左から、財木麗子、三宅里菜、澤田薫、大野隆
人気コーラスグループ「フォレスタ」の特別公演『フォレスタコンサート ~リクエストスペシャル~ in 文京』が2023年12月13日(水)に、文京シビックホール 大ホールで開催される。コンサートは、フォレスタが出演する音楽番組「BS日本・こころの歌」(毎週月曜日午後 8 時)を放送するBS日テレと、サンライズプロモーション東京が共催で開く年末恒例の東京公演で、今年はファンから事前に募ったリクエスト曲を中心に選曲した演目を披露する。出演を予定している澤田薫・横山慎吾・竹内直紀・塩入功司・大野隆・内海万里子・吉田和夏・池田史花・三宅里菜・小笠原優子・財木麗子・吉田明未の中から、澤田、大野、三宅、財木の4名に公演にかける思いを聞いた。
――12月の公演は通常の公演よりもお祭り感があります。今年は「ファンが聴きたい!」と思う曲をリクエストして、大好きなみなさんに歌ってもらえるかもしれない。夢のような企画ですね。
大野:そう感じていただけると嬉しいです。これまで歌ってきた抒情歌や唱歌のほか、昭和歌謡など、およそ300曲件のリクエストをいただき、ここから(自己紹介の曲を除いて)20曲ぐらいに絞っていくことになると思います。
澤田:上位に入った10曲は、コンサートでおなじみの曲です。みなさん聴きたいと思われる定番の曲があるのだなと感じました。
三宅: フォレスタは男声のみ、女声のみ、男女混声と3つの編成で歌っているのですが、いずれにも偏らない形で程よくリクエストをいただいているので、ファンのみなさんが、よく聴いて下さっているんだなと思いました。
財木:私はフォレスタに入って初めて昭和歌謡と出合いました。昭和歌謡のリクエストだけで120曲以上いただいたのですが、「知らない曲が、まだまだある」と驚きました。
財木麗子
――リクエストされた曲のリストを拝見したのですが、抒情歌、唱歌に加え、昭和歌謡、映画音楽、アメリカンポップス、カンツォーネなど幅広く投票がありました。どんな曲が披露されるのか。当日が楽しみです。現状お話をいただける範囲内でどのような内容になるのか、教えていただけますでしょうか。
大野:みなさまからいただいたリクエスト曲を見ていると、それぞれの心の歌、人生の岐路で聴いていた大事な歌など、思いが浮かんできます。歌うこちらが主役ではなく、聴き手のみなさまの思いを歌に重ねられるコンサートにしたいですね。細かい内容については、構成と演出を務めて下さる一条貴之先生が詳細を作ってくださるので、僕たちもどのような内容になるのかとても楽しみです。2023年のフォレスタにとって、集大成となるステージを見せたいです。
財木:リクエストをいただいた曲を歌わせていただく事はとても嬉しいです。と同時に少々のプレッシャーも感じています。その方の大切な思い出の曲を、私たちはどう表現すれば良いのだろうかと。
自己満足にならないように、曲が生まれた時代背景を調べるのは勿論ですが、オリジナルのテイストを損なう事なく大切に、でも自分らしく、フォレスタらしく、表現出来たらと思っています。
とても難しい事ですが、それが醍醐味でもあると思うので、お届け出来る日を楽しみに、心を込めて仕上げていきたいと思っています。
――コロナ禍ではコンサートの中止や、声出しの制限などがありました。現在フォレスタさんは、全国を巡るツアーも再開され、公演での声出しも解禁されています。苦しい時期を越えての12月公演。どのような思いがありますか。
大野:コロナ禍は公演中、必ずマスクをして、休憩時間も「お話をしないでください」というアナウンスがあったり、ファンのみなさんにはお願いをしてばかりでした。でも少しずつ緩和されて、この夏からは僕らが客席の通路を手拍子をしながらまわる演出や、みなさんと一緒に声を合わせる「会場合唱」も復活しました。少しずつ明るい兆しを感じる中、10月の新潟公演では掛け声をいただく場面もあり、みなさま待っていて下さったんだなとありがたく思っています。身体はもちろん心の健康のためにも、12月の東京公演は解放された時間を一緒に楽しみたいです。
三宅里菜
――先ほど、大野さんから「集大成を見せたい」という言葉がありました。このインタビュー時点では楽曲は未定ですが、今回いただいたリクエスト楽曲を見て12月の公演で歌ってみたい曲、挑戦したいことについて、お話をいただけますか。
三宅:私は「踊りあかそう」を歌ってみたいなと思いました。映画『マイ・フェア・レディ』の中で歌われる曲ですが、とてもパワーがある曲なので、コンサートならではの特別な演出として(映画では主演の花売りの少女)イライザが舞い降りてくるような奇跡を起こすことができればいいなと思います。
澤田:僕は中島みゆきさんの「糸」を歌いたいです。女性の歌を男声で歌うこと、その逆もよくあるのですが、今後挑戦してみたいことの1つです。女声が主軸の歌に、ハーモニーだけ男声を重ねるなど、僕らにしかできない表現を追求していくことが、新しいフォレスタの姿になっていくと思います。
財木:私は「あざみの歌」です。フォレスタに入って最初にいただいた楽譜がこの曲で、それまで続けていたものとは、(文字の)フォントひとつとっても全てが違っていました。厚い楽譜ではなく、1枚だけだったことにも驚きがありました。でも今に繋がる大切な私の原点の曲です。最初にステージで歌ったときは緊張しかありませんでしたが、長く歌い込んでいきたい大切な曲です。
大野:僕は「荒城の月」です。この曲はフォレスタ結成当時から歌っている大事な曲です。1番から4番まであるのですが、それぞれに情景が刻まれていて、日本語の美しさ、きれいな旋律を感じることができます。音楽の教科書に掲載されていた時期もありましたが、消えつつあるいま、楽曲はもちろんですが、そこで描かれた日本ならではの情景を、僕らが歌い継いでいかなくてはと言う思いもあります。
大野隆
――東京公演が行われるのは12月13日です。それぞれ2023年を漢字1文字で表すとしたら、どんな文字が浮かびますか。
澤田:僕は「動(どう)」です。コロナ禍を経て、やっと色々なことが動き出した2023年。みんなのやる気を感じ、動いていくぞーー!!という気合いを感じた1年でした。
三宅:私は「晴(はれ)」です。思い返すとコロナ禍は、ずっと曇り空が続いているような時間でした。各地コンサートができるようになり、お客さんの表情を見ていると晴れやかだなと感じることが増えたのが2023年でした。心の中の雲もなくなって、澄み切ったように晴れ渡っているので、いろいろなことに挑戦していきたいです!
財木:私は「挑(いど)む」です。コロナ禍は、動き出すことが本当にいいことなのかなど、1つ1つの行動に対して確認をする時間がありましたが、日常が戻って来て動き出し、晴れに繋がっている。ここからは、「挑む」気持ちで臨んでいきたいと考えています。
大野:僕は「昇(しょう)」です。いままで大変な時期を過ごしてきて、ようやく明るく晴れてきました。穏やかになりつつあるいま、僕たちは未来に向かって挑んでいかなくてはいけない。コロナ禍前の世界に戻ることは難しいですが、近い世界に戻っては来ている。ここからは自分たちをさらに高め、昇っていかなくてはいけないなと思っています。
澤田薫
――みなさまから力強い言葉をいただきました。2024年は辰年。昇り龍の勢いでさらに活躍が期待されますが、それぞれ抱負もいただけますか。
澤田:未知の世界へのチャレンジですね。活動20年を超えたフォレスタですが、まだまだ知名度は高くありません。もっと多くの人に歌を聴いてもらえるよう、いろんなことにチャレンジもしていきたい。「これはフォレスタっぽくないよね」などの固定概念を取っ払って、新しいことにチャレンジする1年にしたいです。
大野:20年を経て次のステージに向けて、新しいことに挑戦することはとても大切だと思います。以前、和田アキ子さんの「あの鐘を鳴らすのはあなた」を歌ったとき、「オリジナルはもちろん良いけれど、フォレスタの真っ直ぐな歌唱もまた違った良さがあるね」と言っていただいたことがありました。平成や令和に生まれた作品の中にも名曲はたくさんあります。時代やジャンルという垣根を越え、フォレスタらしさを追い求めながら、名曲を歌い継いでいきたいです。
三宅:コンサート中、舞台から客席を見ているとお孫さんと一緒に来ている方が増えたなと感じています。先日も大学生くらいの男の子と、お爺ちゃんが一緒に並んで聴いてくれている姿が見えました。私はフォレスタに入ってから出合った曲がとても多いのですが、祖母から「昔の曲を聴く機会が減ったけれど、フォレスタが歌ってくれると、自分が学生だったときのことを思い出してうれしい」と言ってもらったことがありました。客席にいらした男の子も、フォレスタをきっかけに昔の曲を聴く機会もあると思うんです。昔の曲は1つ1つの言葉がとても強くて、歌詞にパワーを感じます。昔の名曲を歌い継いで行かれるよう先輩やお客様からも学んでいきたいです。
財木:私はお客さまと交流を深める1年にしたいです。12月のリクエストコンサートも、お客さまからの思いを受けての公演です。コロナ禍を経て、人と人との交流が再開したので、会場では一緒に声を合わせて歌いたいです。
取材・文=翡翠