ピンク・フロイド「狂気」50周年記念、最新リマスター含むボックス・セット&74年の全曲演奏ライヴ盤を3/24発売
ピンク・フロイドの不滅の名盤「狂気」のリリース50周年を記念したデラックス・ボックス・セットが3月24日にリリースされることが決定した。史上有数の売上を記録している「狂気」の2023最新リマスタリングが初収録される。
史上最も象徴的で影響力のある作品のひとつであるピンク・フロイド「狂気」は、今もなお世界中で新しいオーディエンスを開拓し続けている。この組曲の初期のバージョンを彼らが初めて演奏したのは、レコーディングの始まる数ヶ月も前のロンドンのレインボー・シアター公演だった。その後ライヴ・パフォーマンスを通じて練り上げられていき、ピンク・フロイドにとって8作目のスタジオ・アルバムである「狂気」は1972年と1973年にロンドンのEMIスタジオ(現アビー・ロード・スタジオ)でレコーディングされ、1973年3月1日にアメリカ、3月16日にイギリスでリリースされた。プリズムのスペクトルを描いた象徴的なジャケットはヒプノシスのストーム・トーガソンがデザインし、グラフィック・デザイナーのジョージ・ハーディーが描いたものである。「狂気」は全世界で5000万枚以上を売り上げている。
50周年記念盤の新たなデラックス・ボックス・セットには、長年ピンク・フロイドの音を司ってきたジェームス・ガスリーによる「狂気」の2023年最新リマスタリングを新たに施したCDとLPに加え、5.1ミックスとリマスタリングされたステレオ・バージョン、そしてピンク・フロイド史上初のアトモス・ミックスを収録したブルーレイ・オーディオとDVDオーディオが含まれる。また、同セットには「狂気:ライヴ・アット・ウェンブリー1974」のCDとLPも収録。
更に1972年―1975年の全英・全米ツアーからレア・未発表写真を収録した160ページ・ハードカバー本、オリジナル盤の76ページ楽譜集、7インチ・シングル2枚(「マネー/望みの色を」と「アス・アンド・ゼム/タイム」)、1973年にロンドン・プラネタリウムで行われた「狂気」試聴会のEMI制作パンフレットおよび招待状のレプリカなど豪華特典も収録される。
3月24日ボックスと同時発売で、1974年11月のウィンター・ツアーでの「狂気」全曲演奏を収録した、「狂気:ライヴ・アット・ウェンブリー1974」(THE DARK SIDE OF THE MOON – LIVE AT WEMBLEY EMPIRE POOL, LONDON, 1974)もCDとLP(初LP化)で個別にリリースされる。独立したアルバムとして入手可能になるのは今回が初めて。アートワークはジョージ・ハーディーが1973年に手掛けた、アルバム・ジャケットの原画が使用される。
50周年記念盤のリリースを祝して、ピンク・フロイドが新世代のアニメーターたちに対し、1973年の代表作に収録されている10曲からミュージック・ビデオを募るコンテストも行われる。ピンク・フロイドはその黎明期から、イアン・イームズ(Ian Emes)、ジェラルド・スカーフ(Gerald Scarfe)等、アニメーターたちとのコラボレーションを行ってきた。時には曲に伴うヴィジュアルがその曲の代名詞ともなっていったが、50周年を記念して、ピンク・フロイドはこの時代を超越する音響作品に対し、新鮮な解釈を提示する機会をすべてのアニメーターに与えたいと考えているとのこと。
アニメーターはアルバム1曲につき1本、計10本までビデオをエントリーでき、勝者はピンク・フロイドのニック・メイスン、オーブリー・“ポー”・パウエル(ピンク・フロイドのクリエイティヴ・ディレクター)、BFI(British Film Institute、英国映画協会)ら専門家の選考委員会によって選出される。なお、応募締切日は11月30日となっている。
また、1973年2月27日、ロンドン・プラネタリウムにて、ピンク・フロイドの新作「狂気」の発売記者会見が行われ、「狂気」の演奏に合わせて、プラネタリウムのドームに星、星座、宇宙のイメージの数々が映しだされたそのイベントは当時大きな話題を呼んだが、50年ぶりに最新テクノロジーを駆使したプラネタリウム・イベントがロンドンで実施されることも発表された。アルバム「狂気」のサラウンド・サウンドとともに、各曲のテーマに合わせたヴィジュアルがプラネタリウム・ドームに映し出される、ピンク・フロイドがデビュー以来試みてきたヴィジュアルとサウンドの融合の最新型を体験できるイベントになるとのこと。