NightOwl
NightOwl『OWL AROUND TOUR』2023.09.23(sat)渋谷eggman
NightOwlの4周年を記念した『OWL AROUND TOUR』。8月23日(水)大阪・心斎橋VARON、9月18日(月祝)名古屋・HeartLandを経て9月23日(土)東京・渋谷eggmanで迎えたファイナル公演の模様をレポートする。
SE「Night Beats」が流れると、フロア全体から沸き起こった手拍子。メンバーカラーのペンライトの光で瞬く間に埋め尽くされた風景が美しい。待ちわびていたファンの気持ちが鮮やかに示される中、折原伊桜、百城凛音、雨夜憧、長谷川嘉那がステージに登場。「ロンリー・ナイトパレード」がスタートすると、歌声とダンス、観客の熱気が完全に1つになった。振り付けを一緒に踊り、全力でコールする人々の笑顔がとても明るい。「Living my day」「La La Lullaby」「暁闇」も届けられたことによって、早くもライブの佳境に差し掛かったかのような盛り上がりが生まれていた。
雨夜 憧
4曲が披露された後に迎えた小休止。「このツアーはNightOwlの4周年当日、8月23日から回らせていただいて、今日がラストとなります。全曲やらせていただきます! 最後までパワフルに楽しんでください!」という雨夜の言葉に対して大歓声で応えた観客。「もう数曲やらせてもらったんですけど、EPとかアン……『Answer』って言いかけた(笑)。聞かなかったことにしてもらって……EPとかアルバムでセトリを組んだので、今までのことを思い出してもらったりとか、最近NightOwlを知った方には“こんな感じなんや?”って聴いてもらえたらなと思います」……ネタバレを含んでいた気もする長谷川のMCは、和やかな笑いを誘っていた。彼女の説明にもあった通り、今回のライブのセットリストは、これまでにリリースしてきた作品の曲が各ブロックでまとめられていた。最初のブロックは、2022年1月8日にリリースされたEP『不完全な夜でも』の曲で構成されていたというわけだ。
「Answer」がスタートした瞬間、大喜びしながらペンライトを揺らした観客。2つ目のブロックは、2021年8月28日にリリースされたEP『Answer』の収録曲だった。「夜明け前」「夜想歌」(2021年4月7日に配信で先行リリース)「16進数の海辺」も披露されたが、絶妙な歌声のコンビネーション、フォーメーションを次々と変化させるダンスで曲を彩るメンバーの姿から片時も目を離せない。1つ1つの曲にまっすぐに向き合い、表現力を深めながら歩んできたNightOwlの軌跡が自ずと伝わってきた。
百城 凛音
「今歌った「16進数の海辺」を初めて聴いた方っています? NightOwlと出会ってくれた時の曲、思い入れのある曲とかも歌うので、振り返りながら楽しんでください」――百城のMCの後に突入した3つ目のブロックは、昨年から今年にかけて配信リリースされた曲で構成されていた。今年の8月3日に配信された「ヨルウタゲ」からスタートし、「夜行迷路」「グッドバイバイ」「グッドナイト」も披露されたが、ダンサブル且つアッパーなサウンドが、フロアで踊る観客の盛り上がりを加速していく。「melt blue」のメロウなサウンドでじっくりと魅了した後、「Beyond the Night」の疾走感に溢れたサウンドが駆け抜ける様が快感極まりなかった。NightOwlの音楽のダンスミュージックとしての魅力を存分に噛み締めたのが、3つ目のブロックだった。
4つ目のブロックは、2020年8月14日にリリースされたアルバム『Dear, Night』の曲で構成されていた。2019年に配信された曲も含んでいるので、活動黎明期からNightOwlを応援しているファンは、様々な思い出をよみがえらせたのではないだろうか。「Shining Ray」がスタートすると、観客の間から起こった大合唱。「incubate」「Feel Alive」「Daybreak」「Be the one」「Precious Time」も披露されたが、振り付けを一緒に踊ったり、手拍子をしたり、飛び跳ねたりする人々の一体感がものすごい。各曲がファンの心と身体に完全に染み込んでいるのを感じた。フロアの活き活きとした風景は、メンバーにとって堪らないほど嬉しいものだったはずだ。
長谷川 嘉那
メンバーの出生地を回る凱旋ツアーとしてのテーマも込められた『夜夢夜夢祭ツアー』の開催が発表されて観客は大喜び。2024年1月17日(水)心斎橋VARONから始まり、全国9ヶ所を回るこのツアーのファイナルは、4月6日(土)恵比寿LIQUIDROOM。今後の予定の告知の後、折原が想いを語った。少し長くはなるが、とても胸打つものがあったので文字にしてお届けする。「4周年を迎えるにあたって、それぞれがグループのこと、メンバーのこと、自分のことについて考える機会があって、本音をメンバー同士でぶつけ合った時にちょっと喧嘩みたいになっちゃったんですね。正直、話し合いの中でNightOwlを終わらせないといけないんじゃないかっていう話も出ました。よく話し合って、考えて考えて。でも私たちはメンバーそれぞれやり残したことがいっぱいあって、みんなに返したいこともいっぱいあって。だからこんなところで終わられへんなと思ったんです。気づかせてくれたのは、こうやってライブに足を運んでくれたり、普段から応援の気持ちを伝えてくれる1人1人だと思っています。続ける選択肢を選んだけど、何十年もこの4人で続けられることじゃないと思うんです。だからこそ一緒に過ごしている時間、今を大事にして活動していきたいと思っています。4周年の節目に今一度自分たちのこと、応援してくれる1人1人のことを信じて、上を目指して活動していきたいと思っています。しっかり気を引き締めて活動していくので、ついてきてください」――想いのこもった言葉を受け止めながら拍手を送った観客の姿が、とても温かかった。
折原 伊桜
「今までの全部の出来事、これから先の未来も全部大切にして持って行きたいっていう、そんな曲です。当たり前のことが当たり前にあると、それを大切に思う気持ちを忘れてしまう瞬間があったりするけど、こうやって応援してくれるみなさん、メンバー、関わってくれる人全員を思い出してこれから先も一緒に歩んで行きたい。そんな気持ちで届ける歌を聴いてください」という言葉を折原が添えた「Shooting Star」。10月11日(水)に配信される新曲の初披露の現場に立ち会うことができて嬉しかった。清々しいエネルギーに満ち溢れたこの曲の途中に、小指を差し出す振り付けが含まれていたのが思い出される。観客も一斉に小指を差し出していたあの風景は、NightOwlとファンの間にある固い絆を感じさせてくれた。この曲は今後、各地で最高の空間を作り上げていくのだと思う。
「All Night Long」の盛り上がりは、本当にものすごかった。どこかオリエンタルなムードを醸し出しつつダンサブルに躍動し続けた様が、ありありと思い出される。このグループの音楽の唯一無二の作風を再確認させてくれる曲だった。そしてラストを飾ったのは「Dear, Night」。《明日夢見る僕ら一心同体》という一節も出てくるこの曲は、4周年を経てさらに雄々しく羽ばたいていこうとしている彼女たちにとてもふさわしかった。先ほど紹介した折原のMCにもあった通り、今のNightOwlは前進を続ける気持ちを漲らせている。彼女たちの誓いの歌のように感じた観客が少なからずいたのではないだろうか? 歌い終えた後、手を振りながらステージから去った4人を見送った拍手と歓声。あの爽やかな感触は、今後のNightOwlを支える素敵な力になっていくに違いない。
取材・文=田中大 撮影=ヨシモリユウナ
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