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城田優「インスピレーションが欲しい人は観に来て」 ジャンポール・ゴルチエの半生を描いた「斬新」なミュージカル『ファッション・フリーク・ショー』に出演

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SPICE

2023年5月19日(金)~6月4日(日)東京・東急シアターオーブ、 2023年6月7日(水)~6月11日(日)大阪・フェスティバルホールにて、世界的ファッション・デザイナー、ジャンポール・ゴルチエの半生を描いたランウェイミュージカル『ファッション・フリーク・ショー』が、アジア初上陸する。SPICE編集部では、本作にスペシャルゲストとして出演する城田優にインタビュー。本作を「あまり観たことのないタイプの作品」と語る城田に、出演の意気込みやゴルチエ氏に対して思うことなどを聞いた。

奇抜で斬新で華やかで……

ランウェイミュージカル『ファッション・フリーク・ショー』

ランウェイミュージカル『ファッション・フリーク・ショー』

ーーまずは本作に出演が決まったお気持ちをお聞かせください。

シンプルに光栄という言葉につきます。自分自身ファッションも好きですし、モデルとして東京コレクションやパリコレクションに出させていただいた経験があります。お話をいただくまで、正直『ファッション・フリーク・ショー』のことは存じ上げなかったのですが、ミュージカルとファッションショーのコラボレーションという前代未聞の作品に出演することは光栄ですし、どんな作品になるのだろうと、とても興味が湧きましたね。

まだ自分がどういう衣装を着るのかは決まっていないのですが、そこも含めてドキドキワクワクしています。何より周りは海外のキャストの皆さん。僕も今後国際的なお仕事に力を入れていきたいと思っているので、フランスという国で生まれて全世界を飛び回っている作品に携わらせていただけるのは非常に嬉しいです。

ーーロンドン公演を映像でご覧になったそうですね。いかがでしたか?

ファッションに限らず、全てのエンターテインメントはクリエイターのセンスや個性が出るものだと思うんですけど……こんなに個性的なミュージカルがあるんだと驚きました。奇抜かつ斬新かつ華やかかつ……みたいな。今の時代、多様性という言葉で語られますけど、着ぐるみもあれば、モデルさんもふくよかな方から細身の方までいろいろな方がいらっしゃいました。

ゴルチエさんはもちろんその他いろいろなクリエイターが携わって、みんなで作っている作品だとは思うんですけど、ゴルチエさんのファッションセンスから生まれたショーであることは間違いないと思う。カテゴライズするとしたらどんなカテゴリーになるのかと言われたら、もう「ジャンポール・ゴルチエ」というカテゴリーだと思います。

それがすごいですよね。少なくとも僕自身はあまり観たことがないものでした。自分自身エンタメを作るときに何かを真似するよりも、自分なりに頭の中で作ったものをやりたいと思っているタイプ。確かにそれが結果的に何かに似てしまうことはあるかもしれない。なんせ何十億人という人間が生きてる世界ですからね。それでも自分の頭の中で作ったものを表現したいと思っているので、そういった意味では、もう完全にお見事。お客様には本当に楽しみにしていてほしいと思いますし、僕自身も生では観ていないので、楽しみですね。

ランウェイミュージカル『ファッション・フリーク・ショー』

ランウェイミュージカル『ファッション・フリーク・ショー』

ランウェイミュージカル『ファッション・フリーク・ショー』

ランウェイミュージカル『ファッション・フリーク・ショー』

ーー1番斬新だなと思われたのは具体的にどのような部分のことですか。

オープニングから何から、全体的な構成が斬新なんですよ。だって、オープニングは手術シーンですよ。しかも熊のぬいぐるみ……詳しくは言いませんけども(笑)。

具体的に僕が好きだったのは、フランスのゴルチエ好きのマダムが出てくる場面。地味なシーンかもしれませんが。ショーを観ている奥様方という設定で、じゃらじゃらとアクセサリーをつけて、気取っている感じなんです。ゴルチエを揶揄しているようにも見えるんですけど、そこが僕はすごく好き。本来的には「不要な要素」かもしれないけど、お客さんを笑わせる休憩タイムのように入り込んでいる。そういう遊び心が好きです。

ーーゴルチエさんがデザインしたファッションを身にまとって、皆さんが出演されるわけですよね?

もちろん、そうです。ただ、そこだけじゃないから、面白いんです。「ランウェイミュージカル」と聞いたら、ゴルチエの洋服を着て、ミュージカルの中にショーを組み込んだのかなと思うと思うんですけどね、本当にカテゴライズできないです。僕自身も答えが分かっていないから、僕も質問したいぐらいですよ(笑)。

1人の同じクリエイターとして、エンターテイナーとして活動している人間が客観的に観て思ったことは、構成が本当に斬新。アメリカのブロードウェイミュージカルとか、イギリスのウエストエンドの作品とは全く違います。正直、多分みんな追いつかないかもしれません(笑)。僕も追いついてない。2、3回観ないと分からないと思いますね。それぐらいぶっ飛んでいるし、前例のない、とんでもないショーだなという印象です。でもなぜかすごく盛り上がれるし、最終的に「イエイ!」となるんですよ。

ーーちなみに、観客は何を着ていけばいいですか?(笑)

それぞれの好きなファッションでいいと思いますよ(笑)。もちろんゴルチエが好きな人はゴルチエでも。それに限らず、ファッションのイベントですし、自分が持っている服の中の一張羅的な服を着てもいいと思います。それは別に高級服やスーツを着るというだけではなくて、自分が好きな色味や世界観の服を身にまとうということ。その方が、この時間をより楽しめるとは思います。

 

ゴルチエに「すごく共感する」

ーーゴルチエさんについてはどうでしょう。彼のイメージだったり、半生について思うことだったりを教えてください。

僕、映画の『フィフス・エレメント』が好きなんですけど、今思えば衣装で世界観が作られていた映画だったなと思うんですよね。当時は「ゴルチエさんのデザインだ」と意識してみていませんでしたが。あれがいわゆる一般的なお洋服だった場合、全く違う世界観になっていて、映画としてもあそこまで異彩を放つ作品にならなかった気がする。ファッション・デザイナーの方はみんなそうなのかもしれないけれど、流行りではなくて、本当に好きでやられているんだなというのが感じられて、そこが素晴らしいですよね。

僕もゴルチエさんのことにめちゃくちゃ詳しいわけではないんですが、ゴルチエさんは子どもの頃から、勉強というよりはファッションに夢中だったそうです。僕自身も勉強そっちのけで曲を作ったり、物語を考えたり、自分の好きなことに興味を持っていた子どもだったので、そういう意味ではすごく共感するところがあります。

ーーゴルチエさんとお話するとしたらどんなことを聞きたいですか?

『ファッション・フリーク・ショー』があまりにも奇想天外なものなので、どういうマインドでこの作品を作られたのかを聞いてみたいですね。どこまでが実際のストーリーで、どこがフィクションなのか、どこまでゴルチエさんがディレクションをしているのかも含めて、シンプルに聞いてみたいですね。あと、ファッションに関しては、多分いろいろなところで語られていると思いますけど、どういうこだわりでやられているのか、1人のクリエイターとして聞いてみたいかな。

ーーゴルチエさんはもともと舞台が大好きで、そこからショーやファッションの世界に興味が移ったという話があるようですが、城田さんが舞台を好きになった原体験を教えてください。

僕が初めて舞台を観たのは、12、13歳ぐらいのときに観た『アニー』なんですよね。もちろんすごく面白かったし、楽しかったんですけど、そこで舞台が好きになって、ハマったかと言われるとそうではなくて。その後、自分が実際に舞台にもっと深く携わることになるのが、16歳のときにオーディションで受かったミュージカル『美少女戦士セーラームーン』でした。二十数年前の、今で言う2.5次元ミュージカルのはしりですよね。

男の子だったので正直『セーラームーン』かぁと思いながらオーディションを受けていたんですけど、資料映像を観させてもらったときに、僕、感動のあまり泣いたんですよね。10代の子たちがメインでやっている作品で、物語として感情移入できて、非常に心を動かされたんです。僕は歌というものに非常に思い入れが強くて、作品の中でキャラクターが歌う歌がこんなにも力を持つんだなと初めて感じたんです。

それに、当時13歳からいろいろなオーディション受けさせてもらって、鳴かず飛ばずにいた僕が初めて合格したミュージカルでした。先輩方から「優は絶対にミュージカルに向いているよ。その身長と顔の彫りの深さと歌はすごい武器だよ」と言われて、自分の居場所がやっと見つかった感覚でした。

ただ、好きという感情とともに、嫌いという表裏一体の感情もあるんです。実はいつも非常に複雑な気持ちでミュージカルに挑んでいます。観るだけだったら、もう大好きだし、10代から年に1、2本は必ずミュージカルをやってきて、自分が作ったり、演出したり、いろいろなことをさせてもらっているんですけども。ゴルチエさんのファッションに対する思いと、僕のミュージカルに対する思いは、若干違うかも分からないです。

 

城田優「大好きになるか、大嫌いになるか」

ーー城田さんはパリコレに出られたご経験がありますよね。ツイートでは「大好きなブランドの洋服を着て、初めてのランウェイ。実は、はちゃめちゃ緊張していましたが、俳優らしく、スーパーモデルを演じました笑。こんなにも貴重な経験をさせてもらえて、感無量です」と投稿されていました。やはり緊張されましたか?

今まで自分が出演してきた舞台作品とは全く違う緊張感でしたね。未知な世界で、想像ができないことに対しての恐怖心やプレッシャーが強かった。もう記憶もないぐらい緊張して、本当にあっという間で、気づいたら終わっていたんです。人生でなかなか味わえる機会が少ない場に立たせてもらったなと思います。

ーーランウェイに出る直前が一番緊張されましたか?

いや、僕は始まる直前はもちろんなんですけど、始まってからもずっと緊張しているタイプなんですよ。舞台に立ったら大丈夫という方もよくいらっしゃるんですけど、僕は舞台上に立ってからも緊張するタイプ。とにかく緊張しいなので、そこはもううまく付き合っていかなくてはいけないところなんですけどね。

ーー改めて本作はどんな人におすすめでしょうか?

最初に申し上げたように、本当にジャンルが難しくて(笑)。ミュージカル、ショー、ファッションショー、コンサート……どれにも該当しないと僕は思っています。あまりに情報量と面白いことがぎゅっと詰め込まれている作品なので、どんな人におすすめというのは難しいですね……。皆さんが気に入るか、気に入らないか、正直分からない。でもね、僕はそれぐらい攻めた方がいいと思うんです、エンタメをつくるとき。

「みんなに受け入れられるだろうか?」と思いながらものづくりをするのは、僕は逃げだと思う。でも、それはそれで1つのビジネスとしてはいいと思うんですよ、観に来てくださった方たちが全員満足するようなものを作ろうというのも。ただ、僕の場合はーーそして多分ゴルチエさんも、自分がいいと思ったものを見せて「どうですか?」と提示したい。それで「面白い」と思う人間がマジョリティを占めたら最高だし、マイノリティだったとしても、自分の好きなものを同じく好きでいてくれたんだと思えることが大切だと僕は思うんです。

だから、僕の中では最高の褒め言葉なんですけど、大好きになるか大嫌いになるか、そんな作品だと思います。非常に刺激的な時間になると思います。あえて一言で言うなら、インスピレーションが欲しい人に観て欲しいですね。この作品を通してたくさんのインスピレーションやエネルギーをもらえると思うので!

『ファッション・フリーク・ショー』スポット映像到着!

取材・文=五月女菜穂 撮影=池上夢貢

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