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玉置浩二、ツアー「故郷BAND ~田園~」最終日の東京国際フォーラム公演レポート到着

アーティスト

写真:加藤 亮

玉置浩二のコンサートが11月19日に東京・東京国際フォーラム ホールAで開催され集まった5000人の観客を沸かせた。このコンサートは8月3日に千葉・市川市文化会館で始まった全36本のツアー「玉置浩二 Concert Tour 2023 故郷BAND ~田園~」の千秋楽公演。

故郷BANDの9人と共にステージに玉置浩二が現れるや、客席から「待ってました!」とばかりに大きな歓声が起きる。ソウルフルな歌声を聴かせる「CAFE JAPAN」でコンサートは幕を開けた。2曲目の「Honeybee」では、スクリーンに蜜蜂が映し出され、ファンク調の演奏をバックに力強いヴォーカルを聴かせる。中盤、玉置はステージ上手のドラムセットに移動し、ドラムを叩きながら歌う。さらに間奏ではスティックからエレキギターに持ち替え、ソロを披露するなどプレイヤーとしても八面六臂の活躍をみせる。冒頭からの3曲は玉置のソロ・アルバムからの選曲だったが、4曲目の「愛を鳴らせ」で安全地帯ナンバーが登場。14枚目のアルバム「安全地帯XIV〜The Saltmoderate Show〜」に収められた楽曲だ。エンディングで玉置が高らかに歌い上げるとスクリーンには「鐘」が映し出され、「鐘」の音を鳴らす。

ここまではソウルミュージックやファンクをベースにしたアップチューンが並んだが5曲目で一転、バラード・ナンバーを歌う。ピアノのイントロで静かに始まる、安全地帯6枚目のシングル「マスカレード(1984)」のカップリング曲「置き手紙」がピアノのイントロで静かに始まるや、デビュー時から応援している古参のファンが沸く。続く「次男坊」では母への想いを語りかけるように歌い、観客の心を打つ。7曲目の「黄昏はまだ遠く」は再び安全地帯のナンバー(安全地帯VIII〜太陽/1991)。切なくも美しい旋律を聴かせると、さらに間奏では玉置の叩くドラムとチェロの熱い競演も披露。ここでコンサートの前半が終了。

インターミッション明けは故郷BANDの演奏で始まる。ギター、ベース、ドラムス、キーボード、パーカッションのリズム隊に、チェロと管楽器が2本加わった9人編成の大所帯。この盤石とも言えるサポートバンドが玉置の歌をしっかり支える。広大な田園風景を思わせる、ゆったりとしたバンドの演奏が終わると、再び玉置がステージに登場。「△(三角)の月」でブルージーな歌声を聴かせる。「君だけを」では中盤、フルートとヴォーカルの掛け合いを披露。さらに女声コーラスとの圧巻のハーモニーを響かせる。玉置の凄さは一時たりともブレイクしないところ。プレイヤーとして演奏に積極的に参加することもさることながら、歌が始まる前のイントロや間奏でもスキャットを聴かせる。歌詞ではなく「Woo…」や「LaLaLa…」を即興的に口ずさむだけだが、これが素晴らしい。スキャットだけでも聴きたいぐらいだ。

アップチューンやバラード・ナンバーを緩急自在に歌い抜けてきたステージもいよいよ終盤に。高揚感溢れるポップなチューンの「正義の味方」の演奏が始まると場内は総立ちに。そんなオーディエンスの熱い声援に応えるように、伸びやかで艶やかな声を、広い国際フォーラム会場の隅々まで届かせる。ミディアムテンポのロックナンバー「JUNK LAND」ではラップ調でたたみかけるように歌い客席を圧倒。エンディングではオーディエンスとのコール&レスポンスも披露し、ステージと客席を一体化させる。この勢いでツアーのサブタイトルにもなっている「田園」に突入。故郷BANDの躍動感溢れる演奏と玉置浩二のパワフルなヴォーカルの見事なアンサンブルがグルーヴを増し、場内の盛り上がりは最高潮に。

ラストは大ヒット曲の「メロディー」。先ずは玉置のアコースティック・ギターで囁くように歌う。一音たりとも聞き逃すまいと、呼吸すら止めて見守る空間に、ギターを爪弾く指の音や、息遣いが静かに響く。中盤にはバンド演奏が加わり、締めはマイクを離れて、生声だけで歌いきった。故郷BANDのメンバーひとりひとりをハイタッチで見送り、ステージには玉置がひとり残る。安全地帯のマーク「V」が記されたバスドラムをステージ中央に運び込む。さらにドラムスティックを「V」状に掲げ、バスドラムに深々とお辞儀をし、昨年末に急逝したドラマーの田中裕二を悼んだ。

続いてアコースティック・ギターを抱えマイクスタンドに。ここからはアンコールに応えるように玉置浩二のひとり舞台。「ワインレッドの心」「恋の予感」「悲しみにさよなら」や絢香との共作曲「Beautiful World」のワンフレーズを次々に歌う。そしてマイクを離れて歌い出したのは「夏の終りのハーモニー」。玉置が客席に一緒に歌うように指揮を始めると、全員が歌い出す。玉置浩二と5000人がひとつになった感動的なフィナーレで、ツアー千秋楽公演を締めた。

この日の模様は2024年1月にWOWOWにて放送予定。また2024年2月よりオーケストラと共演する「玉置浩二 LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2024 “Pastorale”」ツアーもスタートする。

(TEXT:石角隆行)

セットリスト

01.CAFE JAPAN
02.Honeybee
03.ルーキー
04.愛を鳴らせ
05.置き手紙
06.次男坊
07.黄昏はまだ遠く
〜Intermission〜
08.△(三角)の月
09.君だけを
10サーチライト
11.正義の味方
12.JUNK LAND
13.田園
14.メロディー

 

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