,ζ,”⊃恋呂百花 a.k.a 木下百花
3月25日に表参道WALL&WALLにて、,ζ,”⊃恋呂百花 a.k.a 木下百花による『ときめきガチリアル』のリリースパーティ『crush』が開催された。出演者は温泉マーク、カルロスまーちゃん、honninman、ウ山あまね、そして主役の,ζ,”⊃恋呂百花 a.k.a 木下百花。どのステージも、カッコよくて、狂ってて、面白くて、ぶっ飛んでて、最高だった。どれだけ最高な夜だったのかは、おしゃれなWALL&WALLに集まったファンの中で、終始跳ねたり踊ったりとはしゃいでいた百花の姿がよく表していた。自身のステージで余力を残さず全てを出し切った百花に大きな拍手が巻き起こるその瞬間まで、本レポートにてお届けする。
最初に会場を温めたのは温泉マークによるオープニング・ゲーム実況。百花とアソビ大全3番勝負を披露した。1戦目のリバーシ、2戦目の神経衰弱はファンの力を借りる“お助けタイム”も駆使しながら百花の圧勝。フロアからは絶えず百花への声援、祝福の声が飛び交い、対する温泉マークには生配信のコメント欄も含めて愛のあるイジリや野次が飛んでいた。その野次に喰らうことなく温泉マークはひたすら明るく跳ね返し、最後の1戦のトイサッカーはハイテンポの試合展開に大盛り上がり。2人とも熱くなって叫び、ファンの声援もさらに強くなる中、温泉マークが見事勝利した。ライブのオープニングにゲーム実況を見るのは初めてだったが、想像以上に夢中になって見入ってしまう。ゲーム実況を終えた後は、来月リリースの新曲を2曲を披露した。ゆるいゲーム実況から一転、最強にかっこいいライブをかましていく。ゲームでは負けていたのに、低音響くイケてるサウンドの中で叫びながらパフォーマンスする姿はとてもカッコよく、風船のようなシルエットはどうしても可愛くて、そのバランスが最高で、温泉マークが持つ様々な魅力が存分に発揮された最高のステージだった。
温泉マーク
定刻17:00を回り、エキストラがライブの始まりを告げるベルをチリン、と鳴らすとカルロスまーちゃんが登場。ピンク色のメルヘンチックな大きい帽子が彼女の表情を隠し、謎に包まれたような空気感で歌う1曲目の『サケバラ』はとても美しかった。曲を終えて「よろしくお願いします、カルロスまーちゃんです」と一言挨拶をすると、『すだれさんビート』を披露。エキストラ2人が布を掲げてセルフ背景を作り、その前で歌うというなんともシュールな構成と、曲が終わるごとに使用した布を雑に投げる様子が面白くてクスッと笑ってしまった。しかもエキストラはサングラスで真顔。謎に満ちていて面白い。そして3曲目に披露されたのはzzzのディファレントカバー曲「Binbo」。MVに出てくるおしゃれな部屋に飾られている布がオレンジ色なのだが、それと同じようなオレンジ色のセルフ背景の前で歌った。照明も”セルフ・ラブ”という楽曲のテーマにぴったりな、温かみのあるキュートな色味で照らしていく。ステージ上の3人がゆらゆらと左右に揺れるのに合わせてフロアも気持ちよさそうに左右に揺れ、そこからキャッチーで音にも声にも優しさが帯びている『マイルドネス』、陶酔感のあるサウンドが心地よい『テレスコープ』を立て続けに歌うと、チルなサウンドがしっとりと会場を包む『ときまか』をセルフ背景の後ろにまわり、シルエットだけを見せて美しく届けた。
カルロスまーちゃん
そして「マイフレンド〜!」とヒップホップ・バンドTOKYO RAVE GROUPIEのMCを務めるFANCYをステージに呼び込み、『ハムトラック』をショートバージョンでお届け。FANCYが「木下さん、リリースおめでとうございます」と祝福の言葉を添え、昨年12月にリリースした2人の初コラボ曲『きもち』を続けて披露した。言葉では表しきれない心模様を描いたというこの曲は、カルロスまーちゃんの潤いある優しい歌とFANCYのシャープでかっこいいラップがかけ合わされ、楽曲の曖昧な輪郭を美しく表現していく。それまでシュールに背景を持ち続けていたバックの2人も体を揺らしてコラボレーションに乗ると、フロアも思いのままに自由に揺れた。FANCYが言っていた「温かいバイブス」という言葉がピッタリな会場の空気感。そして、FANCYがステージを去ったのち、最後の1曲『スイートダンス』ではオーディエンスもハンドクラップで一体感を生み、幸福感満点の空間で「本当に今日が楽しみで楽しみで仕方なかったの!ありがとうございました!」と伝え、ステージを後にした。
続いて二番目のhonninman。登場するや否や「矢沢永吉の真似がしたい。1曲目が始まる時に、ステージ袖ではなく楽屋にいて、自分の歌い始めに合わせて登場するっていうロックンロールを真似したい」という面白く危なっかしい試みからライブは始まった。「新生活を応援したいっていう気持ちがあるので、ステージに立つ人間が一番チャレンジングじゃなくてどうする」と笑いに包まれながらも大真面目に言い放ち、そうして真似した彼なりの矢沢永吉は、こだわったストロボ照明の中でスローモーションな動きで登場するという、結局honninmanらしすぎるカオスな形に。ただ、激しいストロボの照明がバン!と止まったタイミングで言い放った「honninman、本人です」がすごくカッコよく決まり、フロアからは歓声があがった。1曲目は『ノンケミカルロマンス』。ステージ上で自由に暴れながら、ヘビーなサウンドの中で持ち前の高音を響かせて歌い叫んだ。トラックに気持ちよく次から次へと言葉が乗っていく『粗忽バサラ』では、瞬時に声色、トーンを変える怒涛の展開でフロアのボルテージをあげると、間髪入れずに『あの人は大丈夫神話解体』へ。そして驚きの歓声が上がったSMAPの『夜空ノムコウ』を深みのあるいい声でワンフレーズ歌い、MCを挟んだのち、色んなサウンドがおもちゃ箱のように詰め込まれている『億万BOTCH』、『タートル・トーク』と、休む暇もなく怒涛のライヴを展開していく。
honnninman
そして「今年から2回目のMCから服を脱ぐというパフォーマンスを始めた」という言葉の通り上裸になると、5月にリリースするEPの中から2曲披露。1曲目の『エンタの祟り神様』は、地響きのように低音にhonninmanの掠れた歌声、敷き詰められたリリック、そして叫び声が爽快にハマる。2曲目の『ディバイデッド・ハイドラ』はノイジーで強烈なキラーチューンでありつつ、ポップなサウンドも散りばめられており、誰にも似ない、何かっぽくもない、唯一無二のhonninmanの音楽が会場のバイブスをさらに上げていった。そしてオートチューンの効いた声で魅せた『重力・金パブ・ハイドラ』を披露し、怪しげなサウンドと叫びが混じり合う『わかってたまるか』を届け、スプリングドラムという効果音楽器を用いて届けたノイズスプリングドラム漫談へ。スプリングドラムからは嵐のような轟音が鳴っていて、動きと連動してノイジーな空間を作り出し、honninmanの独特の世界観を助長していた。そして最後は『ためさずガッテン』を全力パフォーマンスで届け、最後の最後まで怒涛のステージングを披露した。
3番目に登場したのはウ山あまね。1曲目の『いたるところ』で幕を開けた。咀嚼音のような、何かを飲み込むような、そして水が滴り落ちたかのような、はたまた作業音のような、目まぐるしく変わる不思議なサウンドデザイン。その中で響いていく温もりあるウ山の歌声はとても魅力的であり、聞き手に寄り添うような落ち着いたトーンが静かに会場の空気を掌握していく。パーティ全体のバランサーのようにチルな空間を作り出し、どうやってそんな音作ってるんだろう、と思ってしまう遊び心満点でハイセンスなサウンドが一人一人の心をグッと掴んでいった。続く『デン』も混沌とした音の中で瑞々しい歌を乗せていて、ステージの中央でPCとスタンドマイクに向かうクールな佇まいと、先鋭的で攻撃的な音のバランスが光る。そして様々な音の中で〈君しかいないのに〉というフレーズをサンプリングして繰り返すと、そのまま『Hiuchiishi』へ。焦らしに焦らしてようやくウ山が歌った時には待ってましたとばかりに歓声が上がった。
聞き手のツボを押さえたレイドバックするグルーヴが心地よく、そこから間髪入れずに、細やかに変化する音像のグラデーションが心地よい『来る蜂』へ。激しいストロボ照明の中で大きく声を張って盛り上がりを見せると、ギターを担いで熱狂的にパワフルなステージングを披露。どんどんライブのクライマックスに向けてエモーショナルになっていくパフォーマンスにフロアも歓声をあげたり、跳んだり、手を挙げたりと解放的になっていった。不規則で音数が少ないトラックに対してギターを歪ませ、力強く歌いきる。そしてMCでは、「調子いいね」という言葉を思わずフロアに投げかけた自分に対し、「うわ、なんか、俺調子いいとか初めて言った」と驚いていた。このパーティがいかにアツく最高なのかを感じる1シーンだ。その後、陶酔感のある『粉』を届けると、間髪入れずにそのまま『タペタ』へ。さまざまな音楽的要素で楽しませながら、耳馴染みの良い歌声を優しく音の上に置いていく。最後は壮大なサウンドの広がりを見せたのちに届けた『Ghostyard』。MCは少なく、とにかく1秒でも長く音を浴びてほしいと言わんばかりの充実感満点のライブだ。最後はロックにギターを弾き倒し、ラストに『siriasu』を披露した。フィナーレらしく、スケールの大きい曲を大胆に、そして大切に鳴らして幕を閉じた。
そして、ウ山あまねから百花への転換中に、バーレスク東京の「りの」がダンスパフォーマンスを披露した。セクシーできらびやかな衣装のりのがステージに立ち、『ハレンチ』が流れた瞬間、一気に色気が匂い立つ。持ち前のエロかっこいいを存分に発揮した表情、仕草、ダンスに、撮影OKだったこの日一番多くのカメラが向けられ「フゥー!」とフロアからも歓声が上がった。そして2曲目の『威風堂々』の後半ではフロアにいた百花をステージ呼び込み、椅子に座らせて2人でセクシーなパフォーマンスを繰り広げる。豪華なステージにさらに歓声が大きくなり、続く『Suger Free』では曲中に衣装を脱ぎ、トップレスになって魅惑のダンスを披露した。動きのキレも素晴らしく、堂々としたパフォーマンスが非常にカッコいい。刺激満点のかっこよさを見せつけたステージングに会場は終始大盛り上がりを見せた。
バーレスクダンサー・りの&,ζ,”⊃恋呂百花 a.k.a 木下百花
ボルテージも最高潮になったところで本日の主役・百花が登場。「リリースパーティー、最後のぶちかまし始めます!」と意気込むと、1曲目は『悪い友達』。すぐさまフロアから手拍子が揃い、透明感たっぷりの美しい歌声を披露した。指の先まで美しい百花の動きにうっとりしてしまう。そのまま音を繋いで2曲目の『とき・めき・馬鹿・みたい』へ。ここで、衣装チェンジしたりのが再び登場した。裾の広がったシルエットの可愛いスカートにフリフリのカチューシャがとっても似合っており、2人が笑顔でお互いを見つめ合いながら踊ってる様子が印象的だった。色気もありつつ、キラキラしていてとにかく楽しそうな2人。そしてポップな旋律からサウンドは後半に向けてどんどんノイジーになっていき、照明も合わせて激しくなっていく。最後は百花がりのの顔に手を添えたポージングで締めた。
,ζ,”⊃恋呂百花 a.k.a 木下百花
次に披露されたのは壮大な旋律が楽曲に広がりをもたらせるナンバー『Make love…』。透明感のある歌声とたまにキュッと可愛さが入り混じる彼女特有の声に魅了される。楽曲後半でなめらかで且つ激しいダンスパートを披露し、続く『ダンスナンバー』では観客が揃って左右に手を振って一体感を高めていった。間奏で「楽しいー!」と何度も叫ぶ百花。見ているこちらにもビシバシと伝わってくる幸せオーラ。会場に充満する楽しいという感情。日頃の疲れや不満を全て取っ払ってくれるようなピースフルな空間だった。続く『犬&猫』では、今回初めてのウ山との2人体制ライブということもあり、ウ山あまねRemixを披露。HumungasによるVJの盛大な宇宙の映像がウ山のRemixと絶妙にマッチし、その間に百花はキュートなメイド服に変身。この日最初から最後まではっちゃけていたことを象徴するように腰に手を当てて、“もう無理”といったような素振りを見せると、フロアからは「頑張れー!」という声が飛び交った。しかし、いざ歌が始まると疲れたのが演技だったかのようなパワフルなステージを見せつける。流石のキャリアを感じるライブ力だ。そして3月6日にデジタルリリースした新曲『あんたのラブドール』を、可愛い声と力強い声を瞬時に切り替えながら全力パフォーマンスをし、〈私はあんたのラブドールじゃない〉と叫びきると、「次で最後の曲です!」と『お前だけはガチで守る♡』へ。フロアからは息ぴったりのコールが飛び交い、久々に自由に声を出せるライブを全員が思い切り楽しんでいるようだった。盛りだくさんだった1日の最後の曲とは思えないくらい、百花もファンも全力で音楽を浴びていく。背景ビジョンにはなんと、百花、Humungas、ウ山あまねがプリクラを撮っている様子がキュートな映像に紛れ込みながら映し出され、はっちゃけている空気感をさらに磨き上げた。そして全身全霊のシャウトから、アウトロではノイジーなギタープレイを披露。可愛いらしい衣装とのギャップに彼女のバイタリティを改めて感じた。
アンコールを求める鳴り止まない拍手の中で再びステージに登場すると、息切れしながらも「お客さんの方照らしてもらっていいですか?」とhonninmanのMCの真似をして笑いを誘った。明るくなったフロアのお客さんの顔をよく見ながら最高な夜を振り返り、「楽しめた?」とオーディエンスに問いかけると、たくさんの拍手と歓声が上がる。そして出演者一人一人、スタッフに対して感謝の気持ちを述べて、渋谷を題材にしたという曲『卍JK卍』を弾き語りで披露した。シンプルなギターの音と、うるっとした艶のある歌声がこの華やかなパーティーが終わろうとしていることを感じさせる。そして百花は、曲中に「友達が、たくさんいるっていうことが、今日わかりました!」と叫んだ。その言葉の通り、本当に多彩なエンターテイナーと素敵なファンが集ったWALL&WALL。全員が全力で楽しみに来ていて、終始溢れていたポジティブな空気。百花は、終わるのが寂しいと言わんばかりに最後の一音を丁寧に鳴らし、『Thank you!』と言い切ると、会場は長く大きな拍手に包まれた。
オープニングのゲーム実況から百花のライブまでの3時間半、本当にハイクオリティな大人の遊びがギュッと凝縮された最高のリリースパーティーだった。これからも好きな人たちと好きな場所で好きなことをして、ステージで「楽しい!」と叫ぶ百花を見ていきたい。またこんなポジティブな感情が充満したパーティーで日々を生きる活力を貰いたいと思った。
文:高橋夏央
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