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YMOのアルバム(USA盤)ジャケット・モチーフの金屏風公開、一般公開も決定

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YMOの海外盤1stアルバムのジャケットをモチーフにしたテクノ屏風が、3月3日に東京日本橋・水戯庵にて公開された。これは音楽とアートを融合“United Music and Art”をコンセプトに掲げる音楽テクノ・レーベルのユーマ設立20周年記念事業の一環として制作された。代表の弘石雅和氏はYMOが在籍したアルファレコードを経て様々なテクノ/エレクトロニック・ミュージックに携わり2001年に同レーベルをスタートさせた。設立時からのテーマであった音楽とアートの融合をこの金屏風で具現化した。

会場となった水戯庵は能舞台があるスペース。テクノ屏風開封に先立ち、能舞台では内田輝のクラヴィコードと、東野珠美の笙の演奏が始まる。14世紀にヨーロッパで生まれた鍵盤楽器と、奈良時代から伝わる雅楽器の共演でYMOの「東風」が奏でられる。続いては東野珠美の笙と龍笛、鼓の演奏に移る。左右の角には和蝋燭が灯され背面となる鏡板にはプロジェクション・マッピングが映し出される。幽玄な雰囲気に場内が満たされる中、能装束の女官ふたりが能舞台に表れる。運び込まれた金屏風の前で舞いを奉納した後、舞台に灯りが入り、遂にテクノ屏風の全容を表す。五尺2曲(高さ約1.5m、幅約1.4m)の堂々たる大きさの屏風が鮮やか黄金色を放つ。その圧倒的な存在感に、集まった取材陣の息を呑む気配も伝わってくる。さらにテクノ屏風地色の金は、見る角度によって、その金を違った色に見せる不思議な輝きをみせる。

続いてはテクノ屏風の前でトーク・コーナーが始まる。ユーマの弘石とカワムラユキのナビゲートのもと、最初に登壇したのは歴清社の久永朋幸とシャワーの舘龍太。歴清社は118年の歴史を持つ工房。テクノ屏風は職人の手作業による洋金箔技術の結晶。制作に3ヶ月を要するという。テクノ屏風には、NFTを活用したアート証明書「Startrail PORT」が実装されている。通常はデジタル作品に実装されるNFTだが、リアル・アートピースで実現させたのがシャワーの舘龍太。ユーマの弘石と企画から完成に至るまでの苦労話しが披露された。

次に登壇したのは冒頭に演奏を披露した内田輝と東野珠美のふたり。内田はかつて自作のクラヴィコードを坂本龍一に収めたエピソードを話す。テクノ屏風のティーザー・ムービー「開けテクノ」内の「東風」では、内田のクラヴィコードの演奏が収められた。東野は学生時代に電子音楽を学び、教授プロデュースのアルバムをリリースした事を話し、坂本龍一アレンジの「風の谷のナウシカ」での笙の素晴らしさを語る。

トークゲスト最後は、宇川直宏(DOMMUNE)、吉村栄一(ライター)、ケンイシイ(DJ)の3人。初めてYMOに接した時の衝撃度、テクノ屏風のモチーフとなった通称:電線芸者と呼ばれるイラストへの思いなど語り合う。話題はテクノ屏風ロゴをデザインした立花ハジメが開発したプラグインソフト「信用ベータ」にまで及び、このメンバーならではのYMO/テクノトークで盛り上がる。ここでビデオ・レターの上映に。ひとりめはUSA盤YMOのジャケットを担当したルー・ビーチが登場し、あのイラストを描いた当時を振り返る。続いてはYMOが在籍したアルファレコードの創業者、村井邦彦。YMOを日本より先に海外進出を果たした経緯、同行したワールドツアーでの思い出などを披露した。

最後はユーマの弘石雅和が、完成したテクノ屏風は高橋幸宏に届ける予定だった事を明かし、高橋幸宏へ1分間の黙祷を捧げテクノ屏風開封の儀/発表会見を締めた。

この後、会場では能楽師の辰巳満次郎とケンイシイによる「TECHNOH LAB.」をパフォーマンス。能舞台における能とテクノDJの斬新なコラボレーションでフロアを沸かせた。

テクノ屏風は50隻限定でこの日より受付がスタート。また、3月11日より東京・弘法寺にて期間限定(26日まで)、テクノ屏風が一般公開もされる。要予約で入場無料。