MOROHA 撮影=MAYUMI
『EIGHT BALL FESTIVAL 2023』MOROHA
「SOLID SATGE」に到着すると、マイクチェックをするでもなく、アフロ(MC)がステージの端っこであぐらをかきながら、他愛ない話で観客と話し込んでいる。UK(Gt)がいつもの場所に鎮座し、アコースティックギターを爪弾きだすと、「リハーサルから力いっぱい演奏しますんで」と、ぐっと表情を変え、「恩学」、「チャンプロード」を熱唱。
MOROHA
「勝ち負けじゃないと思える所まで俺は勝ちにこだわるよ」では、UKの切ないギターフレーズに心の葛藤を乗せていくアフロ。「心の琴線に触れる」なんてもんじゃない、激しく打ち付けるような言葉の連続に圧倒され、観客はただただ立ち尽くすばかり。
すでに3曲を披露したが、まだ本編には入っていない。「オレたちのライブに手拍子はいらない。耳と心だけに集中して。観ているあなたの顔を真顔に変えにきました!」と、本編は「革命」から、放つ言葉を具現化させるような、さらに一歩突き進んだパフォーマンスを披露していく2人。
実は、SNSのエゴサーチをするというアフロ。sumikaの出演キャンセルを受け、その枠にMOROHAの出演が決まったとき、「あいつらにsumikaの代わりが務まるのか」という投稿を見つけたという。「代わりが務まるか、大きな穴が埋められるのかなんて、俺自身が知りたい」と語りつつ、「俺のがヤバイ」へ。sumikaの代わりになれるわけない、代わりになれる人なんて誰もいない、誰もが唯一無二であること、いまこの場に集まった人はMOROHAの音を聴きに来ていること、MOROHAはMOROHAでしかないことを体現していく。
「エリザベス」、「主題歌」と、リアルな感情を吐き出した楽曲が続いて披露され、喜怒哀楽の感情が追いつかず、ただ茫然とステージを見つめてしまう。
MOROHA
「会いたい人に、会いたいと伝えられますように」と、ラスト「うぬぼれ」へ。手紙のように綴られた歌詞には、いつもならなんてことのない「ありがとう」や「ごめんね」の言葉が連なっているのだけれど、それがとにかく愛おしくて愛おしくて、気づけば涙腺は崩壊の一途……。
最後、MOROHAからの告知事項はただひとつ。「輝かしい、力強い日々が始まります」と、また明日から続く日々がより素晴らしいものになるようにと願い、ステージは終了。明日へと続く道を照らすように、眩く強い光が客席を照らしていた。
MOROHA
取材・文=黒田奈保子 撮影=MAYUMI
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