ONE N’ ONLY、初の東名阪ホールツアー「Departure」は5周年の集大成となる圧巻なライブに
TikTokフォロワー数は驚異の580万人超と日本人男性音楽グループではNo.1を誇り、今年の4月にはブラジル3都市を回るワンマンでの南米ツアーも敢行。国境を超えて注目を集める6人組ダンス&ボーカルユニットのONE N’ ONLYが、初の東名阪ホールツアー「Departure」を開催した。結成5周年となる2023年は1月から5ヶ月連続リリースを行い、その最終弾となる2ndアルバム「Departure」を5月17日に発表した彼らだが、それらの新曲をふんだんに盛り込んだ今回のツアーは5月1日の名古屋・日本特殊陶業市民会館に始まり、7日の東京国際フォーラム、21日の大阪・堂島リバーフォーラムと3都市4公演がすべてソールドアウトに。2019年以来となる声出し解禁ワンマンということで、より熱い一体感を生み出すSWAG(ONE N’ ONLYファンの呼称)に5年間の感謝を伝えると共に、5年分の想いを詰め込んで新たな境地への出発=Departureを示すステージとなった。
メンバー紹介に続いて飛行機が大空に向かって飛び立つ勇壮なオープニング映像が流れると、“出発”や“飛び立つ”という意味のツアータイトルにちなみ、なんとステージ上には横幅いっぱいに巨大な飛行機セットが! その翼の上に操縦士風の衣装を身に着けた6人が並び立ち、ONE N’ ONLY初の主演映画『バトルキング!!-We’ll rise again-』の主題歌で、3月にリリースされたばかりの「We’ll rise again」からライブは幕を開けた。どんな壁にぶつかったとしても何度でも立ち上がるという熱いメッセージを込めたナンバーは、これまでのワンエン楽曲とは一味違うリアルなエモーションを放ち、EIKUとTETTAのハイトーンボーカルが力強くSWAGの心を鷲掴み。今、現在の彼ら自身の意志を指の先まで神経の行き届いた覚悟あるパフォーマンスで示しながら、艶めかしい色の強い「What’s Your Favorite?」でSWAGを甘く誘惑し、さらに、リーダーHAYATOのタイトルコールから始まったのが、アルバム表題曲でありツアーと同名でもある「Departure」だ。HAYATOからKENSHINへと高速ラップを繋ぎ、バチバチの重低音が床を震わせるイカつさ満点のナンバーは、展開の目まぐるしいダンスもすべてを蹴散らさんとするパワーに満ちて、触れるものみな燃やし尽くしてしまいそうなほどにデンジャラス。立ち上るスモークのなか、飛行機の機首を背にパフォーマンスする彼らの猛々しいオーラに、グループカラーである白のペンライトを振る客席からは歓声とも溜息ともつかぬ声があがって、ONE N’ ONLYの真骨頂は常にバージョンアップされ続けていることを証明する。
久々の声出し解禁ワンマンということで、「ずっとみんなの声聞きたくてウズウズしてました!」「声出していける?」と煽れば、テレビ中継の入った東京公演の2部では「テレビの前のみんな、元気ですか!」と、HAYATOが画面の向こうにまで挨拶する場面も。さらに、4月29日の結成日で無事に5周年を迎えられたことに感謝を述べ、「今日は5年間を感じられたり、その先も見据えて希望を持ってもらえるライブにしていきたいと思っています」という言葉から、まずは新曲2曲をお披露目する。本日5月7日に先行配信されたアルバム収録曲「OPEN」は、心を開いて曝け出せと呼びかけるディストーションの利いたゴリゴリのロックチューンで、「いくぞ!」というKENSHINの号令から逞しいダンスで畳みかけるクライマックスは圧巻。リアルに体感温度を上げたところで続いた「Reflection」はEIKUが作曲を、EIKUとTETTAが作詞を手掛けた4月配信の新曲で、2人にREIを加えたボーカル陣の歌唱力を全面に押し出したJ-POP感が新しい。東京公演のMCで「僕らのもがいている気持ちや希望が見えるんじゃないか」とTETTAが語っていた通り、自身の本音が赤裸々に綴られた歌詞と、その心情を描写するようなドラマティックな振付でもSWAGの目と心を惹きつける。さらに、ワンエン楽曲の中でも一二を争うほどハードな「YOUNG BLOOD」は、HAYATO、KENSHIN、NAOYAのラッパー組が一階ステージ、TETTA、REI、EIKUのボーカル組が機上を陣取る二段構えのパフォーマンスがダイナミックで、曲中「Um, Dois, Tres, Quatro!」とポルトガル語でカウントする南米人気の高い彼ららしいアレンジも。さらに“La la la la……”とSWAGたちと大合唱したあげく、6人揃っての緻密なダンストラックで客席のボルテージを休みなく煽り立てるのだから、観ている側も一瞬たりとも気が抜けない。
そこから恋の火遊びを歌う情熱的なラテンチューン「Get That」を挟んでは、ONE N’ ONLYの5年間を振り返るブロックに。まず「We Just Don’t Care」を弾き語るEIKUの優しい歌声をBGMに、5年間のライブシーンを振り返るムービーが流れ、緋色のシャツに黒のパンツとネクタイというシックなスタイルに着替えた6人が、EBiSSHのTETTA、REI、NAOYA、さとり少年団のEIKU、HAYATO、KENSHINの二手に分かれて現れる。飛行機の両翼に立つ2組が合流してデビュー曲の「I’M SWAG」を披露すると、そこからは代表曲をたどるメドレーで5年間の歴史を再現。「5年前、2つのグループが融合して一つになった僕たちONE N’ ONLY。デビュー曲『I’M SWAG』を披露して確かな手ごたえを得た。次の曲は俺たちのライブに必要な曲」というKENSHINの煽りから、オリコンウィークリーランキングで連続1位を獲得した「Dark Knight」に「Category」を連投されれば客席は大揺れだ。そして「まだまだ未完成な僕たち。この5年で仲間との別れだったり、みんなに会いたくても会えなくなってしまったり、いろんなことがあった。たくさんの壁にぶつかって、逃げ出したくなったときもすごくあった。完成はしないんだと思う。でも、SWAGがいてくれたら、僕たちは何倍も力を出せるし、どんなことも乗り越えられていける。これからも一緒に、幸せになろうね」とNAOYAが前置いた「Don’t worry」で、優しくSWAGの心を包んでいく。
そんな切なさの果てに、HAYATOが“居場所はここ”“この飛行軌道に間違いはない”“滑走路なんていらない”とソロラップで未来への決意を力の限り叩きつけ、“俺は俺 Shut up!”というワードから、揺るぎない意志を訴える「Shut Up! BREAKER」へと繋ぐ展開も見事。「次の曲はみんなも一緒に踊ってくれるかい? 初めて僕が振りを作って、TikTokにたくさん投稿してくれたときはメチャメチャ嬉しかった」とEIKUが微笑み、コロナ禍でも繋がっていられるようにと作られた「Video Chat」を今、ようやく共に歌い踊れる喜びもひとしおだ。最後に「5年間、僕たちはたくさんの壁にぶつかってきました。でも、いつもそんなとき、僕たちの近くにはSWAGのみんながいた。だから、これからも壁を壊して、唯一無二の道を進みます」とREIが宣言して贈られたのは「We Just Don’t Care」。シームレスで曲が続く怒涛のメニューに汗だくになりながらも振り絞るように歌い、身体で表現する彼らの姿からは、自分の信じる道を歩むことの尊さが伝わってくる。中でもTETTAの透き通るファルセットからのフェイクは鳥肌モノで、彼らの人気が単なるブラフでないことを実感。ONE N’ ONLYの過去、現在、未来と、まさしく歴史を感じられるメドレーに、NAOYAが「僕たちもやっていて感慨深かった」と語ったのも当然だろう。
歴史を総括したあとは、SWAGと共に今を“楽しむ”ことに専念。各メンバーから来場したSWAGへのメッセージを載せたムービーに続いては、グループカラーでもある白のセットアップに着替えた6人がモニター越しで連続リリースの第1弾「YOU???」をドロップする。フレッシュで心躍る曲調に乗せ、そのまま袖からステージへと飛び出すと、東京公演ではNAOYAが「5周年、未来に向かってDepartureしていくぞという想いを込めて」とツアータイトルの由来を説明。また、歴史を振り返ったメドレーにちなんで「ウィークリーランキングで1位を連続で取れたのは嬉しかった」(EIKU)、「いろんな番組でMVを取り上げてもらえて夢のようだった」(KENSHIN)と思い出話をする場面もあった。そして「みんながいてくれるから僕たちがいるよ」とNAOYAがタイトルコールした王道ラブソング「GIFT」では、ラッパー陣も含め全員が甘く歌いかけ、これまでダンスでSWAGと一体感を作ってきた「HOLIDAY」では、遂に“ワンエン愛してる!”というコール&レスポンスで一つに。さらに「この曲で、もっともっとブチ上がろうぜ!」と「Step Up」が始まると、メンバーは客席に下りて間近からSWAGたちを煽り、“無限タオル回し”で場内のテンションを最高潮へと引き上げる。本編のラスト曲「Last Forever」でも“いつまでも続く”という意味のタイトルにふさわしく、6人が軽快にステップを踏み、飛び跳ねるダンサブルなビートの中から“君と見つけ出すNeverland”への希望があふれ出して、雲間を飛び翔る映像をバックにキャノン砲からは銀テープが。その後に沸き起こった“ワンエン!”コールは、まるで海外ライブのような熱狂ぶりで、「Last Forever」でHAYATOが放った“世界巻き込んで”というラップの通り、彼らがブラジルから持ち込んだ熱が確かに日本にも根付いていることを感じさせた。
アンコールは「愛を届けます!」と、これまでライブの最後を飾っていた「My Love」で幕開け、東京公演では「当たり前だったものが戻ってきてすごく嬉しい。ONE N’ ONLYが世界に向けて挑戦できているのも日本のSWAGのおかげだと思っております」とNAOYAも感謝。KENSHINは「声を出せるって最高!」と顔を綻ばせ、HAYATOは「ブラジルでのライブも良い刺激にもなったし、みんなを側に感じながら世界に挑戦していきたい」と抱負を述べる。また、大阪公演ではNAOYAが「ここでみんなにお知らせがあります!」と言い、8月20日にZepp Haneda(東京)、8月27日にZepp Namba(大阪)で初のFCツアーとなる「ONE N’ ONLY FC TOUR 2023 ~Welcome to SWAG」の開催が発表され場内からは大きな声援が。「SWAGの輪を広げるためのイベントなのでお友達や家族、大切な人を誘って遊びにきてください!」と満員のSWAGに呼びかけた。その後、「日本からブラジルの距離を表した曲です。地球のどこにいても日本にいるSWAGから絶対離れないし、いつも側にいます」(TETTA)と贈られたのが、全英詞のアルバム新曲「10,000miles」。日本から遠く離れた世界中のファンに、そして世界へ飛び立つ彼らを見送る日本のファンに向けて書かれたロッカバラードの旋律を、心を込めて紡ぐ6人の背後には、4月に行われた南米ツアーの模様が映し出され、ONE N’ ONLYが海を越えて愛されていることを思い知らせる。そんな彼らにペンライトを大きく振って白い光を捧げるSWAGたちに、「最後は一緒に歌って踊って、最高に楽しみましょう!」と返されたのは、これもアルバムからの新曲「Call me」。トロピカルなレゲエ調に乗せて“好きにやってこう”“君のままでいい”とポジティブなメッセージを伝え、大きく腕を振って“いつもの場所で会おうよ”と再会を約束し、「また、みんなと楽しい時間過ごしたいなぁ」(NAOYA)と6人でポーズを決めれば「可愛い!」の声がSWAGから湧く。オラついた楽曲で圧倒し、近寄り難い空気感を漂わせると同時に“可愛い”を感じさせ、そのどちらも嘘偽りのないONE N’ ONLYであるというのが、きっと彼らの“ONE N’ ONLY(=唯一無二)”なチャームポイントなのだろう。
最後までカメラに向かって指ハートと投げキスを繰り返し、口々に「愛してるよ!」と告げたエンディングで、NAOYAは「未来に向かって、ずっと突っ走っていきます!」と決意表明。5周年という節目を迎えたONE N’ ONLYにとって、ここが新たな“Departure(=出発)”であるに違いない。2023年は4月の南米ツアーのみならず、結成5周年を記念した5大プロジェクト「5 N’ 5」を実施中の彼ら。5ヶ月連続リリースも今回の東名阪ホールツアーもその一環であったが、2023年もまだまだ前半戦だ。6月25日にはツアー「Departure」の追加公演が東京国際フォーラム ホールCにて二部制で開催されるうえ、5月末まで東急東横線・田園都市線をジャックした「ワンエントレイン」も運行中。文字通り、どんな“世界”が彼らを待ち受けるのか、まだまだ興味は尽きない。
写真:笹森健一
文:清水素子
セットリスト
M1:We’ll rise again
M2:What’s Your Favorite?
M3:Departure
M4:OPEN
M5:Reflection
M6:YOUNG BLOOD
M7:Get That
M8:I’M SWAG
M9:Dark Knight
M10:Category
M11:Don’t worry
M12:Shut Up! BREAKER
M13:Video Chat
M14:We Just Don’t Care
M15:YOU???
M16:GIFT
M17:HOLIDAY
M18:Step Up
M19:Last Forever
EN1:My Love
EN2:10,000miles
EN3:Call me