東京佼成ウインドオーケストラ
東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)は、2024年4月より現・正指揮者である大井剛史の常任指揮者就任、作曲家・中橋愛生の楽芸員就任、および「2024-25シーズン」コンサートスケジュールを発表した。また、定期公演等の演奏活動の充実のために、定期公演数の順次増加、若手作曲家への新曲委嘱、過去委嘱作品の再演、マスランカ・チクルスに取り組んでいく。
■大井剛史の常任指揮者就任
2024-25シーズンより、現・正指揮者の大井剛史が常任指揮者に就任。TKWOにとって常任指揮者というポストは、楽団の歴史の転換点になってきた非常に重要な位置にある。今後、活動を共に展開するに際し、大井剛史の持つ吹奏楽の知見と情熱をもって中長期的な音楽的ビジョンを達成すべく打診したとのこと。正指揮者としての10年間を礎に、従来よりも一歩踏み込んだ「大井×TKWO」に期待しよう。
■今後5年間の方針——「つくる。つつむ。つなぐ。」
常任指揮者就任に際し、今後5年間の方針として「つくる。つつむ。つなぐ。」を掲げる。
「音を創り、音で包み、音を繋ぐ」ことで楽団、ひいては吹奏楽界全体の発展に寄与すべく、新たに以下の活動に取り組む。
・新曲委嘱
・定期公演数の順次増加
・過去委嘱作品の再演
・「楽芸員」作曲家、中橋愛生を招聘してのトークイベント等の実施
・マスランカ・チクルス
<新曲委嘱>
有望な若手作曲家を中心に新曲の委嘱を行う。吹奏楽のレパートリー開拓の一環とするとともに、若い作曲家が吹奏楽作品を「つくる」機会としてもらう。
<定期公演数の順次増加>
法人化の際に年間5回から3回とした定期公演を、来年度は年4回、再来年度は年5回へ順次拡大し、TKWOの演奏で「つつむ」機会の創出に努める。また、2025年度以降は以前会場としていた東京芸術劇場での開催ができるよう検討を進めている。
<過去委嘱作品の再演>
TKWOがこれまで委嘱してきた吹奏楽作品を次代へ「つなぐ」ため、再演の機会を積極的に設ける。来シーズンは次の3作品を取り上げる。
・P.スパーク 『セレブレイション』(1991年委嘱作品)
・真島俊夫 『“地球”-美しき惑星-』(2011年委嘱作品)
・伊福部 昭 『吹奏楽の為のブーレスク風ロンド』(1972年委嘱作品)
<作曲家、中橋愛生を招聘してのトークイベント等の実施>
作曲家の中橋愛生がTKWOの「楽芸員」に就任。楽曲解説の執筆や、各定期公演の開催に先立って常任指揮者の大井とトークイベントを行い、公演をより味わえるようにするなど、TKWOの演奏活動と来場する方々、双方の充実を目指す。
<マスランカ・チクルス>
アメリカの作曲家D.マスランカが遺した9曲の交響曲のうち、吹奏楽の編成で作曲された7曲をチクルスとして取り上げる。吹奏楽でこれほどの規模、数、質を持つマスランカ作品をTKWOが取り上げることで、その真価を見出す。来シーズンでは、2番と9番を取り上げる。
■2024-25シーズンラインナップ
2024年4月から定期公演を年4回とする。定期会員券も2021-22シーズン振りに復活し、2024-25シーズン定期演奏会全4回を同じ席でお得に聴くことができる。
2014年より東京佼成ウインドオーケストラ正指揮者。2024年4月より同楽団の常任指揮者に就任予定。
17歳より指揮法を松尾葉子氏に師事。東京藝術大学指揮科を卒業後、同大学院指揮専攻修了。若杉弘、岩城宏之の各氏に指導を受ける。1996年安宅賞受賞。スイス、イタリア各地の夏期講習会においてレヴァイン、マズア、ジェルメッティ、カラプチェフスキーの各氏に指導を受ける。2007~2009年チェコ・フィルハーモニー管弦楽団で研修。2008年アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクールで第2位入賞。
在学中より東京二期会、新国立劇場などのオペラ公演で副指揮者をつとめ、2002年「ペレアスとメリザンド」(ドビュッシー)を指揮してデビュー。その後はオペラのほかバレエ、ミュージカル、日本舞踊との共演など多くの舞台公演を指揮。
仙台フィルハーモニー管弦楽団副指揮者(2000~2001)。 ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉(現・千葉交響楽団)常任指揮者(2009~2016)、山形交響楽団指揮者(2009~2013)、同正指揮者(2013~2017)を歴任。このほか全国の主要オーケストラを指揮している。
レパートリーは極めて広く、オーソドックスな管弦楽/吹奏楽の作品を中心として、現代音楽の初演、ゲーム音楽、映画音楽、ポップスなどありとあらゆる音楽を手がける。
トーク付きのコンサート、また子供のためのコンサートなどを通じて、より多くの方々に音楽に親しんでいただくことに情熱を注いでいる。
東京藝術大学音楽学部器楽科非常勤講師(吹奏楽)。尚美ミュージックカレッジ専門学校客員教授。