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DISH//、全国18公演ホールツアーを完走 EPリリースと年末アリーナライブ開催を発表

アーティスト

写真:Ray Otabe

5thフルアルバム「TRIANGLE」を引っ提げたツアーということで、ステージ上空には巨大なトライアングル型オブジェが。定刻になると、グリーンのセットアップ姿の北村匠海(Vo/G)、矢部昌暉(Cho/G)、橘柊生(DJ/Key)、泉大智(Dr)が登場。1曲目は「沈丁花」で、ファンとの再会を祝う温かな幕開けとなった。

「TRIANGLE」を携え、約2ヶ月かけて、16ヶ所18公演のツアーをまわってきたDISH//。「No.1」「FLAME」といったアッパーチューンを通じて繰り出されるバンドサウンドはツアー出発前と比べて格段に力強く、バンドの成長が感じられた。さらに、今回のツアーからマスクを着用したうえで声出しが解禁に。マイクを持って前に出てきた橘が「みなさん、元気でしたか!?」と呼びかけると、観客は大きな歓声をステージに届けた。これに対して、橘は「いい声だ!」とリアクション。そして「俺らの今日の気合いの入り方、半端じゃないです。ちょっと見といてください!」と「B-BOY」へ突入だ。北村&橘の2MCはいつになくキレキレで、橘の言う通り、確かに気合いで漲っている。

続いては、「TRIANGLE」収録曲を中心に披露するセクションへ。北村作詞、矢部作曲によるミドルナンバー「マチネソワレ」は、ロックバンドならではのロマンを感じさせる雄大な響き。橘作詞作曲による「スパゲッティ」は、〈一緒に手をあげよう〉など、ライブでの光景が想像できるフレーズが盛り込まれた曲のため、DISH//と一緒にこの曲を楽しめる日を待ち望んでいたファンも多かっただろう。予習ばっちりのファンが、歌詞の通りに体を動かしながら盛り上がる。続いて北村が「じゃあ曲に合わせて右へ、左へ」とステップを踏むよう提案し、オーディエンスを華麗にエスコート。さらに間奏では泉の叩くリズムをマネしてみんなで手を叩いたりと、楽しい要素が盛りだくさんだ。そしてR&B的なフィールの「缶ビール」を挟み、4人で作った曲「ブラックコーヒー」へ。北村のギターカッティングに、躍動的なビート、凛とした音色の鍵盤、空間を切り裂くギターが重なり、楽曲が形作られていく。スタジオセッションで生まれた曲ならではのワクワク感が、4人の演奏を通じて観客にも伝染していく。

ライブ中盤のMCでは北村がアルバムについて、「僕らはまだまだ未熟だけど、それでも僕たちが作ったもの、出会ってきた人たち、思っていることをすべて形にしたのが「TRIANGLE」」と語った。それを踏まえて「次の曲は作るのに一番かかったし、思い入れがあるし、みんなに届けたい想いがすごく詰まっている曲です」と紹介したのは、“一瞬一瞬を大事にしてほしい”という想いが込められたバラード「五明後日」。感情のこもった北村の歌唱も素晴らしいが、歌を立たせるために他の楽器が一歩引くのではなく、それぞれが懸命に命を燃やしているのがいい。次に演奏された「猫」は、何度も演奏してきた曲だけに、各楽器やコーラスの旋律一つひとつが北村の歌にぴったりとフィットしていた。4人が一つの命となり、泣いたり笑ったりしている様にバンドの絆を垣間見る。ここで、ツアー中に配信リリースされた新曲「エンドロールは悲しくない」を披露。希望の光を感じさせる演奏を場内に響かせた。直後のMCで「初披露、よかった?」と観客に尋ねたのは橘で、客席からの拍手に微笑みながら「楽しかったですね」と頷いたのは泉。バンドの最新モードへと手応えを覗かせた。

「今回のツアー、初めてメンバー全員で完走できました!」(橘)、「去年の自分には打ち勝ったってことで!」(矢部)といった具合に4人で和気あいあいとトークしたあと、唐突なタイトルコールとともに始まった「キット」は不意打ち感があったが、イントロが鳴る否やすぐさま反応、身体を動かしながらノッている観客はさすがとしか言いようがない。さらに「KICK-START」では、泉とサポートメンバーそれぞれがソロを披露。しかし見せ場はそれだけではなく、直後に待つのはエレキギターを弾く北村&矢部とショルダーキーボードに持ち替えた橘が、ステップを踏みながら楽器を掻き鳴らすターンだ。3人揃って音の弾丸と幸福感を客席へとぶっ放す。そして次の曲は、北村が「FUJI ROCK FESTIVAL ’22」を観たことがきっかけで生まれた曲「揺れてゆく」だ。演奏前に、「いつかみんなの声が聴ける“当たり前”が戻ったら、こんな曲をみんなと一緒に歌いたいなと思って作った曲です。今日その夢をみんなと叶えさせてください」と語っていた北村は、もっともっとと観客を煽るようなしぐさをしながら、嬉しそうな表情で、大音量のシンガロングを受け取っていた。

「最後はDISH//らしく、みなさんのハートをぶち上げていきますけど、ついてこれる?ついてこい!」(北村)とライブは終盤へ。泉の爆裂2ビートに、橘のインパクト抜群の歌い出し、矢部のギターから鳴るぶっとんだ音色に、ジャケットを脱いで歌う北村。メンバー全員タガを外したようなテンションで臨むのは、泉作詞作曲の「TRIANGLE」収録曲「FLY」だ。ここで北村が「さあ、準備運動もういいか?」と、これはあくまで助走だという恐ろしくも頼もしい一言を告げる。「声出していけますか! お前らの魂見せてみろ!」と始まった「勝手にMY SOUL」では、会場がみんなの熱気で破裂してしまうんじゃないかと心配になるほどの盛り上がりが生まれた。こうなったDISH//とスラッシャーはもう誰にも止められない。そのうえ「東京のみなさん、最高っす! こっちにまで熱が伝わってきてます!」と笑顔の橘がさらに観客を煽るものだから、「JUMPer」ではもっとすごいことになる。そして「らったったったた♪」というコール&レスポンスからの「万々歳」が本編最後の1曲。DISH//の最新ダンスロックナンバーで以って全力で遊びきった。

止まない「おかわり」コールと拍手に応えたアンコールでも、ハイライトが多数生まれた。「SAUNA SONG」では熱狂の本編により完全に温まりきった観客がシンガロングし、北村が親指を立ててナイスと伝えた。ライブ前日に配信リリースされたばかりの新曲「ウェディングソング」は、泉が親友の結婚に際して書いた曲だが、この日は北村が「今日は僕たちからのプレゼントということで」という言葉を添え、観客一人ひとりに届けた。そして「愛の導火線」までを終えると、北村が「“何かが終わると何かが始まる”ってよく言いますけど、本当にそうだと僕は思ってます。ツアーは特に」と語り始める。4人にとっては “全国で待ってくれている新しい仲間を見つけた約2ヶ月間だった”という今回のツアー。ショッピングモールでライブをしていた頃は、一人でも多くの人に観てもらうため、自分が歌っている最中にも関わらず、他のメンバーがチラシを配りに行ったりしていた。元々楽器の経験がなかったから、ギターとベースの違いも分からなかった。そんな時代のことも鮮明に覚えているからこそ、「DISH//を好きだって人がこんなにもたくさんいることにびっくりしてます」と今でも目を丸くする。そして「次のツアーではどんな仲間が会えるんだろう」と未来にワクワクしている。

「また新しい明日があって、また新しいツアーがあって、そういうことの繰り返しの中で奇跡みたいなカケラを拾い集めるのが人生だと僕は思う。だからみんなの顔を見ていると“今日は最高だった!”って声を大にして言いたくなるし、“なんかわからないけど最高だったな”というプレゼントを持って帰ってもらえればと思います」

「僕も人間だからいろいろなことがあるわけで、きっとみなさんもいろいろなことがあったりなかったりする。それはみなさん一人ひとり主人公だからです。一人ひとりの人生があって、一人ひとりの明日があって、同じものは存在しない。今が苦しいかもしれない。今がつらいかもしれない。でも、どうか、自分という主人公をぜひとも信じてあげてほしいなと。あなたの未来はあなたにしか描けない。僕の未来は僕にしか描けない。あなたの背中を押したくてこの曲をラストに持ってきました。今日は本当にありがとう」

そんな言葉とともに、「TRIANGLE」のラストナンバーでもある「真っ白」を力の限り歌い鳴らすことで、DISH//は充実のツアーを締め括った。全曲演奏後には、SNS投稿用の“ご当地ハッシュタグ”の発表へ。ツアーファイナルのハッシュタグは “#DISH_HAPPY”。ここで全公演のハッシュタグをまとめた画像を斜め読みすると “いーぴーはつばい決定”になるという種明かしをするとともに、DISH//初のEP「HAPPY」を8月9日にリリースすることを発表した。併せて、12月2日・3日にぴあアリーナMMでワンマンライブ「DISH//ARENA LIVE 2023「HAPPY?」」を開催することも発表。会場は歓喜の声で溢れた。なお、「DISH// ARENA LIVE 2023「HAPPY?」」のチケットは、7月9日23:59までFC会員限定先行受付中のため、FC会員の方はお見逃しなく。

感染症対策のため長らく控えていたものの、DISH//のライブでは定番だった紙皿を客席へ投げるパフォーマンスを久々に行い、ライブはハッピーな空気とともに終了した。「DISH// HALL TOUR 2023 “TRIANGLE”」はフィナーレを迎えたが、DISH//の活動は勢いを増すばかり。EP「HAPPY」、そして「DISH// ARENA LIVE 2023「HAPPY?」」に関する続報も楽しみにしていたい。

(取材・文:蜂須賀ちなみ)

セットリスト

M1. 沈丁花
M2. No.1
M3. FLAME
M4. B-BOY
M5. マチネソワレ
M6. スパゲッティ
M7. 缶ビール
M8. ブラックコーヒー
M9. 五明後日
M10. 猫
M11. エンドロールは悲しくない ※5月31日リリース/ライブ初披露
M12. キット
M13. KICK-START
M14. 揺れてゆく
M15. FLY
M16. 勝手にMY SOUL
M17. JUMPer
M18.万々歳
– ENCORE
EN1. SAUNASONG
EN2. ウェディングソング ※6月28日リリース/ライブ初披露
EN3. 愛の導火線
EN4. 真っ白

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