木村達成
俳優、木村達成。30歳という節目を迎える2023年、『木村達成コンサート –Alphabet Knee Attack Vol.2-』を開催する。今年は、誕生日当日である12月8日(金)に大阪公演、12月20日(水)・21日(木)には東京公演を行う木村。昨年とはまた違うセットリストや新たな試みでファン達と一緒に楽しみたいと意気込む木村に話を聞いた。
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■いい意味での“不完全さ”を楽しんでほしい
――今回で2回目となるコンサート、どのような構想をお持ちですか。「新しい試み」を考えていらっしゃるとか。
プランニングしながら物事を進めるのが苦手なんです。正直行き当たりばったりでも面白いことになると思うので、そこは自信を持って貫き通したいと思っています。楽曲や衣装が変わって気持ちの持ち方も変われば、(前回とは)全く別物になると思います。
もちろん「絶対に大丈夫」なんてことはこの世にはなく、その不完全さが面白いドラマを生むんじゃないでしょうか。ただ、ネタバレになるので詳しくは言えませんが、僕の舞台を観ている方には「おっ!」と思うところが色々出てくるかもしれません。
前回は本当に初めてのコンサートで、どうやってエンディングまで持っていくかわからないところもあり、それで仲良くさせていただいている先輩方に助けを求め、ゲストやMCとして出演していただきました。ですが、今回は誰にも頼らず一人でどこまでやれるかというのが新しい挑戦になるかもしれません。
――前回のコンサートの直後には「2回目をやるかはまだわからない」とお話しされていました。今年やると決めたきっかけや決め手はなんだったんでしょう。
人が何か新しい話を持ちかける時って、その相手が楽しい状況にあれば、OKを得られやすいものだと思うんです。今回の話をいただいた時、たぶん僕はすごく楽しかったんでしょうね(笑)。『木村達成 10周年コンサート -Alphabet Knee Attack-』が終わった直後に、「2回目もやっちゃいましょう!」と言われ、「いいですね! でも今年はデビュー10周年だったから、次もまた何か節目がないと……」と返すと、「来年は30歳ですよね」と。うまいこと一本取られました(笑)。
ただ、そもそも喜んでくださる方がいらっしゃるのならやるべきだと思っているんです。僕にかかる比重は大きくもありますが、「Alphabet Knee Attack」という文字が消えずに「vol.2」がつくのも嬉しいことです。タイトルの説明もまだちゃんとしていないので、お客さんもみんな「この名前を出し続ける理由は?」と思っていることでしょう。それも面白い方向に転がっていけば僕は嬉しいし、それだけで2回目をやる理由にはなりますね。
――で、そのタイトルをつけた理由というのは?
いや、ここまで来ると言えないです(笑)。言えないほどの理由ではないのですが、調子に乗って「これはまあ」とぼかしていたら言えなくなってしまったので、墓場まで持って行きます(笑)。
――前回の手応えはいかがでしたか。
うまく歌えたかどうかは別として、観ていただいた方が楽しんだり喜んだりしてくださったのならWin-Winです。自分にも一応、人を喜ばせる能力があるんだなと感じましたし、喜んでもらえるなら全力でやろうと思いましたね。お客さんの反応としては、皆さんがペンライトを振ってくださり、少しこっぱずかしかったのはあります(笑)。
前回は初めてのコンサートでしたし、放送の収録が入ったのもあって、プレッシャーがすごかったです。でも今回は縦横無尽に走り回ることができるんじゃないかな。不完全燃焼は嫌ですが、いい意味でスリリングな、不完全な感じを楽しんでもらえたらいいなと思います。
昨年の公演(写真提供:WOWOW)
――前回は年越しそばなどのグッズもありました。今回のグッズについて何かアイデアはありますか?
僕、企画会議に全面的に参加しているわけではないのですが、聞いた話だと今回のビジュアルの「白達成」が関係してくるらしいです。詳しいことは内緒ですが、見たら「なるほど」となるし、必ず笑っていただけると思います。当たってもピタリ賞はありませんが、写真から連想して楽しんでほしいです(笑)。
■30歳になった自分の素直な気持ちを届けたい
――普段ミュージカルで活躍されていますが、元々、スナックなどで歌うことがお好きだそうですね。木村さんにとって「歌」とはどんな存在ですか?
「木村さんにとって歌とは」か……。こういう質問、ちょっと捻った方がいいんでしょうね。とんでもない発言をして、後でこのインタビューを読んで、笑いたい気持ちもあるんですが……。
(マネージャーさんから「いつも後悔するんだからやめておいたほうがいい」と声がかかり)
新たな景色を見せてくれたものですかね。今、お仕事としてコンサートをやらせていただいたり、ミュージカルに出演していたりするのは、元々好きでこういった世界に興味を持っていたからですし。新たな1ページを見せてくれる、ありがたい存在です。
――前回はJ-POPも含めて思い出深い曲をたくさんセレクトされていましたが、特に思い出深い1曲を選ぶとしたらなんでしょう。
aikoさんの「カブトムシ」ですね。すごく前のめりで一緒に作り上げてくれたスタッフが本番前に退社されてしまって。香港に行かれたのですが、「どうしてもこの曲を木村さんに歌っていただきたい」と言い残されていったので、聴いてくれているかなと思いながら東京で歌いました(笑)。すごく鮮明に覚えています。
昨年の公演(写真提供:WOWOW)
――俳優として歌を表現する上で意識していること、大事にしていることを教えてください。
最近、「俳優とは、プロとは」ということについてすごく考えます。作品で役を纏う時はその人物を演じるけど、プライベートでは人として“完璧”を求められるような部分がある。演じることやエンタメは大好きですが、「俳優としての意識」とはなんぞやと考えるようになりました。
前回は歌手でもミュージカルスターでもない俳優の僕が歌をお届けするというニュアンスでしたが、今回はさらに俳優でも何でもなく、単純に“木村達成”として、30歳になった自分の気持ちを素直にお伝えできたらベストなのかなと思います。だからコンサートについては“俳優として”という部分は考えていませんね。
昨年の公演(写真提供:WOWOW)
■20代の勢いはそのまま、新たなステージへ
――お誕生日にコンサートがスタートします。
誕生日当日は絶対に仕事を入れてほしい、寂しい思いをしたくないとお願いしていたのでありがたいです。30歳を迎える記念すべき日にひとりぼっちにならずにすみましたし、1日目に戦うべき何かが現れたという意味ではいいスタートダッシュを切れそうです。
――30歳の抱負はありますか?
“Let it be”です。これまで前を見て走ってきましたし、今後もそうありたいと思っています。ただ今後は、立ち止まる勇気も必要になってくると思いますし、そう言った部分も培われたらいいなと感じます。
――今年は日本初演のミュージカル『マチルダ』に出演されたり、『新ハムレット』では劇中でラップを披露されたりと挑戦の多い年だったと思います。30代で新たに挑戦したいことやビジョンがあったら教えてください。
30代でこんなことをしたいというより、20代のうちにやっておけばよかったなという心残りがあります。1週間くらいだけでも海の家で働いてみたかったんですよ。海水浴場のイケてる兄ちゃんみたいなポジションくらいで何かやれたら自分の感覚もまた違ったのかなと。これは冗談じゃなくて、みんなが普通に過ごしている時間、楽しい時間を共有してみたかった。海の家は言い過ぎかもしれないけれど、真夏に海に行くのは楽しいイベントですよね。そういう環境に身を置いて参加して、みんながそこで見せる笑顔などを見ておけばよかったなと思います。もちろん今も見てはいるんでしょうけど、皆さんが過ごしている1秒の中にいるべきだったかなと思いました。30代になったらそういう場面をもっと意識して見てみたいですね。
――最後に、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
年内に皆さんと会える最後の機会です。それに誕生日当日、30歳になりたての木村達成をお届けできることは中々ありません。30歳は最初で最後ですし、放送・配信がないので、その空間にいた人しか見られません。
10月に『スリル・ミー』の公演が終わったら、すぐにコンサートに向けた調整に入ります。約2ヶ月越しに皆さんと対面で歌ったりトークしたりするので承認欲求も爆上がりしていると思います。なので、単純に「30歳になった木村達成を祝ってください、頼みます」という想いがいっぱいです。ぜひ楽しみにしていてください。会場でお待ちしています。
取材・文:吉田沙奈
撮影:Maho Korogi
スタイリスト:部坂尚吾(江東衣裳)
ニット¥47,300(BARENA / 三喜商事 03-3470-8232)
ヘアメイク:齊藤沙織