レオ・ヌッチ
2024年2月7日(水)東京オペラシティコンサートホール、2月10日(土)サントリーホール 大ホールにて、『ヌッチ、来日 ~イタリアの至宝レオ・ヌッチ、有終の美~』が開催される。
レオ・ヌッチは1942年イタリア・ボローニャ近郊の生まれ、イタリア・オペラ界を代表するバリトン歌手だ。1967年にデビューして以来、艶やかな声と、ハートフルな歌で世界の聴衆を魅了し続けている。ミラノ・スカラ座をはじめとする世界の一流オペラ・ハウスで数多くの主役を歌っており、中でもロッシーニ『セビーリャの理髪師』、ヴェルディ『リゴレット』などは当たり役として知られている。スカラ座来日公演に1981年の初回から最後の2013年まで何度も同行しており、その他、日本でのコンサートも行われ、常に大好評を博している。コロナ後には歌手活動をいち早く再開し、近年は若い歌手たちへの指導のために演出も手がけ、ますます活動の幅を広げている。
レオ・ヌッチ
今回の来日によせて
誰よりも私たちを幸せにしてくれるオペラ歌手、それはやっぱりレオ・ヌッチ! 一度でもヌッチの舞台を観た人なら誰でもそう思うだろう。
ヌッチが最後に来日する予定だったのが2020年のスカラ座来日公演、ヴェルディ『椿姫』。実はヌッチは2019年に一度、イタリアで引退宣言をしているのだが、すでに約束をしていたスカラ座来日公演には出演する予定であった。
ところが新型コロナ・ウイルスが世界に蔓延し、スカラ座の来日公演は中止、そればかりでなく、世界中の歌劇場が活動を止めてしまった。その時、ヌッチの心に火がついた。
夏の野外オペラ、アレーナ・ディ・ヴェローナは2020年の8月に活動を再開したが、その舞台に颯爽と登場したのは誰あろう、レオ・ヌッチその人だったのだ。「歌うのをやめている場合ではない!」
そのヌッチの心残りは、彼が心より愛する日本の観客への約束が果たせないままになっていることだった。「日本でもう一度コンサートをしませんか?」という申し出に、ヌッチは「日本に行きたい。自分にとって大変な旅だとは思うけれど、ファンのために最高のパフォーマンスをする」と言ってくれた。この機会を逃してはならない!
オペラ・キュレーター:井内美香