(c)ARGONAVIS project. Photographer:西槇太一
2023年9月8日、Argonavis、GYROAXIAによる2マンライブ『Argonavis × GYROAXIA LIVE 2023 スタートライン × KICK-START』がLINE CUBE SHIBUYAにて開催された。
ボーイズバンドをテーマとしたメディアミックスプロジェクト『from ARGONAVIS』から生まれ、ライバル関係にあるArgonavisとGYROAXIA。この二組が一体となって作り出すライブ、ナビゲーターにとって見逃すことのできないものなのは言うまでもないだろう。果たしてこのステージで両バンドはいかなるパフォーマンスを見せたのだろうか。その様子をレポートしていこうと思う。
ライブ当日、東京は朝から生憎の空模様。台風13号が接近し、空からは絶え間なく雨粒が降り注ぐ。果たして本ライブは無事開催することができるのだろうか? ナビゲーターたちは不安を募らせ、雨が止むよう天に祈りを送っていたはずだ。
そんな祈りが通じたのだろうか、開場を前に渋谷の雨は勢いを弱める。しっとりと小雨が降る渋谷の街に、胸を撫で下ろしながら集まるナビゲーターたち。17時を迎えるとLINE CUBE SHIBUYAの扉は開かれ、ナビゲーターたちは次々に会場の中へと導かれていったのだった。
客席につきステージに目をやると、そこはVOYAGE BLUEの光で照らされていた。ナビゲーターたちはペンライトを握りしめてステージに熱視線を送る。会場内に流れるBGMの音量が徐々に大きくなっていくと、そこに居合わせた全員が席から立ち上がる。待ちに待った瞬間がついに訪れたのだ。
ステージに姿を現す、伊藤昌弘(七星 蓮 役)、日向大輔(五稜結人 役)、前田誠二(的場航海 役)、森嶋秀太(桔梗凛生 役)、橋本祥平(白石万浬 役)のArgonavisの面々、一曲目に披露したのは「スタートライン」。爽やかなサウンドから走り出したそのパフォーマンスに、客席からは熱い声援が送られる。それに答えるように代わる代わる歌声を披露するメンバーたち、開演早々から会場は大きな一体感に包まれた。
ギターの音色が会場に響く。続いて披露したのは「Steady Goes!」だ。曲中では七星 蓮と的場航海のツインボーカルアレンジも披露され、会場は大いにわく。ここに跳ねるようなキックの低音が響き、リズミカルなギター、ベース、キーボードが足並みをそろえると、続いたのは「Reversal」だった。全身で曲に乗り歌声を披露する七星蓮、その歌声に華麗にマイクリレーを見せるのはキーボード・桔梗凛生だ。その息の合ったパフォーマンスは聴くものの身体を突き動かす。会場中のペンライトがリズミカルに揺れた。
「みなさんこんばんは! Argonavisです!」
五稜結人の挨拶が会場に響く。ここでArgonavisメンバーからの自己紹介、各々のキャラクター性がはっきりと窺える一言一言がナビゲーターに多幸感をあたえる。そして、自己紹介は七星蓮のこんな言葉で締め括られる。
「GYROAXIAの皆さんとの2マンライブ、今までとは違う感情が僕たちの中にあります。そんな今の僕たちの音楽を聞いてください。」
ボーカルが先行し、それに牽引されるように演奏が続く。披露したのは「命のクリック」、前に一歩踏み出すことを大いに肯定した本楽曲が、会場中に爽やかな空気を運び込んだ。
訪れた一瞬の静寂、ここに桔梗凛生が奏でるキーボードの音色が響く。スポットライトが彼を照らし出すと、スタートしたのは「僕の日々にいつもいてよ」。言葉をギュッと濃縮した七星蓮の歌声と、五稜結人、的場航海、白石万浬による優しい演奏が、キーボードの音色にそっと寄り添っていく。エモーショナルな空気が会場を包み込むと、ここに「迷い星」が続き、会場の情緒は加速していった。
「会場のみんな、楽しんでくれているか?」
五稜結人がそう問いかけると、ナビゲーターたちはそれに歓声で答える。ここから各メンバーによる近況報告。各々のキャラクター性が大いに現れた日常を語ると、時に喝采、時に笑いが巻き起こった。
「ここからはみんなの大きな声を聞かせてください!」
五稜結人がそう話すと、桔梗凛生がショルダーキーボードを携えてステージ前方へと歩み出す。披露したのは「Hey! Argonavis」だ。ポップで多幸感あふれるサウンドに観客から歓声が送られる。曲中ではナビゲーターたちによるシンガロングも聴くことができた。その光景は、会場全体で一つの音楽を生み出しているかのようだった。
(c)ARGONAVIS project. Photographer:西槇太一
白石万浬によるドラムソロが響き、次なる楽曲が始まる。「What-if Wonderland!!」、会場の一体感はさらなる加速を見せ、「JUMP」との言葉にナビゲーターたちは高く飛び上がった。
「みなさん、僕たちと一緒にたくさん歌ってくれてありがとうございます。まだ一緒に歌えますか?」
その問いかけに大きな歓声が沸き起こる。続いて披露したのは「ゴールライン」、シンガロングの練習から始まった本楽曲、曲に合わせて盛大な歌声が客席から響き渡る。まるでナビゲーターとArgonavisによるセッションのようだった。
大歓声、そしてここに一瞬の静寂が訪れる。五稜結人、的場航海、桔梗凛生、白石万浬の四人がスポットライトで照らし出され、こう歌い出す。
(c)ARGONAVIS project. Photographer:西槇太一
「歓声を上げろ 君の思いを 熱狂に変えて 夢の世界へ!」
ここに七星蓮のボーカルが共に歩み出す。披露したのは「VOICE」。エモーショナルな空気から走り出した本楽曲は、徐々に疾走感を帯びていく。そのパフォーマンスに酔いしれたナビゲーターたちは、全力でペンライトをふり、心から音楽を楽しんだのだった。曲が終わると客席からは称賛の声が響き渡った。
「僕たちの前にはずっとGYROAXIAがいました。でも今は、彼らと対等なステージに立ったと思ってます。」
七星蓮が、GYROAXIAに対する気持ちを言葉にする。そして、ここからArgonavisのラストナンバーが走り出す。「JUNCTION」、2021年に開催となったArgonavisとGYROAXIAとの対バンライブのタイトルにもなった本楽曲、その力強いサウンドが聴く者の心を奪う。この後登場するGYROAXIAにこの上ない形でバトンを渡し、Argonavisによるパフォーマンスは締めくくられたのだった。
(c)ARGONAVIS project. Photographer:西槇太一
誰もいないステージがCROWN REDの光で照らされる。会場にエンジン音が響くと、続いてはボーカルの小笠原 仁(旭那由多 役)、ギターの橋本真一(里塚賢汰 役)&真野拓実(美園礼音 役)、ベースの秋谷啓斗(曙 涼 役)、ドラムの宮内告典(界川深幸 役)の5人からなるGYROAXIAの登場だ。
「上等だ七星、GYROAXIAの音楽でねじ伏せてやる。」
力強いサウンドが会場の空気を震わせる。一曲目に披露したのは「The last resort」だ。貫禄溢れるパフォーマンスで会場の空気を一気に自分たちの色に染め上げると、旭那由多は一曲目からシャウトを披露し、その堂々たる立ち振る舞いで見るものを魅了した。
ここに間髪を入れずに「Freestyle」が続く。高音域、低音域、その両方を巧みに使い分ける巧みなボーカリングと、安定感溢れるバンド演奏。その両者があわさって高品質なロックサウンドを会場に届けると、客席は大いに揺れた。
界川深幸のドラムソロが会場の空気を揺らし、美園礼音が観客を煽ると、ナビゲーターたちは手を天に掲げた。続いて披露したのは「WORLD IS MINE」だ。ナビゲーターたちの手は一瞬の休みもなく揺れ続ける。ライブの熱気が視覚と聴覚からしっかりと脳に伝わってきた。
「こんばんは、GYROAXIAです。」
そう挨拶したのはリードギター・里塚賢汰だった。GYROAXIAにとって、本ライブがKICK-STARTツアー最終公演となることが語られると、続けて各メンバーからの自己紹介。場慣れした面々からは貫禄溢れる言葉が発せられ、その一言一言に客席から大きな歓声が上がった。
(c)ARGONAVIS project. Photographer:西槇太一
再び力強いサウンドが会場に鳴り響く、続いて披露したのは「MILESTONE」だ。リズミカルなサウンドに会場に縦揺れを引き起こす。
するとここで曙涼がキーボードを奏で始める。退廃的なそのサウンド、そこに力強いギターとドラムが合わさると、ナビゲーターがそれにあわせて手拍子を送る。「REVOLUTION」、止まることなく前に突き進んでいく、その決意表明を言葉にした歌詞がナビゲーターの血をたぎらせた。
続いて会場にはクールなサウンドが響く。「IGNITION」、上がりきった会場の熱気は、引き締まったタイトなものとなった。会場中がその音色にしっかりと耳を澄ませる。
本楽曲を終えると旭那由多はそっとステージから立ち去っていった。
「東京のみんな、今日もとっても盛り上がってるね。」
曙涼が客席に向けてそう語る。ここから旭那由多を除いたメンバーでのツアーの感想戦のコーナーだ。ここまで5カ所を巡った今回のツアー、その長い道のりの中には数々の微笑ましいエピソードがあった。それらが語られると、会場は笑いに包まれたのだった。
「次の曲はみなさんに一緒に歌ってほしい箇所がありますので、今日一番の声を出してください!」
美園礼音がそうアナウンスすると、客席から歌声が響く。
「Hey!Hey!Hey!Breaking the ROCK!!」
続いたのは「Breaking the ROCK!!」、その声に吸い寄せられるように旭那由多も会場に舞い戻り、力強いボーカルを披露する。ナビゲーターたちの声も、負けじとボリュームを増していった。
(c)ARGONAVIS project. Photographer:西槇太一
リズミカルなドラムと、鳴り響くナビゲーターのクラップ。続いたのは「GETTING HIGH」だ。力強くも軽快なサウンドが聴くものの身体を揺らすと、旭那由多が時に早く、時にスローに、巧みに言葉をはめていく。
さらにここにシームレスに「DANCING PARANOIA」が続く。際限なく上がっていく会場のボルテージ、それを反映したかのようにステージには虹色の光が降り注いだ。
「聴け、MANIFESTO」
里塚賢汰、美園礼音、曙涼の3人がステージ中央に集まり息のあった演奏を披露、宣言通りの続いてのナンバー「MANIFESTO」がスタートする。ここまで2時間を超える本ライブ、しかしながらナビゲーターたちに一切の疲れが見えない。大きく音に乗るその動きに、会場も大きく振動した。清々しいほどにエネルギッシュな空間がそこには誕生していたのだ。
「俺は俺の音楽で世界を取りにいく。覚悟は決めたんだろう? 刻みつけろ、「ALL MY PARTS」。」
静寂が訪れた会場に旭那由多がタイトルコールすると湧き上がる歓声、そこにエレクトの掛かるギターリフが響きわたる。洗練されたサウンドにボーカルが乗り、輝かしい音楽がそこに生み出される。ステージに立つ旭那由多に向けて光の筋が降り注いだ。その立ち姿は、カリスマと形容するに相応しいものだった。圧倒的なサウンドが会場中に響き渡ると、GYROAXIAの面々はそっとステージを後にしたのだった。
徐々に、会場はアンコールに包まれていく。それに答えるようにArgonavis、GYROAXIAの面々がステージに舞い戻る。ステージに揃う10人のバンドメンバーたち。ここで改めて、お互いのライブを称賛しあい、微笑ましい空気が会場を包む。
ここから告知を挟んで、本ライブのラストナンバーへ。
「僕たちの再出発ということで……」
そう曲振りがなされると、最後は10人揃っての「STARTING OVER」を披露した。その仲睦まじい姿は、見るものを幸せな心地にした。こうして本ライブは締めくくられたのだった。
(c)ARGONAVIS project. Photographer:西槇太一
『from ARGONAVIS』から生まれた両バンド、しかしその個性は大きく異なる。しかし、この二組があわさると他では味わうことができないマリアージュが発揮される。それが今回のライブではっきりと明示されたように思う。今後もさらなる盛り上がりが期待される両バンド、目を離すことができない。
取材・文:一野大悟