cali≠gari、期待を裏切らないアイデアに満ちたニューアルバム『16』全曲解説

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cali≠gari (2023年4月23日 コネクト新宿)

cali≠gari (2023年4月23日 コネクト新宿)

6月下旬よりスタートする全国ツアー『銀河鉄道の夜』も間近に控えるなか、cali≠gariのニューアルバム『16』がいよいよ到着。歌舞伎役者の坂東彦三郎による台詞と不敵な切腹コールに始まり、夏の夜空を駆け巡る銀河鉄道の旅で締め括る本作は、三者三様の個性を放った『16予告版』における期待を裏切らないアイデアに満ちた仕上がりだ。その制作過程やリリース直後からのツアーの構想について、桜井青(Gt)、石井秀仁(Vo)、村井研次郎(Ba)の三人に話を訊いた。

──前回の『16予告版』の取材では、『16』のキーワードとして“原点回帰”を挙げていらっしゃいましたが……。

桜井:その予定だったんですよ。ところがほら、『予告版』でもうすってんころりんってなってしまって。「都市人」も「燃えろよ燃えろ」も元気いっぱいだったでしょ? 世界観的にはそんなに元気いっぱいでもないですけど。

──その2曲は確かに明るい曲調でした。

桜井:自分の曲だと相変わらず、生き死に関係のものが増えてると思いますね。映画もそういったものを観がちで。去年だと『PLAN 75』が圧倒的でした。“結局、生き残ってどうするの?”っていう映画で。われわれも高齢化社会に突き進んでいて、未来の日本ってけっこう想像できないですよね? 孤独死も増えてるじゃないですか。だから死に方ぐらい選びたいよなって、最近はそんなことを突き詰めて書いていて。一人で死にたくないっていう『15』の“光と影 -His Master's Voice-”から、いまはもう〈やりたいことやったら死んでもよくね?〉って感じになってます(笑)。

──そうすると、青さんは今回も死生観に関するテーマを継承しつつ、石井さんと研次郎さんもそれぞれ書きたいものを?

桜井:まあ、各々のテーマ性で作ったってところじゃないですかね。自分としては、どの曲もてんでばらばらのようでいて一本の線で繋がってる。そういう死生観で書いてます。

■「切腹 -life is beautiful-」

──そういうことでしたら、1曲ずつ伺いましょうか。まずは冒頭の《いかようの重罪にもおよぶべくところ、すべよく切腹仰せつけられ、ありがたく存じ奉る…》と「切腹 -life is beautiful-」。ここには坂東彦三郎さんも参加されていて。

桜井:そうですね。歌舞伎の掛け声はもともとサンプリングを入れてたんですけど、研次郎君が同級生らしいので。

村井:同級生の友達ですね。二人とも歌舞伎役者ですけど。

桜井:今回はその縁で、直接台詞を入れていただいたって感じです。

──サウンドは歌舞伎×ポストパンク調と言いますか。

桜井:ほんとは人力ハンマービートをやりたかったんですけどね。

石井:ハンマービートっていうか、厳密に言うとキックが8つ打ちだからね。全編であのテンポの8つ打ちは厳しいってなって。だから、最初はもっとEBMっぽかったってことだよね。

桜井:音決めしながらヌルッと法則性無く叩いてたらそれが良い感じで結果ポストパンク調に。

石井:最初に聴いたときは初期のニッツァー・エブみたいな感じだったんだけど、ギターがDNAっぽいっていうかNYパンクみたいだから、そういう感じになりましたね。

cali≠gari/桜井青(Gt) (2023年4月23日 コネクト新宿)

cali≠gari/桜井青(Gt) (2023年4月23日 コネクト新宿)

歌詞には“やりたいことやったらもう死んでよくね?”ってことを入れてるんです。全部、自分の死に様を自分で選んだ人たちの辞世の句なんですよ。

──歌詞のほうはいかがです?

桜井:歌詞にはさっき言った“やりたいことやったらもう死んでよくね?”ってことを入れてるんですけど、これって全部、そんな人たちの辞世の句なんですよ。大石内蔵助、三島由紀夫と、特攻の父・大西瀧治郎。皆さん、自分の死に様を自分で選んだ人たちですね。で、1曲目に入れてもらった台詞は歌舞伎に「元禄忠臣蔵」っていう演目があって、その最終幕で大石内蔵助が切腹を言い渡される……本当は切腹させてもらえないぐらいの大罪を犯してしまってるのに切腹をいただいたので、ほんとにありがたい、みたいなことを言ってる有名なものらしいです。

──切腹させてもらえるのはむしろありがたいんですね。

桜井:武士にとっては名誉みたいですよ? で、それに対してこんなバカみたいなサビを(笑)。

石井:中高生が聴いたら藤崎マーケットだって思いますよね。

桜井:僕としては、ホストクラブで酒を飲ませるときのコールなんだけどね。(手拍子しながら)《腹切ってこうぜ~! ラーイ♪ ララララーイ♪》って(笑)。

■「禁断の高鳴り」

──ずいぶん不穏なコールです(苦笑)。では、続いて石井さんが書かれた「禁断の高鳴り」。歌詞にあるような、シンプルなロックチューンですね。

石井:最初はもう、中学生でも演奏できるようなほんとに簡単な曲っていうのが頭にあって。たとえば、「Anarchy In The U.K.」って超名曲じゃないですか。「GET THE GLORY」でも、メタルでもパンクでも何でもいいんだけど、ギターを買った人が最初にコピーしてみようって思うような、簡単なコードの組み合わせなんだけどポップでシンプルなもの。そんな曲ができないかなと思って作ってみたら、割とよくできたなと思ってます。シーケンスもいっさい入れず、ギターも重なってない。cali≠gariでは珍しいんじゃないですかね。

村井:この曲、僕にはグラムロックっぽく聴こえるんですけど。ギターの音がクイーンとかTレックスみたいな感じだったら、すかんちですよね?

──そこを少し外してあるのがcali≠gariらしさなのでは?

桜井:そういった方法論を今風にブラッシュアップしてるって感じですよね。石井さんも私もグラム好きですし。お互い好きな方向性は違いますけどね、こっちはモロにTレックスとかで。

──石井さんはボウイですか?

石井:グラムみたいなときのデヴィッド・ボウイはそんなに好きじゃないです。俺は『Low』『Lodger』『Heroes』とかそのあたりだから。

桜井:デヴィッド・ボウイって、サウンドは言うほどグラムじゃないですよね。

石井:ぜんぜん。

桜井:自分のなかのグラムって、ブギっていうイメージが強いから。

──「禁断の高鳴り」もちょっとブギっぽさがありますよね。

石井:まあ、そうですね。でも、もともとはすごい打ち込みが入ってたんですよ。ベースもシンベで、曲もちょっとバナナラマの「Venus」みたいな感じで。だけど、作ってるうちに“これ、ギターのジャーンでいけるな”って思えてきて、シーケンスを全抜きしてみたらぜんぜんかっこよかった。結果的に抜いてよかったです。

■「狂う鐫る芥」

──そして、次は『予告版』にも収録されていた「狂う鐫る芥」です。

桜井:これはもうそのままでいいかなって。ドラムは入れ替えてるんですけれど。

──ササブチヒロシさんが叩かれてますね。

桜井:はい。それで一回、同期とかシンセを全部抜いてみたんですけど、この曲は入ってたほうがよかった(苦笑)。ただ、大サビあたりはリズムがぜんぜん違うので、より重くはなってますね。

■「赤色矮星」

──で、5曲目は「赤色矮星」。研次郎さんと石井さんの共作曲です。

村井:曲は前から何となく作ってました。2000年以降のメタルってあんまり聴いてないんでそこらへんを意識して、青さんの左手が一回も動かないメタルを作ろうと思ったんです。で、最初は歌詞もメロも自分で作ってたんですけど、秀仁君から「これはLa'royque de zavyだ」って言われて……あ、La'royque de zavyって知ってます?

──はい。cali≠gariによく似た“密室系唯一無二の正統派V系バンド”ですね。

村井:そう、そのLa'royque de zavyになっちゃったものを秀仁君がガバッと変えてくれて。

石井:研次郎君が作ったものを一回その通りに歌ってみたら、このままだと誤解されるぞと。zavyみたいにふざけてやってるってことが誰にでも伝わればいいんだけど、そうでもなくて。

村井:そこに秦野(猛行)さんのキーボードが入ったら、さらにzavy度が加速してったんですよね。

石井:だから直してるところがけっこうあって。自分のところもそうだし、秦野さんのところは勝手に間引いたら怒られるなと思って(笑)、お互いに意見を出しながら追加するものと取るものを調整していって。

村井:ほんと助かりました。“星”がモチーフの歌詞もこのアルバムに合ってるし。

石井:研次郎君が最初に書いてた歌詞は、“月にかわって”みたいなタイトルで、それらしいことを言ってたんですよ。

──“月にかわって”となると“おしおき”ですよね。

石井:そう、だから俺は逆に、おしおきされたほうの歌詞にしたんです(笑)。「赤色矮星」は真っ赤に光ってる惑星だけども、それは温度が低くてたいしたことないから赤いんですよ。だから、名前と見た目はめちゃくちゃかっこいいんだけどぜんぜん平凡な奴で、要は弱い雑魚。そういう人たちが月の裏側を想像してますっていうふうに目線を変えました。

■「脱兎さん」

cali≠gari/石井秀仁(Vo) (2023年4月23日 コネクト新宿)

cali≠gari/石井秀仁(Vo) (2023年4月23日 コネクト新宿)

そんなに投げやりなつもりはないんですよね。前向きっぽく勢いのいいことを書いたりすると投げやりな感じがするんでしょうね、きっと。

──そして次は石井さんの曲で「脱兎さん」。パンキッシュな曲かと思いきや、サビでメロディアスに激変しますね。

桜井:この曲、やってることは簡単なのに、延々と展開が変わるんですよ。コードが1、2、3、1、3、2、3、1、2って感じでけっこうややこしい。なんで(笑)?

石井:なんでだろう(笑)? この曲は初期パンクの名曲と自分のなかでの名曲を何曲かくっ付けたみたいなものにしようと思ったんですよね。で、これも打ち込みの要素を増やしてたら「マッキーナ」系のバカみたいな曲になったと思うんですけど、「禁断の高鳴り」と同じくシーケンスを全抜きしてパンキッシュ押しにしたというか。

──ただ、最後までパンキッシュ押しでもないですよね?

石井:そこは、みんなが知ってるパンク──ピストルズだとかダムドだとかに対して、俺のなかでのいちばんのパンク、ワイヤーが入ってくるからなんですよ。サビのメロディアスな部分っていうのがセカンド、サードぐらいのワイヤー展開で。あと、そのファルセットの部分を抜けたあとにもう一回メロがくるじゃないですか。そこは80~90年代のホコ天みたいな、そういうビートパンクで終わっていこうと。だからわざとやってます(笑)。

──歌詞は少し投げやりに思えますが……。

桜井:だって“脱兎”ですよ?

石井:まあ、それはcali≠gariの今年のアー写がうさぎだったりっていうのにもかかってたりするんで。あとは普通に、“これって「うさぎとかめ」の歌ですか?”みたいな(笑)。いろいろイメージできるけど、たいしたこと言ってるわけじゃないです。

──そういう意味でもシンプルなんですね。

石井:そうそう。最初のほうで《面倒くさいからもうやめた》みたいなことも歌ってると思うんですけど、そんなに投げやりなつもりはないんですよね。前向きっぽく勢いのいいことを書いたりすると投げやりな感じがするんでしょうね、きっと。

■「紫陽花の午後」

──次の「紫陽花の午後」はリバーブの効いたスロウナンバー。ギターの音がいいですね。

桜井:ありがとうございます。実はこれ、一昨年ぐらいにコロナ禍のなかでdeadmanとツアーを回ったときの曲なんですよ。名古屋でaieと弾き語りをして、“二人で1曲ずつ作ってデモで出そうよ”みたいな話をして。ギターもそのときの安いエフェクターの音をそのまま使ってるんです。それにアコギを追加して、ギターソロみたいなところもその場で弾いた一発録り(笑)。この曲はどっちかっていうと歌詞がメインなんですね。日本じゃ品種改良でもされてない限り赤い紫陽花なんてそうそう咲かないって知ってる人だとこの歌詞を楽しめるかと。《私のからだに紫陽花が咲いてた》っていうのも、つまりそーゆーことです。

──ああ~、なるほど。

桜井:これもひとつの達成感ですよね。わりと「トイレでGO!」にも繋がってるという。トイレに流されるよりは花になる方がまだ救われるというか……いや、救われないですね。暴力反対(笑)。

■「夜陰に乗じて」

cali≠gari/村井研次郎(Ba) (2023年4月23日 コネクト新宿)

cali≠gari/村井研次郎(Ba) (2023年4月23日 コネクト新宿)

ベースはとにかく弾きまくりました。僕、こういう曲とか前回の「100年の終わりかけ」みたいな曲って全部『サザエさん』に聴こえるんですよ。

──確かに……。そして次は研次郎さんが作曲の「夜陰に乗じて」。『予告版』の「都市人」ではなくEP『A.B.C.』からの楽曲です。

桜井:トーンからして圧倒的にこのアルバムに合うから、「都市人」ではなくこの曲に。前回のアレンジはちょっと同期が多めでしたけど、曲のポテンシャルが高いから音数はもっと薄くてもいいだろうってことで、今回はサックスとピアノを入れて。そうしたら案の定、めちゃめちゃいい感じになりましたね。

──もとの曲はどういうテーマで書かれたんですか?

村井:以前の「鐘鳴器」もそうですけど、3拍子のこういう曲、すぐ作りたくなっちゃうんです。僕、ZIGGYの「午前0時のMERRY-GO-ROUND」がすごく好きなんですけど、たぶん、ああいうビートが好みなんでしょうね。あと、この曲は秀仁君の歌詞が素晴らしくて。「夜陰に乗じて」って言葉、僕は知らなかったです。“夜陰に乗じちゃって”なんて普通は言わないですもんね。

桜井:(笑)普通は“どさくさにまぎれて”ですね。

石井:歌詞とかメロディーを作ったりしながら何かを調べたりはしないんだけど、不思議とそういうのが出てくるんですよ。これもパッと浮かんで、“おっ、このままいけるな”って。cali≠gariの曲ってそれらしいタイトルをつけなきゃいけないっていうか、英語を使わないとかそういう使命感もあるから、作るときは勝手にcali≠gari脳になってるんですね。あと、青さんからの影響もあるかな。青さんって昔からタイトルがちゃんと歌詞のなかに出てくるんですけど、俺は初期の頃、そういうのがぜんぜんなかったんですよ。そんなことよくできるなと思ってて。だけど、どこかのタイミングから絶対乗らなそうなワードをいかにタイトルと歌詞に乗せるか、それを意識するようになったんですよね。最初はあえて自分に課してたところがあったけど、いまは自然とやれてますね。

■「果て描く真っ平な日差し」

──その次の「果て描く真っ平な日差し」もそんなパターンですね。

石井:それこそ究極ですよね。まさかそれがサビの頭だとは思わないじゃないですか。

──政治的な意味合いもありそうな歌詞ですが、わりと個人の話といいますか。これまでの曲でもあった、“何となく生きている”という内容ですかね?

石井:うん。そういう感じですね。

──この曲の担当は、歌詞と編曲が石井さんで、作曲が青さんです。

桜井:石井さんからは“メロはないほうがいい”って言われて。でもこちらはメロがないと作れないから、“じゃあ、ここまでは作ったから、その先は石井さんが好きにやってください”って。だから、大サビ以降は石井さんが作っていて、その前は自分で。自分のパートに関しては、いままでやったことのないような曲をやってみようと思って、仮タイトルは「甘い罠」でした(笑)。それこそグラムみたいなメロが乗っていて。

石井:俺が“メロはなしのほうがやりやすいよ”って言ったのは、仮だとしても自分でメロディーを作っちゃうと頭のなかにイメージが残るから、違うものを歌われたときに違和感を感じてしまうんじゃないかと思ったからなんですよね。でも、適当に変えていいって青さんが言うんで、前半パートから後半パートの想像がつかないような、一気にガラッと変わるものにして。それで後半はコード進行とかも含めて完全に俺の世界観になってるんですよ。

村井:ベースはとにかく弾きまくりました。僕、こういう曲とか前回の「100年の終わりかけ」みたいな曲って全部『サザエさん』に聴こえるんですよ。だから長閑な感じにならないよう、ベースはちょっと攻撃的にがんばりました。

■「燃えろよ燃えろ」

──その結果、物凄いベースになってるんですね(笑)。そして、次は『予告版』からの「燃えろよ燃えろ」です。

石井:歌も歌い直してるし、シンセも新しく追加したりでかなり変わってますね。最後の部分はちゃんと終われるよう、ライブのときのアレンジにしました。

桜井:僕は、石井さんにいいソロ弾いてくれって言われて(笑)。

■「Engaging Universe」

──ああ、確かにいいギターソロが入ってますね。そして、次はSOFT BALLETのカバーで「ENGAGING UNIVERSE」。アレンジに“原曲の印象は損なわないよう”という意図が感じられます。

石井:そうですね。どちらかというと原曲そのものなアレンジなんで。でも、それが絶対いいと思うんですよ。俺はカバーとかだと基本的に大きく変えることが多いけど、この曲は変えたら……。

桜井:よくない。

──そもそもは森岡賢さんの追悼ライブで披露されたものでしたが、なぜこの選曲を?

桜井:まあ、個人的には「TANGO IN EDEN」とか「BORDER DAYS」とか「SOMETHING AROUND」とかやりたい曲はいっぱいあるんだけれど、それは森岡さんへの手向けになるような曲ではないから、もっと大きなメロディーの曲っていうと「ENGAGING UNIVERSE」がいちばんだなっていう。

石井:わかりやすいってところでね。

桜井:ほんとに名曲ですからね。

■「銀河鉄道の夜」

 

──そして最後は「銀河鉄道の夜」ですが、この曲にも現時点での青さんの死生観が反映されているという?

桜井:死生観というか、やっぱり“やりたいことをやって死にたいよね”ってことを書いてますね。「銀河鉄道の夜」は安易に手を付けてはいけないテーマだから、最初からがっつり読み直して、いろんな人の研究も読んで。第4次稿と第3次稿以前だとぜんぜん解釈が違うし、比較的わかりやすいアニメも観たんだけど、結局、宮沢賢治は何を言いたいんだ?って感じになりました(笑)。漠然とわかるのはあの人の死生観くらいで。現実世界における自分自身と死んだ妹を投影しているせつない話ですよね。第3次稿までは“銀河鉄道”とは何ぞやみたいなことがブロカニロ博士によって語れれてますけど、最終第4稿ではそのブロカニロ博士が存在しないため全てなかったことにされてしまい、考察が迷子(笑)。歌詞書き終わるまでいろんな方の研究のお世話になりっぱなしでした(笑)。

──サウンドはとてもファンタジックですよね。

桜井:もっとヒリヒリしたドライな感じにするつもりだったんですけど、気付いたらすごい夏の湿気感じるシンフォニックになってたっていう(笑)。この曲だけキラキラしすぎてないかなって。1曲目のほうがよかったのかなって思っちゃうよね(笑)。

石井:まあ、それもアリでしょうね。生のストリングスでやれたらよかったですね。

──それはライブでいかがですか?

桜井:まあ、どちらにしてもこの曲、『16』のアレンジでやれるのは今回のツアーだけになると思うんですよ。次回からは変えようと思ってて。

──ツアーの構想はもうあるんですか?

石井:一所懸命に曲を演奏するってことですかね(笑)。

村井:初日が終わったらいろいろ考えることが出てくるでしょうね。

石井:いまの段階では、お客さんのリアクションがわからないからね。そこがやっぱり重要なのかなと思って。たとえば今回から声出していいですよとか、マスクはしてるんだろうけどお客さんの自由度が上がったとき、こっちが投げるものに対してどういうリアクションがあるのか。近年はお客さんも一緒に歌えるような曲を作っても声を出してはいけないって状態だったから、それがいったいどうなるんだろうっていう。

桜井:声出しOKのライブはワンマンだと今回のツアーがほんとに久々で。『15』のときも、声出し可能になったとき用にエネルギッシュな曲を作ってたじゃないですか。だからそれも含め、今回のセットリストには声出しメインの曲をガンガン入れてるって感じですね。

──そして、ツアー中の9月には結成30周年を迎えますが。

桜井:30周年のことは考えてないです。まずはいま、30年目をがんばらなくちゃねって。

──いまはとにかく次のツアーに全力投球ってことで。

桜井:そうですね。(謎の圧で)がんばります!

取材・文=土田真弓

 

 

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