藤巻亮太 撮影=風間大洋
藤巻亮太Live Tour 2023「Sunshine」 2023.2.25 I’M A SHOW
※以下のテキストでは一部演奏曲目を記載していますので、ネタバレを避けたい方はご注意ください。
2月25日、東京・有楽町のライブホール・I’M A SHOW(アイマショウ)で、『藤巻亮太Live Tour 2023「Sunshine」』が開幕した。実に5年振りのニューアルバム『Sunshine』は、エネルギッシュなバンドサウンドを基軸とした躍動感みなぎる作品で、ツアーメンバーも藤巻を中心とした4ピースのバンド編成だ。久々のアルバム、久々のバンド、そして着実に進展しつつあるライブ鑑賞の規制緩和。客席にも笑顔と賑やかさが戻って来た。素晴らしいツアーになる要素は整った。
1曲目の最初の一音から、溢れんばかりの歓びと解放感が解き放たれる。エレクトリックギターを構えた藤巻は、リズムもリードもばりばり弾きながら、頼もしいバンドサウンドに身を任せてのびのび歌う。ベース・宮田'レフティ'リョウ、ドラム・片山タカズミ、ギター・近藤寿(たもつ)。優れたミュージシャンであることはもちろん、気心知れた関係ががっちりと一体感あるグルーヴを生み出している。
「『Sunshine』はバンドでアレンジを練って練って完成させたアルバムなので。どうしてもバンドアンサンブルを伝えたくて、今回のツアーは久しぶりに4ピース編成で回りたいと思います。楽しんでください」
アルバム『Sunshine』の楽曲は、想像以上に生のライブパフォーマンスとの馴染みがいい。たとえば、藤巻亮太には珍しいマイナー調のファンクチューン「千変万化」は、リズム隊の強力なうねりを得てよりパワフルでダンサブルに。ストレートなロック調の「この道どんな道」は、豪快なツインギターの快感を爽快な爆音と共に。そこに加わる過去の代表曲、たとえばファーストアルバム収録の「ハロー流星群」は、ターボエンジンを載せた車のように加速度を増し、レミオロメンの「フェスタ」は大胆にチューンアップされ、楽器バトルのような見せ場を加えた激しさ&楽しさ満点の楽曲へと進化。バンドが楽しければ観客も楽しい。自信に溢れたアンサンブルに応えて、一体感ある手拍子や手振りが客席から自然に湧き上がる。
「レミオロメンから20年、ソロになって10年。最近知ってくれた方もいれば、ずっと応援してくださっている方もいて。それが何よりも嬉しくて、心から感謝しています。それぞれ、みなさんの思い出の時間軸の中に大好きな曲や、思い出があると思いますが、これからも歌い継いでいきます。そして、同じ時代を生きている人間として、生きている流れを感じながら音楽にして、これからも届けていきたいと思います」
曇り空の向こうにはきっと眩しい太陽の光が待っている。「Sunshine」という楽曲に込められた希望は、現代の社会や人々へのメッセージであり、ソロデビュー10年を迎えた藤巻亮太の生き方の指針でもある。その一番新しい楽曲が、アンコールでサプライズ的に披露された新曲「朝焼けの向こう」だ。アルバム『Sunshine』で得たエネルギッシュなバンドサウンドをさらに一歩進め、“希望を得るために戦う”というより積極的な意思を持つアップテンポのロックチューン。すでに同日深夜0時から配信開始されている。チェックしてほしい。
3月から4月にかけては、節目になる時期です。みなさんの門出を祝して──。そんな言葉と共に歌われた「3月9日」では、久々に観客の歌声が聴けた。まだ遠慮がちな小さな声が、いつかまた大きな歌声となって戻って来る日は近い。『藤巻亮太Live Tour 2023「Sunshine」」は、3月22日の山梨公演まで全7か所9公演が開催される。ソロデビュー10年を経てさらに力強く前進し続けるアーティスト。その歌声を現場で、配信で、どうか味わってほしい。
取材・文=宮本英夫 撮影=風間大洋
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