BLUE ENCOUNT
デビュー以来数多くのアニメやドラマの主題歌を担当、勢力なライブ活動を行いながら、今年2023年2月には2度目の武道館単独公演を成功させるなど、確固たる人気を築き上げているBLUE ENCOUNT。6月にニュージャージー州で開催された大規模アニメイベント『Anime NEXT2023』では、アメリカ初ライブながらオーディエンスを熱狂させる。べ―スの辻村が音楽修行のため渡米したこともあり、海外での活躍も今後期待されるBLUE ENCOUNTが、9月6日にあだち充が描くTVアニメ「MIX MEISEI STORY ~二度目の夏、空の向こうへ~」のオープニングテーマとなっているNEW SINGLE「アマリリス」をリリースした。2023年も凄まじい勢いで駆け抜ける彼らに、武道館公演から新曲リリースへと繋がる道程を存分に語ってもらった。
――春に辻村くんが渡米して。3人になって、初めてのインタビューですが。3人でのバンド生活には慣れました?
田邊:そうですね。特にこの3人は一緒に暮らしてた勢だからね?
江口:そうだね、特にお変わりなくという感じです(笑)。
田邊:制作もわりと今年の前半に溜まってたので、ひと段落してて。ライブモードだったり、次の制作に向けてのインスピレーションを働かせる期間といった感じの昨今です。
――「有罪布告」や「アマリリス」は、辻村くんがいる時に作った曲?
田邊:そうです。いくつかお声がけいただいてた案件があったので、「じゃあ、辻村がいるうちに録っちゃおう!」って、2~3月中に録ったんですが。2月に武道館ワンマンがあって、数日後には「有罪布告」や「アマリリス」、ももいろクローバーZさんへの提供曲の「Re:volution」のレコーディングをしてました。
――なるほど。それがいまのタイミングで発表されてるんですね。
田邊:そうですね、ようやく伏線回収している感じです。武道館が終わった後も制作があったので、武道館ロスとか余韻に浸る間もなく(笑)。いま、ようやくこういった取材のタームに入って、「武道館どうだった?」ってところから話し始めてます(笑)。
――武道館を終えて。制作もひと段落してから、辻村くんが渡米して。渡米後もまめに連絡は取ってるんですか?
田邊:渡米後はSNSで生存確認したり、たまに「What's UP?」みたいに連絡して、向こうも英語で返してみたいなやり取りがあるくらいで。6月にニュージャージーで行われた『AnimeNEXT』に出演することになって、アメリカに行ったんですが。ライブ当日、リハーサルやってる最中に辻村が来てくれたんです。そしたら、渡米して2ヶ月しか経ってないのにめちゃくちゃ日焼けしてて。早くもニューヨークに染まってるんじゃないか? くらい黒くて(笑)。ビザの関係で本番は一緒に出来なかったんですけど、客席でライブを観てくれたり。次の日からは「アマリリス」のMV撮影があったんで、滞在中はずっと一緒にいて。いろいろ話したんですが、早くもアメリカを謳歌してる感じがありましたね。
――辻村くんがアメリカ生活で身も心もマッチョになって、「アメリカ行った成果が出てるな」と思わせてくれる日が楽しみですね。
田邊:そうですね。さっきインスタを見たら、「James Genus(世界的ベーシスト)のレッスンを受けた」みたいなことを書いてて、人脈も広がってるんだなと思ったり。本当に武者修行ってる感じで、お膳立てもなにもない中で、物件探しから自分でやって、本当に凄いと思いますよ。
高村:まだ、そんな離れてる感じもしないですけどね。会った時も「久しぶり!」くらいの感覚だったし。でも、ちょっと嬉しそうだなってのは思いましたね。久しぶりに日本語が喋れるのも嬉しかったみたいで。
――辻村くんとアメリカで一緒に撮った、「アマリリス」のMVも良い表情で。アメリカの風景が歩いてるだけで画になりますよね。
田邊:いや、僕らの素の部分でも一番良い部分が撮れたというか、温かみのあるドキュメンタリーになりましたね。突然、カメラを回しても映えてしまうという、アメリカマジックもあって。
高村:MV撮影っていうか、ほぼ観光してただけだもんね?(笑) 普通にコーヒー飲んでるところを撮ってもらったり。
田邊:そう、ただの観光なんだよ。フリーマーケットもロケハンの時はやってなかったのに、行ったらパンパンにお客さんがいて。「撮っちゃおう!」ってカメラ回して、普通に買い物してるところを撮ったり。僕が橋沿いで歌ってるシーンも、スピーカーの音に合わせて口パクで歌ってるんですけど、「何のパフォーマンスだろう?」って、人が集まっちゃって。俺、ちょっと照れながら歌ってるんです(笑)。
ブル散歩 -ニュージャージー編- YouTube ver.
――辻村くんがアメリカにいることで、こうしてアメリカに行く機会も増えるだろうし。今回のMVが残せたこともそうだけど、想像もしなかったようなグローバルな活動や広がりも増えそうですよね。
田邊:良い意味での偶発的な出来事はありそうな気がしますね。だから今回、ビザの関係で辻村がライブに出れないっていうのも、逆にオモロいなと思って。辻村が「ブルエンを俯瞰で見れた」って言ってて、「どうだった?」って聞いたら、「幽体離脱してるみたいだった」って(笑)。
――あはは。確かに自分のバンドを俯瞰で見ることないですからね。
田邊:でも俯瞰で見て、「改めてバンドの可能性を感じた」とも言ってくれて嬉しかったです。初めてのアメリカライブだったんですけど、お客さんのレスポンスも含めて、良いライブが出来たなと思って、すごい手応えを感じたし。アメリカでのライブが、勘違いしちゃうくらい良かったんです。自分がロックスターだと思っちゃいました(笑)。ワンフレーズ歌うだけでワーキャー言われて、「俺、エアロスミスになったぞ!」くらいの感じで。ひと言喋ったらワーッとなるから、「I Love Pizza!」でドカーンですよ?
――すごいね、それは勘違いしますね(笑)。
田邊:ライブの持ち時間を90分いただいて。アニメフェスだったんで、アニメの曲を中心にやったんですけど、それだけじゃ足りないんで。あえてアルバムの英詞の曲とか入れてみたら、その曲がめっちゃ盛り上がったり。「有罪布告」を世界初披露したんですけど、それもすごい盛り上がって。アニメソングばかりが盛り上がって、あとは棒立ちなのかな? と思ったんですけど。想定以上にお客さんが集まってくれたし、みんながすごいウネりを見せてくれて。垣根というものが音で壊されたのがすごく嬉しかったのに、初めて行ったアメリカで待ち望まれてたことが嬉しかったし、ステージから見える画は信じられない景色だったし。ライブ後のサイン会もガッツリ人が残ってくれて、ブルエンのTシャツ着た人が頑張って日本語で喋りかけてくれたり、本当に嬉しかったです。
高村:CDも結構売れたしね?
田邊:売れたね~、あんなのインディーズぶりじゃない?(笑)久々の感覚だったよね、100~200人くらいサインしたもんね。辻村が旅立つ前に「お互いに最高なものを構築した上で4人で集まったら、また今まで見たことない景色が見れるんじゃない?」と言ってけど、早くもああいう見たことのない景色を作ることが出来て。この未来を選んで良かったなって改めて思ったし。新章はもう始まってて、いますごく上手い具合に歯車が合ってるんだなっていうのはすごく思いましたね。
――日本と海外のオーディエンスのノリの違いはどうでした?
高村:声を出したり踊ったりってところで、良い意味で手加減がないというか、変な照れがなくて。お客さんも表現者みたいな感じで、ストレートに感情を表現してましたね。みんなが思う存分楽しんでるのを感じたので、「こういう空気っていいな」と思いながらライブしてました。
田邊:最初は「異国から来ました、お聴き下さい」くらいの感じで、クールにいこうと思ってて。衣装もカッチリ目な感じだったんですけど、1曲目から脱ぎ捨ててTシャツになりたくなったもんね?(笑)スピーカーの音よりもデカい声援が来るから、お客さんにすごい触発されたし。お客さんの声援で、俺たちは輝かせてもらってるんだなというのは改めて思いましたね。コロナ禍で、「いまの戦い方に慣れました」って言ってた人も多くいたと思うけど。コロナが明けて思ったのは、「違う違う。やっぱ声、声!」っていうことで。「やっぱり俺たちはライブでみんなで声枯らして、生きてるってことを実感しないと無理だな」ってことを武道館を経て、アメリカという異国の地でも思い知らされました。
――話を聴いてるといま、すごくバンドとして充実してて、またブルエンが大きく成長するタイミングなのかも知れないですね。
田邊:さっきも打ち合わせで、「来年もアメリカやりたいね」って話になって。今回はアメリカにイベントでお呼ばれたけど。次は自分たちの意思で、野ヅラで俺たちだけで行ったらどうなるかな?と画策してて。
――野ヅラで行っちゃうんだ、アメリカに(笑)。
田邊:そう。野ヅラで4人で行って、英語が喋れるのは辻村勇太だけ(笑)。20周年で逆に原点に帰って、4人だけでやったらどうなるかな?って挑戦するのも、また青春だなと思って。来年、20周年を迎えるに当たって、“原点に帰る”っていうのが、ひとつテーマだと思ってて。いままでは常に更新、更新って感じで、原点って言葉をあまり使いたくなかったんですけど。バンドが新たな未来に行ってるからこその原点回帰をここでしてみたいなと思ってるんです。20周年だからってどっしり構えるんじゃなくて、「20周年にも関わらず、アイツら何やってんねん!」みたいな異端児でいたいというか。20年前には考えられなかった現在があるので、ここからも考えられないような未来を歩いてみて。いろんな経験をしたら、またすごい曲が出来るんじゃないか?という気持ちはあります。
『アマリリス』Music Video
――いま、“青春”ってワードが出たけど。最新曲「アマリリス」は、まさに青春ど真ん中を鳴らす曲になっていて。それも遠くにある青春を思って描いてるんじゃなくて、いま青春を燃やしている若い子にもしっかり響くであろう青春ソングになってるのがすごいなと思ったし。いまそれが作れるのは、4人がいまもメラメラと青春を燃やしながらバンド出来てるからだろうなと思いましたよ。
田邊:まさにその通りで。「アマリリス」は、アニメ『MIX MEISEI STORY ~二度目の夏、空の向こうへ~』の主題歌として、執筆し始めたんですけど。書けば書くほど、「あれ? 俺らって、いまおっさんになったけど、現状どうだっけ?」と思ったんです。で、「おっさんが若い子に向けて書いてるのかな、これ?」と思いながら筆を進めてたんですけど。「辻村が夢追いかけて、俺らもそれを後押ししながら夢を追いかけて。なんだ、俺らも負けず劣らずで青春してんじゃん」と思ったら、一気に突破口が開いて。この歌詞がドワッと溢れ出てきたという感じでしたね。
――うん。アニソンって作品に気持ちを入れすぎたり、主人公に感情移入しようとしたりすると、ウソになっちゃうけど。ブルエンのアニソンってこの曲に限らず、フィクションでなく、自分ごととして書いてるからグッと来るんですよね。
田邊:そうですね。特に今回は自分たちの等身大の青春というところに、答えが行き着いたので。仲間と共に甲子園という夢を目指す『MIX』って、野球と音楽でジャンルは違えど、やってることは一緒じゃないか?と思ったし。これは全然、自分に嘘つかなくていいなと思って。ある意味、これはメンバーに向けての感謝、辻村に向けての手紙、周りのチームの人たちへの感謝の気持ちっていうことを素直に全部書けた感じでした。だから歌ってても、自分の中ではMCを歌ってるみたいな感覚があって。MCをこうして歌に出来たのは初めてかな?と思いますし、これが出来たことで自分の中ですごく自信が付いた感じがしました。
――『タッチ』から数年後の明青学園野球部を舞台とした、今作ですが。あだち充作品はいかがですか?
江口:僕はそもそも、あだち充先生がめっちゃ好きで。いつか作品に携われたらと思ってたので、すごく嬉しかったですね。子供の頃、「H2」をやってて、それを見て育ったので。自分たちの曲でキャラが動いてるのを見て、熱くなりましたね。しかも今回のクールが、切ないところもありつつみたいなお話なので。そういうところにもハマってるなと思って、いろいろ嬉しかったです。
高村:僕は中学までスポーツやってましたけど、団体競技をやってこなかったので。経験してこなかったからこそ、ちょっと羨ましいなと思うんですけど。僕らはこの作品に音楽で関わることで、ちょっと団体競技的なことを感じられるので。そういう機会をもらえたことが嬉しかったし、アニメを見て熱くなった感覚をまた次の作品に持ち込めたらなという感じはありますね。
――サウンド的には、夏の風景がパッと頭に浮かぶ、暑さと熱さを感じられるサウンドになってるし。だからこそ、中盤の夕焼け感あるメロディからギターが入る展開とか、すごいグッときました。
田邊:そこ良いですよね。僕、夏の曲を作るの好きなんですよ。インディーズの頃から、夏の曲がなぜか好きで。夏が持つ叙情とか、そこにある人の気持ちとかが好きで。8月も中盤くらいになると、学生はもう切ないじゃないですか?(笑) でもそれってみんな経験してるから、大人もどこか切ないんですよね。あんなに栄えてたミンミンゼミが泣かなくなったり、日が短くなってきたりすると、やけに切なくて。「夏の切なさ、子供の頃から植え付けられてるやん!」みたいな感じもちょっとあるので(笑)。それに対して、スッと曲が出やすいんです。それに学生時代の思い出って、冬より夏の思い出の方が色濃いじゃないですか? だから、去年の夏は「終火」って失恋の曲を書いたり、「SUMMER DIVE」って曲があったり、「夢花火」って曲があったり。今回はアニメの悲しい展開も含めた曲のイメージを踏まえて、パッと歌った時にすぐこのサビが出ました。切ない曲も好きだし、田邊の一番良いところがクロスオーバーで全部出せた感じで。そこに嘘の無い自分の思いも乗せられたという、初めてのタイプの夏の曲になったと思います。
――田邊駿一の良いとこ取りで作れたんですね。
田邊:そう。いままでの夏の曲って、失恋ソングだったり、ライブで盛り上がる曲作ろうぜ!みたいな感じで作った曲だったり、どれも全部フィクションなんです。それが今回は、“夏”って季語こそ入れてるけど、「自分たちの青春とは?」と歌ってるので、なんか不思議な感じがありますし。最近のライブでは軒並みやらせてもらってるんですけど、俺らも染みて、お客さんも染みてるのが分かるんです。
高村:ライブでこれだけ速攻で反応のある曲って、珍しいよね? 一発目から、「この曲、ライブでやり続けたい」と思ったし。これからも鳴らし続けて行きたい曲がまた出来たなって、実感しいます。
――それだけリアルに鳴らせて、お客さんにも届いてるっていうのは、年は重ねたけど、いまも青春ど真ん中にいるって証拠ですよ。
田邊:いま一番青春かも知れないですね。年取るたびに守るものも増えてきたけど、それのおかげで生きていけるっていうのを痛感していて。アメリカの経験もそうでしたけど、新しいファンの人とかに出会って、「こんなにたくさんの人が俺たちを支えてくれてるんだ」と思うたび、「この年になってもそれを更新し続けられてるんだから、今まで生きてて良かったな」と思うんです。若かりしころは命から離れたいと思う、ネガティブな時もあったけど。自分を守り続けたからこそ、守りたい存在が増えてきて、いまがあるので。いまはすごい青春を感じてるし、同時に良い大人になれてきてるなってのも思いますね。ま、体力はちょっと落ちてきてますけど(笑)。
――青春を鳴らした「アマリリス」は、サウンド面ではどんなところを意識しました?
田邊:僕は今回、ボーカルの歌のほとんどをダブルボイスで録ったものを使っているんですが。今回、「青春とは?」っていうのをテーマに作ってたので。楽曲のグルーヴもあえて合わせすぎず、ちょっと粗目にやろうぜって制作していて。ストリングスとかも使わず、いかにしずる感や青春感を出せるか?って考えた時、参考にしたのが、Mr.Childrenの「innocent world」だったんです。あれって全部、ダブルボイスで録ってるんですけど。小さい頃、アクエリアスのCMで「innocent world」が流れてた時、マジでしずる感あったのを覚えていて。それをプロデューサーさんに話したら、「それだ」って言って、ダブルで録ったらめっちゃハマって。僕から提示出来る夏というのが、まさにそれでしたね。
江口:僕は最初に「青春っぽい感じにしたい」ってところから始まったので、その辺を意識してフレーズを考えたんですが。レコーディングの時、「もっと青春っぽく」と言われるのがすごく難しくて、それって技術じゃなくて感覚の話だし、「部室で弾いてる感覚で」とか言われても、もうそこには戻れないんで(笑)。上手くなりすぎないように意識して、四苦八苦しながら録りました。フレーズは、Galileo Galileiの「青い栞」の青春っぽい感じを参考にしましたね。
高村:僕はフレーズとか色々考えたんですけど、細かいフレーズは全部ナシにして。高校生がライブの時、ちょっとテンション上がっちゃって、いつもやらないことをやっちゃったみたいな感じでプレイしようと思って叩きました。難しいことをやろうとして出来ないんだけど、それも味になってるみたいなプレイを目指して。
田邊:ト書きがすごいな! 主人公の情報が詰まってるね(笑)。
――それは高校時代の自分が、実際に経験したことだったりする?
高村:そうですね、ちょっと背伸びして無理した感じというか。
田邊:そういう感覚もそうだけど、「若さとは?」っていうのをこの年になって、一人ひとりがこれだけ必死に考えると思わなかったし。すごく大変で貴重なレコーディングになりましたね。
江口:だって、「もっと青春っぽく!」って言ってる人も、言われてる人もおっさんなんだから(笑)。
田邊:そうだよね。そしたら、前日に東京マラソン走ったばかりの辻村が、足を引きずりながらベースを録りに来て。スタジオに青春感のある若者なんて誰もいないんだから(笑)。
――そして、それを聴いて「青春ど真ん中だね!」とか言ってる俺もおっさんだから、実際にど真ん中なのかは分からないという(笑)。
田邊:あとは実際の10代の子にちゃんと響いたか、聴いてもらってアンケートを取るしかないですよね。
――あはは。しかし、いまのブルエンは話しきれないくらい刺激的なことが毎日起きてて、新しいことにも果敢にチャレンジして。「いま一番青春かも知れない」と言い切れるんだから、本当に幸せなことですよね。
田邊:そうですね。「来年もすごいたくさんライブしようぜ!」っていうのは、メンバー間で共有してて。20周年は改めて、乾いてた部分をどんどん潤していく一年にしたいなと思ってるんです。周年だからのお祭りじゃなくて、周年だからこそ「音楽とは何か?」と考えて、何かを見つけないと前に進めないし、次に行けない気がするんです。いまの時代は特にそうだと思うので、来年は海外でのライブもやりたいし、ブルエンの強みである英詞の曲ももっと作らなきゃいけないと思うし。今回、カップリングの「ghosted」って曲は、ニューヨークで作ったんですよ。
――そうだったんですね。そこにも成果があったんだ。
田邊:はい。これは全部英詞にしたいなと思って、発音とかも勉強し直して、歌に臨んだ曲で。アメリカに行った時、コーディネーターの人に、「ライブのMCは日本語で話した方が盛り上がりますよ」って言われたんですけど、英語の方が盛り上がったよね?
高村:うん、それはそうだった(笑)。
田邊:日本語だとややウケだったのが、英語で喋ったらちゃんと伝わって。かまけずに勉強しなきゃいけないなと思ったし、俺も辻村に負けてられないなと思ったし。ブルエンって、MCから絶妙の間で曲に入るって文化でライブをやってるし。今回も8割方英語で喋って、それが功を奏したので。ここから勉強の日々だなと思ってます。
――「ghosted」は最初に歌詞を見ずに聴いた時、「失恋の曲かな?」と思ったのと、単純にすごい良い曲だなと思って聴いて。2周目に歌詞を見ながら聴いたら、「なんだよ、良いメロディでイヤなこと歌ってんな!」と思いました(笑)。
田邊:“あなたの不幸な日々を願ってる”から始まりますからね(笑)。
――“僕はもう人生詰んだよ”を、英語で<It's over for me>って言うって、初めて知ったよ(笑)。
田邊:それはコーディネーターさんが言ってて、「それ、面白いな!」と思って。“ghosted”っていうのも向こうで流行ってるスラングで、「自然消滅、音信不通」って意味があって、それをさっそく取り入れたり。他にもニューヨークで作った候補曲がたくさんあって、それもまた世に出るタイミングがあるんじゃないかと思ってるんで。ここからのBLUE ENCOUNTも楽しみにしてて下さい。
取材・文=フジジュン