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クーラ・シェイカーがオリジナル・メンバーで完全復活、大盛況に終わった東京公演のライヴ・レポート到着

アーティスト

写真:古溪一道

昨年のサマーソニック2022で圧倒的ライヴ・パフォーマンスを披露したのも記憶に新しいUKロック・レジェンド、クーラ・シェイカーが単独としては7年ぶりとなる来日公演ツアーを2月13日の東京公演を皮切りにスタートさせた。

最新アルバム「ファースト・コングリゲイショナル・チャーチ・オブ・エターナル・ラヴ・アンド・フリー・ハグス」を引っ提げての本ツアーでは、バンドのオリジナル・メンバーであり、かつてはオアシスのサポート・メンバーも務めたキーボーディストのジェイ・ダーリントンが再びメンバーとしてカムバックを果たし、ファンにとっては歓喜のサプライズとなった。

実に24年ぶりにオリジナル体制で臨んだ昨晩の東京公演は、新旧の楽曲を織り交ぜた素晴らしいライヴとなり、大盛況の内に幕を閉じた。

ライヴ・レポート

昨年のサマーソニックで圧巻のステージを見せてくれたクーラ・シェイカーが約半年ぶりに再来日! ソールドアウトとなった初日の東京・恵比寿ガーデンホール公演を観た。

昨年は6年ぶりにニュー・アルバム「1st Congregational Church of Eternal Love and Free Hugs」(2022)をリリースし、現役バンドとしての着実な歩みをまた一歩進めた彼ら。しかも年末にはキーボードのジェイ・ダーリントンが復帰し、今回はクリスピアン・ミルズ(Vo&G)、アロンザ・べヴァン(G)、ポール・ウィンターハート(Dr)、ジェイ(Key)とデビュー・アルバム「K」(1996)時点でのオリジナル・メンバーが揃ったメモリアルな来日だ。

つまり、現在のクーラ・シェイカーはバンドの原点回帰と現在進行形が理想的なかたちで絡み合った状態にあり、それは必殺のオープニング“Hey Dude”の時点で明らかだった。懐かしの名曲の埃やくすみを一瞬で払い落とすシャープなギターと、阿吽の呼吸で畳み掛けるリズム隊、まるで最新鋭のエンジンを搭載したスポーツカーでヴィンテージなグルーヴを乗りこなすようなプレイだ。「今日は日本ツアーの初日、記念すべき2023年の初ライヴだよ」とクリスピアンも言っていたが、確かにクーラ・シェイカーの新たな始まりを強烈に感じさせるショーの幕開けだったのだ。

大聖堂のステンドグラスを思わせる背景のビジュアルは曲によって万華鏡のように変化し、様々なシンボルを浮かび上がらせていく。キリスト教からヒンズー教、仏教、神秘主義、宇宙への探究心……etc.、クーラ・シェイカーのサイケデリック・サウンドの根底を流れる彼らの多面的なスピリチュアリティを象徴するビジュアル・イメージだ。インドの民族衣装クルタを纏い、25年前から全く変わらないフォルムをキープしたクリスピアンの佇まいもまた、彼らのぶっ飛んだ精神性の化身だ。中盤から後半にかけては、しなやかな鞭のようなワウギターとホンキートンクなオルガンが誘うまさにサイケデリックの饗宴で、特に“Into Deep”は文字通りこの日最もディープな瞬間、自分のインナースペースの最深部に到達するような体験となった。

嬉しいことに新曲も多数披露され、彼らが既に「1st Congregational Church of Eternal Love and Free Hugs」の次のフェーズへと向かっていることが伺えた。「日本のファンへの手紙のような曲」と紹介された“Waves”はカラフルでウォーミーなサイケポップで、「東京」や「大阪」が散りばめられた歌詞がクーラ・シェイカーと日本のファンの確かな絆を感じさせるひとときだった。ジョン・レノンの“Gimme Some Truth”やザ・プロディジーの“Narayan”のカバー、ハッピー・マンデーズのインサートなど後半はバラエティ豊かなセットで楽しませてくれる。

そこから“Tattva”のコール&レスポンス、“Hush”の大合唱、そして“Govinda”の陶酔と祝祭へと至るフィナーレも完璧!懐メロの感慨を追い越していく彼らとファンの熱狂が冷めぬ中、早くも次の来日に、クーラ・シェイカーのこれからに期待してしまう幕切れだった。

文:粉川しの

セットリスト

  • INTRO – HEY DUDE
  • SOUND OF DRUMS
  • I’M AGASINT IT
  • INFINITE SUN
  • GASLIGHT
  • TEMPLE OF EVERLASTING LIGHT
  • GREATUFUL WHEN YOU’RE DEAD
  • JERRY WAS THERE
  • GIMME SOME TRUTH
  • GINGERBRED MAN
  • BEAUTIFUL DREAMER
  • INTO THE DEEP
  • WAVES
  • TAXES
  • NARAYANA
  • 303
  • TATTVA
  • HUSH
  • GOKULA
  • GOVINDA