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​​ズーカラデル、 森 大翔、Conton Candyが共演、新たな出会いに歓喜した『CONTACT!! Vol.24 -MINAMI WHEEL EDITION-』ライブレポート

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『CONTACT!! Vol.24 -MINAMI WHEEL EDITION-』ズーカラデル

『CONTACT!! Vol.24 -MINAMI WHEEL EDITION-』ズーカラデル 撮影=鈴木友莉

『CONTACT!! Vol.24 -MINAMI WHEEL EDITION-』2023.9.20(WED)大阪・BIGCAT

9月20日(水)、心斎橋BIGCATにて『CONTACT!! Vol.24 -MINAMI WHEEL EDITION-』が行われた。『CONTACT!!』は、大阪のライブハウスを愛する音楽業界のスタッフが、「今」あなたに出会ってほしい様々なアーティストたちを関西の業界スタッフやリスナーにプレゼンするライブイベント。2016年から始まり、過去には緑黄色社会やimase、羊文学、Bialystocksなど、シーンを牽引しているアーティストも多数出演してきた。24回目の今回は、10月7日(土)から9日(月・祝)までの3日間、大阪ミナミ一帯で行われたライブショーケースフェスティバル『MINAMI WHEEL(以下、ミナホ)』のスピンオフイベントとして開催。ミナホに出演したConton Candyと森 大翔、そしてズーカラデルの3組が登場した。未だ見ぬ新しいアーティストに出会えることが魅力の『ミナホ』を体現するように、3組それぞれの個性と音楽表現を浴びて、新たな出会いと心豊かになるひとときに感謝した素敵な夜となった。

平日ど真ん中の水曜夜。開演間際のBIGCATには、学校や仕事を終えて感度の高いミュージックラバーたちが続々と集合していた。今回はミナホエディションということもあり、ミナホのチケットを持っている人はドリンク代のみで入場できるというスペシャルな抽選企画も事前に実施。毎年この時期になると、ミナホ気分がじわじわと高まってくる。

定刻を過ぎ、MCをつとめるFM802 DJ・高樹リサ(『ROCK KIDS 802-Lisa Lit Friday-(毎週金曜21:00~23:48)』『OSAKAN HOT 100(毎週日曜12:00~15:00)』)が登場。「ミナホ気分を味わっていただきたいと思います!」と笑顔で出演バンドを紹介。早速イベントが開幕した。

Conton Candy

トップバッターはConton Candy。紬衣(つむぎ/Vo.Gt.)と双子のリズム隊、楓華(ふうか/Ba.Cho.)、彩楓(さやか/Dr.Cho.)からなる3ピースロックバンドだ。この日は彼女たちの3rd EP「charm」のリリース日でもあった。筆者は昨年冬にMusic club JANUSで彼女たちのステージを見たが、その時よりもずっとぐっと大人っぽくなり、BIGCATのステージに負けないほどの存在感を放っていた。

Conton Candy 撮影=昴

Conton Candy 撮影=昴

SEが流れ、元気に手を挙げて登場したメンバー。3本のピンスポがそっと3人を照らすと紬衣のギターが勢いよく鳴り響き、楓華・彩楓のコーラスが重なる。聞こえてきたのは1stシングル「ロングスカートは靡いて」。「いけますかBIGCAT!」と紬衣が叫び、ロックサウンドに乗せて伸びやかな歌声を前に放つ。張りのあるボーカルに、むき出しにした感情が乗っかって聞く者の心を揺さぶる。ラスサビでは「歌える?」とオーディエンスにシンガロングを求める場面も。まっすぐに突き抜けるサウンドにはもはや抗えない。骨太ロックの「執着」に続いては「新曲やります!」と「charm」にも収録されている「プードル」を軽快に走らせる。愛犬への気持ちを歌ったという疾走感たっぷりの1曲。視線を交わしながら笑う3人が本当に楽しそうだった。

Conton Candy 撮影=昴

Conton Candy 撮影=昴

「愛を伝えにきました! Conton Candyですよろしく!」と叫んでMCへ。ゆるくトークを展開しつつ、紬衣は2バンドとは初めての対バンだと話すが、ズーカラデルとは「いつか対バンできたら……」と願っていた経緯がある。その夢が叶った日でもあり、SNSでは喜びの投稿がされていた。

ここで4月にリリースされ、SNSで人気に火がついた「ファジーネーブル」を投下。キャッチーなメロディーが心地良く全身を駆け抜ける。サビでは言わずもがな手がアップ! ここまでの数曲でしっかり会場を掌握した3人は「baby blue eyes」を美しくも躍動感たっぷりに演奏した。

Conton Candy 撮影=昴

Conton Candy 撮影=昴

2度目のMCでは「私たちがお世話になっている、私たちが成長していけるための階段を一歩ずつ作ってくださっている『MINAMI WHEEL』に恩返しできることを嬉しく思います」と述べ「いつも大阪からは大きな愛をもらってます。皆さんにも大きな愛を精一杯渡して帰りたいと思います」と一息吸って「今日は私たちが伝える日です! 伝えて伝えて伝えて、皆の心のど真ん中しか狙ってないので、最後までどうぞよろしく!」と大声で叫び、ラストの「好きなものは手のひらの中」で締め括る。のっけから熱量高く、生々しくて鮮やかな感情のきらめきとともに渾身のライブを届けてくれた3人だった。

Conton Candy 撮影=昴

Conton Candy 撮影=昴

森 大翔

続いては2003年生まれの若干20歳、北海道・知床 羅臼町出身で2021年にデビューした森 大翔。冒頭高樹に紹介されたように、大阪では初のバンドセットで登場。ギター、ベース、キーボード、ドラムの4人をサポートに迎えた5人編成で、圧倒的な世界観を作り上げた。初見だった筆者は正直、卓越しすぎたギターテクとどこまでも広がる力強い歌声、斬新な楽曲構成に完全に度肝を抜かれてしまった。

森 大翔 撮影=昴

森 大翔 撮影=昴

ライブはドラムのカウントから一気に森とサポートギターの2人が振りかぶった「台風の目」でスタート。バンドのアンサンブルの豊かさと、柔らかさの中に芯を感じる森のボーカルにも魅了される。間奏のギターソロでは森の高速ギターテクが炸裂。あまりの巧さにポカンとしてしまうほどだ。それもそのはず、森はイギリスで開かれた16歳以下のギタリストによるエレキギターの世界大会で優勝した経歴を持つ。

森 大翔 撮影=昴

森 大翔 撮影=昴

照明やスモークも相まって1曲目から濃厚な空気を作り出した森と森バンド。「すれ違ってしまった人達へ」では、ポップでキャッチーなメロと5人の作り出す音色の秀逸さに心地良く身を委ねる。シーケンスも使っているのだと思うが、耳に届く音がとても壮大で、1曲の作り込みが凄まじいのだと理解できた。Gジャンを脱いでTシャツ姿になったブルース曲「オテテツナイデ」では、渋くグルーヴィなサウンドで会場を大いに盛り上げる。リードギターを弾きながら歌うだけでもすごいことだが、森のそれはレベルがひとつ違う。毎曲必ず存在するギターソロタイムは、楽曲の世界観を構築する重要な要素なのだろうということがよく伝わってきた。

森 大翔 撮影=昴

森 大翔 撮影=昴

MCでは「こんなに大きな会場で自分の演奏を聞いてもらえるのがとても嬉しいです」と顔をほころばせる。「今日僕のライブ初めて見る人どれくらいいますか?」との言葉には多くの手が上がり「あ、皆ですね」と笑顔。トークで20歳らしい一面も覗かせながら、11月にワンマンツアーを行うことをアナウンス。「今日は超ビッグチャンスだと思って全力で演奏したいと思います」と気合を入れる。そして「自分自身にたいしたもんだよと言えますか?」と問いかけ、「大人になる度にたいしたものにならなきゃいけないというプレッシャーがあると思うんですよ。僕は色んな生き方があって良いと思っていて。その中でたいしたもんだと自分にまず言ってから、次に少しずつ進んでいきたい」と語り「たいしたもんだよ」を披露。ラップも盛り込んだ楽曲で、会場をひとつに導いた。

森 大翔 撮影=昴

森 大翔 撮影=昴

ラストはセルフライナーノーツで「消費カロリー高め筋トレソング」と表していた「剣とパレット」。サビのキャッチーなメロディライン、次々と繰り出される小気味良いフレーズ、ダークな展開とポップスのバランスが気持ち良いグルーヴを生み出す。シングル曲を中心に5曲を堂々と歌い上げ、ギターの実力も惜しみなく発揮した森。5人だからこその迫力と重厚感はあったと思うが、1人だとどうなるんだろうと思わせられる。百聞は一見に如かず。とにかく一度その目で目撃してほしいアーティストだ。11月24日(金)には、Shangri-Laで大阪初のワンマンライブを開催する。

ズーカラデル

トリは、札幌出身の3ピースバンド・ズーカラデル。ボブ・ディランの「雨の日の女」をSEに登場し、2019年7月度のFM802邦楽ヘビーローテーションにもなった「イエス」から軽快にライブをスタートした。サポートにギターとキーボードを迎えた編成で、シンプルながらも味わい深いアンサンブルが耳を喜ばせると同時に身体も揺らす。吉田崇展(Gt.Vo)のまろやかで、どこか泥臭さも感じるボーカルは大地のようにフロアを包み込み、まるで大きな船に乗っているような感覚に襲われた。

ズーカラデル 撮影=鈴木友莉

ズーカラデル 撮影=鈴木友莉

吉田がアコギに持ち替えて「ズーカラデルです、どうぞよろしく!」と叫び、疾走感を携えて「漂流劇団」を披露。鷲見こうた(Ba)は楽しそうにステージ上でぴょんぴょん飛び跳ねながらプレイ。

MCでは鷲見が「我々のことを知らない人もたくさんいると思いますが、一生懸命やりますのでどうぞよろしくお願いします!」と挨拶。自由に楽しんで、との言葉に続いては、吉田が「我々が持っております、最大のパンクチューン」と「夢の恋人」を3人向き合って演奏する。波の中にいるような優しいミディアム調の楽曲だが、この曲をパンクチューンと表現する彼らの感性に触れて思わず頬が緩む。一度演奏を止めて溜めを作るシーンも楽曲の良さを引き立てた。「ラブソング」では朴訥とした吉田の歌声が切なさを一層アップ。メロディラインの良さはもちろんだが、のめり込んでしまう魅力があるのが彼らの音楽だ。

ズーカラデル 撮影=鈴木友莉

ズーカラデル 撮影=鈴木友莉

ここからはラストスパート。山岸りょう(Dr)のビートが爆発力をもって放たれ、7月にリリースされた最新曲「ブルー・サマータイム・ブルーズ」を投下。夏の終わり、青く染まるステージを清涼感が包んでゆく。音源の優しい雰囲気とは違う、ライブならではの生感が至福の時間をくれる。「ありがと!」と吉田が叫び、ラストチューンは「シーラカンス」。山岸の軽快なビートからのキャッチーなキメ、サニーデイ・サービスの「青春狂走曲」のオマージュを色濃く感じるメロディと跳ねるビート。大合唱したくなるサビでは、一斉にオーディエンスの手が左右に振られる。あっという間の30分。グッドメロディの連投で最高に心地良い空間を作り上げたズーカラデルだった。

ズーカラデル 撮影=鈴木友莉

ズーカラデル 撮影=鈴木友莉

アンコールを求めるクラップが鳴り響き、再びステージに走り込むメンバー。吉田は「ひょっとしたらアンコールないんじゃない?って言ってたから嬉しいです」と喜びをあふれさせる。「本日はわざわざ足をお運びいただきありがとうございました。これからも皆さまとBIGCATと我々バンドメンバーの健康を願いまして、最後の曲とかえさせていただきます」と、彼らが世間に知られるキッカケとなった代表曲「アニー」を演奏! これにはオーディエンスも大歓喜で手を挙げ、ジャンプして、この日1番の盛り上がりを見せた。

ズーカラデル 撮影=鈴木友莉

ズーカラデル 撮影=鈴木友莉

最後はMCの高樹がステージに登場し、「アンコールまで盛り上がりましたけど楽しかったですね!」と3組のライブを振り返り、イベントを締め括った。この日の出会いを機に、彼彼女らの今後のライブもぜひチェックしてほしい。

取材・文=久保田瑛理 写真提供=『CONTACT!!』撮影=昴(Conton Candy、森 大翔)、鈴木友莉(ズーカラデル)

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