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yosugalaが駆け上がる成功への階段、結成1周年記念ライブO-WEST公演でみせた力強さ

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yosugala

yosugala 撮影=真島洸

yosugala「ヨモスエダカラ」 2023.06.22(thu) Spotify O-WEST

6月22日、yosugala結成1周年記念ライブがSpotify O-WESTにて開催された。最初に本公演の開催が告知されたとき、1周年でO-WESTワンマンというスピードに驚いたが、後日さらに驚くことになる。なんとチケットが先行発売初日に即完したのである。大きなレーベルに所属しているわけでもなく、何かで派手にバズったわけでもない。ただ、コツコツとステージを重ねてきただけである。実際、それが最も重要なことなのだが、このスピードはなんなんだろう。おそらく、彼女たちのことをずっと見守り続けてきたファンだけが、その理由を知っているのかもしれない。

この日はリハの様子から見ていたが、メンバー4人は特に緊張している様子も見せず、90分に及ぶライブの流れを綿密に確認していた。前日に3時間に及ぶリハをしていたようで、もうできることはすべてやった、という空気を感じた。メンバーを含め、チーム内の雰囲気は落ち着いたものだ。すごい。

ライブはオンタイムで始まった。場内が暗転し、SEが鳴り始める。そして、<YOSUGALA>の電飾に1文字ずつ青い光が灯ると、パンパンのフロアから驚き混じり歓声があがる。

yosugala 撮影=真島洸

yosugala 撮影=真島洸

4人のメンバー、君島凪、黒坂未来、汐見まとい、未白ちあがステージに登場し、各々の立ち位置につき、オープニングナンバーが鳴り響く。「prologue」だ。暗い照明からはじまり、ラスサビではまるで夜明けのような明るさが彼女たちを照らした。まさにプロローグ。先ほど、「緊張している様子も見せず」と書いたが、意外にも4人の歌声からは緊張が感じられた。それでも、自分たちのパフォーマンスを観に来た観客の一人ひとりを確認するかのように、会場中を見渡して歌を届ける姿が印象的だ。

続いては、疾走感溢れるピアノロックナンバー「会心の一撃」。サビ前のリズムに合わせてフロアで起こった大ハンドクラップはこの1年間の積み重ねの現れ。息ぴったりの連携に鳥肌が立つ。

シリアスな空気から一転、ポップな「ばかばかC」へとつなぐ。「会心の一撃」でキレのあるボーカルを聴かせていたかと思えば、ここではアイドルらしいかわいらしさのある表現にスッと切り替える。さらに、穏やかなミドルチューン「僕のわがまま」ではエモーショナルかつ丁寧に歌い上げる。開始4曲でこの振り幅よ。

yosugalaの大躍進を支える大きな要素のひとつは楽曲の力。バラエティ豊かでありながら、存在感の薄い曲が本っ当にひとつも存在しない。その上、5月に1stフルアルバム『ヨモスガラ』がリリースされ、持ち曲は14曲へと増えた。この日のライブで披露されたのは新曲を含めて15曲。これらの楽曲を個性的な4人のメンバーが歌い上げ、その魅力を増幅しているのである。

君島凪 撮影=真島洸

君島凪 撮影=真島洸

彼女たちのライブを初めて観る人は、その音楽性の高さからyosugalaは真面目なグループだと想像するかもしれないが、その場合はMCでずっこけることになる。ゆるいのだ。最初のMCではyosugalaオリジナルのお立ち台ができたことを報告し、君島がうれしそうにフロアに向けて手を振る。ここまではいい。未白がひと言、「何か喋ることあったっけ?」いやいや、いくらでもあるでしょうと思ったが、おそらく彼女の頭の中では事前に決めた段取りのことが頭にあったのだろう。記念すべき日ではあったけど、こういう等身大のノリが好きだ。

ただ、こんなMCのあとに来るのがyosugalaの代表曲であり大名曲の「indigo」なんだから、脳が少々バグる。フロアの熱狂がさらに高まるのを受け、汐見はうれしそうに「ありがとう! みんな手を挙げて!」と呼びかけ、観客は一斉に「オイ! オイ!」と声を上げる。

のちのMCでも話していたが、このブロックの畳み掛けはすごかった。「indigo」のあとに「オヒメサマ?」「スペードのエース」「エスカレート」と続くのである。「オヒメサマ?」は両手の人差し指をクルクルさせる振りがかわいくも印象的。「エスカレート」ではステージにスモークが立ち込め、お立ち台が光るという独特な雰囲気の中でのパフォーマンスとなった。ここが前半戦のピークだったし、yosugalaというグループの今の勢いを凝縮したような熱を感じた。

汐見まとい 撮影=阿刀 “DA” 大志

汐見まとい 撮影=阿刀 “DA” 大志

2ブロック目を終え、メンバーだけでなく、観客全員が息を落ち着かせたあと、黒坂が言う、「今日のために新曲を持ってきたんですけど……」そして、君島が何やらゴニョゴニョと未白に耳打ちすると、未白は「本当にやる……?」とまたすっとぼけた発言で笑わせる。そんな感じでもったいぶって披露した注目の新曲「嘘とか愛とか」は、BPMがかなり高めで、EDM要素のあるロックナンバーだった。グリーンとピンクの照明が激しく明滅する中、観客は初見にもかかわらずコールを入れる。それぐらいキャッチーだし、完全なるアゲ曲。パフォーマンス後、メンバーから感想を求められた観客は口々に「最高!」と叫ぶのだった。

ライブ中盤のMCは、メンバー曰く「お気持ち表明」の時間。先陣を切ったのは汐見。彼女は涙を流しながら以下のようなことを話した。「今年大学を卒業したんですけど、アイドルをやるって決めたからにはちゃんとアイドルを生業にしたかったんですよ。これまでは人生で大きな選択をすることを避けてきたけど、自分の人生にこんなすてきなことがあるなんて思っていませんでした。学歴を捨ててこういう業界に入るのは勇気がいったけど、その決断をしてよかったと思うし、その決断をした自分を誇りに思う。そう思わせてくれたのはファンのみんな。自分の人生を切り開くことはこんなに楽しいんだ」

汐見の心のこもったエモーショナルな話に全員が聞き入ったあと、君島がぼそっと「一発目からエモすぎじゃない……?」とひと言。汐見の話に圧倒された3人は急遽じゃんけんでトークの順番を決める。その結果、2番手は君島。彼女はモジモジしながら喋り始めた。「『まだ1年』って思う人もいるかもしれないけど、1年続けられたことがうれしくて……」と涙を流し、こう続けた。「このメンバーとやれてるのがうれしくて。誰かひとりでも違ったら違うものになっちゃうから。これからも2年、3年と続けていきたいので、これからもよろしくお願いします」

黒坂未来 撮影=阿刀 “DA” 大志

黒坂未来 撮影=阿刀 “DA” 大志

「未来ちゃんが喋ってる間に(話すことを)考えとくね」という未白の言葉を受け、黒坂が話を始める。「ちあとまといとは2年ぐらい、凪とは1年ぐらいになるんですけど、ひとりも欠けずに1年が経ってよかった」。ここで「ありがとうございます」とメンバーへ頭を下げる黒坂。そして、「自分の言葉で思いを伝えるのが苦手で、思ってることがあっても自分の言葉にするのが苦手」と言いながら、彼女は想いを紡ぐ。「この1年でyosugalaは、uijinさんとかPassCodeさんとかAliAさんの名前があることで注目してもらえて、実力が伴ってないながらも評価してもらえることがうれしくもあり、苦しくなることもありました……」ここで汐見がさっきまで自分が抱え込んでいたボックスティッシュを持って彼女のもとへと向かい、そのまま寄り添った。「yosugalaの名前が知れ渡ったことで傷つくようなことも言われるようになったり、心が追いつかなくなることもあるけど、こうしてステージに立ててるのはみんなのお陰です。これからもずっと、みんなと一緒にyosugalaを大きくしていきたいので、これからもよろしくお願いします」

最後は、黒坂の「ちあはこのあと泣きます」という予告とともに、未白がバトンを受け取った。「ちあが泣くと喜ぶ層が一定数いるんですよ。それが悔しくて……」と軽い不満を口にしながら、こう続けた。「(今回のチケットが)先行でなくなったのはすごいことだと思うんです。すごく恵まれた環境でやらせてもらって、『調子に乗ってる』って言われるんですけど、本当にありがたく思いながらやってるんです。この4人で続けられていることがうれしいです。毎日ケンカするけど、曲を聴くとこの4人がいいなって思うんですよ」実は、未白はひと月前に喉を壊していたという。「歌って踊ることでお金をもらっているはずなのに(観客に対して)何も返せてないのがすごく嫌で。それぐらい大事だと思ってるので、これからもよろしくお願いします」とステージ後方へ鼻をかみに行くのだが、ひとしきり鼻をかんだあと、そこにビデオカメラが設置してあることに気づき、場内の笑いを誘った。なんというか、面白い人物だ。

こんなMCに続くパフォーマンスがエモくならないはずがない。「ひとりごと」「オトギバナシ」「四葉のクローバー」「夜明けの唄」と感情を込めつつ、丁寧に歌った。ここの流れが本当に素晴らしかった。当然、楽曲はいい。だけど、これらの名曲を歌う人間がこの4人ではなかったらどうだっただろうか。今、目の前で歌い、舞っている4人だからこそ、yosugalaはこのステージにたどり着けたはずだし、自分はyosugalaを好きになったんだと思った。

未白ちあ 撮影=阿刀 “DA” 大志

未白ちあ 撮影=阿刀 “DA” 大志

アンコールでは「canvas」と、「indigo」を再び披露した。「canvas」もよかったけど、「indigo」の力強さには震えた。こわばっていたオープニングとはまったく違った。さらに、曲中では自分たち自ら用意した大型クラッカーを鳴らし、銀テープの演出を行った。運営にすべてを任せるのではなく、自発的によりよいライブを創り上げようとする姿勢に心打たれた。約90分にわたって繰り広げられた本公演は、この1年間の彼女たちの歩み、成長を表しているかのようなライブだったのではないだろうか。

yosugalaの勢いは今後も増していくだろう。最後のMCで告知があったように、9月から10月にかけてグループ初となる東名阪クアトロツアーの開催が決定。いよいよ本格的に4人が成功への階段を駆け上がるときがやってきた。これからも彼女たちの活躍を見守っていきたい。

取材・文=阿刀 “DA” 大志

yosugala 撮影=真島洸

yosugala 撮影=真島洸

 

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