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懐かしさと感動が蘇る!上野樹里、三浦宏規ら出演のミュージカル『のだめカンタービレ』ゲネプロレポート

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ミュージカル『のだめカンタービレ』が2023年10月3日(火)から東京・日比谷シアタークリエほかで上演される。

『のだめカンタービレ』は2001年より、月刊「Kiss」(講談社)にて連載を開始すると瞬く間に大人気となり、04年に第28回講談社漫画賞少女部門を受賞し、全13巻の新装版単行本ほかシリーズ累計発行部数は3900万部を超える爆発的ヒットを記録。その後はコミックの枠にとどまらず、世界中で愛されるコンテンツとしてあらゆるメディアミックスを展開しているが、ミュージカル化は今回が初めてだ。

初日を前にしたゲネプロ(総通し舞台稽古)を観た。通常ゲネプロは報道陣と関係者のみが参加できるので、席にゆとりがあることが多いが、この日は異例の満席!改めて期待度の高さを感じる。

音楽大学のピアノ科に在籍しながら指揮者を目指すエリート学生の千秋真一(演:三浦宏規)はある日、酔って自宅の前で眠ってしまい、目覚めると、ゴミの山と悪臭が漂う部屋の中で、美しいピアノソナタを奏でる女性と出会う。彼女の名前は野田恵(演:上野樹里)といい、通称“のだめ”と呼ばれている。のだめは千秋と同じマンションの隣室に住み、同じ音大のピアノ科に在籍していたのだ。

千秋はのだめの中に秘めた天賦の才を感じ取り、一方ののだめは千秋の外見と音楽の才能に憧れ、彼にまとわりつくように。過去のトラウマから千秋は将来に行き詰まりを感じていたのだが、のだめとの出会いを機に音大の“変人”たちと運命を変える指導者に出会い、音楽の楽しさを思い出しながら、指揮者への道を一歩一歩切り拓き始めていく。また、のだめも千秋から大きな刺激を受け、新しい環境でピアノに励み、それぞれ成長をしていくーーというストーリー。

青春モノの要素もあり、恋愛モノの要素もあり、コメディ要素も多分にありながら、音楽に対する情熱や音楽家としての才能、苦悩、葛藤を骨太に描き、モーツァルト「2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448」、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲 第2番」やストラヴィンスキー「『ペトルーシュカ』からの3楽章」といったクラシック楽曲を楽しみながら鑑賞できることに作品の魅力がある。劇中のピアノ演奏は、阪田知樹、亀井聖矢、ぶどうの3名が楽曲提供者している。

今回、主人公ののだめを演じるのは、2006〜08年のドラマ版でも09、10年の映画版でものだめを演じた上野樹里。多くの観客にとって、やはり映像で観たのだめの印象が強くあるので、上野ののだめが出てきただけで「わ〜!のだめだ〜!本物だ〜!」という感動と懐かしさが込み上げると思う。上野にとって初舞台・初ミュージカルということもあってか、ゲネプロの段階では緊張も感じられたし、歌唱にはのびしろもうかがえたが、どうしてもほっとけないし、つい手を差し伸べたくなる愛らしいキャラクター性、そして特にコンクールの部分で垣間見える鬼才ぶりはのだめそのもの。「のだめといえば上野樹里」という公式はまだまだ続きそうだ。

“千秋先輩”を演じるのは三浦宏規。全国バレエコンクール入賞を経て、2019年に史上最年少でミュージカル『レ・ミゼラブル』のマリウス役を射止め、その後もミュージカル『ヘアスプレー』、舞台『千と千尋の神隠し』、舞台『キングダム』に出演……という飛ぶ鳥を落とす勢いで突き進んでいる三浦だが、本作ではミュージカル俳優としてのポテンシャルを余すところなく発揮。歌うし、踊るし、ピアノも弾くし、指揮もするし、格好良さも色っぽさもあるしで、三浦のファンのみならず、作品のファンも納得する完成度の高い“千秋先輩”を好演した。

峰龍太郎役の有澤樟太郎、三木清良役の仙名彩世、奥山真澄役の内藤大希、黒木泰則役の竹内將人といったメンバーがミュージカル作品としての基盤をしっかりと支え、江藤耕造役のなだぎ武やフランツ・フォン・シュトレーゼマン役の竹中直人らが本作のコメディ色を一層際立たせる。特に竹中はドラマ版、映画版でも同役を演じており、こちらも「わ〜!本物だ〜!」と嬉しくなる。ゲネプロでは出番のミスもあったが、それも笑いに変えていたのはさすがである。

演出は上田一豪。「カンタービレ」という言葉の意味のように、全体的に「歌うように表情豊かな」演出プラン。五線譜やピアノの鍵盤をモチーフにした舞台美術のほか、音楽記号が書かれた紗幕、グランドピアノやオケを乗せてくるくる回る盆がよく生かされていたし、テンポ感もよかった。

上演時間は約3時間程度(途中25分間の休憩あり)。東京公演は10月29日(日)まで。11月3日(金)〜4日(土)には長野公演も予定されている。

初日カーテンコールでのコメント

竹中直人:(シュトレーゼマンは)自分の俳優人生の中で唯一断った役。ドイツ人ですから。僕は日本人だから絶対にできないと思って断ったのに、なんで僕はまたここにいるんだ、と不思議でなりません(笑)。でも素敵な皆様に見守られてなんとか乗り越えることができました。まだまだ続きますけれども、よろしくお願いします。

三浦宏規:無事に皆様の前にこうやって立つことができまして、本当にありがとうございます。上野樹里さんと竹中直人さんをお迎えして、本当に素敵なカンパニーでこうやって……本物ですからね! すごいことですよね、いまだに僕もよくわからなくて、(作中で)「先輩」って言われても、「後輩だもん」って思いますけれども(笑)。でも本当に光栄なことですし、こうやってお客様の前に届けられたことが幸せです。これからクリエで1カ月続いていきますが、皆様応援よろしくお願いいたします。

上野樹里:チケット争奪戦のなか、初日にいらしていただいて(「あ、ピアノバッグ持ってますね」と客席に気づく上野)、お客さんの熱量も運気もいっぱいいただいて、なんとか通りました。ありがとうございます。本当に素敵なキャストの皆さんで、舞台において今をときめくスターの方たちと一緒に、のだめとミルヒーは蘇らせていただいて、フィルターを通さずお客さんと会うことができて、とっても嬉しいです。アンサンブルの方たちはみんな5役、6役やって本当にすごいんです! (オーケストラに向かって)演技までしていただいて、ほんとにありがとうございます! 皆さん楽しんでいただけましたか?(拍手)よかったです! 本日はありがとうございました!

取材・文=五月女菜穂

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