和ぬか、1stライブツアー「春夢のキラメキ」完走 WANUKA OFFICIAL STOREオープン
和ぬかが1stライブツアー「春夢のキラメキ」のファイナル公演を、4月4日に東京・渋谷クラブクアトロで開催した。このライブレポートが到着した。また、公式グッズが購入できる「WANUKA OFFICIAL STORE」がオープン。初回オープンについては予約受付販売を実施する。
3月から4月にかけて東名阪の3会場で行われた「春夢のキラメキ」は、和ぬかにとって初めてのライブツアーだ。2020年12月に活動をスタートさせて以来、和のテイストを感じさせるメロディセンスと韻を踏んだリリック、小気味いい曲調で数々のヒット曲を届けてきた現役大学生シンガーソングライターの和ぬか。顔や素性を明かさない謎めいた存在感のまま支持を広げ、昨年12月に開催された初のワンマンライブ「儚さのオリジン」が初めて人前に立つ機会となった。
コロナ禍でSNSや動画サイトから音楽活動を始めた和ぬかにとって、ライブツアーは、今まで出会えなかったリスナーと出会う場としても、オーディエンスと生身で向き合い共に熱量の高い空間を作り上げるパフォーマンスを見せる場としても、大きな意味を持つ体験になったはずだ。この日のステージは、そんな実感の伝わってくる場でもあった。
ライブは3月に配信リリースされたばかりの新曲「ヒロイック」からスタート。満員のオーディエンスが拍手で和ぬかとバンドメンバーを迎え入れる。すぅっと息を吸い“「らしさ」が煌めくこの夢よ 己のまま息をさせて”と歌うパートから始まる「ヒロイック」は、コンプレックスを乗り越え自分らしさを強く打ち出すことを歌うエネルギッシュなナンバー。ライブのオープニングに相応しい決意表明の曲だ。
続けざまに披露した「アイオクレ」、軽やかにステップを踏みながら歌った「ブラウニー」ではオーディエンスのハンドクラップも巻き起こり、躍動感あふれる演奏と共にフロアに徐々に一体感が生まれていく。サポートメンバーは佐々木”コジロー”貴之(Gt)、小林修己(Ba.)、上原俊亮(Dr.)、和久井沙良(Key)という編成だ。ステージと客席には青いライトのオブジェが浮かび、後ろから照明が和ぬかの姿を照らす。逆光で顔や表情は見えないが、メンバーと共にひとつの“バンド”として音楽を鳴らしている姿が伝わってくる。
「照れずに、もったいぶらずに、今日は最後まで一緒に歌って踊りましょう」とMCで語り、続いては「もったいぶり」を披露。甘酸っぱいメロディでオーディエンスを惹きつけ、さらに「ヨワネハキ」のリズミカルでフックの強いフレーズで魅了する。続く「浪漫ショー」はギターを抱えたっぷりと溜めて歌ったイントロから力強いパフォーマンスを見せる。曲を披露するごとにどんどんフロアのボルテージが上がっていく。
「あなたに会えて本当に嬉しいです。人生って、儚く、一瞬で過ぎてしまうものだけど、あなたに会えたこの時を忘れないように、この時が煌めくように、あなたの心に残るまで僕は歌います」と和ぬかはMCで語る。伸びやかなハイトーンの歌声と対象的な、実直な語り口だ。
TikTokで広まり和ぬかの名を世に知らしめた初のオリジナル曲「寄り酔い」に続けて、中盤は爽やかなメロディの「ビーユアセルフ」や「いつのまに」と親しみやすいポップソングを続けていく展開。ゆったりとしたグルーヴの「真っ裸」では、オルガンの洒脱なイントロから「一緒に踊ろう」と和ぬかが告げ、オーディエンスが心地よさそうに身体を揺らした。
終盤は「まだまだ行けますか? もっと声出せますか!?」と煽って、ダンサブルな「ニゲラ」から「LOVE is」とエネルギッシュなナンバーを続ける。ライブを通して和ぬかが何度も「一緒に歌って踊りましょう」と呼びかけていたのも印象的だった。和ぬか自身にとっても、ファンにとっても、「声出し」が解禁されたライブは今回のツアーが初めてとなる。“鑑賞する”のではなく“一緒に楽しむ”和ぬかのライブのムードをゼロから作っていく機会でもあったはずだ。
そして、そのムードがクライマックスに達したのが、それぞれのソロを披露しながらのバンドメンバー紹介を経て歌った本編ラストの「絶頂讃歌」だった。オーディエンスが楽しそうに飛び跳ね、和ぬかがフロアにマイクを向けると大合唱が巻き起こる。この日一番の熱気が生まれていた。
アンコールを求める大きな拍手に応えて登場した和ぬかは、スペシャルゲストとしてNEEのくぅを呼び込む。「やるぞ!」と告げて披露した「ミミクリーマン」では、畳み掛けるような疾走感あふれる演奏に、くぅがステージ狭しと走り回り、最後には和ぬかとくぅが肩を組んで歌うハイテンションなパフォーマンスを見せてくれた。続いては洒脱なピアノとベースが心地よい未発表曲「ふにょい」を披露し、ラストは「ヨセアツメ」。再びオーディエンスの合唱が巻き起こり、全員がジャンプする熱気の中、ライブは終演となった。
「また遊びにきてね。大好きだよ」と、和ぬかは最後に告げてステージを下りた。バンドとの一体感も、オーディエンスとのコミュニケーションも、初のワンマンライブから数ヶ月で目覚ましい成長を遂げていた。
次は夏にまた新たなライブを予定しているとのことだ。ここからの躍進を見逃せない。そんな余韻の残った一夜だった。
Text by 柴 那典
セットリスト
1 ヒロイック
2 アイオクレ
3 ブラウニー
4 もったいぶり
5 ヨワネハキ
6 浪漫ショー
7 寄り酔い
8 ビーユアセルフ
9 いつのまに
10 真っ裸
11 ニゲラ
12 LOVE is
13 絶頂讃歌
en.1 ミミクリーマン
en.2 ふにょい ※未発表曲
en.3 ヨセアツメ