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玉置浩二、全国ツアー「故郷楽団 35th ANNIVERSARY ~星路(みち)~」仙台公演の公式ライブレポート到着

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Photo by 加藤亮

2022年、ソロデビュー35周年を迎えた玉置浩二が、ソロ名義では実に9年ぶりとなるシングル「星路(みち)」をフィーチャーした全国ツアー「玉置浩二 Concert Tour 2022 故郷楽団 35th ANNIVERSARY ~星路(みち)~」の中から仙台公演の模様を2023年1月1日20:00よりWOWOWで独占放送・配信するが、そのオフィシャルライブレポートとスチールが公開された。

オフィシャルライブレポート

2022年、ソロデビュー35周年&安全地帯デビュー40周年のダブルアニバーサリーを迎えた玉置浩二は、久々のバンド活動とソロ活動を並行する精力的なアクションを行い、記念すべき年を音楽と共に駆け抜けた。

待望の新作の発表もあった。ソロ名義では実に9年ぶりとなるシングル「星路(みち)」、絢香との共作「Beautiful World」と2作続けて映画主題歌発表。ベストアルバムもリリースされた。彼の音楽の素晴らしさが満天下に示された、まさに記念碑的な1年だった。

初春から続いた交響楽団とのシンフォニックコンサートを終えた玉置は、8月から11月にかけて“故郷楽団“と共に全国ツアーを展開。至高の歌声は、各地で新たな感動を呼び起こした。

ツアー終盤となる10月24日、仙台サンプラザホール。満場の観衆の熱気であふれた場内が暗転する。インストゥルメンタル楽曲「あこがれ」と共に、擦り切れたテープを再生したような、少しノイズが入ったドキュメンタリーが上映される。それは、父との大切な思い出。1992年6月に10日間かけて、ふたりで稚内から旭川まで歩いた記録だ。他愛の無い会話、ひたすら歩き続ける‶親父と息子“。最後に、映像の中の若き玉置浩二は父への愛慕を呟く。その言葉は、会場中を心の郷愁へと誘(いざな)っていく。

ステージに温かみのある薄灯りが燈り、玉置のシルエットが浮かび上がる。ギターをつま弾く指先と歌声。どちらも優しく柔らかだ。1曲目は1993年発表のアルバム表題曲「カリント工場の煙突の上に」。父と二人で歩いた翌年の作品だ。ドラマティックな展開で、冒頭からピークを迎えたような高揚が沸き上がる。

続いて、同アルバムから先行シングルカットされた「元気な町」へ。心の輪郭をなぞるような秋山浩徳のギターソロ、そしてリフレインされるコーラスが霊歌(ゴスペル)のように厳かに響き渡る。「STAR」では、語り掛けるように歌う玉置。ロビン・デュプイのチェロと吉田宇宙のバイオリンが奏でるのは、つながりやぬくもりだ。手と手をそっと握ったような安らぎに包まれる。

「いつもどこかで」は2005年に発表された20枚目のシングル。恋が昇華され大きな結晶となったとき、人はこんな風に誰かを慈しむことができるのかもしれない。限りないピュアネス。玉置はそれを歌で体現する。続く「Lion」は、この時代を懸命に生きる者たちを励ますアンセム。中北裕子の力強いパーカッションが、祭り太鼓のように誰もの人生を鼓舞する。

万雷の拍手と余韻が循環し、照明が再び蒼く光る。2007年発表のアルバム表題曲「惑星」だ。骨太なバンドアンサンブルに乗せて、「決してあきらめない」と玉置は誓う。「しあわせのランプ」では、今ここにある生命(いのち)をそっと抱きしめるように囁く。

ステージ前半のラストは、安全地帯の新作「あなたがどこかで」。玉置は「あなたが見上げる星になりたい」と、歌に祈りを込める。アニメーション作家・加藤隆が描いた映像が、彼の歌に同期し共鳴する。

しばしの休憩後、鳥のさえずりの音が日常の始まりを告げる。トオミヨウのピアノの繊細な旋律に招かれるように、玉置が舞台に戻る。安全地帯名義で発表した「雨」。失われた想いが、彼の歌声を濡らす。

圧巻は「星路(みち)」だった。玉置の歌が星となり、闇を消し去る。星が人生という路を照らし、辿り着くべき場所を示す。この曲に全身全霊を込めた玉置の歌声が胸に沁み入り、心の防波堤を静かに溶かしていく。まさに圧巻の熱唱だった。

ここからはハイライトが続く。教会の鐘の音が遠くかすかに聴こえるような、ソロデビュー曲「All I Do」。代表曲「MR.LONELY」では、大切な仲間へのエールを力いっぱい叫ぶ。至極のバラード「サーチライト」では、ひとりひとりの“君”に向かって手を伸ばし、声の限り歌う。

振り絞るようなスキャットから「仙台!」と繋いだ「CAFE JAPAN」では、クールで熱い六土開正のベースラインがうねる中、玉置の歌声がスパークする。続く「JUNK LAND」。彼とバンドの超絶なテンションに、会場のボルテージは遂に最高潮に達した。

いつまでも終わることの無い賞賛の拍手が木魂する。その中で、玉置が敬意を込めてメンバーを紹介する。最後は、その場にいる全員で「田園」を分かち合う。玉置と故郷楽団と客席の「みんな」が、それぞれの生き様を目指していく。生きることへの確かな肯定が、そこにあった。

再び拍手が大きくなり、それに合わせるように心の鼓動がひとつになる。最後の最後に歌われたのは「メロディー」。かけがえのない歌に身を委ねたオーディエンス。玉置もバンドメンバーも皆、輝くような笑顔だった。

今回のツアーで、新たに創り上げられた極上の音楽空間。故郷楽団の原点である、無駄な装飾を省き丁寧に芳醇に音色を紡いだサウンド。それぞれの曲に自らの魂を宿すような玉置の歌声。そして、1曲1曲が連なりコンサート全体を通じて大きなメッセージを伝える構成。どれもすべて格別だった。

荒れ地と化した時代、心の隙間を吹き荒れる嵐は、まだしばらく収まる気配を見せない。それでも、大切な“何か”がある限り人は生きていける。玉置浩二の歌は教えてくれる。それは、かけがえのない愛だと。

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