MANON
日本テレビサンバリュ枠にて、2022年11月6日(日)に放送された『歌のシン・トップテン』。番組内では、昭和ポップス売上ランキングの楽曲を、10〜20代が改めて選びなおした「シン・トップテン」から、“新世代アーティスト”がカバー歌唱するという企画が実施。そこで、1973年のヒット曲、フィンガー5「恋のダイヤル6700」のカバー楽曲を披露したのが、MANONだ。2002年生まれの彼女は、地元福岡を拠点にモデルとして活躍した後、2017年に「xxFANCYPOOLxx」でアーティストデビュー。Kero Kero BonitoやRyan Hemsworthといった海外勢から、Sleet Mage、LEX など同世代の気鋭アーティストとも交差している、“新世代アーティスト”としては申し分ない人選といえる。新たな音楽ジャンル「ハイパーポップ」を用いた今回のカバー曲の制作背景、またシンガー、ラッパー、モデル、クリエイターと、表現活動を横断することの目的などを聞いた。
■テレビ出演で驚いた「楽屋挨拶」
ーー「恋のダイヤル6700」はもう50年ほど前の曲になるんですが、依頼をもらってどんな感想を持ちましたか?
実はこの曲自体、カラオケでよく歌っていたので、めっちゃ嬉しかったですね。フィンガー5は「学園天国」もカラオケの定番曲で、メロディーラインが好きなんですよ。あのハイトーンなボーカルを、私の曲でよく使われるハイパーポップのアレンジで進めるってなって、制作中はずっとワクワクしてました。
ーー「昭和ポップス」自体にも馴染みはあったんですか?
母の影響で、松田聖子さんを聞いていたり、最近は割とシティポップでカバーされるじゃないですか。それで耳にする機会が多かったりして。
ーーミュージックビデオを見たんですけども、現代版の「ダイヤル」、スマホを全編使って撮影しているのがユニークでした。曲だけではなく、映像もマッシュアップさせていて。
うんうん。イントロがスマホのバイブ音から始まるのも良いですよね。TikTokの編集方法を駆使してミュージックビデオを作るって聞いたから、ラフな撮影を想像してたんですけど、現場に行ったら、でっかいライトとか、たくさんのスタッフがいて「凄い!」って。結果最高の仕上がりになりましたね。トランジション(別のカットを自然につなぎ合わせる動画の編集方法)がずっと続くのに、見ていて飽きないんです。
「恋のダイヤル6700」ミュージックビデオ
ーーMANONさんも主人公の“恋敵”役で出てますね。
普段のミュージックビデオではクールな表情が多いんで、悪いキャラはやりやすかったかも。何より、髪の毛をピンクに染めてからは制服を着ることがなかったので、それが一番新鮮です(笑)。
ーーこの曲は実際に『歌のシン・トップテン』で披露したんですよね。
テレビで歌うのは初めてでした。リハをして、衣装を着替えるのは想像できるんですが、「楽屋挨拶」にはびっくりしました。「本当にあるんだ!」って(笑)。テレビで見てる人たちが、自分の歌を聴いてるのがすごく不思議で、いとうあさこさんが、自分の曲に合いの手を入れてくれていたのが激アツでしたね。
■髪の毛をブリーチしたら気持ちも明るくなった
ーー活動のきっかけも聞ければと思うんですが、シンガーとしてデビューしたのは中学生のころでした。最初から憧れがあったんですか?
「シンガーになりたい」というよりは、事務所の先輩でもあるきゃりーぱみゅぱみゅさんみたいに、ファッションも音楽も、全てがアイコニックで、世界で認められるクリエイターになりたかったんです。そのあと、高校生で「ゆるふわギャッグ」をラップのカッコよさを知って、自分でもするようになったり。
ーーその時々で、自分が「本当に良い」って思ったものを、うまく取り入れて来た感じなんですね。
そうですね。ハイパーポップっていうジャンルも、20歳で100 gecsとかCharli xcxで知って、めちゃくちゃカッコいいなと思ったのがきっかけです。
ーー最近のMANONさんで外せないのが「ギャルカルチャー」の取り入れ方ですよね。とくに昨年リリースした「GALCHAN MODE」では、“90年代シブヤギャルカルチャー×ハイパーポップ”を融合させて、オリジナリティが一気に出たなと。
ギャルカルチャーって掘れば掘るほど面白くて、ファッションだけじゃなく、マインド面でも応用できるんですよね。「かっこいいならなんでもオッケー」みたいな。それを知ってから“生きやすくなった”感はあります。もともと人見知りだったんですけど、髪の毛をブリーチしたら、初対面の人とも話すようになれたし。「ギャル」になることって意外と健康法なのかも。
「GALCHAN MODE」ミュージックビデオ
ーーソロ以外でも、最近は「bala」というクリエイティブユニットとしての活動も目立ちますが、そこではどういったことを表現していこうと?
「MANON」ではリリースできないような音楽のテイスト、パフォーマンスにチャレンジしていこうとは考えていますね。「bala」では私以外にも、CGクリエイターとか、トリリンガルのシンガーもいて、みんなビジュアルも可愛くて最強なんです。
ーー海外アーティストから同世代アーティスト、藤原ヒロシ氏ともコラボしているなど、ここまで他ジャンルと関わっているのは、MANONさん世代ではなかなか見当たらないですよね。
確かにそうかもしれないです。オタク的な音楽を作ってる人たちもいるし、個性爆発のギャルみたいな集団も周りにいるし。登場人物が多すぎて、だからこそ毎日がすごく刺激的で楽しいです。普通に遊ぶんじゃなくて、「何かをクリエイトする」工程が大事なので、もっと“ヤバい子たち”といいものを作っていきたいなって思います。
ーーいまの目標、夢などはありますか?
大きな夢は、「海外でライブがしたい」ですね。自分のルーツは日本とフランスにあるから、ヨーロッパに行くことは考えています。最近、日本人のアーティストも海外のイベントに出演するようになっているので、私も早く出たいな。あとは、自分主催のイベントを開いて、いろんな人を呼びたいですね。カオティックなパーティーにしたいです(笑)。
取材・文=東田俊介
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