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MindaRynの新たなる音楽の旅は始まった『MindaRyn 1st LIVE “My Journey”』レポート

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2023.9.10(Sun)MindaRyn 1st LIVE “My Journey@浅草花劇場

ほほ笑みの国、タイからやってきた彼女は小屋入りの瞬間から緊張していた。
MindaRyn待望となるファーストライブ『MindaRyn 1st LIVE “My Journey”』が9月10日、浅草花劇場で開催された。
元々は2023年2月24日に開催されるはずだったこのライブ。諸事情により延期となってついに開催されるということで、本人の緊張もわかる気持ちがある。

リハーサルもしっかりと行ったのに、メイク中もMindaRynは楽屋でずっと歌い続けている。アーティストとしてのファーストライブは人生に一度しか無い。準備はいくらしても十分ということはないのかもしれない。

開場するとあっという間にフロアにファンが詰めかける。当日販売されたライブTシャツを着用している人も散見されるし、海外の方と思われるファンの姿もあった。遂に行われるMindaRynの音楽に対する期待が高まる中、開演直前の本人に軽く話を聞いてみた。

メイクを済ませたMindaRynが不安に思っていたのは、やはり言葉の壁だった。MCが伝わるか不安がある、とこぼした彼女は、それでも笑顔で何を言うべきか何度も確認していた。ファンに対して真摯なのだと改めて感じる。そして開演が迫る。浅草花劇場、外国人観光客が溢れるこの地に、タイから来たアニソンシンガーである、一人の女性がステージに立つ。

ライブはギターを持って「My Journey」からスタート。緊張しているとは言っていたが堂々とした姿。間髪入れずデビュー曲「BLUE ROSE knows」をパワフルに歌い上げる。ここまで溜め込んだパワーをここぞとばかりに振りまくように歌うMindaRyn。

「こんばんはMindaRynです!」

挨拶からも勢い止まらず「Way to go」を披露。ポジティブな空気感の楽曲が本当に彼女には似合う。

「やっとです!皆さん今日は来てくれて本当にありがとうございます!めっちゃ緊張!」

言葉ではそう語ったが、歌から緊張は微塵も感じなかった。むしろリラックスして楽しそうな雰囲気すら感じた出だしだった。そしてMindaRynはMCで心境を語っていく。今回のライブのタイトルは“My Journey”。デビューしてから嬉しいことも悲しいこともあったという彼女は、その中で一番ハッピーなことはみなさんと出会えたことだと語りかける。

勢いはそのままにパワーあふれる「START」、そして「My Evolution」でもステージを飛び回り、客席の顔を覗き込みながら歌う。物理的な意味だけではなく、ファンと心の近いところにいようとするのがひしひしと伝わってくる。続くTVアニメ『ありふれた職業で世界最強 2nd season』OP主題歌「Daylight」ではうって変わってシリアスな空気感に。だがそのエネルギーは変わらない。

自身の楽曲の中でも最もソリッドな「SURVIVE」では再度ギターを持っての歌唱。バンドの音も粒が立っていて強烈に突き刺さってくる。ドラム、シーケンス、ギター、ベースのシンプルな編成だが、各パートそれぞれがかなりの手練だ。

「めっちゃ楽しいね!やっぱりワンマンって全然違いますね!」

大声で叫ぶMindaRyn。笑顔が本当に彼女には似合うと思っていたが、このパートのMCでは、タイ人だから日本のファンに好きになってもらえるか不安だったと涙をこぼしそうになる瞬間も。

やはり張り詰めていたのだろう。「日本語が下手!」と言いながらも流暢に会話しコミニュケーションを取るMindaRynを見ていると「本当に明るい女性なんだな」と思えるが、異国でたった一人でシンガーとして奮闘する彼女が張り詰めていないわけなど無いのだ。

「みんなのこと友達だと思ってるんです。今日のライブは大切な友達とのパーティーのようなものにしたい!私と一緒にいるときは絶対ハッピーにしたい!」

そう語る彼女は、「私のことをもっと伝えたいし、みんなのことももっと知りたい」と宣言し、心情を表すような曲たちへ。ウェットな空気感からくっきりとした8ビートを聞かせてくれるボディのあるバラード「kiss my cheek」、幼年期の終りを切なく描いた「Neverland Fantasy」と続く。

バラードを聴いて思ったのは、MindaRynの曲はアジア人特有のしっとりとした雰囲気を内包しつつも、メロディーの根底にアメリカン・ロック的な大陸感を感じるということ。このカラッとした音像が似合うのは、彼女が元来持つ明るさがあるのかもしれない。

ネイティブな発音だということもあるのだろうが、洋楽を聴いているような感覚の中に、僕らの感情を震わせるフレーズが垣間見える歌。正しくボーダレスなポップスを楽しんでいると感じられる。英語を多用した歌詞でも、詩の世界観が浮かぶのは世界のコネクターであるMindaRynの表現力の賜物だ。

アコギを片手に弾き語られた「Fireworks」「You and I」は完全にカントリーの空気感。どこか乾いた風を感じるこの楽曲を、タイ人の彼女が、日本らしさの象徴とも言える浅草の地で歌い上げているのはどこか痛快でもあった。

再度バンドメンバーをステージに呼び込んで朗らかにトークも展開。何度も「日本語下手!」とは言うけれど、思っていることも気持ちもしっかり伝わるトークを展開している。

ライブも中盤戦に突入。彼女が日本でアニソンシンガーとしてデビューする気持ちを描いたという「Another world」は自身が作詞作曲を担当した楽曲。ピアノを弾き語りしながらファンへの思いを響かせる。ギターもピアノも堂に入った、その演奏する姿に驚かされる。努力の人なのだろう。

シンガーとしての才能を持ち合わせていることを改めて感じていたが、やはりMindaRynの本質はアニソンシンガー、次のMCでは気持ちを切り替えるように、アニソンへの愛を真剣に語る。アニソンと出会えたことで夢を見れた、みんなに出会えた、アニソンシンガーになれた。「今度は私がアニソンに何か返せるか?」を考えていると真剣に語るその目は、チャームポイントの眼鏡越しでも輝いている。

「日本のアニメとアニソンのカルチャーは素晴らしいというのをもっといろんな人達に伝えていきたい」と次に歌うことを選んだのは、TVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のOPテーマを英語でカバーした「Sincerely (English Version)」。

オリジナルであるTRUEとは違うアプローチの歌唱。フォロワーという立ち位置とオリジナルへのリスペクトもありつつ、バンドサウンドは力強い。

続いてもカバーで「Beyond the Boundary(English Version)」。茅原実里の名曲「境界の彼方」の英語バージョン。疾走感と切なさを内包したこの曲もMindaRyn流に歌い上げる。印象的な出だしに客席に居た外国人のファンも反応を示す。やはりアニソンは国境を超える。後半部分は高音のシャウトがよく伸びるのには驚きを感じる。

「もっとパワーもらっていいですか!?」の叫びから「Be the one」、そして「Like Flames」でライブは再加速する。デビューライブは人生で一回しかないのだ、もっともっと加速して、第二宇宙速度を超えて衛星になるくらいにだって突っ走っていい。エネルギーを出し惜しみず「BRAND NEW OLD」では客席とシャウトをぶつけあう。

「私はいつもステージが怖いんです、でも私達が会えるのはステージしか無いから、絶対に立つって決めてます!」

今日会場入りから何度も口にしていた「緊張する」の内実を語るMindaRynのこのMCは、全編通して一番シリアスなものだった。

「でもひとりじゃない、こんなに友だちがいるから怖くないって思えます、それは皆さんのおかげです、ありがとうございます!またみんなでハッピーなパーティーをしようね!」

応援してくれる人は“友達”、自身の初ライブを「みんなとのハッピーなパーティー」という彼女のフレンドリーかつマインドが伝わる。思いの丈をぶちまけてからは劇場版『転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編』主題歌の「Make Me Feel Better」。光の向こうへと歌い上げる輝くようなこの曲で会場を一つにして、本編ラストは「Shine」。

鳴り止まないアンコールの声に答えてライブTシャツで再登場したあとは、ファンに「どこから来たの?」の問いかけ。東京、地方を超えて地元であるタイ、そしてフランスなどからもファンが詰めかけていると聞いて喜びを爆発させるMindaRyn。その勢いのまま特撮ドラマ『ウルトラマンブレーザー』前期エンディングテーマ「BLACK STAR」へ。

MindaRynが持つポップス感と今風のロックテイストが融合したこの曲を待っていた!というファンもいたような気がする。それくらいの勢いで歌い切る。

「今日は絶対忘れられない日になりました。やっぱりみんなが私の歌い続ける理由なんです」

そう語りさっきはこらえた涙を零したMindaRyn。励ますファンも彼女の心にシンクロするように声を飛ばす。

「ずっとそばに居てね…!私の友だちになってくれてありがとう、愛してるよ!」

その言葉から本当のラスト曲「love my friends」を歌い切る。単純に歌う彼女を見ながら、いつまでも笑っていてほしいと心から感じた。貴女の笑顔が僕たちの生きるパワーになっているというのを伝えたいと思った。それくらいMindaRynは隣で肩を組むような気さくさで、ハッピーな時間を共有してくれようとしている。やっと鳴り出したMindaRynの音楽は誰よりもハッピーに鳴り響き、貴方にそれを届けてくれるはずだ。

◆終演後のMindaRynにミニインタビューを敢行!

――お疲れ様でした、1stワンマンライブはどうでした?

緊張してたけど、みんなからパワーを貰って緊張しなくなりました。楽しかった!最後の曲はちょっとミスをしてしまいましたけど(笑)。

――それが逆に良かった気もします。

そうですか?

――MCでは前半から涙も見せちゃいましたね。

泣くつもりはなかったんです。リハーサルでMCの練習をしたときは泣かなかったし、本番も平気だと思ってたんです、泣くと歌が下手になっちゃうから。でも本番はお客さんから自信をもらえて。

――自信ですか。

正直、最初はみんなに愛してもらえるか不安だったんですけど、ステージに上ったら「私愛されてるかも…!」と思えて、泣いちゃいました(笑)。感動しちゃって。

――お客さんにパワーを貰えたんですね。

ここまで本当に長かったし、色々あったんですけど、でもこれだけ沢山の人に来てもらって本当に嬉しかったです。こんなに来てもらえるとは最初思っていなかったし(笑)。

――凄くいいライブだったと思いました。

ありがとうございます! いつもステージに立つ直前は本当に心が震えてしまうんですけど、それは本当に苦手ですね(笑)。始まってしまえばいいんですけど。

――先日の『Animelo Summer Live 2023 -AXEL-(以下アニサマ)』のけやき広場でのパフォーマンスも好評でした。もっといろいろなところで歌いたいという気持ちはあるんでしょうか?

あります!もっとアニソンが好きな人に会いたいですね。みんな友達だと思っているので。

――今日のライブでも「みんなと友達になれて、パーティーが出来てハッピー」という言葉がすごく印象に残りました。

本当にみんなが友達だと思っているので、だから緊張もしなかったんじゃないかと思いますね。もう友達というより家族に近い感覚かも(笑)。本当に「私の家で一緒にパーティーしようよ!」という感じ。

――改めてライブで聴くと、楽曲もカントリーテイストな楽曲も多くて、どこかMindaRynの好きなものの原型を感じた気もしました。

私は日本人じゃないので、日本人になるというより、外国人のテイストをもっと活かしていきたいとは思います。アヴリル・ラヴィーンやパラモアが好きなので、どこかそういうテイストの歌い方を意識しているのかもしれませんね。

――でもその中にもアジア人独特の切なさを感じる歌唱も混ざっていて、正しくワールドワイドなアニソンシンガーなんだな、と思いました。外国人のお客さんも多数来場してましたね。

日本人以外の人も、私の歌い方を聴いてどこか聴きやすい感覚を覚えてもらえているのかも知れませんね。凄く嬉しいです。

――改めて最後に、今日の感想をいただければ。

思ったよりハッピーな一日になりました!始まる前は最初から最後まで緊張しているんだろうなぁって思っていたんですけど、みんなのパワーをもらって、一緒にパーティー出来ましたね!

――じゃあ、MindaRynの次の夢は?

次の夢~!?そうですね…アニサマに出たい!そして次のライブを早くしたいですね!今日はこの後しっかり休みますけど!(笑)

取材・文:加東岳史

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