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Roseliaが成し遂げた未来、それは薔薇色の光景。Roselia「Farbe」DAY1レポート

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Roselia

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2023.9.16(Sat)Roselia「Farbe」DAY.1@有明アリーナ

Roseliaにとって約1年ぶりとなるワンマンライブ「Farbe(ファルベ)」が、東京都 有明アリーナにて、2023年9月16日〜17日の2日間にわたり開催された。Roseliaといえば、青薔薇のイメージが強いが、ドイツ語で“彩り”を意味する本公演は、そんな彼女たちがまるで虹のように色彩豊かな輝きを放っていたのが印象的だった。それはまさに十人十色、メンバーそれぞれの個性、つまりカラーが際立っていたからこそ成立するものだ。そこにオーディエンスのペンライトと歓声が入り混じることで、より色濃く、もっと鮮やかに、舞台は彩られていった。

ワンマンライブとしてはちょうど1年前、2022年9月に奇しくもここ有明アリーナで開催されたBanG Dream! 10th☆LIVE DAY1 : Roselia「Sonnenschein(ゾンネンシャイン)」ぶりとなった本公演だが、この1年間でバンドリ!シリーズにも大きな動きがいくつもあった。その中でも、最も話題にすべきなのがTVアニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』の放送だろう。13話放送終了直後の、このタイミングでオープニングアクトとしてDAY1にMyGO!!!!!、DAY2にAve Mujicaが招聘されていた事に胸を躍らせていたファンも多かったのではないだろうか?

MyGO!!!!!

MyGO!!!!!

実際に、舞台袖から立希を先頭にMyGO!!!!!のメンバーが姿を現すと、場内はものすごい熱気に包まれていった。まずは挨拶代わりに「影色舞」の軽快なイントロを楽奈がかき鳴らす。満面の笑みで、無邪気にギターを弾く姿はアニメで見たままで、そんな楽奈に応じるように燈もどこかぎこちなく、ピョコピョコとしたツーステップを踏んでステージを楽しんでいる様子に一気に心を鷲掴みにされる。

続く「碧天伴走」は立希とそよの軽快なドラムとベースから始まり、愛音と楽奈が曲名通りにステージの袖まで走ってオーディエンスへきっちりアピールするのも怠らない。最後に「壱雫空」を披露してステージを後にしたが、本当にオープニングアクトから会場の熱気が急激に上昇していったのがよく分かる。というよりも自分自身が何よりこの5人に乗せられていることに気付く。今日の主役はこれからだというのに。

転換の間もほとぼりは冷めるどころか、より熱を帯びていった。BGMとして流れる「FIRE BIRD」などのRoselia楽曲でコールの合唱が起こるのもRoseliaならではで、先ほどのMyGO!!!!!では青白く照らされていた場内も、一気に真っ赤なペンライトで埋め尽くされており、今か今かとボルテージが高まっていたのが肌で感じられた。

荘厳なゴシックメタルを彷彿とさせるBGMに合わせた呼び込みの映像が流れ始めると、モニターにはまるで聖堂のような美しい5つのステンドグラスが映し出された。頭上ではミラーボールが輝き、まさにガラス細工の中から木漏れ日が反射するように、絵画のような美しい光景が眼前で繰り広げられる。そんな輝きの中を縫うように、燐子、あこ、リサ、紗夜、そして友希那が姿を現す。

この日の1曲目は「BLACK SHOUT」。ステンドグラスをバックに、ここが大聖堂なのだとすれば、まさに今宵のミサの始まりを告げる鐘の音がいま場内に鳴り響く。今夜は「Farbe」なのにモニターに映し出される映像はあえてモノクロにする演出もニクい。流れるようにあことリサのリズム隊によるソロパートから「R」へ突入すると、モニターの映像も色付いていく。初披露となる「THRONE OF ROSE」では、Farbeらしく色とりどりのペンライトで会場が埋め尽くされていった。

「こんばんは、Roseliaです。」いつもの挨拶から、早速メンバー紹介の流れへ。メンバーカラーに合わせて代わる代わる色付くペンライトもそうだが、やはり単独公演としては久しぶりの声出しライブということでオーディエンスの熱を帯びた歓声がステージを彩っていく。Roseliaの衣装担当の燐子から今回はメンバーカラーに合わせたコスチュームの説明があったり、ガルパ6.5周年についての話題に触れたり、今回の物販ではアクリルスタンド(通称「アクスタ」)が制作されたのだが、ドラムセット込みでアクスタ化されたあこが他のメンバーと比べても巨大すぎることがイジられたりと、いつものRoseliaらしいトークで盛り上がる。

「今日のライブをもっと最高のステージにするために、みんなの声を聞かせて!」と友希那の呼びかけに、気合い十分の声で応じると「私たちも負けてられないわね!紗夜、よろしく!」とギターソロで煽る。友希那の歌声とユニゾンするように「ROZEN HORIZON」のイントロが聞こえてきた。「歌え、新世界へ」と叫び、続く「“UNIONS” Road」では「私達はそうして 未来をつくった」と奏でる。「私たちとひとつになりましょう」とラスサビは全員で合唱し、より一体感を高め合った。

と、ここで恒例の“キャラくず”こと幕間のワンコーナーが。今回は“夏休み”をテーマに、ガルパのエピソードに沿った内容になっていたり、新ルールの“キャラ解放タイム”が設けられたりとパワーアップした“キャラ設定をくずしちゃいけない!! Roseliaの夏休みがスタート。大学生になったRoseliaの面々は免許も取得したので、今回はレンタカーを借りてドライブを楽しむ……はずが、すったもんだあり、あこが運転することに(高2なのに)。房総半島の海辺でBBQも楽しんだということで、個人的には以前13th Single「THRONE OF ROSE」のインタビューの際にも「みんなでBBQが一番やりたい!」と語ってくれていたのを思い出して「良かったね……」とニンマリしてしまった。

閑話休題、ライブも中盤に差し掛かり、燐子のピアノソロのアコースティックverにアレンジされた「FIRE BIRD」で、再びエンジンは点火し、回転数を上げる。ステージは火を噴き、まさかのリサと紗夜がゴンドラでアリーナ中央へ。「貴方たちの声をもっと聞かせて!」とアウトロを「Lala,lalala」と一緒にシャウト。思えば続く「Neo-Aspect」もアウトロにかけて全員でシンガロングできる曲だった。

「色々と話したいことはあるんだけど〜」と紗夜が語りかけ、話題はトロッコへ。「私たちがトロッコに乗るなんて、予想付いた方はいたのかしら?」と友希那に対して「ずるい!私と燐子ちゃんは絶対に乗れないじゃん!」「そうです!いつか私たちも乗せてください!」とあこだけに留まらず燐子までふくれていたのは、非常に良かったし、「(私はもう乗ったし)いつか乗れたらイイね〜」と他人事なリサの返しにも笑ってしまった。

「今日は“Farbe”ということで、これから演奏する曲はみんながそれぞれ思う好きな色で照らして!」と呼びかけると、こちらもまさかの5曲続けてのサビメドレー(Opera of the wasteland、Determination Symphony、Ringing Bloom、陽だまりロードナイト、Song I am.)を披露。これまでのRoseliaを彩ってきた楽曲を畳み掛けるように演奏してきたが、残すところもあと2曲。「えーっ!」というブーイングと共にペンライトで”×”を作るオーディエンスに対して「気持ちは分かるけど……○にしなさい!」と紗夜が圧をかけ「まあ、明日も入れれば十分曲ありますし」と竹を割ったようなコメントに思わず笑みがこぼれる。

「友希那さん、これから私たちまたトロッコに乗るんだけど、乗っていく?というか乗りなさい」と再び圧をかけると、さっそく裏切られた燐子が本当に羨ましそうにしていて、これがまた本当に良い。

「ここからの景色も本当に良いわね」と呟く友希那が「次の曲は、特に思い入れのある曲です」と告げ「Re:birth day」を披露。例え苦しくても、信じ、進むことで「此処で成し遂げてゆく 未来」がやってくる。きっとRoseliaにとって、コロナ禍という苦難を乗り越えて、成し遂げた未来が今日、この日なんだと思わずにはいられなかった。

最後の曲は「一逢のFull Glory」。この曲も個人的な話になってしまうが、以前のインタビュー時の話題を引用させてほしい。第一印象がとても暖かく背中を押してくれるような曲で、中でも最も印象的に感じたのが「薔薇色」というフレーズだった。これまでRoseliaの楽曲で薔薇といえば、高貴でクールなイメージが強かったのだが、この曲に関しては「温かみのある“薔薇”に感じた」という話をさせてもらったところ、相羽さんは「私のイメージでは青薔薇ではあるんだけど、朝露に濡れて瑞々しい薔薇のイメージかも」と仰っていた。付け加えて「きっとこの“薔薇色”はそれぞれ違った色になるだろう」とも語ってくれた。その言葉通りの光景が、いま目の前に具現化されていて、本当に震えてしまった。オーディエンスたちが想い想いの“薔薇色”をペンライトに灯し、全力で歌う湊友希那に応える姿を目の当たりにして、涙が止まらなかった。これがRoseliaの描きたかった「Farbe」の姿だったのか、と気付くことができた。

アンコール前の幕間では、再びキャラくずのコーナーがあり、道の駅で買い出しをしたり、岩場のゴツゴツとした海岸でなんちゃってサスペンス劇場ごっこをしたり、色々と笑わせてもらったが、続きはDAY2へ。

「アンコールは全員でみんなの所へ行っちゃうよ〜!」と勢いよく飛び出した「-HEROIC ADVENT-」では、まさかの5人全員でトロッコに乗り、アリーナをぐるりと1周。あこと燐子、本当に良かったね……。

再びステージ上には5人が揃い、改めてメンバーが今日のライブを振り返っていく。「何より皆さんがFarbeでした!」と力強く語る友希那が「次で最後の曲です」と切り替えるとまた「えーっ」と、どこかで見たくだりへ。「バツじゃなくて〜?」「マル〜!」と今度は声付きでまた○を作らせると「なんか……こんなCMあったよね?(笑)」と、キャラくずに続きここでもお酒の話題にもっていくリサ。

「最後はこの曲でお別れです!」と全力の「ZEAL of proud」で完全燃焼。「すごい、みんなまだ全然声出るね〜!」と驚いていたが、実際に私が見させて頂いていた四隅の方までしっかりと響いていて、私も驚いた。最後にステージから全力の「ファイティ〜ン!」でDAY2へとそのバトンを繋いだ。

今回のテーマでもある“色彩”とは、結局のところ光の波の長短でしかない。つまり光が差し込まなければ、色も知覚出来ないのである。そう考えるとオープニングのミラーボールの演出は「Sonnenschein(日光)」だったようにも感じるし、それがステンドグラスへと差し込み「Farbe(彩り)」へ変遷していくのは必然だったのかもしれない。

そして個人的には今夜のアクトは随所にメンバーからオーディエンスへのキラキラとした想いが込められた、宝石箱のようなライブだったように思う。近年の声が出せないという状況下において、観客はどうしても彼女たちが発する想いを受け取るのみの形にならざるを得ない部分も多かったと思う。よってエモーショナルで心を震えるようなメッセージ性の高いライブが続いている印象が強かったのだが、今夜のRoseliaはとにかく“楽しかった”というひと言に尽きる。

またセットリストに選ばれた楽曲も、節々に未来に向けたメッセージが込められている曲が多かったようにも感じた。共に明るい未来に向かって駆け抜けた一夜という印象があった。最新Single「THRONE OF ROSE」は次なる玉座へ向けて、旅立つ為の歌だ。きっと今のRoseliaが目指す“玉座”は薔薇色の景色の向こう側にあるのだろうなと、そんなことを思わずにはいられない。十人十色という言葉があるように、それぞれ個性があって、別々のメンバーカラーこそあるものの、そんな5人の色が合わさって初めて“青薔薇”になれるのだし、そこにオーディエンスの声援が加わってその青はより深く輝きが増す。苦難の日々を超え、Roseliaが成し遂げた未来、薔薇色の光景。それを彩る一粒の光になれたことを誇りに思おう。

レポート・文=前田勇介

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