお願いします」と挨拶。
前回の社長役から転じるホームレス役の役作りについて尋ねられ、「今度はちょっとわがままを聞いていただいたんですけど、サラリーマンが道に迷った時にそれを正す人間として現れる役で、ターニングポイントというか、フックになってるシーンがあるので、僕の中ではすごく思い入れがあるというか、 大切な役、かっこいい役だと思っていました。本当に感情論になってしまいますけれど、やってみたいなと思う役だったので。ましてや僕はもう何年も東京の舞台を踏んでなかったので、ちょっとこの役に挑戦させていただきたいなと思って選びました。僕は「男はつらいよ」という映画が大好きで、渥美さんの演じてる役っていうのは露天商で、どちらかというとドロップアウトしている役柄だけど、そういう人間が一番正しさを持ってるなっていうことを、大人になってもう一度渥美さんの芝居を見ながら、感じたんです。実は僕のつくる作品には、その根底にあるものが割と山田洋次監督の作品のようなところがあるような気がします。僕は寅さんを参考にさせていただくつもりです」と答えた。
主人公のサラリーマン広瀬役の渋谷は、「この『サラリーマンナイトフィーバー』は2020 年に 私の自主公演から始まったもので、それが今回、4年連続4回目の公演でございます。前回私は「飯脇」と書いて「言い訳さん」という役で、初めて広瀬以外の役をやらせていただきましたが、この2月の公演は錦織さんの初めてのプロデュース公演で、私が主演の広瀬をやらせていただきます。今回ホームレス役の錦織さんと2 人のシーンがあって、前回はほとんど会話ができな
かったので、そこはすごい楽しみですね。この愛すべき『サラリーマンナイトフィーバー』をたくさんの方にご覧いただければと思いますので、ぜひ宣伝のほどよろしくお願いいたします」と挨拶した。
また、錦織の演出について尋ねられ「僕は松竹新喜劇という劇団にいるんですが、立ち姿とかはもう完全に錦織さんに教えていただいたんです。セリフを喋る時に動かない、目線を上げるとか、そういう本当に初歩的、基本的なことを丁寧に、僕は錦織さんに教えていただいたと思っています。この『サラリーマンナイトフィーバー』では芝居のしどころ、どういうところが芝居なのかっていうことも教えていただきました」と答えた。
広瀬の妻、亜衣子役の舞羽は、「今年、この作品に参加させていただいて、見てくださった方から本当に心に残る温かい作品だったっていう感想をたくさんいただいたので、こうしてまた再演に参加させていただけて、また東京公演ができるのがすごく楽しみです。今回は旦那様役が天笑さんに戻るっていうのもすごく楽しみなので、また、新しい『サラリーマ
ンナイトフィーバー』を愛していただけたら嬉しいです」と挨拶。
また、錦織の演出について尋ねられ、「最初はド緊張で、まずお芝居を見て戴いて、錦織さんがこうしたらいいといろいろ言ってくださるのですが、そのスピードについていくのに必死でした。でも、巡業を終えて、少し時間が経って大阪松竹座公演になって、少し理解できるようになり、このような挑戦する場を与えていただき、今までにない未知な領域のお芝居をさせていただけたっていうのがすごく楽しかったですし、感謝の気持ちで一杯です」と答えた。
広瀬の娘の女子高生ユキナ役の惣田紗莉渚は、「女子高生、広瀬ユキナ役を演じさせていただきます、もうすぐ30 になっちゃう惣田紗莉渚です(笑)私は2020 年の初演からこの作品に出演させていただいていて、その時はSKE48 というグループに所属していましたが今は卒業して、また同じ作品にこうやって出させていただけるのがすごく幸せだなと思っております。前回の『サラリーマンナイトフィーバー』の巡業と大阪松竹座公演では、『子供扱いしないで』『floating hope』という劇中歌を歌い、CDも出させていただきました。見終わったファンの方々から「毎日辛いことがあったけど、この舞台を見て、すごく幸せな気持ちになった」とか「涙し、元気をもらった」ってメールも頂きましたので、次の三越劇場でも、皆さんのパワーや元気に繋がるようなお芝居がみんなでできたらいいなと思います」と挨拶。
錦織の演出について尋ねられ、「私は前回の公演中錦織さんに、ユキナを演じるのではなく、惣田紗莉渚という自然の私のままでユキナをできるようになったら、それが一番いいっていうアドバイスをいただきました。錦織さんのお芝居は、パッと出ていくとやっぱり空気が変わるし、言葉で表すのは難しいんですが、本当にちゃんとステージ上で生きていると
いう感じがして、そこがすごく素敵だし、勉強したいなと思うところです」と語った。
本作『サラリーマンナイトフィーバー』のチケットは2023年1月10日(火)より三越劇場にて発売開始。2月8日(水)、10 日(金)にはアフタートークイベントも行われる。
12月に入った街はクリスマスの雰囲気でウキウキ気分に包まれている。女子校に通う一人娘を持つサラリーマン広瀬(渋谷天笑)は、今日もサービス残業。 無理して買ったマンションのローンの返済に終われ、妻の亜衣子(舞羽美海)もパートに出ている。そんな折、娘の通う名門私立女子高では、クリスマスの日に行われる通称見せびらかしパーティーの準備で盛り上がり、同級生の亜留美(アンジーひより)や女子高生(松村彩永)たちとヴィトンのポーチやシャネルのバックだのと高価なものの自慢話で持ち切り。だが余裕のない家計状況を知っている娘のユキナ(惣田紗莉渚)は買って欲しい物のことをなかなか言い出せないでいる。一方広瀬は、スキーのゴーグルを扱う会社で個性的な社長(室将也)の下、同僚のちょんまげ(三浦ゆうすけ)や中垣内(室たつき)、炭谷(松浦司)、阿久多(楢原じゅんや)たちと外回りの営業に勤しんでいるがなかなか営業成績を上げることができず、ホームレス(錦織一清)や人生経験豊富なスナックのママ(純名里沙)に人生相談をしてしまう。果たして、娘は望みのものを手に入れることができるのか!?父の愛は届くのか!? サラリーマンの夜は長い!
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