広告・取材掲載

ピアニスト京増修史が東京・大阪にてリサイタル開催 「自分だけにしかできないリサイタルを作っていけたら」

アーティスト

SPICE

(C)Mariko Tagashira

(C)Mariko Tagashira

京増修史は、近年、ショパン国際音楽コンクールやロン=ティボー国際音楽コンクールに出場するなど、活躍の場を国際的に広げつつある新進気鋭のピアニストである。そんな彼が東京と大阪で、ベートーヴェンやシューベルトからプーランク、ラフマニノフまで多彩な作曲家の作品によるリサイタルをひらく。

――今回のリサイタルのプログラムの選曲について教えていただけますか?

浜離宮朝日ホールのような大きなホールでリサイタルをひらく機会はそんなにないので、自分の弾きたい曲を選びました。

――まずは、ブラームスの3つの間奏曲作品117ですね。

ブラームスは今回初挑戦のレパートリーです。昔からすごく好きな曲でいつか弾きたいなあと思っていました。
第1番は、子どものときから印象に残っているんですよね。当時、まだ曲をわかってなかったのでしょうけれども、涙が出るまではいかないけど不思議な感情が沸き上がってきました。ブラームスが老いを自覚し、生きることへの諦めを感じていた頃、そういう感情を音楽に昇華した作品ですが、小学生のとき、そういう背景を知らずに聴いたのに、長調なのに悲しいものを感じました。ブラームスは凄いなと思いますね。
そんな曲を中途半端に気持ちで弾けないと思い、なかなか怖くて手をつけられないでいましたが、今回、ホールで演奏できる良い機会だと考え、勉強したいと思いました。

――次は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第23番「熱情」です。

「熱情」を弾くのは中学生以来ですね。中学生のときは、「熱情」のタイトル通り、ほとばしるエネルギーで、どーっと弾いて、「疲れた」という感じでした(笑)。それから10年以上経って、どう変化したかなと、自分でも楽しみにしています。ハイリゲンシュタットの遺書が書かれた時期の作品で、芸術への自覚、ほとばしる情熱、そういったものを聴いてもらえたらと思います。そして、「熱情」の内に秘めた情熱は、ブラームスとも共通していると思います。それをただ出すだけでなく、音楽の奥底にあるものも表現できればいいなと思っています。

(C)Mariko Tagashira

(C)Mariko Tagashira

――シューベルトの即興曲第3番、プーランクの15の即興曲より第12番「シューベルトを讃えて」、第13番「エディット・ピアフを讃えて」、と間奏曲が続きます。

全体が結構重いプログラムなので、疲れないように、変化を入れることにしました。
僕の先生(石川哲郎氏)はすごく音がきれいなのですが、僕が小学生のときに、先生がリサイタルでシューベルトの間奏曲の演奏を聴いたのがすごく強烈に印象に残っています。だから、今回、弾かせてもらおうかなと思いました。

プーランクの「シューベルトを讃えて」は、シューベルトからの即興曲つながりです。「エディット・ピアフを讃えて」は、シャンソンっぽくって、素敵な曲だなと思い、好きだから弾きます。プーランクは時代的にラフマニノフにつながります。

――そしてメインはラフマニノフのピアノ・ソナタ第2番(1931年版)ですね。

このソナタは、大学時代に試験でも弾いたことがあるのですが、サロンのような空間ではなく、浜離宮朝日ホールのような音響の良いところで弾きたいなと思っていました。そして、ラフマニノフの生誕150周年ということもあって、選びました。作曲家がどう思って作曲したかを考えて弾くので、そこを感じ取ってもらえたら、うれしいですね。
個人的には、いつも僕を聴いている人には、僕はショパンや古典のイメージがあり、ラフマニノフのイメージはないかもしれないので、違う一面もお聴かせしたいと思いました。

――リサイタル全体で聴いてほしいのは何ですか?

最初の曲から僕がみなさんを自分の世界に引き込んで皆さんが、それにどっぷり、響きに浸かってもらえたらうれしいですね。
いろいろな曲を演奏するので、同じ楽器だけど違う音や響きがでるでしょうから、ピアノの魅力を楽しんでいただけると思います。
ブラームスでは奥底にあった情熱が、最後のラフマニノフでは溢れ出てくる。リサイタルを通して溢れ出てくるものをみんなに感じてもらいたいですね。

(C)Mariko Tagashira

(C)Mariko Tagashira

――ご自身のアピール・ポイントは?

石川先生について20年経ちますが、僕は先生の音楽が好きなのです。先生の自宅のレッスン室で僕はグランド・ピアノを弾かせてもらって、先生はアップライト・ピアノを弾くのですが、アップライト・ピアノがものすごくきれいな音なのです。そういう音を聴いて育ってきたから、自分も音がきれいとほめられることが多いんですよね。

――将来はどのようなピアニストになっていきたいですか?

お客さまにまた聴きたいと思ってもらえるのが一番うれしいです。なので、敷居が高いと感じさせない、また来たいと思ってもらえるようなピアニストになりたいですね。
都内では毎日いろいろなピアニストのコンサートがあり、どうすれば自分のリサイタルを選んでもらえるのか考えるんですよね。考えるだけで、答えは見つからないですけど(笑)。
また来たいと思ってもらえる、自分にしかできないコンサート、リサイタルができればと思います。

――最後にリサイタルへの抱負をお願いします。

浜離宮朝日ホールでは昨年に続いて2回目となりますが、前回を越えられるようなリサイタルにしたいです。
僕の音楽の世界にどっぷりと浸かってもらいたい。そのために遊びに寄ってもらえたらうれしいです。

関連タグ

関連タグはありません