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THE ORAL CIGARETTES、『WANDER ABOUT 放浪 TOUR 2023 北海道編』札幌公演のオフィシャルレポートが到着【画像:全13枚】

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THE ORAL CIGARETTES

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THE ORAL CIGARETTESが、『THE ORAL CIGARETTES presents "WANDER ABOUT 放浪 TOUR 2023 北海道 編"』を9月26日(火)に札幌・PENNY LANE 24にて開催した。本記事では、同公演のオフィシャルレポートをお届けする。


ライブハウスからホール、アリーナまでキャパシティを選ぶことなく、踏んだステージすべてを自分たちのホームグラウンドにして堂々たる存在感を放つTHE ORAL CIGARETTES。
今年2月から3月にかけては全国の各会場ごとに異なる対バンを迎えた2MAN VS TOUR「MORAL PANIC」を敢行し、各地で名勝負を繰り広げたことが記憶に新しい。「WANDER ABOUT 放浪 TOUR 2023」はそれとはまた似て非なるコンセプトで、日本の北端と南端−−つまり北海道と九州それぞれに、彼らが“今、一緒に演りたい”アーティストをフロントアクトとして招くかたちでスケジュールが組まれたものだ。今回は、6ヶ所全公演がソールドアウトとなった北海道編の中から、同じ関西出身のthe McFaddinと共に熱いパフォーマンスを繰り広げた札幌・PENNY LANE 24の模様をレポートする。

the McFaddin

the McFaddin

普段は地元である京都を拠点に活動しているthe McFaddinは、この日が記念すべき初めての札幌ライブとなった。
スクリーンにはカラフルな映像が映し出され、Ryosei Yamada(vo&g)の「遊ぼうぜ、札幌」の一言と共に「WH3Nwh3re」で幕開け。生身のバンドサウンドにDTMを駆使したデジタルアプローチを融合させる世界は、不思議なトリップ感を誘発してフロアに独特の揺らぎを生み出していく。続く「irk」ではエモーショナルな高揚感を、「feedpass」ではポップでラウドな一面を披露し、この日彼らを初見だったであろう人たちも確実に惹き付けつつあることが見て取れた。
ミドルテンポでゆったり踊れるナンバーが続く中盤。ステージの動きに呼応してフロアは皆一様に、波のようにゆらゆらと体を揺らす。「DRAW IN A HEAD」ではスクリーンに歌詞が次々浮かび、聴覚と視覚の両方に訴えかける手法でアプローチ。「君次第じゃね?」という言葉からは、“この限られた時間を自由に楽しんでほしい”というバンドからのメッセージが伝わってきた。「俺ら金もないし時間もないけど、音楽すんのめっちゃ楽しいねん。これからもずうっとそうしたいなあって曲!」と最後に演奏されたのは「betbetbet」。スクリーンにはコラージュのように絵と言葉があふれ、マイクを握るRyoseiは子供のような満面の笑みを浮かべる。遊び心の中にも音楽への真摯な思いが感じられるパフォーマンスで、初札幌ライブながらしっかりと爪痕を残した。

the McFaddin

the McFaddin

オーラル最後のPENNY LANE 24公演は、実に6年も前の2017年まで遡る。久々の密な距離感にファンの気持ちははやり、開演が近づくにつれて徐々に前方へぎゅっと人の波が詰まっていった。ステージにメンバーが登場するや、待ちかねたとばかりに大きな歓声が上がる。恒例の4本打ちが一本、二本、三本と打たれ、「Zepp Sapporo…ではなく、ペニーレーンに来たいうことは…グチャグチャになりに来たんでしょ?」と山中拓也(vo&g)は不敵にニヤリ。「始めます、よろしくどーぞ!」の言葉を合図に、アッパーな疾走感が痛快な「Mr.ファントム」から幕を開けた。

THE ORAL CIGARETTES

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北海道ツアーはこの札幌で折り返しの4公演目だが、ここまでセットリストの曲順は二つと同じものがない。同じ曲でも前後の流れでその印象はガラリと変わることを踏まえ、複数の公演に参戦するファン、そして何より自分たちが新鮮な気持ちで楽しめるようにとのこだわりなのだろう。ライブの現場における制約がようやく緩和され“いつも通り”の盛り上がり方が許されるようになったオーディエンスは、のっけから拳を高く突き上げながら声を上げ呼応する。間髪入れずに繰り出された「STARGET」ではサビに合わせて一斉にタオルが回され、いきなりクライマックスを迎えたかのような様相だ。思わず「まだ序盤なのにこんなに飛ばして大丈夫なのか」と心配をしてしまうほど、メンバーも客席もフルスロットル状態。ゴリゴリのグルーヴ感が脳を揺るがす「Tonight the silence kills me with your fire」ではハンドマイクを向けて煽り、続く「Hallelujah」では一転して荘厳でハッピーな世界観を作り上げ、ハンドクラップと合唱で空間を一つにした。先ほどまで挑発的なアクションでフロアのボルテージを牽引していた山中だが、今度は一人一人に語りかけるように優しく歌い上げる。

THE ORAL CIGARETTES

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今回のツアーにおいて後半戦 1曲目の「5150」。ギターの音色に合わせた冒頭の大合唱から一気にギアが入り、サビではリフトからのクラウドサーフもあちこちで飛び出して、熱気は天井知らずに高まっていく。プレイされるごとに攻撃力と中毒性を増していくキラーチューン「狂乱Hey Kids!!」ではついに山中がオーディエンスの前列へ身を乗り出し、文字通りステージと客席の垣根を超えたテンションが一体化。大きなライブハウスやホールでは生まれ得ない光景に、すし詰めのフロアが最高潮の盛り上がりを見せた瞬間だった。

最後の曲を前に語られたMCでは、やっと実現できた北海道ツアーに対する感謝が伝えられる。「進んでいないと思っても、お前らは着実に進んでいるから」という言葉と共に放たれたのは「Slowly but surely I go on」。優しく、温かく、ピースフルな空気に包まれながら本編は幕を閉じ、「ありがとう!」という声援を背にメンバーはステージを後にした。

THE ORAL CIGARETTES

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興奮醒めやらぬフロアからはアンコールの拍手が止むことなく、再び登場したメンバーは中西雅哉(dr)、鈴木重伸(g)、あきらかにあきら(b)の順にマイクを回し挨拶。また山中からは、新曲「YELLOW」がTBS系新ドラマ「マイホームヒーロー」の主題歌に決定したことが改めて報告された。そして本当のラストに繰り出されたのは、ドラマの制作担当者が大好きな一曲で、オファーが来たきっかけとも言うべき「BLACK MEMORY」。オーディエンスは残されたエネルギーをすべてぶつけるべく声を張り上げ歌い、最後の一滴まで汗を絞りきるほど完全燃焼したに違いない。

THE ORAL CIGARETTES

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今回招いたthe McFaddinは、実際に音を聴きパフォーマンスを観た上で惚れ込み、オファーを出したという。オーラル自身も北海道でのライブはSiMのツアーに招かれたのが最初で、「そんな風に、先輩が後輩を“こんなにいいバンドがいる”と紹介する連鎖が続いていけばいい」と山中は話した。自らの経験値を高めながら、同志と切磋琢磨し合ってシーンを盛り上げていけたら−−。そんな思いを胸に、彼らの放浪の旅はこの後南へと向かう。

文=佐波由香里
撮影=SHOTARO

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