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ClariS初のバンドセット単独ライブで見せた新たな表情『ClariS SPRING LIVE 2023 ~Neo Sparkle~』レポート

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2023年5月6日(土)、7日(日)にかけて『ClariS SPRING LIVE 2023 ~Neo Sparkle~』が開催された。ClariSにとって約3年半ぶりのライブハウスで開催される本公演、その会場として選ばれたのはZepp Hanedaだ。2017年からライブでのみ素顔を公開し、Season02と言われる時期に突入し、2020年にはデビュー10周年を迎えたClariS。デビューから長い時間が経った現在も一線で活躍し続ける二人が久々のライブハウスで何を見せるのか。今回は5月6日開催のDay1の模様をレポートしていく。

儚さと力強さ、共存する二つの魅力

ライブ当日、Zepp Hanedaには多くの人が集まり、オールスタンディングとなる一階は超満員となっていた。開演前のステージにはクララとカレン、二人のイメージカラーであるパステルピンクとパステルグリーンの照明が焚かれ、観客はそこに熱い視線を送る。すると二人の声でライブの注意事項が読み上げられる。

「みなさん、声を出す準備はできていますか?」
「わたしたちと、最高のライブにしていきましょう!」

ライブの注意事項はこう締め括られ、二人が登場する前から大きな歓声が上がる。
そこにバンド隊が姿を見せ、照明が幻想的な光を放つと、近未来的なサウンドが響き渡る。そこにバンド隊の演奏があわさり、一つの音楽として観客に届けられると、開場中の期待値は上がっていく。それが最高潮に至った瞬間、舞台の両サイドからクララとカレンが登場する。

「願った勇敢な選択の未来を今照らしてく」

一曲目に披露したのは「ALIVE」だった。歌声からは儚さ、ダンスからは力強さ、一見相反する二つの魅力が同時に放たれる。そのパフォーマンスに観客のボルテージは最高潮まで跳ね上がる。本楽曲の締めにはタイアップであるTVアニメ『リコリス・リコイル』を意識したように、二人が背中を合わせて拳銃を構える仕草も見られた。その様子に会場を揺るがすほどの歓声が上がる。

間髪を容れずに次の楽曲が始まる。照明が青と黄に輝き、披露されたのは「again」。二曲連続で力強い振り付けを披露、その一糸乱れぬパフォーマンスに目を奪われずにはいられない。二曲を終え、会場は再び大歓声に包まれた。

「みなさん盛り上がってますか?」
「一緒に盛り上がりましょう!」

二人の掛け声を皮切りに、バンド隊が奏でるロック調のサウンドが会場に響き渡る。それに身を任せ、無邪気に身体を揺らすクララとカレン。続けて「ユニゾン」が始まる。ここまでに披露してきた、完成された振り付けとは一味違う、奔放で自由な動きを見せる二人。そのギャップに改めて魅了させられる。
「みんなジャンプするよ!」そんな掛け声に合わせて会場全員がジャンプし、着地と共に本楽曲は締め括られた。

声出しOKライブの帰還を感じさせるステージ

3曲を終え、ここで改めて今回のライブについて語られる。久々の声出しOK、約3年半ぶりにライブハウスでの開催、自身初のバンドセット、二人にとってもフレッシュな要素が多い今回のライブ。その感想を想い想いに語り合うと、「次の曲でもみなさんの声を聞かせてください」との言葉からネクストナンバーへ。

「いつも通りの あたりまえの日々を いつまでこんな風にすごせるんだろ?」

披露したのは「border」だ。普段とは一味違う、生バンドならではのサウンドが楽曲の魅力を引き立てる。曲中ではライブ恒例、ClariSの「後悔するなんて」に対する観客の「嫌だ!」も聴くことができ、声出しOKのライブが帰ってきたことが改めて感じさせられる。加えて、本楽曲中ではタオルも登場。「せーの!」の掛け声と共にClariSが、観客が、タオルを回転させると大きな一体感がその場に生み出されたのだった。

二人が観客に背を向け、一瞬の静寂が訪れる。そこにエレクトロニカルなサウンドが流れ出すと、照明が近未来を想起させるような輝きを見せる。始まったのは「パラレルワープ」だ。ダンサブルなナンバーに観客が心地よく体を揺らすと、二人がクールに歌声をのせる。

ここで楽曲のテンポが一段階加速し、続いたのは「シニカルサスペンス」。一人が歌うと、もう一人がそれを引き立てるかのように踊る。代わる代わる歌とダンスの担当が入れ替わる、そのコンビネーションに息を飲まされる。本楽曲の締めくくりには、歌詞の世界観を体現したマリオネット風の動きを見せる二人、その姿に観客の視線は集まった。

「ペンライトを使ってみんなで楽しんでいこうと思います!」

クールな表情から一転、満面の微笑みを向けてそう語ると、ハッピーなロックサウンドが響く。スタートしたのは「新世界ビーナス」だ。サウンドに負けじとハイテンションに振る舞うクララとカレン、その姿にこちらもアッパーな気持ちにさせられる。二人が会場に向け、ペンライトを指揮棒のように振ると、観客もそれにあわせて身体を揺らす。全身で音楽を楽しんでいることが視覚的にも感じられる瞬間だった。

ここに明るいサウンドで構成された「SHIORI」が続くと、その後、サウンドはクールな方向にスイッチ。赤と緑の照明がステージに近未来的な空気を作り出すと「nexus」が流れ出し、二人がシンクロしたダンスを披露、その精度に息をのまずにはいられなかった。
歌を終えると二人はそっとステージを去る。バンド隊がダンサブルなインスト楽曲を披露すると、観客が曲に合わせて身体を揺らす。そして、二人が再びステージ上に姿を表した。

「ClariSong Ranking!!」の発表、そしてラストスパートへ

舞い散る桜を感じさせる装飾が施された新衣装を身に纏い、再びステージ上に姿を表した二人。ここからはClariSオフィシャルHPにて募集されていた「ClariSong Ranking!!」のトップ5にランクインした楽曲を披露することが宣言され、5位から3位までをノンストップで歌い上げる。

5位にランクインした「with you」で、別れをテーマにした歌詞を軽快に歌い上げると、4位に続いたのは和を感じさせるダンスナンバー「恋待ちかぐや」だ。桜モチーフの衣装が楽曲にピッタリとマッチ、視覚的にも楽曲の世界観を感じることができるステージを披露する。そこに続いた3位は、和を感じるローテンポ楽曲「ひらひら ひらら」だった。大人な表情で本楽曲を歌う二人、その姿にはここまでで見せてきたClariSとはまた違う魅力があった。
「次は第2位の発表です!」そう告げるとドラムロールが鳴る。第2位に輝いたのは「Surely」。甘酸っぱくもハッピーなラブソングが、二人の透き通った歌声によって甘美なものとなり観客の耳に届く。

そして待望の第1位は「ミントガム」。「一緒に盛り上がってくれると嬉しいです!」と告げると、ダンサブルなテンポで本楽曲がスタート。会場全体が曲にあわせて身体を揺らし、サビでは手をふることで本楽曲を味わい尽くす。こうして「ClariSong Ranking!!」のコーナーは締め括られた。

演奏が終わると改めて「ClariSong Ranking!!」にランクインした楽曲について振り返るトークに。はにかみながらも各曲の思い出を語る二人の姿は非常に微笑ましい。そしてここで本ライブも後半戦に突入したことが語られる。

「みなさん、盛り上がる準備はバッチリですか?」

その問いかけに歓声が沸き起こる。そこに投下されたのは甘酸っぱいラブソング「ヒトリゴト」だ。歌詞世界にしっくりとくるキュートな振り付けを披露すると、その姿に観客が声援を送る。

そこに「CLICK」が続く、まさにラストスパートと言える楽曲の応酬だ。会場内のテンションの高さは、激しく揺れ動くサイリウムから明確に感じとることができた。そしてついにラストナンバーへ。

「1、2 1、2、3、4!」

本ライブの締めくくりとして披露したのは「ナイショの話」。最高潮のテンションに至った観客たちが「ハイ!ハイ!ハイハイハイ!」と声を揃える。会場が一体感は最高潮に至ったのを強く感じた。最後には「せーの!」という掛け声に合わせてジャンプ。着地と同時に音が止まり、今回のライブは締め括られたのだった。

ダブルアンコールで見せた新しいClariSの表情

アンコールが巻き起こると、そこに再びバンド隊が姿を見せる。幻想的なサウンドが会場を包み込むと、バンド隊の演奏によってそこに力強さが加わっていく。期待値が上がっていく会場、そしてついに二人が姿を現し、会場が再び湧き上がった。

お揃いのグッズTシャツに、クララはジーンズ、カレンはオーバーオール。これまでとは雰囲気の異なる、カジュアルな服装が観客の目を奪う。

「君とまた物語が始まるの」

披露したのは「reunion」。明るくハッピーな楽曲を、等身大の装いで歌う二人。その姿は見るものに多幸感を与える。曲の終わりには二人が身体全体を使って大きなハートマークを作ると、観客からは拍手が巻き起こった。

「本当に幸せな時間でした」

改めて今回のライブをそう振り返る二人。久々のライブハウス、初のバンドセット、振り返る内容は枚挙にいとまがなかった。自然体な二人の会話にも心が惹かれる。

そしてここでグッズ紹介、来場したファンとの初の集合写真撮影を経ての告知タイムに入る。新曲としてWinkの「淋しい熱帯魚」をカバーリリースすることが語られると「ClariSのコンセプトは21世紀のWinkだったんですよ、誰にも言ってなかったけど」というこぼれ話も出て会場を驚かせる。そしてこのアンコールパートもラストナンバーへ。

「交わした約束忘れないよ 目を閉じ確かめる」

披露したのは「コネクト」だった。ファンならば数えきれないほどに聴いてきたであろう本楽曲が、生バンドによる力強いアレンジで新たな魅力を帯びる。本ライブでしか味わえない魅力がその場に満ち、会場中は最高の多幸感に包まれたのだった。こうしてアンコールパートは締め括られた。

「もう一回!もう一回!」

会場からコールが沸き起こる。本ライブをもっと楽しみたい、そんな想いが開場中で声としてわき上がったのだろう。するとそこにエレクトリカルなサウンドが響き、煌びやかなドレスを着たClariSが再登場する。その衣装から次の楽曲を察した人も多かっただろう、ダブルアンコールで披露したのは、先ほどリリースが発表されたばかりの「淋しい熱帯魚」だ。二人は本楽曲におけるWinkの振り付けをコピーし、まさに“21世紀のWink”と言えるパフォーマンスを見せる。このサプライズに会場はClariSの新しい表情を目の当たりにした。拍手喝采の中で今回のライブは幕を閉じたのだった。

デビューから既に10年以上の月日が流れたClariS。その活動の間に多くのアップデートを見せてきた。顔を隠しての活動から素顔を公開し、Season02と言われる時期に突入。楽曲も幅もどんどん広がり、現在二人が歌う楽曲ジャンルは非常に多義に渡る。
そんな彼女たちは、今でも新しい試みに挑戦を続けている。初のバンドセットに、80年代ヒットソングまでカバー、今回のライブ一つをとっても、前進し続ける二人の姿を見ることができ、その姿勢には驚くと同時に尊敬の念を感じずにはいられない。
今後はどんな新しい一面を見せてくれるのだろうか? 今後もClariSが新しい扉を開いていくことを観ていきたい。

取材・文:一野大悟
 

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