DERESAMA NIGHT、サマソニ2023のステージアクトを勝ち取った5組が強烈な個性を競う

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DERESAMA NIGHT

DERESAMA NIGHT

DERESAMA NIGHT 2023.11.18(sat)代官山SPACE ODD

『DERESAMA NIGHT』ってなんだ? それは新人アーティストの登竜門「出れんの!?サマソニ!?2023」のオーディションを勝ち抜け、『SUMMER SONIC 2023』のステージを踏んだバンドたちが再び集結する特別なイベントだ。あれから3か月後の進化と現状を見せるべく、全5組が強烈な個性を競う代官山の夜、ここに開幕。

Rian

Rian

Rian

まずはオープニングアクト、シンガーソングライターのRianが、明るい笑顔と高いコミュ力で会場の空気をあたためる。左利きでアコースティックギターを構え、ピックを使わず指で弾く繊細な音色と、湿度の少ない爽やかな歌声。積極的にクラップやコーラスを呼びかけながら、サーフミュージック的なグルーヴの効いた曲や、ファンクやレゲエを感じる曲など3曲を披露。女性ソロでは珍しい音楽性、清楚でキュートなルックス、今後注目したい存在だ。

redmarker

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redmarker

redmarker

redmarker

正式な一番手として登場したredmarkerは、2022年結成のスリーピースバンド。ベースはチェックのパンツにラバーソウル、ギターボーカルはパーカーとベルボトムにスニーカー、ドラムは二ットキャップを深くかぶったストリート系。バラバラなルックスが示す通りに音楽も雑食性で、1曲目「22」からパンキッシュなグラムロック、ラップとメロコア、ストレートなエイトビートのロックンロールなど、打ち込みを駆使してバラエティに富む音像を次々と繰り出す。オートチューンを効かせたラップチューンや、壮大なロックバラードもある。サマソニ出演は夢だったけどその後は特に変わらない、結局「毎日本気でライブをやっていくしかない」と言うボーカル・ittaの誠実な言葉がいい。「踊る」というキーワードを何度も繰り返していたのは、ライブバンドとしての方向性が定まっている証拠だろう。あらゆる手段で観客を踊らせるロックバンド・redmarkerの本気が伝わる20分間。

Mlle.

Mlle.

Mlle.

Mlle.

Mlle.

いきなりキーボードとドラムがジャズの即興演奏を始めて度肝を抜く。大阪からやってきたMlle.(マドモアゼル)は、スタイリッシュなサウンドとパフォーマンスで、観客を別世界へと誘うバンドだ。サポートベースを含むメンバーの演奏力は非常に高く、ジャズやソウルを感じるグルーヴロックもあれば、パンクやロカビリーにも近い荒々しい演奏も涼しい顔でやってのける。スタイリッシュな黒づくめのファッションもいかしてる。特に際立つのはセンターに立つギターボーカル・フジノのキャラクターで、クールな表情に時折笑みを浮かべながら、演じるように歌うスタイルに揺るぎない美学を感じる。「Syndrome」から「JUMBLE!!」まで全7曲、キーボードのNoriがピンボーカルをとる曲やドラムのニキが歌う曲があったり、即興めいた演奏で盛り上げたり、1曲ごとに工夫があって飽きさせない。歌詞も含めて、シネマティックで映像的な世界観が強い印象を残してくれる。

超☆社会的サンダル

超☆社会的サンダル

超☆社会的サンダル

超☆社会的サンダル

超☆社会的サンダル

超☆社会的サンダルは、出て来た瞬間のインパクトがいきなり半端ない。セーラー服の上にスカジャン、サンダルを履いたギターボーカル・オニザワマシロを中央に、サラリーマンスーツで長髪のギター・タケマスター、Tシャツ短パンのベース・ふじおの巨漢二人が脇を固める。サポートドラムはワンピースにおかっぱメガネ。挨拶抜きで猛然と演奏を始めたその音楽性は、カオティックな喧騒まみれのオルタナロックで、グッドメロディのパワーポップにわざと汚しを入れるような、攻撃的センスがギラリと光る。男性陣の演奏力の高さは特筆ものだが、とにかく目が行くのはボーカルのマシロで、駄々っ子のようにぐずりながらギターをかきむしって歌い、MCではどぎつい言葉を連発して叫びまくり、客が引いても絶対にあとへ引かない。本能全開、傍若無人なパフォーマンスははっきりと聴き手を選ぶが、その意気や良し。フェスやイベントはインパクトを残したもの勝ちだ。

おとなりにぎんが計画

おとなりにぎんが計画

おとなりにぎんが計画

おとなりにぎんが計画

おとなりにぎんが計画

「銀河鉄道999」のSEに乗ってニコニコ笑顔で登場したのは、名古屋発の4ピースバンド・おとなりにぎんが計画。結成は今年2月で初ライブが5月という初々しさだが、ギターボーカル・初音を中心に、ギター+キーボードを前面に押し出すカラフルポップな世界観はすでに確立済み。1曲目の♪おとであそぼ、という歌詞が象徴的で、キャッチーなメロディとシンプルなビート、ピアノポップとギターロックを織り交ぜて、観客を笑顔の渦に巻き込みながらライブは進む。フロント3人が揃ってステップを踏んだり、魅せる要素もしっかりある。短髪のホワイトブロンドがよく似合う初音は、MCでのふわふわとした雰囲気から、ひとたび歌い出すと実にパワフルでローの効いた歌声で、ポップな楽曲に一本の太い筋を通す。小さな体にエピフォンのセミアコを抱えた姿もとてもキュート。見る人聴く人によってそれぞれのチャームポイントを見つけられるだろう。

Apes

Apes

Apes

Apes

Apes

東京を中心に活動する3ピースバンド・Apesは、2021年に ”GoToオーディション”でグランプリを獲得した逸材だ。サポートドラムを含めた4人でがっちりと手を合わせ、おもむろに演奏を始める姿には若さとふてぶてしさが同居して、激しいアクションには通りすがりの観客の足をも止めさせる吸引力がある。「バチっといいとこ見せるんで」(坂井玲音/Vo&G)と言いながら、UKロックの香りがするシンプル&メロディクなギターロックを立て続けにぶちかます、ケレン味のなさがすがすがしい。ライブでは歌詞の細部まではっきりわからないが、「LOSER」「Stay alive」といったタイトルと、哀愁と焦燥感が入り混じった刹那的な歌と演奏からは、飾らない等身大のロックンロールが聴こえてくる。アンコール曲「Sing for you」のカラッと激しいUSロックふうのサウンドも、バンドの伸びしろを強く感じさせて頼もしい。逸材が逸材たるゆえんを示す、今を生きるライブバンドの生命力がびんびんに伝わってくる。

オープニングアクトを含めて6組が、それぞれのプライドをかけて個性を出し切った勝負ステージ。サマソニの後日談、スピンオフ、あるいは同窓会、様々なエッセンスを詰め込んだ「DERESAMA NIGHT」は、若いバンドが次のステップを目指すための大きな可能性を秘めたイベントだ。「出れんの!?サマソニ!?」と連動して、来年以降の開催もぜひ期待したい。

取材・文=宮本英夫 撮影=広瀬誠

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