秦 基博「また会いましょう!」20公演を巡った全国ツアー完走、年末には日本武道館で「Philharmonic Night Ⅱ」の開催が決定
7月22日、東京・国際フォーラムホールAにて秦 基博の全国ツアー「HATA MOTOHIRO CONCERT TOUR 2023 ―Paint Like a Child」最終公演が開催された。本ツアーは今年3月にリリースされた同名アルバムをフィーチャーしたもの。最新の洋楽サウンドに接近したアルバムをいかにステージで表現するのか、会場は開演前から大きな期待感に包まれていた。
青白い光の中、メンバーが登場する。今回のバンドメンバーはアルバムの共同サウンドプロデューサーであるトオミ ヨウ(Key)を中心に、伊吹文裕(Dr)、須藤優or西塚真吾(B:この日は須藤)、設楽博臣(G)というラインナップ。全員が秦のツアー初参加というフレッシュな陣容だ。
1曲目はアルバムの幕開けと同じ「Paint Like a Child」。子供のように描く、つまり無心で表現に向かう。デビュー17年、すでに確固たるキャリアを築きながらもさらなる高みを目指そうとする秦の決意が高らかに歌われる。
そこからはアルバム曲と既存曲をミックスした流れで進んでいった。デビュー直後の「色彩」「dot」や「Girl」「鱗(うろこ)」といった人気曲が最新曲と同列に並んでいる。アルバムは打ち込みやシンセサウンドを大胆に導入して聴き手を驚かせたが、ライブではシンセベース、電子ドラム、シーケンスなどを駆使してそれをバンドサウンドに変換していた。
中盤はアコースティックコーナー。ステージ中央にメンバーが集まり親密な演奏を繰り広げる。ここではツアータイトルに引っ掛けてメンバーと「子供の頃の話」をするのが恒例で、この日のお題は「初恋の話」。ほっこりした空気の中、秦の真骨頂である弾き語りの「在る」が深い余韻を残す。
後半はピアノエレクトロ風のインタールードを挟み、「Trick me」「Raspberry Lover」「Dolce」とラブソングの形をしたディープなナンバーを畳み掛ける。「Life is Art!」では観客が腕に装着したライトバングルが光を放ち、華やぎに包まれる。次の「キミ、メグル、ボク」で会場の熱は最高潮に。「あそぶおとな」のアウトロでは「一緒に歌おう!」と呼びかけ、観客とのコール&レスポンスを実現した。秦とオーディエンスとの声の交歓は「ひまわりの約束」でも続き、長い規制の時期からの解放を改めて深く噛み締めていた。
「『Paint Like a Child』はやりたいことを全部詰め込んだ、振り切ったアルバムです。前作の「コペルニクス」のツアーがコロナで中止になっただけに、今回、作品を生み出して、みんなと共有してやっとアルバムが完成するというゴールの重要性を強く実感しています」
本編最後は自らの魂を燃やし尽くすような熱唱で「イカロス」を披露。そしてアンコールで出てきた秦が「ここでお知らせが――」と口にすると、キャー!という歓声が響き渡った。2年前に開催された「Philharmonic Night」再び。本ツアー以降もオーガスタキャンプ、2MAN TOUR「HATA EXPO」、数々のイベント出演と精力的な活動が予定されているのに、さらに新規のライブを敢行しようとするこの熱量。2023年年末、いや来年にかけても秦は激しく、全力で走り続けるつもりだ。
文:清水浩司
秦 基博「HATA MOTOHIRO CONCERT TOUR 2023 ―Paint Like a Child」7月22日東京・東京国際フォーラムホールA セットリスト
1.Paint Like a Child
2.色彩
3.Girl
4.2022
5.dot
6.鱗(うろこ)
7.残影
8.やわらかな午後に遅い朝食を
9.太陽のロザリオ
10.在る
11.Trick me
12.Raspberry Lover
13.Dolce
14.Life is Art!
15.キミ、メグル、ボク
16.あそぶおとな
17.ひまわりの約束
18.イカロス
-E.C-
19.サイダー
20.泣き笑いのエピソード