我儘ラキア
我儘ラキア『GAL SQUAD』 2023.11.23(thu)Zepp Shinjuku
11月23日(木・祝)・東京・Zepp Shinjukuで開催されたワンマンライブ『GAL SQUAD』。8月から11月にかけての4ヶ月連続新曲リリース、主催対バン公演『Killboredom』など、精力的な活動を重ねてきた2023年の集大成とも言うべき公演となった。このライブの模様をレポートする。
我儘ラキア
ステージに現れたバンドメンバーたちを出迎えた大きな歓声。2本のギター、ベース、ドラムによる爆音が轟いてスタートした1曲目は「IDOl」だった。MIRIのパートからスタートし、L、星熊南巫、海羽凜が順番に合流していく展開に早速ワクワクさせられる。それぞれのスタイルでビートを乗りこなしてラップをする様が、4人の個性を存分に感じさせてくれた。そして「我儘ラキア、始めます!」と南巫が力強く宣言。2曲目の「My life is only once」を皮切りに強烈なナンバーさらに連発された。「まだまだ行けるでしょ!」と煽られて、観客のクラウドサーフがますます激しくなった「Leaving」。「どんだけ高いジャンプできるか見せてくれ!」という言葉に応えた人々のジャンプがフロアを揺さぶった「Bite Off!!!!」。大合唱によって素晴らしい一体感が生まれていた「Why?」。力強いクラップがバンドの爆音とダイナミックに融合した「There is surely tomorrow」……序盤の時点でものすごいエネルギーがZepp Shinjukuを満たしていた。
星熊南巫
海羽凜
「大切なギャルのお仲間を連れてきました。4人でも無敵なんですけど、このダンサーと一緒に歌って踊って女性として何かを表現してる時がすごく刺激的で、いつも楽しいです。今日はそれを受け取って帰ってください!」――南巫に紹介された5人のダンサーも加わった「Vertex」は、9人でフォーメーションを絶えず変化させながらパフォーマンスを繰り広げる様が華やかだった。続いて「GIRLS」も9人編成で届けられたが、リフトアップされた数名の女性客がフロアで拳を突き上げ、周囲の男性客と共に歓声を上げる様が清々しかった。ウォールオブデスがフロアで度々起こったりもする我儘ラキアのライブだが、漂うムードはとても温かい。そんな魅力を感じさせられる曲だった。
「何よりも“今日ここに来る”という選択をしてくれたみんなに会えるのを楽しみにしていました。前回のZeppワンマンはコロナ中だったけど、今日は自由でございます。前には頼もしいセキュリティさんがいますので、安心して転がってきてください! 観たい場所で好きなように楽しんで欲しくてセーフティエリアも作ってみました。怪我する覚悟がなかったら前に来ちゃ駄目とか、そういうのはないから」――ライブには人それぞれの楽しみ方があるのだと語ったMIRIは、さらに話を続けた。「 “自分で決める”ってめちゃめちゃ大切なんですよ。みんなは今日、自分で決めてその場所に立ってるんでしょ? 自分で選択したきみたちとなら最高の1日を作れると思うんですけど、どうですか? そんなみんなと一緒に作りたい曲があります」――この言葉と共にスタートした「JOKER」は観客の大合唱を誘った。サビに差し掛かると、皆が掲げたタオルがフロア内で勢いよく回転。MIRIの願い通り、観客と1つになるからこそ作り上げられる風景だった。
L
MIRI
「Re:Paint of the [Heart:Hurt]」も届けられた後、南巫はライブで初披露となる新曲について語った。「思い通りにならなくて、意思疎通ができなかった時に空しくなったり、切なくなったり。そんなことがあると思うんですけど、誰かに貰った愛があるから自分たちは生きています。1人じゃここまで大きくなれなかった。でも、愛に揺さぶられて不安定になって、なんだかおかしくなってしまいそうなことがみんなにもあると思います。そんな日々を支えられるような曲を作りました」という言葉が添えられた「M」は、瑞々しいメロディがとても優しく感じられた。続いて、観客を無我夢中で踊らせていた「Trash?」。ピアノの旋律で彩られながら壮大な展開を遂げた「rain」。再び4人のダンサーが加わり、ドラマチックに高鳴り続けた「JINX」……表現の多彩さを示す場面の連続であった。
「“どんな言葉を残したら、みんながもっと頑張れるかな?”とかいろんなことを考えましたが、言葉にならない気持ちのままぶつかっていく方が、今日は伝わるんじゃないかなと。この大事な声が枯れてもいいと思うくらい今日はみんなに歌でぶつかっていきます。生きてたらいろんなことが起きる。それにも負けずに足掻いて、この時代を生き抜いてやりましょう!」――南巫の力強い言葉と共に雪崩れ込んだ後半戦は爽快だった。「SURVIVE」「Melody」「ゼッタイカクメイ」……曲が連なる毎に観客の心が鼓舞されていく様子がまざまざと伝わってきた。「Days」で響き渡った《声が届きますように あなたの胸に響きますように 僕らが 過ごしてきた日々は 間違いじゃなかった》という大合唱は、フロアにいた人々はもちろん、ステージ上のメンバーも勇気づけていたと思う。
我儘ラキア
「目の前のみんなが待っててくれたから、なんとか歌い続けることができました。隣にメンバーがいてくれるから壊れそうな日も心が死にそうな日も歌うことができました。“死ぬ”っていうことは案外身近にある、この身体は“ラスト”なんだと思い知らされ、自分のことを疑ったこともあった1年間。それでもやりたい音楽、鳴らしたい音をやり続けると立ち向かってきた1年間は全部正解。“生きてる”ってことをすごく実感しました。自分に負けそうになったら、誰かに負けそうになったら、我儘ラキアの音楽を聴いて思い出してください。変わらず自分が言い続ける言葉は、好きに生きろよ。なりたい人のなりたい姿になるな。誰かの好きな人になんてならなくていいから、自分がなりたい姿に。“ラスト”の人生を楽しんでください。“ラスト”の人生の主人公だってこと、忘れないでくれ!」――南巫の強い想いが込められたMCを経て、本編を締めくくったのは「GR4VITY G4ME」だった。爆音に包まれて歌った彼女たちの雄々しい姿が思い出される。無数の感情を声に滲ませる南巫、華やかな佇まいを輝かせながら絶妙なポイントで歌の存在感を発揮する凜、ステージ上の空間にしなやかなダンスで躍動感を添えるL、ダイナミック且つ情感豊かにラップするMIRI――4人のコンビネーションは、ライブで体感すると一際楽しい。発射された銀テープを握り締めながら観客が掲げた拳が、ライトを浴びて光る様がとても綺麗だった。
我儘ラキア
「私たちが日本で一番攻めてるアイドル、我儘ラキアでした!」という言葉を残して一旦はステージを後にしたが、大歓声に応えて戻ってきた4人。バンドメンバー、ダンサーチームも加わった記念撮影の後、「ここに来てくれた人たちのために歌いたい曲を準備させていただきました」と、MIRIがアンコールの1曲目について触れた。「ライブで全然歌ってない曲なんですよ。この曲を嬉しい場面で歌える日が来ますように」という南巫の願いが込められつつ披露されたのは「To be Continued」。スタートした瞬間、観客の間から歓声が上がった。前に進み続ける意志を示すこの曲は、今後のさらなる飛躍を誓う宣言として受け止めることができた。そしてラストは「JOURNEY」。大合唱が起こった目の前の風景を眺めながら4人は幸せそうな笑顔を浮かべていた。こうして終演を迎えたワンマンライブ『GAL SQUAD』。我儘ラキア史上、過去最大の動員が達成されたことも含め、メンバーたちの自信を深められる公演となったはずだ。
取材・文=田中大 撮影=TAKAHIRO TAKINAMI
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