『OSAKA DREAM LIVE 2023 -autumn-』
11月18日(土)、19日(日)の2日間、大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)にて開催された大阪国際文化芸術プロジェクト『OSAKA DREAM LIVE 2023 -autumn-』。オフィシャルレポートが到着したのでお届けする。
11月18日(土)・19日(日)、大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)にて、大阪国際文化芸術プロジェクト『OSAKA DREAM LIVE 2023 -autumn-』が行われた。本プロジェクトは、大阪・関西万博を前に「音楽」の力を活かして大阪を盛り上げるとともに、世界に魅力を発信するため、大阪府と大阪市が中心となって主催するもの。会場には、中学生・高校生・専門学生・大学生の生徒・学生限定で無料招待された5,000名(各日2,500名)が来場した。1日目はAile The Shota、DA PUMP、LIL LEAGUE from EXILE TRIBE、REIKOが、2日目はきゃりーぱみゅぱみゅ、SCANDAL、TOMOO、ビッケブランカが出演(各日50音順)。さらには学生とプロアーティストのコラボステージも実現。学生たちがアーティストの生ライブの素晴らしさを体感するだけではなく、アーティスト自身も学生からエネルギーをもらっていることが感じられた、とても意義深い2日間となった。今回はその模様をレポートする。
『OSAKA DREAM LIVE 2023 -autumn-』
木枯らし一号が到来し、すっかり冬の気配になった11月の大阪。グランキューブ大阪には、10代の若者たちが推しの応援グッズを手に続々と来場した。土日だったが、学校帰りだろうか、中には制服姿の人も散見された。中学生は保護者と、高校生以上は友人や家族と連れ立って席につき、そわそわした様子で開演までの時間を過ごしていた。
FM802 DJの落合健太郎、近藤夏子
1日目はMCにFM802 DJの落合健太郎と近藤夏子が登場。近藤は「行政の力で学生のために音楽を楽しんでもらおうという、素晴らしい企画」と語り、落合は「この数年間、色々と我慢してきたり、生でエンターテイメントを楽しむ場所がなくなった時間もありましたが、ここから若い世代の皆さんと一緒に大阪万博と大阪の文化を盛り上げていきたいと思っております」と述べ、最初に登場するREIKOへとバトンを繋いだ。
●REIKO
REIKO
トップバッターは、SKY-HI率いるBMSGのオーディション『THE FIRST』で、歌とダンス未経験ながらも最終審査に勝ち残り、今年10月6日(金)にメジャーデビューを果たしたREIKO。「グランキューブの皆さん盛り上がれますか? 踊りましょうよ」と笑顔で呼びかけ、まずはDREAMS COME TRUEの「決戦は金曜日」をカバー。続けてREIKO自身が作詞作曲を手がけた「No More」を、より大人っぽく歌い上げる。歌いながら器用に披露する、滑らかでキレのあるダンスからは、鍛錬の成果が如実に感じられる。MCでは自己紹介をして「今日はソロアーティストとしての2回目の遠征なんです」と嬉しそうに顔をほころばせる。そして「今日は夢を与えたり、逆に皆さんから夢をもらう機会かなと思っていて。僕はメジャーデビューして、やっとひとつ夢が叶った瞬間で、もっと夢を見つけて広げていきたいタイミング。目の前にいる方々のおかげで、いつも夢を追いかけて良かったなと思ってます。ありがとうございます」と感謝を述べて、メジャーデビュー曲「BUTTERFLY」をパワフルかつ繊細にキメてステージを去った。1人ながらも存在感のあるパフォーマンスで、会場に熱をともしたREIKOだった。
●LIL LEAGUE
LIL LEAGUE
登場するやいなや、会場がひときわ大きな黄色い声に包まれたのは、今年1月にLDHからメジャーデビューしたLIL LEAGUE。年下組の岡尾真虎、百田隼麻、難波碧空は14〜15歳、年上組の岩城星那、中村竜大、山田晃大は18〜19歳ということで、まさに来場者と同世代だ。ラフでオシャレなワントーンコーデの衣装に身を包み、まずは「Rollah Coaster」と「Coloring Book」を明るくポップに披露。ボーカルとダンスを次々にスイッチしながらダイナミックにステージを動き回り、エネルギーを解き放つ。2曲を終えて一旦ステージから掃けると、雷のようなSEが流れ、ダークな「Monster」で雰囲気を一変させ、既に高まった会場の熱をまたひとつ、熱狂的に引き上げる。しなやかなバネとたっぷりの色気で、山田と岡尾が振付したハードなダンスを見事に踊って魅了した。
LIL LEAGUE
「Hunter」では、ドリームライブならではの企画として、ステージ参加に応募した学生とのコラボステージが実現! 大阪府内の中学生のダンス部5名が登場し、制服姿でキレキレのダンスを披露する。さらに「Okay」では大阪府内の高校生10名も加わり、総勢21名と客席で大迫力のタオル回し。メンバーと学生が入り乱れて踊る様子は圧巻だったし、メンバーも学生も本当に楽しそうな笑顔を浮かべていた。LIL LEAGUEと同じステージでダンスできるという貴重な機会に、彼らは何を得ただろうか。続けざまに勢いよく「飛龍-FeiLong-」を投下。ラストに向けて熱く観客を盛り上げるメンバーの姿に会場のテンションはMAXに。中村は「僕たちには4年後にドームツアーを達成したいという夢があります。夢を追うことは、もちろん不安や辛いこともあります。ぜひ音楽の力を通して、そういったものに立ち向かって、皆さんの夢を叶えていけたらと思います」と力強く述べて「Higher」を披露した。山田は「皆さんの夢は大丈夫、絶対に叶います!」とエールを贈り、また大阪に戻ってくる日を約束して、フレッシュかつエネルギッシュなステージを終えた。
●Aile The Shota
Aile The Shota
続いてはAile The Shota。DJを従えてゆらりとステージに現れ、「LIL LEAGUEもREIKOも最高にヤバいダンスをしてくれたので、僕は皆さんを踊らせたいと思います」と 「DEEP」をハイトーンボイスで響かせる。クラブミュージックと浮遊感漂うボーカルが心地良い。続き「まだまだノリ方わかんないと思うので、一旦音楽に体預けてみましょうか」と、高速BPMのダンスナンバー「Pandora」と疾走感のある「IMA」で客席の学生たちを導いていく。MCでは「学生って夢もあって楽しくて、でもめちゃくちゃ不安定で色んなことを吸収して、色んな感情がごちゃまぜになる期間だと思う」と述べ、自身の学生時代を回顧して書いたという「常懐」を柔らかく響かせる。そしてTikTokで踊ってみた動画が増加中の「M.L.N.D」をアーバンに歌唱し、独自の世界観で満たしていった。
Aile The Shota
「「夢を持て」って、説教もしたくないしされたくないじゃん。好きなことやろう。やっぱそれ大事だと思う。でも好きなことすらできないのが学生時代だと思って。その抑制されてる学生時代の中で好きと思えるものは超好きだと思うから、これからもそれを大事にしていってほしい。結局自分が好きな自分でいるということで、勝手に自分らしさになっていくと思います。わかるかな?」と優しく説いて、<代わりはいない 誰でも唯一無二>と歌う愛の歌「No Frontier」を歌い上げ、「数年後J-POPSTARになります。よろしくどうぞ」と夢を宣言し、まだリリース前の最新曲「J-POPSTAR」でグッと背中を押した。最後は「音楽が鳴る場所に集まってくれる、君たちみたいな存在が音楽シーンをより良くしていくと思います。それに感謝して、僕は音楽で恩返ししていきます」とピースサイン。兄のような優しい雰囲気で学生の目線に寄り添い、学生時代の貴重さを説きつつ、人生の先輩、そして夢を追う者としての背中を見せたAile The Shotaだった。
●DA PUMP
DA PUMP
1日目のトリを飾るのはDA PUMP。SEが流れ、上手と上手に分かれてゆっくりステージに現れたISSA、YORI、TOMO、KIMI、U-YEAH、KENZO。のっけから総立ちの客席は「P.A.R.T.Y. 〜ユニバース・フェスティバル~」のイントロが流れると大歓声を上げる。小刻みに体を揺らすダンスやゾンビウォーク、レインボージャンプといった見所満載のナンバーを惜しげもなく披露し、大人の余裕と安定感をばっちり提示する。客席にはペンライトを点灯し、サビで一緒にダンスする保護者の姿も見られた。キレのあるダンスで圧倒した「Dream on the street」を経て、MCではKIMIとYORIを中心に会場全体を巻き込むトークで楽しく盛り上げる。KIMIは「色んなことを続けていれば、こんな年齢になっても楽しいことはできた。俺は勉強はできなかったけど、紅白は出れた。自信持っていこうぜ!」と、好きなことを続ける大切さを明るく真剣に語った。ここで、学生にとっては新鮮で、同伴の保護者にとっては懐かしく突き刺さる「ごきげんだぜっ! 〜Nothing But Something〜」と「if…」を連続で披露。フォーメーションを変えつつ滑らかにダンスしながらも、一切ブレることなく張りのある歌声を響かせるISSAの不変ぶりに驚かされた。
DA PUMP
2度目のMCでは学生に影響を受けて「青春モード」に入ったKENZOが「俺はただダンスが好きで夢を見ていた。大人が「こうした方がいいんじゃない?」と言うことがあると思うけど、それは参考書でいいかなと思うんですよ。きっと皆さんの中に答えはあって、それを選択することで自分たちの人生が豊かになると思うので、今持ってる夢や好きなことをたくさん貫いて頑張ってください」と熱いメッセージを贈る。そしてエグゼクティブ・プロデューサーの木梨憲武によるトータルコーディネート、所ジョージによる作詞・作曲の「サンライズ・ムーン 〜宇宙に行こう〜」で会場がひとつに。KIMIは「皆いいね。ありがとう。大好きだよ〜! ほんと元気もらってる!」と愛を伝え、最後は特大アンセム「U.S.A.」を投下! 待ってましたとばかりに、サビの「いいねダンス」で一緒に体を動かす客席。間奏のインベーダーフォーメーションを生で見れたことも学生にとっては貴重な経験となったのではないだろうか。トークもパフォーマンスもさすがの大御所感で全世代を魅了し、貫禄たっぷりに大トリを務め上げたDA PUMPだった。
●TOMOO
TOMOO
2日目のトップバッターを担ったのはTOMOO。キーボードの前に静かに腰掛け、まずはしっとりと「Grapefruit Moon」を歌い始める。ソウルフルな低音ボーカルが響き渡った瞬間、会場の空気が引き込まれる。衣装と同じ色の、夜空の月を思わせるイエローとブルーのライトが美しくステージを照らし出す。続けてアップテンポの「Ginger」を披露。客席からは自然にクラップが発生し、ピアノのシンプルな音色と会場から生まれるリズムに歌声を乗せて、早くも一体感で満たされる。MCでは笑顔で挨拶し「きっと初めましての人ばかりですよね」と客席に尋ねると手が挙がり、「嬉しいな。出会いばかりってことですね」と喜ぶ。「普段はバンドスタイルが多いんですけど、今日は私も音楽を始めた学生時代の原点の弾き語りスタイルでお届けします」と述べ、「ベーコンエピ」をクリアな歌声と華麗な鍵盤さばきで魅了した。ここまで演奏された楽曲は全て、9月にリリースされた1stアルバム『TWO MOON』に収録のもの。「10年くらい活動して初めてのアルバムが出てるところで。ライブ会場でライブを見るのが初めてという人もいると思うけど、私も「やっぱりライブだよな」って、そういう気持ちを持ち帰って、また会える日を楽しみにしたいと思います」と述べて、10月度のFM802邦楽ヘビーローテーションにもなった「Super Ball」をパワフルにぶつけてライブを終えた。ピアノとボーカルというシンプルな構成ながら、心の隙間にグッと入り込むパフォーマンスで爪痕を残したTOMOO。同時に続けることの大切さも伝えてくれた素敵な時間だった。
●ビッケブランカ
ビッケブランカ
圧巻のステージ力で会場をひとつにし、音楽を享受して楽しむ喜びをありありと教えてくれたのはビッケブランカ。SEに『ライオンキングのテーマ』が流れ、バンドメンバーの井手上誠(Gt.)、熊代崇人(Ba.)、若山雅弘(Dr.)、横山裕章(Key.)が先にスタンバイ。やがてビッケが登場すると、会場は大盛り上がり。これからの素晴らしい時間を予祝するようなファンファーレが鳴り響き、「革命」を鮮やかに放つ。迫り来る音の洪水と、どんどん変わる曲展開にあっという間に飲み込まれる。ギターを置き、ビッケが軽快に鍵盤を奏でた「Winter Beat」では一糸乱れぬクラップが発生。演奏後は、しばし無言で端から端までくまなく手を振り、客席と丁寧にコミュニケーションを取る。そんなビッケの気遣いも嬉しい。
ビッケブランカ
MCではイベントの趣旨に触れて「今で言うと僕が「ドン」ってやって、皆さんが「わーい」と言う。それがいかに素晴らしく、いかにシンプルでいかに深く、いかに大きい喜びを作り出すかということを、体感したことのない皆に体感してほしいというのが、今日の目的なんですね。僕も主催者の心意気を受け継ぎました。どうぞ一度僕に任せてみて、お付き合いください」と、頼もしい言葉とともに深々とお辞儀する。続けて述べた「生で見るとこんなにすごいんだ。YouTubeで見るとかサブスクで聴くのと全然違うんだ。生で見ないとわからなかったり、面白いこともある。僕を見て元気になって、元気に叫んでくれたら、何か糸口が掴めるんじゃないかなと思います」との言葉には激しく同意した。ビッケがリズムや楽器パートに合わせ、身振り手振りをつけて動くごとに、会場の空気が大きく変化する。この自由さは本当に現場でしか体験できない。そんな空気に牽引されて、最初は遠慮がちだった学生も、最後にはしっかり手を挙げていた。ラストは「ウララ」で最高潮の盛り上がり! ハイライトシーン満載で、生のライブの面白さや醍醐味を存分に伝えてくれた濃厚な時間だった。
学生コラボ
ビッケブランカ
ここでお待ちかね、ドリームライブならではの学生参加コラボステージ。2日目はビッケブランカと大阪府内の高校の軽音楽部が共演した。軽音楽部のメンバーが「技術を持った人がひとつの良いものを作り上げる、プロの空気を感じてみたい。『Shekebon!』を演奏したい」という熱いメッセージを添えて応募したことで実現した。ビッケも学生との演奏は初めてだそう。制服姿で登場した5人の学生(ドラム、ベース、ツインギター、キーボード)は緊張した様子でバンドメンバーの間にセッティングされた楽器の元へスタンバイ。何と贅沢でスペシャルな展開だろう。「これだけのステージで、皆さんの温かく強い目の中で演奏できるのは、糧になるんじゃないかなと思います」と述べたビッケは、曲振りから早速カウントに入ろうとするドラムを制し「待って待って。この静寂を楽しむの」とプロ直伝のアドバイス。前方からじわじわ立ち上がる客席の様子を観察し、「こういう大きい会場は「私も立とう」という波が後ろに流れていくから、待つ。で、何事もなかったようにカウント4を入れていく。いい? 任せるよ」とのビッケの言葉に学生の緊張感がこちらまで伝わってきたが、それを振り切るように力強くイン! 気合いの入った軽音部の演奏を見て、嬉しそうな表情を浮かべるビッケバンドの面々。やがてバンドメンバーがジョインすると、音圧も一気にアップ! ビッケも全力で歌声を張り上げる。演奏中、ビッケは学生の近くで歌ったり、バンドメンバーは学生を気にかける様子で視線を送り続けていた。学生に花を持たせる場面もあり、ビッケとバンドの優しさが伝わってきて思わず胸が熱くなる。客席ももちろんハンズアップで盛り上げる。そして後半のドラムパート。若山と学生の2人が力強くビートを放ち、見事フィニッシュ! ベーシストの学生は「全部出し切れました!」と興奮した様子。ビッケも「良いですね」と満足気だった。最後は皆で記念撮影。ビッケは「こういう時にギタリストはダラダラ来る! で、それをキーボードは「行けよ」って感じで促す」と、ミュージシャンらしい振る舞いについてもアドバイス(笑)。学生の勇気ある応募がこの素晴らしい時間を作り出した。勇気をもってチャンスに飛び込めば、現実が変わり夢が叶うということを教えてくれた尊いコラボだった。
●きゃりーぱみゅぱみゅ
きゃりーぱみゅぱみゅ
4人のダンサーを引き連れて登場したきゃりーぱみゅぱみゅは、「大阪ー! 皆楽しむ準備できてるー?」と高らかに声を上げ「にんじゃりばんばん」でのっけからポップに会場を巻き込んでゆく。白いレースの衣装と白いヘッドドレスに身を包んだきゃりーと、同じく白い衣装に動物のようなお面をつけたダンサーがステージで見せる息の合ったダンスは、少し不思議で魅惑的。カラフルな照明も相まって、世界観に没入する感覚に陥った。テクノサウンド全開の「どどんぱ」では、オノマトペのような歌詞と刻まれるビートのみで体を揺らす体験をする。きゃりーは曲中「動きを真似してみてー! 右! 左!」と学生を導き、音楽で踊る楽しさを伝授。
きゃりーぱみゅぱみゅ
MCでは「大阪の皆さんこんばんはー!」と挨拶し、「今日タダでしょ?タダ最高ー!」と笑わせる。「私のライブは一緒に歌ったり踊ったり楽しんでほしいなと思っています。私も皆さんぐらいの年代の時は、手を挙げてとか言われても「はんっ」みたいなね、スカしたりしてたんだけど、皆のこと、私しか見てないから。今日は恥ずかしがらないで、一緒に踊ってくれませんか」と「一心同体」のダンスレクチャーをして楽曲へ。ひとつになった会場に続けて投下された「原宿いやほい」と「最&高」でも、きゃりーにリミッターを外された学生たちは楽しそうに体を動かして、会場を揺らしていた。「いい感じじゃーん!」と嬉しそうなきゃりーは「学生時代にやっておけばよかったこと」を告白。それは英語と恋愛。「英語って大切。私ワールドツアーやってるんだけど、英語全然喋れなくてね、皆さんぐらいの年代の時にもっとやっとけばよかったと思う。あと恋愛! 女子校だったので異性との出会いがなくて。皆は英語と恋愛、頑張ってください♡」とキュートにアドバイスを送り、最後は「ファッションモンスター」で最高潮の盛り上がりを作り出し、笑顔でステージを後にした。
●SCANDAL
SCANDAL
イベントの大トリを飾ったのは、2006年に大阪で結成されたSCANDAL。過去にはドリームライブで学生とのコラボをしたこともある彼女たち。SEが流れ、ミントグリーンのセットアップで衣装を揃えたメンバーが、足取り軽くステージに登場。RINA(Dr.&Vo)の鋭いカウントから「瞬間センチメンタル」でライブが始まると、総立ちの客席は一斉にハンズアップ! HARUNA(Vo.&Gt)の突き抜ける歌声と疾走感のあるパワフルサウンドが全身を揺らす。結成17年の彼女たちは今年の夏、「同一メンバーによる最長活動女性ロックバンド」としてギネス世界記録(TM)に認定された。重ねたキャリアが魅せるキレのあるパフォーマンスと、堂々たる存在感からは安定感が感じられる。HARUNA、MAMI(Gt.&Vo)、TOMOMI(Ba.&Vo)はお立ち台に上がり、実に楽しそうに骨太ロックを響かせる。
SCANDAL
MCでHARUNAは「普段ライブで見えてる雰囲気とはちょっと違って新鮮」と笑顔を見せる。「SCANDALを知ってたけど、曲は知らないって人」と問いかけると正直に手が挙がり「いいのいいの。今日はそれを知る日じゃないですか。親子で見に来て、色んなアーティストを見て楽しんで、もっと音楽の良さを知る日。今日は私たちのこともちょっとだけ知っていってほしいな」と述べる。そして「皆と同じぐらいの中高生の時に4人で結成して。17年続けていると、自分たちには自分たちのコンプレックスがあったり、孤独に感じる瞬間があったり。色んな悩みを抱えながら、それでも4人だから楽しく続けてこれた。どんな瞬間も私たちは4人でいればハイライトだったなって。皆にもハイライトな瞬間がたくさんあったらいいなという願いを込めて」と10月にリリースされた新曲「ハイライトの中で僕らずっと」を披露。想いを語るHARUNAを3人がじっと見守っていた様子が印象的だった。曲の終わりには「色んなことを乗り越えて一緒に頑張っていきましょう」と改めてエールを送る。その様子からは、4人にとってこの楽曲がいかに大切か伝わってきた。
SCANDAL
そこからターボ全開の「夜明けの流星群」「Tonight」を経て、「SCANDAL BABY」でエネルギッシュにライブを締め括ったSCANDAL。HARUNAが残した「嫌なことやしんどいことがあったら、またSCANDALのライブに来てね! 絶対皆のこと守るからね!」という言葉はきっと、学生にとってお守りになったに違いない。
スマイル・瀬戸洋祐、FM802 DJ・高樹リサ
全てのライブが終了し、MCのスマイル・瀬戸洋祐とFM802 DJ・高樹リサがステージに登場。高樹は「想いに応えてくれるアーティストの皆さん。コラボステージでは夢が叶う瞬間、夢を身近に感じる瞬間がありました。皆さんも感じてもらえたものがあったんじゃないかと思います」と述べ、自身も「学生時代のように戻って楽しんでいた」という瀬戸は「音楽のパワーを繋いでいくのが大阪の若者の皆さん。皆のパワーで一緒に大阪を賑やかに盛り上げていただきたい。ぜひ応援しているアーティストのライブ会場へ足を運んで楽しんでいただきたいと思います。今日がそのキッカケになればありがたい」と述べて『OSAKA DREAM LIVE 2023 -autumn-』を締め括った。
イベントの趣旨をしっかりと汲み取り、それぞれの方法で全力のステージを見せてくれた8組のアーティスト。2日間を通して、彼らが学生に向ける眼差しの優しさに感銘を受けると同時に、これからの時代を作る若者への期待を感じて胸が熱くなった。目の前のステージで繰り広げられた大迫力のパフォーマンスを見て、学生は何を感じただろうか。どうかもっと音楽を好きになって、自由に音楽を楽しんで、夢を叶えていってほしいと思う。そしてぜひ、イベントライブでは感じきれない魅力を感じるため、各アーティストのワンマンライブにも足を運んでみてほしいと、切に願う。
取材・文=久保田瑛理