関ジャニ∞、5人で「Re:LIVE」した始まりの地から20周年の開幕を高らかに宣言「KANJANI∞ 20FES 〜前夜祭〜」ライブレポート
9月9日、関ジャニ∞は2024年に迎える20周年へ向けた「KANJANI∞ 20FES 〜前夜祭〜」を開催するため、富士山を望む野外ステージに立っていた。
2021年、誰もが先の見えない日々を送る中で、関ジャニ∞は「Road to Re:LIVE」というテーマを掲げ、何とかエンターテインメントで共にこの壁を乗り越えたいと願った。その思いを形にしたのが、コニファーフォレストで行われた無観客ライブ「Re:LIVE from 8BEAT SECRET LIVE」。2年後の9月、誰もいなかったその会場は、2万人もの観客で埋め尽くされていた。
この地は、彼らの軌跡を語る上で欠かせない。5人体制のスタートを切ったとき、アーティスト写真の撮影の地として富士山の見える場所を選んだ。その写真は真っすぐ前を見据え、「ここからまた歩き出すんだ」という強い意志が伝わってくる1枚だった。
“終わりなんて無いって思ってた”と歌っていた彼らは、何度も壁にぶち当たり、終わらないことは実は奇跡なんだと思い知らされた。まさに富士山を訪れた頃、5人はその壁を越えようと、ひらすらもがいて光を探していた。あれから4年。再びこの地に戻って“まだまだ終わらないから”と力強く声を上げ、“いつかはさよならを知らなきゃいけない その日がくるまでここで歌うから”と優しく語り掛けるまでに、どれだけの時間と思いを重ねたか。
彼らの歩んできたストーリーがあるからこそ、この地でフェスをやる意味がある。そして、この地で20周年に向けた新しいスタートを切る意味があるのだ。
この夏、ここにたどり着くまでに、関ジャニ∞はアウェイな環境へ飛び出し、自分たちの音楽を届けることに全力を注いだ。その挑戦を「KANJANI∞ FESTIVAL SESSIONS 2023」と名付け、3つの音楽フェスを駆け抜けた。
8月12日に開催された「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023」。台風で中止となった前年のロッキンから1年越しのリベンジを果たし、日本を代表する大型フェスで存分に大暴れした。3週間後、以前から交流があるWANIMA主催のフェス「WANIMA presents 1CHANCE FESTIVAL 2023」のステージに立つ彼らは、さらに頼もしく見えた。猛者揃いのラインナップの中でも、気負わず自然体で自分たちらしい音楽を届ける5人。そんな彼らにロックファンも巻き込まれ、ともに歌い、ともに拳を突き上げた。熊本の地に大熱狂のパフォーマンスを刻んだのだった。
1つステージを上がった関ジャニ∞が次に乗り込んだのが、ここ富士急ハイランド・コニファーフォレストだ。何より、今回は自分たちのファン=「eighter」が待つホーム。一回りも二回りも大きくなった姿で、デビュー20周年のスタートを切る一夜限りのお祭り騒ぎが始まった。
開演時間の17:00。関ジャニ∞がステージに登場すると、会場は大きな歓声に包まれた。安田章大はギターストラップを肩に通すと「暴れますか~!」と雄々しく呼びかけ、横山裕の「ワン、ツー、ワンツー、ウー!」の掛け声で、「ズッコケ男道」のバンドVer.が始まった。村上信五は片手で鍵盤を叩きながら、もう片方の手でダンスの振りをして盛り上げ、丸山隆平は「コニファ~!」と雄たけびを上げる。大倉忠義は会場を見渡し、幸せそうな笑顔を見せた。
2つのフェスに参加できなかったファンに、「我々が経験してきた雰囲気を楽しんでいただきたい」と村上が語ると、喜びの声が上がる。まさに「ROCK IN JAPAN FESTIVAL2023」「1CHANCE FESTIVAL 2023」を再現するかのように、スカテイストを取り入れた「無責任ヒーロー」、青春感漂うパンクソング「未完成」と熱量の高い演奏で畳みかける5人。2万人のeighterによる「なーいーかーら」の大合唱で会場が一つになった。
そして、「お客さんの前では初めてなんです」という横山の言葉で始まったのは、この日のために書き下ろされたと言っても過言ではない一曲「生きてる僕ら」。作詞・作曲をASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文、アレンジをthe chef cooks meの下村亮介が手掛けた、バンド・関ジャニ∞の魅力を引き出すギターロックチューンで、今回のフェス、そして20周年の幕開けを彩る新たなアンセムソングだ。穏やかな線を描くメロディにエモーショナルな歌詞をのせた、後藤氏からの贈り物のような一曲に客席はグッと引き込まれていった。
ヒリヒリした激しいビートが体に響く「象」が始まると、ゾーンに入ったように音の世界に没頭するメンバーたち。さらにグルーヴが心地よい丸山のベースソロから始まる「NOROSHI」へと続き、eighterのボルテージは上がるばかり。一体となって迫ってくる5人の音に呼応するように、客席のペンラインも大きく揺れた。
ここで、関ジャニ∞らしい笑いたっぷりのトークを。前日から会場入りしていたメンバーたちは、偶然出会ったeighterの話や、スタッフづてに聞いた「キッチンカーで、たこ焼きがめっちゃ売れてたらしい」という情報などで盛り上がった。そして、横山が「昔から応援してくれてる方は知ってると思うんですが、知らない人もたくさんいらっしゃると思います。久々に」と語った次の瞬間、自らの手でギターの弦を勢いよくはじき、弾き語りを始める。その新鮮な始まりと、久しぶりに耳にする「Baby Baby」のメロディに会場からは歓喜の声が上がった。
そんな中、少しずつ空が暮れ始めたコニファーフォレストを涼しい風が駆け抜け、夏の終わりを感じさせる。センチメンタルな空間に、「Baby Baby」のメロディがしっくりとハマった。その余韻消えぬまま、大倉の優しいボーカルで始まった「夕闇トレイン」。曲中にはなんと、楽曲に呼応するように厚い雲の隙間からオレンジの光が差し込み会場を照らしたのだ。まさに、夕闇に向かう空そのものが最高の演出になっていた。
メンバーがキレイな空に感動していると、ドローンが映し出す夕暮れの映像がモニターに。客席からもため息と感動の声が漏れる。すると…突然、安田と丸山、大倉がリラックスした様子で、何気なく即興のセッションを始めた。音楽スタジオで仲間と音楽をしているような、自然なジャムはファンへの思わぬプレゼントになった。そして、村上信五の繊細なピアノから始まる、疾走感たっぷりの青春ロック「BOY ’23」へ。ギラギラしたギターサウンドと心地よい8ビートに客席も体を揺らし、まるで会場が一つの生物のように一体化していった。
横山が「キッチンカーでたこ焼きとか、いっぱい食べたよね? ということは? ハラ…」と客席に語り掛けると、「イッパイ~」とレスポンス。ロッキンやワンチャンフェスでも会場を大いに盛り上げた、打首獄門同好会からの提供曲「ハライッパイ」を披露。その曲中、自然発生したメンバーたちの替え歌合戦に、客席から笑いが起こった。また、OKAMOTO’Sが手掛けた「勝手に仕上がれ」では、待っていましたと言わんばかりにコール&レスポンスで応えるeighter。声を合わせる「ニーニニ ニーニニ ニニニニニー」のコーラスで、「“にゃ”でやって」「次、“にょ”」と無茶ぶりするメンバーに、即座に応えるeighterはさすがだった。
ここで、安田がゆっくりと話し始める。「楽しいことやうれしいことだけじゃなく、辛いことや悔しいこと、イヤなことがあったから、こうして5人で音を奏でることができています」と。そして、会場に「ありがとう」と呼びかけ、「いろんな道を歩んできましたが、改めてこの5人で思いを届けたいと思います」と「LIFE ~目の前の向こうへ~」を披露。強く温かい5人の歌声が、コニファーの会場いっぱいに広がった。
メンバーが楽器を置き、ステージ前方に並ぶとMCタイムへ。20周年イヤーの話題から、「来年、ツアーやります!」とアリーナとドーム、両ツアーを開催することを発表。eighterからは歓喜の声が上がった。そして、「みんな、分かってた方が予定立てやすいやろ?」とモニターに映し出されたのは、春夏秋冬と書かれた票に図形が並ぶだけのザックリスケジュール。“時期”“詳細”共にまだ明らかにはなっていないが、2024年の20周年イヤーも関ジャニ∞が目白押しなことをこの場で約束した。大倉が「来年の週末は俺らにくださいよ」と客席に語り掛けると、キャーといううれしい悲鳴が会場のあちこちから上がった。関ジャニ∞デビュー20周年に向けて、ワクワクするような企画が沢山用意されているようだ。
横山が「後半戦、いきたいと思います!」と言った次の瞬間、バースデーソングが流れ、安田の誕生日をサプライズでお祝い。メンバーのイラストがのったケーキが運ばれ、安田はケーキのカチューシャをつける。会場には安田のメンバーカラーであるブルーの光が一面に広がり、みんなに見守られながらロウソクを吹き消した。サプライズの準備をした横山に、安田が「ありがとう」と抱き付く安田。「39歳の抱負を」と振られると、「39歳やから…サンキュー!」と叫び、メンバーとeighterを笑わせた。
先の2つのフェスではバンド1本で勝負したが、今回はeighterのためにダンス曲も準備していた関ジャニ∞。「後半戦も盛り上がっていくぞー」という声と同時に、世間でも熱い支持を得ている最新シングル「オオカミと彗星」のイントロが。屋良朝幸による、ちょっとシュールでコミカルなダンスに会場も大盛り上がり。さらに、おしゃれなサウンドとラップが絡み合う、「大再生」を今回初披露!陽もすっかり落ち、真っ暗な夜空の下で色とりどりのライトが作る独特の世界観の中、メンバーはいつもとは違う声色でラップを歌いつなぐ。会場も心地よいサウンドに体を揺らした。
5人がくるりと背中を向けると、関ジャニ∞の定番夏ソング「罪と夏」が始まった。大倉が「近くに行くぞー」と声を上げると、メンバーそれぞれがトロッコに乗り込み、ファンに急接近。ウォーターキャノンが派手に吹き上がり、メンバーもファンもびしょ濡れに。さらに、「T.W.L」では「回せ~」の声で会場中がタオルをブンブンと振り回し、エネルギーを爆発させる。まだまだ、お祭りは終わらない。ラストスパートは、「サタデーソング」「ナントカナルサ」とポジティブな楽曲でパワーを届けた5人。トロッコで客席を駆け抜けながら、ハートを飛ばしたり、手を振ったりとファンに愛を届けるメンバーたちの姿があった。
「20周年、このステキな会場、ステキなメンバー、ステキなお客さま、そして配信でも見てくださっている皆様とスタートを切れること、本当にうれしく思っています」と語る村上に続き、「ありがとうございます」と全員で感謝を伝えるとラストソングへ。
フェスの締めの楽曲に彼らが選んだのは、今回が初披露となる「SLOW」。しっとり大人なミディアムナンバーに合わせて、メンバーは体をゆるくシェイクさせ、客席もペンライトを左右に揺らした。すべての楽曲を歌い終えた5人は清々しい表情を見せ、「来年、たくさん会いましょう」とeighterと約束。去り際は「もう出てこうへんで!」という横山に、大倉が「ホンマやで!」、安田が「ホンマやねんで!」とのっかり、そのいたずらっ子のようなやりとりに会場から笑いが漏れた。
会場いっぱいに沸き起こる“エイトコール”に呼び戻され、「この歌聞かんと、夏は終わらんで~」と再びステージへ。浴衣姿の5人に、割れんばかりの歓声が上がる。そして、アンコールでは、夏の夜にピッタリな「純情恋花火」を披露。メンバー同士、ニコニコと顔を見合わせて即興ダンスをしたり、謎ポーズを繰り出したり、と変わらぬ仲の良さを見せる。曲中に夜空に打ちあがった花火のプレゼントに感動の声が上がり、「今年もみんなと花火見られてうれしいです!」と安田。最後は会場中が手をつなぎ、横山の「最高で、最強の、関ジャニ」という言葉に続いて、会場は「エイトー」とコール。去り際、誕生日を祝ってもらった安田の目から、スーッと涙が。「うれしい涙、悔しい涙、どっちもたくさん流していこうぜ~。今日はうれしい涙でした」と笑顔でステージを後にした。
「KANJANI∞ FESTIVAL SESSIONS 2023」のラストを飾った「KANJANI∞ 20FES 〜前夜祭〜」で、ファンの目にこの夏の進化を焼き付けた5人。キャリアを重ねた今もなお、全力で音楽にぶつかる真摯なメンバーの姿と、心のままに音を楽しむeighterの姿に、いつまで終わらない青春を感じた。大切な場所で、大切なファンと過ごした時間は関ジャニ∞とeighterの絆をさらに深めたことだろう。
さらにライブ終演後には、9月30日スタートのアニメ「め組の大吾 救国のオレンジ」(読売テレビ・日本テレビ系/毎週17:30~)の主題歌となる、新曲「アンスロポス」を2024年初春にリリースすることが発表された。新世代のヒットメーカー・キタニタツヤが書き下ろした力強いバンドサウンドが、さらに関ジャニ∞の勢いを加速させるに違いない。野外音楽フェスでの経験を自らの血肉とした5人はまたひとつギアを上げ、デビュー20周年への道を駆け抜ける。
なお、「KANJANI∞ 20FES 〜前夜祭〜」のライブ映像は、9月12日23:59までJohnny’s net オンラインにて見逃し配信中。