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生まれ故郷の芦屋を、音楽を通じた国際交流の街にしたい~「第3回芦屋国際音楽祭」を主宰する日下紗矢子に聞いた。

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SPICE

ヴァイオリニスト日下紗矢子

ヴァイオリニスト日下紗矢子  (c)Akira Muto

ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の第1コンサートマスターと読売日本交響楽団の特別客演コンサートマスターという、日独のコンサートマスターを兼務しながら、オーケストラ、室内楽、ソロと活発な活動を世界で繰り広げている日下紗矢子が、生まれ故郷の兵庫県芦屋市で「芦屋国際音楽祭」を主宰している。

これまで2回実施をし、2023年の春には第3回目を迎える「芦屋国際音楽祭」の魅力を日下紗矢子に話を聞いた。

 

――  「芦屋国際音楽祭」はどういう経緯で誕生したのでしょうか。

私の生まれ故郷の芦屋で、音楽を通じた国際交流の場を持ちたいと考えました。中学生の頃、草津音楽祭に行った時の事が忘れられません。地域に密着した音楽祭で、住民の方と音楽家が自然に触れ合う姿がとても素敵だったのです。ああいった形の音楽祭を、大好きな芦屋の街でやれないものか。結果として音楽が盛んになり、地域振興にも貢献出来ればと思っています。

カトリック芦屋教会   写真提供:芦屋国際音楽祭実行委員会

カトリック芦屋教会   写真提供:芦屋国際音楽祭実行委員会

―― これまでに2回、終えられました。

当初は2020年の春に第1回を計画していましたが、コロナとぶつかったため、やむなく翌年に延期とし、2021年の3月に第1回を開催しました。コロナ禍だったのですが449名のお客様にお越し頂きました。今年の4月には第2回を開催。来場者は650名と初年度上回ることが出来ました。

―― そして、第3回を2023年の4月に開催されるのですね。

はい、コロナ禍で実現出来なかった外国人演奏家を、今回初めて招聘いたします。期間は4月14日(金)〜16日(日)までの3日間、2会場で4公演を開催致します。カトリック芦屋教会がメイン会場で、最終日のクロージングコンサートは、ルネサンスクラシックス芦屋ルナ・ホールで行います。これについては、思い描いている構想があります。いずれ、音楽祭の規模が大きくなれば、ヨドコウ迎賓館や芦屋神社、芦屋市立美術博物館などでもコンサートが出来るようになると、芦屋の魅力が市外からの来場者にも伝わるので、素敵だと思います。カトリック芦屋教会は子供の頃から私が実際に通っていた教会です。天井が高く音響的にもとても優れた教会で、そこを中心に音楽祭が開催出来てとても嬉しいです。

カトリック芦屋教会   写真提供:芦屋国際音楽祭実行委員会

カトリック芦屋教会   写真提供:芦屋国際音楽祭実行委員会

―― では、音楽祭の内容を教えてください。

初日のオープニングコンサートの前に、プレコンサートがあります。そこに出演して頂くのは、スーパーキッズ・オーケストラの皆さんです。

―― 兵庫県立芸術文化センターを本拠地にしている、あの人気のスーパーキッズですか?

はい、そうです。私が彼らを教えに行くこともあるので、そんな音楽祭があるなら隣街でもあるので、一緒に演奏させて欲しいと云って頂き、第1回目より出演頂いております。この音楽祭は若い人をどんどん巻き込んでいきたいと考えていたので、大変ありがたいことです。今年は彼らと一緒にモーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」他を演奏した後に、オープニングコンサートとなります。この為に私が普段一緒に演奏している仲間が二人、来日してくれます。一人目がチェロのペーター・ブルンズさん。彼は元ドレスデン・シュターツカペレの首席チェリストで、現在は大学で後進の指導に尽力されています。もう一人が、ヴィオラのアンドレアス・ヴィルヴォールさん。彼は元ベルリン放送交響楽団の首席ヴィオラ奏者です。彼も現在は大学で生徒を教えていますが、二人とも素晴らしい演奏家です。この日、出演してくれるチェロの中木健二さんは、以前ペーター・ブルンズさんのマスタークラスを受講した優秀なチェリストです。弦楽器が4人ですが、チェロが2本という変わった編成で、アレンスキーの弦楽四重奏曲第2番、他を演奏致します。私のベルリンでの日常的な活動の様子をご覧頂ければと思っています。

ヴァイオリニスト日下紗矢子  (c)Akira Muto

ヴァイオリニスト日下紗矢子  (c)Akira Muto

―― アレンスキーの弦楽四重奏曲第2番は演奏機会の少ない曲だけに、聴いてみたいですね。

翌日はお昼に先ほどのメンバーで「子供のためのコンサート」を行います。こちらは、3歳以上入場OKで、ベートーヴェンとモーツァルトの親しみやすい曲を演奏します。そして夜は、バロック音楽プラスα〜ジェルジュ・クルタークの音楽から広がる世界〜と題して、現在も活躍中のクルタークを紹介しつつ、彼の音楽を通してバロック音楽を俯瞰して見るような内容となっています。

―― 実験的なコンサートでしょうか。

そうですね。しかし全く難しいモノではありません。クルタークの「サイン、ゲームとメッセージ」という曲は、今もまだ作曲が続いている小品の連作で、面白いことに同じ曲を楽器や編成を変えて演奏できるようになっています。彼の小品を弾いていると、続けて他の小品に音楽が繋がっていくイメージが湧き上がります。今回は、繋がる作品をバロック時代の曲に限定して、あたかも連想ゲームのような感じで、皆様にお聴きいただきたいと思っています。もちろんバッハや、ビーバーといったバロック時代の曲も演奏しますし、演奏機会の少ないヴェストホフの作品などもお聴き頂きます。

カトリック芦屋教会   写真提供:芦屋国際音楽祭実行委員会

カトリック芦屋教会   写真提供:芦屋国際音楽祭実行委員会

―― そして最終日はルネサンスクラシックス芦屋ルナ・ホールで、リヒャルト・シュトラウス「メタモルフォーゼン」弦楽七重奏版を始めとする、クライスラー、ブラームスという王道プログラムですね。

はい、弦楽器の美しく抒情的な調べが魅力のリヒャルト・シュトラウスの「メタモルフォーゼン」と、繊細にしてドラマティックなブラームスのピアノ五重奏曲ほかといったロマン溢れるプログラム。ピアノは私の姉の日下知奈が演奏致します。本番が始まる前には、若手演奏家によるロビーコンサートがあります。こちらもどうぞご期待ください。

ルネサンスクラシックス芦屋ルナ・ホール   写真提供:芦屋国際音楽祭実行委員会

ルネサンスクラシックス芦屋ルナ・ホール   写真提供:芦屋国際音楽祭実行委員会

ルネサンスクラシックス芦屋ルナ・ホール   写真提供:芦屋国際音楽祭実行委員会

ルネサンスクラシックス芦屋ルナ・ホール   写真提供:芦屋国際音楽祭実行委員会

―― ありがとうございます。最後に「SPICE」の読者に。メッセージをお願いします。

芦屋は本当に素敵な街です。住んでいた私が言うので、間違いありません(笑)。公演の前後には、ぜひ街を散策して頂けると、私がお勧めしている意味が分かって頂けると思います。音楽祭が大きくなる前から知って頂き、メジャーな音楽祭への過程を一緒に応援頂けますと、本当に嬉しく思います。どうぞお越しください。

 

―― 日下さん、ありがとうございます。芦屋国際音楽祭のご成功を祈っています。
 

取材・文=磯島浩彰

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