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DEAN FUJIOKA、自身初となる武道館公演で示された10年の集大成とこれから始める新たな物語への期待

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DEAN FUJIOKA「DEAN FUJIOKA Live 2023 “Stars of the Lid” at日本武道館」撮影:Yukitaka Amemiya

DEAN FUJIOKAが9月23日に、自身初となる東京・日本武道館公演「DEAN FUJIOKA Live 2023 “Stars of the Lid” at日本武道館」を開催した。

DEANは、2013年に初監督、主演を務めた映画『I am ICHIHASHI 逮捕されるまで』の主題歌として「My Dimension」をリリースし、日本で本格的な音楽活動を開始。日本での音楽活動が10周年を迎えたことを記念し、2023年7月には自身初のベストアルバムとなる「Stars of the Lid」をリリースしている。

本公演は、これまでドラマや映画、アニメなどのタイアップをはじめリリースを重ねてきたDEANの、10年の音楽活動の集大成ともいえる初のベストアルバムを提げての公演であり、2015年以降、日本を拠点に全国ツアーを行ってきたDEANにとって新たな一歩を刻む記念すべき公演でもある。

DEANは、2020年にコロナ禍の影響を受け、開催を断念したアジアツアーのもうひとつの選択肢として、配信ライブ「DEAN FUJIOKA Live Streaming 2020 “Plan B”」を実施し、続く2021年には、全国ツアー「DEAN FUJIOKA “Musical Transmute” Tour 2021」を開催。同ツアーでは、感染対策の一環として、会場に集まったファンが、音楽ライブでありながらこれまでのように声を上げることができないという制約があるなかで、これまでの自身の音楽ライブにはなかった、ミュージカルのように演技の要素を取り入れたライブパフォーマンスを行なったことも記憶に新しい。

しかし、感染対策による音楽ライブにおける制限がなくなった本公演では、観客の声出しももちろん解禁。コロナ禍以前のDEANの公演と同じように熱を帯びた大声援が、これまでに国内外問わず数々のアーティストが歴史を創ってきた日本武道館の至る所で聴こえるなど、熱狂の一夜となった。

そんな「DEAN FUJIOKA Live 2023 “Stars of the Lid” at日本武道館」本編は、「Stars of the Lid」収録曲をもとにセットリストを構成。暗転したステージを青、赤、緑、紫といった鮮やかな照明がまばゆく照らすなか、ギター、ベース、ドラム、キーボード、マニピュレーター、そして、新たにバイオリンが加わったバンドとともにステージ姿を現したDEANは、荘厳な雰囲気を醸し出すストリングスの調べが印象的な「Final Currency」でライブをスタート。続いて、攻撃的な歪んだギターをフィーチャーした「Apple」やバンドセットならではの、よりロックさが際立ったアレンジの「Searching For The Ghost」、バイオリンとバンドのアンサブル、そしてエモーショナルなギターが印象的な「Plan B」を披露した。

序盤から一気に観客の心を鷲掴みにしたDEANは、ここでセンターステージに移動。大きな拍手に答えるかのように観客席に向かって「武道館のみんな、今日は来てくれてありがとう。最後まで楽しんでいこうぜ」と声を上げ、スケールの大きいアップテンポなブレイクビーツ曲「Spin The Planet」でさらに観客を盛り上げた。さらに曲の終盤で「今ここにいることを選んでくれたみんな、ありがとう。ここから新しい物語を一緒に歩んでいこう」と呼びかけると割れんばかりの大歓声が日本武道館に響き渡った。

また、ここでDEANは「やっと会えたな!」と一言、観客に向けて告げると、続けて今年で10周年を迎えた日本での音楽活動を支えてくれたファンに向けて感謝を表明。またファンの前でライブを行えることについて、「久しぶりに来てくださった方も初めましての方もいらっしゃると思います。でもこうやってみなさんの前でライブができることを本当にうれしく思います」とコメント。さらにこれまで作ってきた楽曲をひとつひとつの星座に見立て名付けられたベストアルバムと本公演のタイトルを引き合いに出しながら、「そこにいるあなたと新たな星座の物語を作り上げていきたいなと思っています。準備はいいか、武道館?」と叫び声をあげ、高揚感のある「Runaway」でライブを再開。続いて披露したベストアルバムからの先行曲としてリリースされた新曲「Teleportation」では、ビッグバンド風のアレンジでバンドメンバーを紹介しつつ、同曲の歌詞にある「いいね いいよね。」を用いたコール&レスポンスで会場を大いに盛り上げた。

続いてDEANは、流麗なエレクトリックピアノの音色が印象的なソウル曲「One Last Sweet Talk」や夢見心地な音色の「Shelly」や星空をイメージさせる「Sumika」といったバラードで、興奮した会場を一旦、落ち着かせながらしっとりとした音楽に聴き入る時間を提供した。その後の「Echo」では、バラードタイムの雰囲気を踏襲した切ないピアノのイントロに続く展開では、ハードロックを思わせるアレンジを披露。終盤の感情を揺さぶるギターソロも相まって、再び会場からは大きな歓声が起こった。また、このセクションを締めくくる「Sayonara」を披露したあとは観客席からの「DEAN、好き」という声援に対し、「俺の方が好きだよ!」と大きな声で返すやりとりも見られた。

後半戦を告げるMCでは、今回新たにバンドに加わったバイオリンのメンバーがドラマ「シャーロック」で自身がバイオリンの指導を受けた人物であることが明かされたほか、記念すべき日本での1stシングル「My Dimension」について、「自身の原点でもある曲でDEAN FUJIOKAという存在の自己紹介のような楽曲になっている」と言及。さらにここでは、同曲のサビを観客と一緒に練習しながら交流を図る時間も設けられた。

そして、練習からそのまま披露された「My Dimension」では、DEANが演奏するギターのカッティングにあわせて、観客席のペンライトが揺らされたほか、楽曲の終盤に向けて観客の合唱が大きくなっていく様子が見られるなど、練習で高まった一体感がそのまま会場の盛り上がりに直結した。また、その興奮を表すかのように会場の四方八方からDEANを称える歓声が上がっていた。

興奮が冷めやらぬまま、続いてDEANは、自身の代表曲のひとつである「History Maker」を重厚な演奏に乗せて披露。この時の神々しささえ感じるDEANの熱唱とバンドアンサブルが一体化することで生まれた巨大なグルーヴは、日本武道館を包み込んでいるかのようだった。そして、眩い照明による演出とともに「Permanent Vacation」が披露された後、DEANは、MCで次が「最後の曲になる」と発表。

それを受けて、観客の大きなどよめきが会場に響き渡る中、口を開いたDEANは「2008年〜2009年ぐらいからかな。自分で音楽を作り始めて、キャリアを始めて、日本でシングルデビューしてから10年経ったけど、やっぱり簡単なことではなかったですね。それでも前に進んできたし、これからも前に進んでいくし、自分の場合は音楽に救われてきた。だからこそ、自分がこうやって作った曲を通して、みんなとここ武道館で会えたことを本当に奇跡だと思います」と述べた。次に「君に会えてよかった。そんな気持ちを込めて作った、この10年間の集大成の楽曲であり、ベストアルバム、そしてこの武道館公演のタイトルにもなっています。一緒に歌ってください」と語り、新曲「Stars of the Lid」をもって本公演本編の幕を下ろした。

しかし、その直後から白熱のライブパフォーマンスの余韻に浸りつつも、熱狂が収まらない会場では、アンコールを求める拍手の嵐が。それを受けて、再びステージに姿を現したDEANは、このセクションでは、ベストアルバムには収録されていない楽曲を披露すると発表。日本で震災があった2011年3月11日にジャカルタで制作した楽曲であり、自身が長く離れていた祖国・日本への帰国を考え始めるきっかけとなった思い出の曲「Priceless」を披露。また同曲では、普段はDEANと離れて暮らす3人の子供たちがスペシャルゲストとして招かれ、家族で一緒に歌い上げるサプライズも。その思い出を観客とともに分かち合えたことにDEANは感謝の言葉を口にした。

そして、アグレッシブでエモーショナルなロックナンバー「Showdown」が披露され、全18曲による「DEAN FUJIOKA Live 2023 “Stars of the Lid” at日本武道館」は終了。今回、日本武道館に集まったファンとの記念撮影が行われたあと、改めて、DEANは「今日ここにいることを選んでくれてありがとう。今ここでみんなと一緒にいられることが本当に幸せです。自分が作った音楽でいろんな出会いに恵まれるということは、音楽に救われてきた自分としては本当に感無量。そして奇跡の体験だと思ってます」と述べた。

さらに武道館内に掲げられている”日の丸”を見上げながら、DEAN FUJIOKAとして、藤岡竜雄として、「ただいま日本、そして、行ってきます」と挨拶。続けて「地獄行きの船に乗ってくるから。また地獄から必ず帰ってくるんでそのときは、大きい声でおかえりと迎えていただけたら嬉しいです。また、この先の未来で会いましょう。今日は本当にありがとうございました」とファンへの感謝の言葉を口にした。

公演前の触れ込みどおり、まさにこれまでの日本での音楽活動の中で培ってきた音楽への愛情、楽曲制作のスキルや情熱を存分に堪能できる、ミュージシャン・DEAN FUJIOKAにとっての集大成と言える内容となった「DEAN FUJIOKA Live 2023 “Stars of the Lid” at日本武道館」。しかし、本公演で本人が口にしたとおり、これからもDEANは、ミュージシャンとしてさらなる高みを目指し、進化をつづけていくはずだ。これまでDEANの音楽に感銘を受けてきたファンとしては改めて、ここから始まる彼の新たな物語に注目していきたい。

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