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あらき 歌、音楽、ファンに真摯に向き合い、心からの感謝を伝えたツアーファイナル

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あらき

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ARAKI LIVE TOUR IDEA
2022.12.22 LINE CUBE SHIBUYA

声帯ポリープ除去手術後、活動9周年を迎えた2022年8月10日に2枚組アルバム『IDEA』をリリースし、9月から12月にかけて単独としては過去最多の全国17か所に及ぶツアー『ARAKI LIVE TOUR IDEA』を開催したあらき。ツアー初日、神奈川・横浜BayHallで行われたあらき公式ファンクラブ「あらき組」限定公演で、失っていた“あらき”を取り戻すことはすでにできていたけれど。2022年12月22日、ツアー最終日に東京・LINE CUBE SHIBUYAのステージに立ったあらきは、さらなる進化を遂げていた。本当に、たいしたシンガーである。

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民族的なリズムのSEが響き、9周年にちなんだのか9つのトーチに炎が揺らめくステージへ、バンドメンバーに続きゆっくり現れたあらき。始まりは、『IDEA』のオープニングを飾る「Axis」だ。その伸びやかで力強い歌声が示すのは、絶対王者感。<いつだって此処で燃やしているよ 絶やしない炎を>というフレーズにも、胸が熱くなる。

「一緒に楽しんでいきましょう!」と笑顔で呼びかけ、「ロストチャイルド」へ。ブルーのレーザーライトが乱れ飛んだ「GOLD TOKIO」にしても然り、ライブでとんでもない力を発揮するダンスナンバーが連打されれば、オーディエンスの高揚も止まるわけがない。

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「とうとう迎えましたファイナルでございます。すごく今、この光景を噛みしめております。ステージに出てこの壮観を目の当たりにしたら、一瞬泣きそうでした。危ない危ない、まだ泣くには早いですからね(笑)。みなさん、楽しんでいってください」

新たな表現の扉を開いた「A New Voice」の巻き舌にしても超絶ラップにしても。作詞だけでなく作曲も自ら手がけた「Secret Girl」のファルセットにしても。「トーロン」のスラップベースと歌声の絡み合いやロングトーンにしても。洋楽ミクスチャー的な「Evacuation」のハイトーンにしても。とにもかくにも、絶好調。無双状態じゃないか。

ステージに舞い降りる淡雪が美しさと儚さを引き立たせた「Trauma」。光のテントの中で歌う姿も印象的だった「リロード」。再び9つのトーチに火が灯った「九死一生」。ホールならではの数々の演出もまた素晴らしい。

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さらに、ギターフレーズはじめエスニックな雰囲気が漂う「Midnight Effect」に、全編英詞の「re:GENERATE」、オリジナルバージョンの「ECHO」。“存在”をテーマにエレクトロ色を強く押し出した『IDEA』のナンバーを軸に既存曲もいい感じに織り交ぜて、あらきの表情豊かな歌の力が冴え渡っている。

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「楽しくないですか、今日。この空間のように、僕も伸び伸びと楽しめています。ありがとうございます。さっきからブレスレットが引っかかって衣装がほつれてしまいましたが……ツアー最後でよかった、こうやって(プチっと糸が切れる音)ちぎりました(笑)。ここからはちょっとロックめなナンバーを立て続けにやっちゃおうかなと思っております! それにはこの方がいなければ始まりませんから」

あらきの視線の先には、あらき印の赤いフラッグを持ったギター・鳴風の姿が。託されたフラッグを高く掲げ、「鳴風の兄貴と作り上げた曲です!」と前置きしたのは、鳴風が歪んだロックンロールなギターリフをかき鳴らす「Until the END」だ。フラッグを肩にかけて歌うあらき、後方でどっしり支えるドラマー・裕木レオン、ステージ前に出てきた鳴風、ギター・叶真、ベース・Kei Nakamura。オーディエンスが拳を振り上げた「Blue Insane」、うねるグルーヴを味方につけて巧みなフェイクでも魅せた「Freefall」、スラップベースとのガチンコもエモすぎた「イスカノサイ」とたたみかければ、めちゃめちゃロックでダイナミック、圧巻である。

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「みなさん、はしゃげましたか? 今の4曲、アタマ悪そうでしょ?(笑) でもね、これが意外と楽しいんですよ。みんなの想いがギュっと凝縮された楽しい場は、時間が一瞬で過ぎ去るね。この公演はあと少しで終わってしまうけど、今日の2時間半くらいの記憶って、なんなら永遠に近く、色濃く残るんじゃないかなと思います」

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そう言って、「Back Story」へ。この日は参加できなかった盟友・マニピュレーターのKung-fu-jumperと共に作り上げたナンバーだ。山も谷もあったこれまでの歩み、<あなた>への想い。なにがあっても歌う場を守り抜いてきた人の偽りない言葉と澄んだ歌声に、どうしたって心が動く。

「ライブがなによりも好きで大事に想っているからこそ、(メンバーを見ながら)いつまでも楽器を奏でて、いつまでもこうして歌を歌って。それは、何歳になろうと変わらないことなんですよ。ここ2、3年はコロナで歯がゆい想いもしましたが、「Back Story」で伝えた通り、なんとか守り抜いて、みなさんのもとに辿り着くことができました。みなさんにとって大切なものはなにか、「Cherish」で今一度問わせていただこうと思います」

本編最後に届けてくれたのは、“大切なもの”を意味するタイトルを冠した「Cherish」。こちらは、「Until the END」に続き鳴風と共に作り上げたドラマティックなナンバーだ。<取り零したモノを取り戻していく>という揺るぎない決意。あらきのライブは、彼自身だけでなく、ファンにとっても必要不可欠なものだ。

「ライブは生きるために必要ですね、正直。いつ声がしゃがれるかわからないけど、ギリのギリのギリまではしゃいで声出していこうと思いますので、がっちり受け止めて帰っていただければと思います!」

あらきの心意気にますます奮い立ってしまったアンコールは「サイレーション」でスタートし、「みなさんに聴かせたかったのはもちろんのこと、来てくれているお仲間にも見せたいと思ってツアーで研鑽を積んできました」というスーパー“XYZ TOUR”メドレーも! 「イドラのサーカス」「一騎当千」「い~やい~やい~や」「ヒバナ」が連なったひとり“XYZ”メドレー、強すぎる。オーディエンスも、どこかで見守っていたであろう仲間たちも、胸だけでなく目頭も熱くしたのではないだろうか。

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「昨年の『ARAKI LIVE TOUR 2021 -HETERODOX-』くらいから、曲が終わるごとに「ありがとうございました」って言う回数が増えたこと、みなさんお気づきでしょうか。みなさんに感謝の気持ちを伝えたいのはもちろん、“有り難い=あることが難しい”ということを、ここ数年で思い知ったからなんですよね。潰れてしまったライブハウスもたくさんあるし、活動を断念せざるを得なかった人だっています。そんな中、こんな大舞台に立たせていただいて、たくさんの方に見守って支えてもらって。今一度、言わせてください。本当に有難うございました」

心からの感謝を言葉にし、「声出しが解禁されつつありますが、次会うときに一緒に歌いましょう」と告げて「Ark」へ。<誰かじゃなくて あなたじゃなきゃいけない>という気持ちのまま、途中でステージをおりて1階客席通路を進み、ステージに戻った最後はアカペラでその歌声を大切な<あなた>のために響かせたあらき。歌に、音楽に、ファンに真摯に向き合うその姿は、尊くもあった。10周年を迎える2023年、あらきはますます高く、逞しく羽ばたいていくだろう。

文=杉江優花 撮影=Ryuji Tamaki

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