ようこそ!キラキラドキドキの夢の国へ!BanG Dream! 12th☆LIVE DAY1:Poppin’Party『Welcome to Poppin’Land』レポート

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(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved. Photo ハタサトシ、池上夢貢(GEKKO)

2023年11月3日(金・祝)~5日(日)の3日間にかけて、東京ガーデンシアターにて開催された『BanG Dream! 12th☆LIVE』。今回は初日に行われたPoppin'Partyによる「Welcome to Poppin'Land」のレポートをお届けする。戸山香澄が常日頃に口にする「キラキラドキドキ」という言葉。遊園地とは、正しくそれを体現した施設であって、彼女らの公演のテーマに相応しいモチーフと言えよう。文字通り、湧き上がってくるような胸の“ワクワク”を原動力にするポピパが見せる無敵のステージの様子をとくとご覧あれ。

(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved.

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今回のライブは「Welcome to Poppin'Land」と題された通り、架空の遊園地“ポッピンランド”がモチーフとなっており、舞台上の装飾はもちろん、セットリストや進行も遊園地になぞらえた演出が加えられていた。もう少しだけこの“ポッピンランド”について詳しく説明しておくと、ぽっぴんエリア、すりりんエリア、どりーみんエリアの全部で3つのエリアに分かれており、敷地中央には立派なお城がそびえ立つ。例えば“すりりんエリア”ではジェットコースターやお化け屋敷のように、スリリングなアトラクションが立ち並ぶエリアなので、その雰囲気に合わせた選曲……のように非常に分かりやすくポピパの世界観を噛み砕いてくれていたのも良かった。

「Welcome to Poppin'Land!今日はステキな1日にしましょう~!」と、まるで遊園地のパレードショーのように1人ずつメンバーが姿を現し、「Happy Happy Party!」「What's the POPIPA!?」を2曲続けて披露。みんなで合わせて手拍子をしたり、揃えて声出しをしたり、楽しいパーティの始まりにピッタリな2曲でまずは肩慣らしといったところか。

(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved. Photo ハタサトシ、池上夢貢(GEKKO)

(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved. Photo ハタサトシ、池上夢貢(GEKKO)

ここで冒頭でお伝えしたポッピンランドの趣旨について説明が入ったのだが、各3つのエリアには“みんなが本当に心の底から楽しいと思った時”にしか音が鳴らないベルが備わっており、3つのベルの音を鳴らすことで、幸せが訪れる、という伝説を確かめるべくステージは進んでいく。まず始めにぽっぴんエリアへ行くことになるのだが、次の曲は全員で踊って楽しみたいということで、市ヶ谷有咲役の伊藤によるダンスレッスンが始まる。ひとしきり説明した所で「あとはメチャクチャ飛びます」とアドリブも付け加えて、いざ実践。「ぽっぴん'どりーむ!」はそんな振り付けあり、コーレスもありのまさにライブ映えする1曲だ。続いて初披露となる「青春To Be Continued」はメリーゴーラウンドをモチーフにした演出で、5曲目は「CiRCLING」だからもしかして、観覧車?と、その選曲の意図を予想しながら、その場で答え合わせしていくのも楽しい。

(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved. Photo ハタサトシ、池上夢貢(GEKKO)

(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved. Photo ハタサトシ、池上夢貢(GEKKO)

ここまで3曲続けて、ポッピンランドを駆け抜けた訳だが「みんな、もちろん心の底から楽しめたよね~?」と客席に問いかけると、ハンドベルの音が鳴り響き、お城のランプが1つ点灯した。このように各エリアを巡っていく。続いてはジェットコースターに乗ろう!と久々の「B.O.F」に、ポップコーン食べよう!と「ぽっぴん'しゃっふる」、最後にホラー好きな牛込りみによる、おどろおどろしいナレーションからお化け屋敷モチーフの「Hello! Wink!」の流れですりりんエリアを巡っていった。ハロウィン楽曲ということもあり、時期的にもピッタリの楽曲だが、メンバーもちいさい悪魔の角のカチューシャなどプチ仮装をしたり、西本が暗転明けセンターステージから登場したり、細かな演出が嬉しい。
最後のどりーみんエリアは“最強のエリア”とかなりザックリとした触れ込みでしか知らされていなかったのだが「だったらこの曲しかないよね!」と「最強☆ソング」を演奏するとワーッと盛り上がったのが印象的だった。そして「夏のドーン!」ではタオルを回し、花火が上がると場内から「たまやー!」の声が聞こえたのも良かった。最後に「Time Lapse」とポピパのアツい夏ソングな流れが続いた。炎の渦のような映像と場内を真っ赤に照らすペンライトがより一体感を感じさせた。アカペラで始まり、アカペラで終わるのも非常に清涼感のあるエモさで非常に後味が良い。

(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved. Photo ハタサトシ、池上夢貢(GEKKO)

(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved. Photo ハタサトシ、池上夢貢(GEKKO)

もちろんここでもベルが鳴り響き、するとファンファーレと共にお城がライトアップされる。「やった~これで幸せが訪れるぞ!」とはしゃぐメンバー。「みんな、まだ声出せるよね?!…あ、でも次の曲そんなに盛り上がる感じじゃないかも」と伊藤のMCで笑いを誘うが、「次、最後の曲です。幸せを鐘の音に乗せて!」と「RiNG A BELL」を披露した。

遊園地は言わばキラキラドキドキする場所なわけで、キラキラドキドキを追い求めるポピパとの親和性が非常に良いのは言わずもがな、“ベル”とか“パレード”だったり、“花火”など、多彩な楽曲たちを活かした設定の遊園地に落とし込んでいたのも一本取られた!といった感じで、演出のこだわりを感じた。エンターテイメントとは非常に難しいもので、ある程度のストーリー性は出したくても、分かりやすさも考慮しなくてはいけないが、ポピパのライブは絶妙な塩梅で進んでいく。ポピパのライブに行くと、ガルパ(スマートフォン向けゲーム「バンドリ!ガールズバンドパーティ!」)の新規ストーリーを丸々読んだような感覚になるのは私だけだろうか?ここでしか味わえないストーリーだからこそ足を運ぶべきだと思っている。

(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved. Photo ハタサトシ、池上夢貢(GEKKO)

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アンコール前の幕間では「夢ノ結唱」プロジェクトより「POPY」が登場し、新曲「世界中に響く耳鳴りの導火線に火をつけて」や「alternative 」さらに「STAR BEAT!~ホシノコドウ~」のカヴァーを披露した。夢ノ結唱 BanG Dream! AI Singing Synthesizer とは、バンドリ!による新たなメディアミックスプロジェクトで、戸山香澄・湊友希那の歌声を人間らしくリアルに表現することができ、12月には新ソフト「Synthesizer V AI 夢ノ結唱 POPY/ROSE」の発売が決定している。

またアンコールでは「1000回潤んだ空」そして「Moonlight Walk」を披露した。MCで「『1000回潤んだ空』って、それこそ武道館とか節目のタイミングでしか披露してない」と語っていたが、それだけ今日はポピパにとって重要な公演だったことを改めて知る。また「ポピパって良いバンドでしょ?!」と胸を張る西本や、8年間の想いが込み上がり「もっとポピパでライブがしたい!」と叫んだ大塚など、バンドの絆がより強固になっているのも感じられたライブだった。

常に新しい可能性にチャレンジして、常に“みんなと楽しむ”を一番に考える。それがポピパの“キラキラドキドキ”の正体なのかもしれないと思った。3Dモデルを最大限に有効活用したコレオグラフィーはその最たる例だ。人工歌唱ソフトのPOPYだからこそ3Dモデルを作るべきで、3D化したからこそ全身を活用した表現をすべきなのは必然だ。POPYが歌う「STAR BEAT!~ホシノコドウ~」に“キラキラドキドキ”を感じずにはいられなかった。

(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved. Photo ハタサトシ、池上夢貢(GEKKO)

(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved. Photo ハタサトシ、池上夢貢(GEKKO)

また、香澄がポピパの座長であり、ポピパがバンドリ!の座長であることを改めて強く感じた公演でもあった。思い返せば、ライブの最後に愛美はいつも必ず「これからもバンドリ!をよろしくお願いします」のような発言をすると思うし、もちろんこの日もしていた。「ポピパはもちろんとして、バンドリ!をよろしく」と必ず言うのだ。ポピパだけでなく、バンドリ!も背負っているという気概が無ければ、このような台詞は出てこないはずだ。「私たちが中心となって、バンドリ!をもっとワクワクさせてやろう!」と演者が本気で思っているのだとしたら、それってちょっと無敵すぎる。言葉で示して、行動で示す。だから応援したいと思える。ポピパにわくわくできる。一番シンプルで一番難しいことを、ポピパはやり続けているのだ。

取材・文:前田勇介
 

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