2023年9月12日(火)、第一生命ホールにて『オールリスト ピアノコンチェルト コンサート』が開催される。
「ラ・カンパネラ」や「メフィストワルツ第1番」などを筆頭に、聴衆そしてピアニストに時代を超えて広く愛される、ハンガリーの作曲家・リスト。そのリストは、ピアノとオーケストラの作品も数多く残している。
リストと言えば、ふんだんに散りばめられた超絶技巧が目を引くピアノソロのための作品がその代名詞だが、「交響詩」の創始者であり、2曲の交響曲も手掛けた、管弦楽作品の作曲家としての存在も忘れてはならないだろう。ピアノ協奏曲では、ピアノソロの超絶技巧はもちろん、オーケストラの多彩な響きを用いて表現される幻想的な一面まで、リストの演奏家・作曲家のそれぞれ両面の魅力をたっぷりと楽しむことができる作品たちだ。
フランツ・リスト(H. レーマンによる肖像画)
本公演は、『オールリスト ピアノコンチェルト コンサート』の言葉通り、そんなリストによるピアノとオーケストラの作品のみでコンサートが構成される。有名な1、2番のピアノ協奏曲をはじめとして、「怒りの日」の旋律を中心に展開していく『死の舞踏』、そしてハンガリー狂詩曲第14番を元にした『ハンガリー幻想曲』の4曲が一夜で演奏され、まさにピアノとオーケストラによる「リスト祭り」となる公演だ。
ソリストを務めるのは、各曲ごとに4名。どのピアニストも、リストをこよなく愛する奏者ばかりだ。
冒頭は、日本音楽コンクール・東京音楽コンクールでの第1位をはじめ数々の受賞歴をもち、ハンガリー・リスト音楽院も修了している黒岩航紀が、秘曲・『ハンガリー幻想曲』を演奏。続いて、同音楽院を修了し、国内外で演奏活動を行うとともに講師としても活動する菅原望が、グランプリを受賞した2012年のピティナ・ピアノコンペティション特級でも演奏した、ピアノ協奏曲第2番を再演する。
黒岩航紀
菅原望
さらに、2021年・第10回フランツ・リスト国際ピアノコンクール(ワイマール)にて最高位入賞を果たした嘉屋翔太は、同コンクール・ファイナルコンサートでも演奏した『死の舞踏』を披露する。そして最後は、リスト音楽院への留学歴を持ち、楽曲のCD録音をはじめ、これまでに数多くリストを演奏してきた長富彩が、リストのピアノ協奏曲の代表作とも言えるピアノ協奏曲第1番を演奏する。
嘉屋翔太
長富彩
指揮を務めるのは、数多くの公演の指揮やアシスタントを務める希望の若手であり、桐朋学園大学ピアノ専攻を卒業するなど、ピアノへの造詣も深い指揮者・高木玲音。オーケストラは、2020年に若手演奏家によって結成されたタクティカートオーケストラだ。同団は昨年9月には、服部百音をソリストにヴァイオリンと管弦楽の名曲のみで開催し好評を博し、今年2月にはオール・ラフマニノフとして、初期の作品「管弦楽のためのスケルツォ」と最晩年の「交響的舞曲」を組み合わせたプログラムを演奏し絶賛を浴びるなど、テーマ性の高い選曲での演奏会に定評がある。今回の公演も、若さ溢れる演奏に期待がかかる。
タクティカートオーケストラ
ピアノの天才であり、幻想的な管弦楽の作曲家、リスト。その両面の魅力を存分に感じられるピアノコンチェルトたちを、有名曲から知られざる秘曲まで演奏する本公演は、まさに作曲家・リストの魔法にかかる一夜となりそうだ。
タクティカートオーケストラnoteでは、ピアニスト4名のインタビューを随時掲載予定。それぞれの意気込みやリストへの愛、さらにはリストの魅力にも迫る、読み応えある内容となる予定だ。チケットはイープラスにて好評発売中。