ピンク・フロイド「狂気」50周年記念盤特典、1972年来日公演会場で配布された歌詞リーフレット「月の裏側-もろもろの狂人達の為への作品-」公開
ピンク・フロイドの名盤「狂気」50周年を記念した日本独自企画、2023年4月19日発売「狂気ー50周年記念SACDマルチ・ハイブリッド・エディション(7インチ紙ジャケット仕様)」には、今から51年前の1972年3月に行われたピンク・フロイド2度目の来日公演にまつわる超貴重なアイテムなどを復刻した15大特典付き豪華仕様となることが発表されているが、その中でも、最も貴重な1972年の来日公演会場で配布された幻の歌詞リーフレット「月の裏側-もろもろの狂人達の為への作品-」の絵柄が公開された。
「狂気」が発表されたのが1973年3月。ちょうどその一年前に箱根アフロディーテに続くピンク・フロイド2度目の来日公演が行なわれたが、その時に1年後に発表されるアルバム「狂気」収録曲を日本のファンの前で全曲披露した。ただ、当然この時点では未発表で観客はまだ誰も存在すらも知らなかった曲であったため、ピンク・フロイド側の強い希望で、歌詞の対訳が急遽公演会場で配布されることになった。この時点では「狂気」という邦題はまだ付けられておらず「月の裏側-もろもろの狂人達の為への作品-」と書かれている。
当時を振り返って、評論家の立川直樹はこう語っている。
「東京都体育館のコンサートで“月の裏側”と題された組曲の訳詞が印刷されたカードが観客全員に配られた。これはピンク・フロイド側が「まだ発売前のアルバムの曲を演奏するので、英語がわかならい人たちのために配布したい」と言って石坂さんに英語詞を渡し、それを海外渉外課のスタッフが意訳したものを石坂さんの命を受けて僅か数時間で歌詞らしく整理したものだが、(アルバム発売前に)こんなことをしたグループは、ピンク・フロイド以外にはいない。“月の裏側”という直訳は「原子心母」や「おせっかい」「狂気」といった名邦題を生み出した石坂さんも、突然のことでそこまで頭が回らなかったのだろう」
歌詞リーフレットの冒頭にはこうも書かれている
「この詩は今秋11月にイギリスで発売されるピンク・フロイドのニューアルバムに含まれている「月の裏側」という新曲です。今夜、この曲はピンク・フロイドによって演奏されますが、彼らの強い希望により日本語訳を作成しました」
この時点では1972年11月に「狂気」は発表される予定だったこと、また、その新作に含まれている「1曲」として捉えられているのが興味深い(この時点では「原子心母」や「エコーズ」などの長い組曲のような1曲と考えられていたのかもしれない)。このリーフレット自体、現存枚数も少なく、そういった意味でも歴史的にも貴重な資料的価値のあるものといえるだろう。
「原子心母(箱根アフロディーテ50周年記念盤)」に続く、日本独自企画盤として実現した「狂気ー50周年記念SACDマルチ・ハイブリッド・エディション(7インチ紙ジャケット仕様)」は、2021年に海外の高音質に特化した専門レーベルAnalogue Productionsからリリースされた「狂気」のSACD Hybrid Multi Channelのマスターを使用した初の日本盤化となるもの。SACD層にはピンク・フロイドの音を司るジェームス・ガスリーがオリジナル・アナログ・マスターから作り上げた5.1chサラウンド・ミックスを収録。CD層の2chステレオ・ミックスは通常CD機器で再生可能。
パッケージは、英オリジナル初版LPを7インチ紙ジャケで再現(やや青みがかっている)。帯は70年代に日本発売された超レアな4ch Quadraphonic版の“金帯”を使用。特典として、当時まだ未発表だったアルバム「狂気」をライヴ演奏した1972年3月の2度目の日本公演時にまつわる超貴重なアイテムを復刻。1972年来日時写真満載のドキュメンタリー的フォトブック、公演パンフレット、チケット、ポスター、フライヤー、来日記念シングル・ジャケット他、オリジナルLPに封入されていた2種類のポスター、ポストカードなども含む15大特典を7インチ紙ジャケに封入した、「狂気」50周年を記念した日本のファンのためのスペシャル企画となっている。