奥田民生
奥田民生の2年ぶり全国ツアー『奥田民生2023 ラビットツアー ~MTR&Y~』初日公演のオフィシャルレポートが到着した。
2023年1月28日(土)、奥田民生の全国ツアー『奥田民生2023 ラビットツアー ~MTR&Y~』の初日が、千葉県・市原市市民会館で行われた。
MTR&Y=湊雅史(ドラム)・奥田民生(ボーカル&ギター)・小原礼(ベース) ・斎藤有太(キーボード)でのツアーは、2021年1月~2月に全11本を回った『MTRY TOUR 2021』以来、2年ぶり。その2年前のツアーは、全会場収容人数の半分で一席飛ばしで、全公演生配信ありだったが、今回のツアーは通常どおりの形での開催(マスク着用や規制退場等のルールはあるが)。市原市市民会館には、関東圏から、いや、おそらくそれ以外の地方からも含めて、多くのファンが集まった。
Blu-ray&CD形態での新作『ドーロムービー“トツゲキ! オートモービレ”』が、1月25日(水)にリリースされた直後に始まったツアーだが、作品の性格上もあってか、その内容に沿ったメニューではなく、ソロの全キャリアのあちこちから曲をピックアップしたセットリストが組まれている。
『29』『30』直後の隠れた名作として、ファンに人気の高い『FAILBOX』収録のあの曲や、イントロと間奏でOTが他アーティストに提供した曲のセルフカバー、ヘリの音のSEから始まるあの曲、アウトロで斎藤有太がソロを担うあの曲、間奏で小原礼が縦横無尽に弾きまくるあの曲など──ライブでおなじみの曲もあれば、「生で聴けたの、何年ぶりだろう?」と記憶を掘り起こしたくなる、レアな曲もあり。
なおOT、湊雅史に対して、「シンバルキックしたくなる、いつもされてるからね」などと、何度かからんでいたのは、彼がつい最近まで、吉川晃司のツアーで全国を回っていたからである。
2023年は兎年だから付けたと思しきタイトル『ラビットツアー』が、一応のコンセプトになっており、ステージ・セット等の演出がそのイメージで作られているほか、選曲も「『ラビットツアー』であること」が軸になっている側面もある。二度目のMCで、本人もそのことに触れた。
なお、最初のMCで、「もういいですか? この3曲で、起承転結あったと思います」といきなり脱力したことを言う。そして「すでに反省会っていうか、やっぱ、手拍子は来ますね。(1曲目の頭は)手拍子なしで、って、SNSでそこだけ言っといてくれる?」と、オーディエンスに伝える。
その後、曲が終わった時、本来MCタイミングではないところでしゃべり始めたので、照明スタッフが気を利かせて明るくしたら、「ここ、別に電気点かなくていい。暗闇の中、しゃべるだけでいい」とオーダーする。
某曲を終えたところでは、「リハーサルから一回も(ちゃんと)できないやつ。今日もやっぱダメだった!」と自白(観る方は誰も気づいていないのに)。「5回に一回しかできないことを本番でやるんじゃない。でも、これはもう、このまま行くからね。いつか一回くらいできるから!」と力強く宣言、謎に拍手を浴びた。
などなど、ツアー初日ならではのノリをあちこちで見せながら、ステージが進んで行く。挙句、アンコールでは、「ありがとうございました。たぶんこんな感じのまま、ツアーが続くと思うんですよ。(日程の)間が空いてるし、いちいち忘れると思う」。
そもそも、ソロだろうがユニコーンだろうが、ツアーの初日はこのような愉快な自虐MCを連発するのが奥田民生という人だが、ただし──これもいつものことと言えば、いつものことだが──50代~70代の日本有数のプレーヤーだけが集結して幾年月であるMTR&Yの音は、初日とは思えないすさまじいグルーヴを放ち放題放っており、終始オーディエンスを魅了していた。
ファン以外もみんな知っている国民的名曲である某曲と、MTR&Yのメンバー全員が影響を受けている、某洋楽バンドの某有名曲とマッシュアップして始まった某曲の、アンコール2曲が、特にその真骨頂だった。
2月14・15日の東京・LINE CUBE SHIBUYA2デイズ等を経て、ツアーは最終日の3月26日(日)地元広島の上野学園ホールまで続く。
文=兵庫慎司
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