2004年、滝沢秀明主演で初演を行なって以来、亀梨和也、玉森裕太、中山優馬、岸優太、菊池風磨らを中心に、様々な組み合わせで上演されてきた本作。2019年からは堂本光一が演出に加わり、作品をさらに磨き上げてきた。初演から20年となる今年は、Snow Man渡辺翔太が主演を務め、ライバルであるチャンプをSixTONES森本慎太郎が演じる。ともに本作への出演経験があり思い入れの深い二人による新生『DREAM BOYS』。開幕を前に、渡辺翔太・森本慎太郎による会見とゲネプロが行われた。
※演出についてのネタバレあり
――いよいよ初日を迎えますが、いかがでしょう。
渡辺:Jr.として先輩方のバックで出演した舞台に、まさかこの配役で帰って来ることができるとは思っていませんでした。胸がいっぱいです。帝国劇場の0番に立つ重圧もあって、昨日は中々寝つけませんでした。
森本:僕が出演していたのは亀梨(和也)くんが主人公を演じていた頃で、カズヤとチャンプは憧れの存在でした。僕が先輩方を見て「カッコいい、ああなりたいな」と思いながらステージに立っていたのと同じようにJr.のみんなにも思ってほしいし、理想像に近づけるようにこの1ヶ月頑張りたいです。
――今回は新曲もありますね。
森本:僕が歌う「CHAMPION」は堂本光一くんとお話して、『DREAM BOYS』のストーリーに沿ったものにしつつ、演出についても意見を聞きながら一緒に制作していただきました。
渡辺:同じく光一くんとお話ししながら、歴代の方々とちょっと雰囲気を変えたいなということで、他のシーンと繋がるような切なく儚い新曲を作っていただきました。
――フライングもされていましたが、飛んでみた感想は。
渡辺:最高だよね。
森本:そうだね。でもまだ初めてなので、客席を見渡す余裕はなかったです。
――『DREAM BOYS』では久しぶりのフライングです。
渡辺:光一くんにおねだりしました。多分僕らの熱意を汲んでくれて夢を叶えてくれましたね。Jr.としてフライングする人のワイヤーをつける係は何度もしてきたけど飛ぶことはほぼなかったので、ちょっとエモいし嬉しいです。
森本:僕らは帝国劇場で飛んだことがないので、『SHOCK』で何度も飛んでいる光一くんに「すみません、飛んでください」とお願いしました。「いいよ」とすぐ飛んで見本を見せてくださって。フライングの時の目線や姿勢の保ち方などを教えてくれました。でも、「光一くんカッコいい!」って思っちゃって稽古にならなかったですね。
渡辺:見惚れちゃってね。
森本:「カッコいいわ、堂本光一!」って思いました。すごく綺麗なんですよ。稽古中だし『DREAM BOYS』のフライングは『SHOCK』と違うので、僕らがやるのに合わせて飛んでくださって。感覚も全部教えてくれました。
――演出については具体的にどんなお話をしましたか?
森本:僕はミュージカルも舞台も経験がないので、客席に顔を向けるとか、歌を通したお芝居とか、すごく初歩的なこともわかりやすく丁寧に説明してくださいました。
渡辺:最初は映像の芝居と舞台の芝居の違いなど初歩的なことから教えてもらいました。あとはセリフと動きのタイミングなど、細かい部分まで見てくださって。本当にたくさんダメ出ししていただきながら今日を迎えた感じです。アドリブが苦手なので、すごく相談したんですけどそこだけは折れてくれなくて。「苦手な奴ほどやらせたくなる」と言われてしまいました。
――本作の名物でもあるウォールフライングの感想はいかがですか?
渡辺:見ているとできそうに感じますが、やってみると本当に大変でした。映像ともリンクしていますし。実はゲネプロに亀梨くんが来てくれていて、「ウォールフライングもっと気合い入れろ!」って言われましたね。
――Jr.の皆さんも頑張っていますね。
森本:光一くん演出になってからはJr.のみんなの方がたくさんステージに立っているので、僕から聞くことも多いです。演出の意図もわかっているし、本当に支えてもらいながらやりましたね。
渡辺:上から目線になってしまうけど、一人ひとりが自立していて華もあって、今のJr.の成長は本当にすごいなと思います。
――鳳さん、紫吹さんとの共演はいかがでしょう。
森本:目が合うと笑ってくれます。僕は何もしてないんですけど(笑)。「こいつは常にふざけている奴だ」と思ってるかもしれないです。なので、僕は実は真面目なんですというのを見せたいと思っています!
渡辺:僕は逆というか、いっぱいいっぱいで緊張しているのが裏では出ているのか、お二人に「大丈夫だから! 堂々としなさい!」とポジティブな喝を入れていただいていますね。
――メンバーから何かメッセージはもらいましたか?
森本:髙地(優吾)から「初日おめでとう。頑張ってね」……以上でした。でも嬉しいですし、収録とかでみんなで集まると「ドリボ楽しみだな」という話をしてくれていたので。特に前回チャンプを演じていた(田中)樹には見てほしい。樹のチャンプとは何もかも違うのが新生『DREAM BOYS』の良さだと思うし、見てもらって「俺のチャンプすごいだろ」ってドヤ顔したいですね。
渡辺:朝、佐久間(大介)からメッセージが来ていたので初日おめでとうかと思ったら「昨日のMステで思ったんだけど、髪伸ばせば?」って。ちょっとイラッとしました(笑)。その後みんなから「かましてこい! 楽しめ!」ってエールをもらいました。やっぱりグループって心強いです。
――最後に、事務所が新体制になったので、改めてファンの皆さんにメッセージをお願いします。
森本:僕も事務所の会見は見ました。複雑ではあります。でも、僕らがステージに立ってできるのは、堂々とお客さんにエンターテインメントを見てもらうこと。それで新体制のジャニーズを応援してもらえるかどうか。この先どうなっていくか正直わかっていないところもありますが、自分にできることはしたいと思っています。皆さんに見ていただき、今後の森本やジャニーズの未来を想像して、安心して応援してもらえるよう、この1ヶ月精一杯頑張ろうと思います。
渡辺:僕も事務所の記者会見を見て、大きな転換期を迎えていると感じます。そんな最中に『DREAM BOYS』が開幕し、こういった状況の中でもお客さんが変わらず劇場に足を運んでくださることに感謝しなきゃいけないと思っています。僕らにできることは、いただいている仕事を全力でこなして、お客さんに楽しんで笑顔になっていただくこと。それが僕らに今できる最善かと思います。結果で新たな未来を構築できたらと思っています。
>(NEXT)ゲネプロレポートを紹介(舞台写真あり)
※以下、ゲネプロレポートおよび舞台写真あり
今回は、ボクシングジムでチャンプのシンタロウが練習生を従えて登場するシーンで歌うナンバー「CHAMPION」、マダム・エマの劇場に匿われたショウタが歌う「光」という新曲が加わったほか、2019年の岸優太&神宮寺勇太による公演以来4年ぶりに客席上のフライングも復活。新たな演出もあり、さらに臨場感と迫力を増したパフォーマンスが繰り広げられる。
渡辺は憂いを帯びた表情が美しく、苦悩を抱きつつ自らの境遇に凛と立ち向かう姿が胸を打つ。どこか寂しそうで儚げな雰囲気が、自然と目を惹く存在感を放っていた。コウキに向ける穏やかな視線や優しい声から本当の兄弟のように生きてきた二人の関係性が伺えて、ひたむきに頑張る彼らを応援したくなる。新曲の「光」は、ショウタの苦しみやチャンプへの友情を率直に紡ぎ、物語にさらなる深みを与えていると感じた。
森本が演じるチャンプは堂々としており迫力満点。余裕とプライドを感じさせる佇まい、久々に対峙するショウタへの態度はチャンピオンとして君臨してきた実力に裏打ちされていることが伺える。新曲の「CHAMPION」では7 MEN 侍らが演じる練習生たちを従えて王者らしい力強さと勇ましさを見せていた。一方で、コウキと会話するシーンなどでは情の深さや温かさをしっかり伝え、厳しいだけではないチャンプの魅力を繊細に描き出している。
新たな主人公とチャンプを支えるカンパニーの安定感も印象的だ。鳳と紫吹は、ショウタたちを見守る大人らしい視線や過去の因縁を匂わせる不穏な空気で物語を引き締める。歌唱では母親のような温かさからしたたかさまで幅広く表現し、物語に華を添えている。
7 MEN 侍による「Walking to the end」、少年忍者の「Make You Wonder」「Knock Out(K.O.)」といったオリジナル曲の歌唱・パフォーマンスのキレもさらにアップ。ボクシングジムでのシーンは強さへの意思をギラギラと見せ、試合の入場時はチームごとのカラーを出してショウタとチャンプを盛り立てている。ダンスやバンド演奏だけでなく、アドリブや芝居で魅せる部分も余裕が感じられて心地良い。ストーリーで重要な役割を担うコウキやレイア(中村嶺亜)はもちろん、他のメンバーも一人ひとりの個性とキャラクターをイキイキと描き出していた。
渡辺と森本により、また新たなイメージに生まれ変わった『DREAM BOYS』。本作は2023年9月9日(土)より28日(木)まで、帝国劇場で上演される。
取材・文・撮影=吉田沙奈